ライフスタイルブランド「HUMAN MADE」などのグローバル展開を推し進めているHUMAN MADE株式会社は、2016年に創業したスタートアップ企業です。
かつて店舗ごとに勤怠の方法が異なり、場所によっては紙のタイムカードを利用していたところも。バックオフィスで は勤怠管理の業務が煩雑で、データの集約に膨大な時間がかかっていました。将来的な事業拡張とそれに伴う従業員数増加を見越して、2019年からfreeeを導入し、人事労務の効率化・仕組み化、そして内部統制の強化を推進してきました。
導入時の課題
・タイムカードを見ながらExcelに手作業で入力していたケースもあり、勤怠のデータ集計だけで3、4日かかっていた。
導入の決め手
・他のシステムとは設計思想が異なり、業務が最も簡単になるような設計で作られていると感じた点。
導入後の効果
・手作業を大幅に減らしたことにより、効率化だけでなく、ミス防止・内部統制の強化にもつながった。
・事務担当者は日頃の作業から解放され、よ り付加価値の高い業務に従事できるようになった。また、その後もfreeeの機能拡張に合わせて、各種の業務プロセスをDX化したことにより、事務担当者だけでなく、ユーザーである従業員の負担も軽減された。
・「freee人事労務 雇用契約プラン」の導入により、雇用契約書・給与改定通知に関する業務時間を約60%削減できた。紙からクラウドに業務フローの基盤を移管することで、入社時の手続きにかかる時間と手間が軽減され、人事担当者・入社予定者双方にとって負担の少ない仕組みを構築できた。
店舗や事務所によってバックオフィスのシステムがバラバラだった
――貴社の事業内容について教えてください。

CFO 柳澤純一様
柳澤 純一様(以下、柳澤) 弊社では、「人間の閃きが生み出し、人間の手が創り出す輝きを、世界へ。」というミッションの元、世界中のストリートに息づく感性と過去へのリスペクトを融合 させながら、新たなカルチャーを生む起爆剤となるモノ・コトを世界へ発信しています。その一環として、ライフスタイルブランドの「HUMAN MADE」や、東京発のオリジナルスパイスを用いた無添加カレーを提供する「CURRY UP」をグローバルに展開しています。
「HUMAN MADE」の店舗はブランドを体感してもらう場所として日本を中心に展開し、様々な国のブランドファンが観光スポット的に訪問して下さっています。直近では韓国や香港にも店舗をオープンし、じわじわと海外展開も進めています。また、世界中のファンの方々へ商品をお届けするチャネルとして、EC事業は非常に重視しており、コロナ禍後も引き続き高い売上比率を維持しています。
マーケティングには主にSNSを活用しています。創業者でありクリエイティブディレクターのNIGO®に加え、アドバイザーとしてグローバルに活躍するクリエイター、ファレル・ウィリアムスやKAWS、クリエイティブパートナーにはVERDYを擁していることもあり、全世界に向けて「HUMAN MADE」ならではのユニークな情報を発信できることも強みです。
フランスにはLVMH、アメリカにはウォルト・ディズニーのように、それぞれの国の文化発信装置があります。日本における彼らのような企業を作っていくことが目標です。
――freee導入前は、バックオフィスにどんな課題がありましたか?
柳澤: 当時のメンバーは約50名で、うち約20名がアルバイトの従業員でした。社員数は年間30〜40%程度のペー スで増えていて、2024年現在は200名近くになっています。 グローバル化と内部統制の強化という両軸を考えた際に、バックオフィスでは高い専門性を持つプロフェッショナルの強化は急務で、引き続き採用を強化しています。
freee導入前は店舗や事務所によって、勤怠や給与計算に使用しているシステムがバラバラだったのが課題でした。それぞれが現場判断で無料のソフトや紙のタイムカードを使用するといった、個別最適・部分最適の状態で、全体最適は考えられていないような状況で……。
それぞれ異なるシステムで集めた勤怠情報を、担当者が手作業で集計して勤怠表に仕上げ、社外の社労士に依頼して給与計算をしてもらう仕組みになっていました。社労士にデータを投げたり、戻ってきたりといったやりとりも多かったです。
freeeの「設計思想」に惹かれて導入を決定。
――freee導入の決め手は何でしたか?
