軽減税率のルールはピクトグラムで伝えられるか?
非デザイナーが実際に作ったので見てほしい
ピクトグラム(以下、ピクト)というものがある。世界中で使われている、簡略化されたシンプルなイラストだ。非常口マークや、駅の案内図にある電車のマークなど、公共機関のサインに多く使われている。誰が見てもなんとなく意味がわかりそうなのが特徴だ。
10月1日から施行される「軽減税率」は、とてもややこしい。買うもの、食べる場所で税率が異なる。日本人はまだしも、海外からの観光客は混乱しそうだ。軽減税率も、ピクトを使ったほうがいいんじゃないか。
そこで今回は、日本人も外国人もわかるようなピクトを目指して、実際に作ってみたいと思う。
軽減税率がややこしい
たとえば、イートインスペースのあるコンビニで税抜100円の食べ物を買ったとする。税込だと108円だ。ただこれは令和元年9月30日までの話で、10月1日からは108円と110円のパターンが生まれる。同じ商品でも払う金額が2パターンあるのだ。
100円の商品は、外や家に持ち帰って食べると108円、イートインスペースで食べると110円。ハンバーガーショップなどもそうなる。
つまり、テイクアウトだと税率は8%で、店内で食べると10%になるのだ。軽減税率を簡単に説明すると、そういうこと。
店員さんに「テイクアウトします」と言って店内で食べるのは、もちろんルール違反だ。逆に店内で食べるつもりでお金を払った後、気が変わって「テイクアウトします」と言って、差分の2%をお店に請求するのは迷惑だろう。
令和元年10月1日からは意思を強く持ってお金を払わなければ、損したり迷惑をかけたりするのだ。
スーパーで食用の生きたサワガニを買って、食べずに家で飼った場合はどうなるの? とかいろいろ疑問はあるけれど、とりあえずはイートインとテイクアウトが一番身近な問題だろう。
ピクトを作るぞい!
イートインとテイクアウトで値段が変わることを、誰でもわかるようにしなければならない。ただ、外国人に配慮して各言語で注意書きを貼るのはお店も大変だし、文字だけだと目立たず、読んでもらえなさそうだ。
文字だけでもいけるんじゃないか? と一応考えてみた。でも、「TAKEOUT 8%」と書くだけではダメなのだ。イギリスでは「TAKEOUT」ではなく「TAKEAWAY」だし。やっぱり絵で言葉を補わなければ。
大昔、壁画を描いていた時代から、我々は最低限の言葉と絵だけで感覚的に意味を理解できるのだ。
軽減税率という新たな制度なので、今までにないピクトを作りたい。オリジナルを作り出さなければならない。そう思いながら3つ作った。まずはこちら。
完全なるオリジナル。オリジナルすぎて自分でもびっくりしている。新たなる価値観を生み出せた。世界に通用するピクトができた気がする。ちなみに、ちなみにだけど、あの非常口マークは日本以外でも採用されている。グローバルだ。
自分の才能が怖い。デザインの経験はほぼないけれど、オリジナリティーあふれるピクトができてしまった。このピクトをお店に貼れば、もう軽減税率で悩むことはなくなるだろう。明るい未来が見える。
デザインのプロに見てもらおう
ぼくが作ったピクトをぜひ、お店に貼ってくださいね! とまとめたいところだけど、念のため、このピクトは実際どうなのかプロに聞こうと思う。
「興和サイン」は、多くの看板を作り出している会社だ。手がけた「アイラブ歌舞伎町」の看板は、なんと「公益社団法人東京屋外広告協会会長賞」を受賞している。デザインのプロなのだ。
100点満点中、何点?
自分で作るとしたら?
なんか勘違いする、俺が
ということで、10月1日から始まる軽減税率のピクトを作った。ケチョンケチョンに言われることも覚悟したけれど、なかなかいいらしい。勘違いしちゃうな。今後は自分のことデザイナーって言おうかな。
全国のデザイナーさん、もっといいアイデアがあったらぜひ教えてください!
企画・編集:うないいちどう(ノオト)
撮影:栃久保誠
イラスト:マキゾウ