サツドラホールディングス株式会社は、北海道を中心にドラッグストアを展開する株式会社サッポロドラッグストアーなどを傘下におさめる企業です。
契約業務では現在、freeeサインが活用されていますが、導入前にはどのような課題があったのでしょうか。導入までの経緯、導入後の成果について、CEO室 総務チーム チームリーダーの藤井義隆さ ん、経営管理グループ 法務チームの杉山宏予さんに話を伺いました。
紙の契約書を1枚探すのに丸一日かかることも
――まずは、お二人のプロフィールを教えてください。
藤井義隆さん(以下、藤井): 私はもともと法務チームにいて、freeeサインの導入を担当しました。現在は、CEO室総務チームでチームリーダーを務め、株主総会や取締役会、監査等委員会などの事務局を担当しています。そのほか、規程管理など会社全体の基礎的なところを担当しています。
杉山宏予さん(以下、杉山): 私は経営管理グループ 法務チームで、契約書チェックをメインに、反社チェックや電子契約締結のサポートなどを行っています。電子契約書の送信や外部への連絡は、現場のメンバーが行っていますが、不明な点がある場合は法務チームが間に入っています。
――freeeサインを導入する前には、どんな課題がありましたか?
杉山: 契約書の押印申請を、全て紙ベースで行っていました。押印申請書類が社内で回覧されているときに、現時点でどこにあるのかわからない状 態になることが多々ありました。
藤井:
「明日、契約書が欲しい」と急な案件が法務に来たとしても、すぐには対応できないところに問題意識がありました。
また、押印申請に限らず、契約まわりの書類がどんどん増えていき、保管スペースが圧迫されていくのも課題でした。当時のオフィスは現在よりも狭い場所で、倉庫を借りてまで書類を保管している状況でした。
杉山: 過去の契約書が必要になったとき、倉庫で探すのも、ものすごく大変でした。保管の際はきちんと分類してはいるのですが、法務チームが創業当初からあったわけではなく、全ての書類が分類されているわけではないので、探すのに苦労しました。数えられてはいませんが、5,000件以上の契約書があると思います。
全体でそれだけの量があるので、1枚の書類を探すのに丸一日かかってしまうようなこともありました。書類を依頼されることが多いうえに、「この中から探すのか……」と感じながら、業務を行っていました。
藤井: 当社の法務チームは、2018年に創設されたばかりです。法務チーム創設以前は、部署ごとに契約書を保管していました。それらを法務チーム管理で集約させるのが大変で……。中身がバラバラで、整理しきれずにいました。「いつかはやらなければ」と思いながらも、取り掛かる余裕がありませんでしたね。
導入はスモールスタートで 一つの部署、一人の担当者と課題を洗い出すことから
――そうした課題があるなかで、freeeサインを 導入したきっかけは何でしたか?
藤井: やはりコロナ禍の影響がありました。コロナ禍になるまでは「明日、契約書が欲しい」と言われたときにも、無理をしてなんとか間に合わせていました。しかし、コロナ禍で働き方が変わってくると、その方法が通用しなくなりました。
そのほか、書類の保管スペースなどにも課題があったため、解決するには電子契約を導入しなければと思い、検討を始めました。
――どのように導入を進めましたか? 当時意識していたことも教えてください。
杉山: 当初は「電子契約って何?」という状況でした。そのため、法務チームで勉強して、世の中の方向性を知ることから始めました。
藤井: そのうえで経営陣に話をしたところ、理解は示してもらえたものの「システム導入を納得できるデータを持ってきてほしい」とのことでした。そのため、「書類を探す時間をどれだけ削減できるか」「郵送費をどのくらい下げられるか」などのデータを出し、承認されました。
杉山: 当時意識したのは「スモールスタート」でした。まず、一つの部署から導入を始めたのですが、その部署のなかでも一番柔軟に対応してくれそうな担当者から使ってもらいました。
一緒に導入を進めながら、「使いにくい」と感じた部分は多 くの場合、システムではなく契約自体の知識が足りないとの判断で、マニュアルの説明を共に作り上げていきましたね。同時に、社内で電子契約やfreeeサインの認知度を上げていき、徐々に浸透させていきました。
freeeサインの導入で効率化した時間を法務相談に割けるように
――freeeサインをどのように活用していますか?
杉山: 新規の取引が発生したときに、担当部署のメンバーが、雛形を使って基本契約書を作成し、freeeサインで取引先に送付します。修正点があったら、法務チームに連絡が届き、対応していきます。
当社の事業は店舗開発が多く、不動産関係の契約書は電子化がまだ難しいと感じています。現状、全体の4割程度が紙のままですが、業務委託や商品仕入れの契約、秘密保持契約書などでは電子化が進んでいて、業務効率化につながっています。
藤井: freeeサインは確実に浸透してきています。現在、77人がfreeeサインのアカウントを持っており、「電子契約のほうが楽だよね」「契約書全般が電子化できるよね」という声が社内で聞こえるようになりました。
杉山: 先日、外部の方に協力してもらいながら、紙の契約書を電子化してfreeeサインに格納したんです。
そのため、書類を探す手間が大幅に削減されました。倉庫にある書類全てから探し回っていたのが、検索するだけですぐヒットするので、ものすごく楽になりましたね。紙の契約書を新規で締結することもありますが、その際には必ずスキャンしてfreeeサインに格納することで、書類を探す手間を軽減しています。
藤井: 押印申請などの書類もワークフロー化されたことで、紙保管が減り、freeeサイン上ですべて完結できるのはとても楽になりましたね。
――freeeサインを導入したことによる変化は、ほかにありますか?
杉山: 業務時間を圧縮できた結果、各部署からの法務相談に時間が割けるようになりました。実際に、法務の認知度が上がり、相談の件数が増えています。社員全体の法務に対する意識が上がったと思います。
――最後に、freeeサインの導入を検討している企業の方へメッセージをお願いします。
藤井: freeeサインは、サポートが良いと思います。わからないことがあるときには、チャットをするとすぐ返事が来たり、電話で対応してもらえたりして、ありがたいですね。
杉山: 三者間契約で難しいケースがあったときなど、いつもお世話になっています。操作をしていて、マニュアルを見ただけで全てをわかる方は、なかなかいないと思うんですよね。ふとしたときに「あ、これ何だっけ?」と思ったときの対応がとても早くて、頼もしいですよ。
藤井: 電子契約は、社会全体としても浸透してきています。一歩踏み出したほうが便利になりますよ、と伝えたいですね。
躊躇されている担当者の方は、効果を可視化できるデータを集めるのがおすすめです。経営陣を説得する際に、数値を見せる効果は大きく、導入を進めやすくなると思います。
(執筆:遠藤光太 撮影:小牧寿里 編集:ノオト)