株式会社伊勢萬は三重県伊勢市に本店をおき、焼酎や清酒、リキュール、ウイスキー等を製造・販売しています。紙での管理の多さとそれに伴う業務の多さに課題感を抱き、業務効率化を目指してfreeeを導入しました。今回は、導入のきっかけや導入後の変化などを常務取締役の小林大介さま、経理担当の小林茉桜さまにお伺いしました。
――貴社の事業概要について教えてください。
小林大介さま(以下、小林大): 弊社では、焼酎や清酒、リキュールなどをメインにお酒づくりをしております。
最初に作った商品が「ステラ」という商品でした。「ステラ」とはラテン語で「星」という意味で、「ステラ」の他にも「光年」など弊社では天体にちなんだ商品も多いです。
創業当時はウイスキーを作りたいと思っていましたが、当時はなかなかウイスキーの免許が取りづらい状況でした。焼酎の製造免許は持っていたため「ウイスキーを作れないのであればウイスキーに負けない焼酎を作ろう」と考えて出来た商品が「ステラ」です。今では3年前にウイスキーの製造免許が取れたため、熟成焼酎づくりで磨いてきた技術を活かし、創業の時からの夢であったウィスキーも作っております。ウィスキー「神路」は世界的な品評会でも高評価をいただいています。
私は3年前にIXホールディングスからこちらに転籍をしてきました。会社全体を管理しており、バックオフィス業務もその一つになります。
小林茉桜さま(以下、小林茉): 私は実務を担当しており、主に経理周りの管理をしております。弊社の実務担当は全員で4名で回しています。
――freee導入前のバックオフィスにおける課題は何でしたか?
小林大: 転籍をしてきて一番最初に課題だと感じたのが「紙が非常に多い」という点でした。伝票の仕訳業務に関して、伝票を1枚ずつ印刷し、印鑑を押して承認をしていました。
小林茉: 業界 柄というより、会社自体が紙が好きな社員が多かったのだと思います。紙は目で見てチェック出来るため、紙の方が安心するという声が多く、全て紙ベースで管理をしていました。
小林大: 紙の多さは経理業務に限らず、例えば税金などの労務周りの振込は、ひと月で何度も銀行の窓口まで足を運んでいました。今の時代にわざわざ銀行まで足を運ばなければいけないのかという点は、当初疑問に思いました。
こうした状況を受け、私自身の考えや社長の考えとして「紙はやめていこう」という方針になり、3年ほど前からデジタル化に向けて動き始めました。
まずは直接の銀行振込を止め、少しずつオンライン決済に切り替えました。その後も少しずつ経理周りを便利にしていくこととなった折、グループ会社が活用していたfreeeを知りました。
親会社の方針としても会計ソフトを統一していく動きが出てきたため、クラウド化は避けられないとなり、freeeを導入することになりました。
freee導入で転記作業が格段に減少。銀行やカードとの連携で経理のペーパーレスに成功。
――導入時の苦労を教えてください。
小林茉: 以前使っていた会計システムとfreeeでは会計に対する考え方が違っていたため、freeeの考え方に慣れるまでには時間がかかりました。 ただし、使い方に困った時には、freeeの「チャットボット」というサポート機能をフル活用できたのは良かったです。慣れるまでは毎日チャットボットに聞き、一つずつ解決していくことが出来たためとても助かりました。
導入当初は疑問を持つことも多かったですが、慣れてくると複雑に考えすぎていたことに気がつきました。
慣れてしまえば、freeeはすごく楽です。freeeは同じ情報を何度も入力する必要がないため、転記作業が省けます。銀行振込がすごく楽になりましたし、銀行連携をしているためそこからデータを飛ばすこともできるので、仕訳業務もとにかく楽になりました。
――freeeのメリットを教えてください。
小林茉: 銀行やクレジットカードとfreee会計が連携しており、「自動で経理」機能を活用するとデータを全て自動で取り込んでくれるためすごく便利です。
例えばこれまではクレジットカードを使う際、毎回カードを直接取りに来ていただき利用者を管理する必要がありましたが、freeeに連携されるようになってからその手間もなくなりました。一般的なクレジットカードは締めが遅いので2ヶ月後に「何に使ったんだろう?」という混乱も生まれやすいですが、現在はすぐに明細が取り込まれるので管理業務が楽になりました。
税理士の方との連携も楽になりました。これまでデータをお渡しするためには、CSVでデータを落とし、紙で印刷をし、これを郵送でお送りする必要があったため非常に手間がかかりました。今では、いつでもリアルタイムの情報を見ていただける状況になり相談もしやすくなりました。
全体的に業務がとにかく楽になり、今ではほとんど紙を使わなくなりました。
監督者と実務担当者の二人三脚で社内のデジタル化を実現。
――freee導入後の社内の変化を教えてください。
小林大: 転記時の打ち間違えなど、手入力により発生するミスが格段に減りました。例えば振込では、今まではデータを見てネットバンキングに手打ちで入力していたため、打ち間違えも多く発生していました。今では自動で転記してくれるためミスはありません。
手入力で間違いが起きると、その間違いを探す手間も発生します。freee会計に変えてから、この手間がなくなり月末処理の時間がかなり減りました。freeeは電子帳簿保存法の対応もしているので、法対応もできて一石二鳥でした。
機械が得意なところは機械にやってもらった方が絶対いいと思います。今後は、お酒業界は酒税に対応する必要があるため、業界独自のバックオフィス業務が発生しており、販売管理周りがもっとスムーズできるよう環境を整えていきたいです。
――最後に、freeeのクラウドシステムを検討している企業様に対してアドバイスをお願いします。
小林大: 前提として、弊社は経理担当の小林が新しいことに前向きにチャレンジしていくタイプだったので非常に助かりました。ただおそらく、多くの会社では今までのやり方で業務に向き合いたい実務担当の方も多いと思います。こうした方々をうまく巻き込んでいくことが、デジタル化を進めていく上で鍵となっていきます。
もちろん、確実性という意味で今までの方法を好むことが悪いことではありません。「今までのやり方ではなく新しい方法にしましょう」と変更点のみを伝えてしまうと、これまでの仕事を否定していることになってしまいます。どこが課題となっており、どこを変更すると何が楽になるのか、変更する背景にある考え方をまずは伝えていくことが非常に重要です。
加えて、システムを切り替えるということはどうしても並行稼働をする必要が出てくるなど、大変な時期が出てきてしまいます。ここは包み隠さず事実を伝え「業務を効率化するためにも大変な時期を一緒に乗り越えよう」という声かけをしていく必要があると思います。
小林茉: やはり会計ソフトの変更は負担も大きいです。並行稼働などが発生するため、導入直後の業務は大変ですし、ミスもできません。私も初めはすごく苦労しました。そんな時、freeeのチャットサポートや電話サポートに非常に助けられました。慣れていくと業務がすごく楽になりますし、ここに至るまでのサポート体制もしっかりしているため、安心して取り組んでいただけたらと思います。