柳澤: 2016年の会社の設立時点では、一般的な中小企業用のオンプレミス型会計パッケージソフトを利用していました。会社の成長にともなって別のシステムに切り替える必要がある事はわかっていたので、2018年頃から次のフェーズに合う会計システムを探しはじめました。freeeに出会ったのはその頃です。
多くの会計システムは、複式簿記の考え方をシステム上で表現したものがほとんどでした。これは経理の専門家から見ると理解しやすい設計と言えます。
これに対して、freeeは業務がいかに楽にわかり やすくできるかを、一般社員も含めたユーザー目線から考えて設計されていると感じました。また、足りない機能などはAPI連携により外部サービスで補うといった事も前提に設計されており、クラウドERPを志向した拡張性の高いシステムだと感じました。ワークフロー、仕訳、帳票がすべてシステム上で紐づいている点も、高価な基幹システム等でしか実現できないことでしたので、非常に好印象です。
次に、勤怠・給与システムをどうするか検討したのですが、正直なところ単体ではfreee人事労務より機能的に優れたシステムも当時はありました。ですが、勤怠・給与計算がシームレスに連携している点や、会計との連携などを考慮すると総合的にはfreeeが上回っていると判断してfreee人事労務の導入を決定しました。
「freee人事労務 雇用契約プラン」については、担当営業の方にご紹介いただいたことがきっかけで検討を始め、freee人事労務同様、勤怠・給与計算や会計との連携が優れている点が決め手となり、導入を決定しました。
――freee人事労務を活用する中で、感じるメリットや効果はどのようなものがありますか?
大久保 敦子様(以下、大久保): 前職では、別の勤怠システムを利用していたのですが、freee人事労務の方がUIの部分など非常に使いやすいと感じています。
新機能リリースの早さも、非常に助かっているポイントです。直近では、勤怠部分の新機能リリースが頻繁に行われ、freee人事労務とfreee勤怠管理Plusの差分がどんどん縮まっていると感じています 。今年は、定額減税の対応もありましたが、freee人事労務ではワンクリックで計算が実行されるなど、法改正についても迅速にアップデートされている印象です。
freee導入後のシステムマップ ※インタビューをもとに作成
シンプルな設計で、従業員にも問題なく浸透
――freee人事労務を日々活用する中で、従業員様への浸透状況はどのように感じられていますか?
和田 彩花様(以下、和田): 弊社では、全従業員がスマホアプリを使って申請・打刻を行っています。以前は、打刻機を用いて打刻をしていたのですが、店舗数も増加していたので、スマホアプリがアップデートされ使い勝手が向上したタイミングで、スマホでの打刻・申請に切り替えました。導入初期は、打刻する従業員も慣れていないこともあり、打刻漏れなども時々ありましたが少しずつミスはなくなり今では問題なく打刻してくれています。
柳澤: 年末調整もfreeeで実施しているのですが、非常に優れていると感じています。前職では、重厚な基幹システムを利用していたのですが、年末調整は全て紙で行っていました。ですので、年末調整の電子化は年一回ということもあり、タイミングを逃すと電子化が難しいのではないか?とも考えていました。
freeeを使って実施する年末調整は、アンケー トに答えるような形式で従業員としても非常に回答がしやすいと感じています。管理者側の画面では、ダッシュボードの形式で進捗管理をすることができるのでこちらも非常に助かっていますね。
従業員は自分のスマホやパソコンから年末調整の情報を入力することができる
和田: 入社手続きに関しても、「freee人事労務 雇用契約プラン」を導入して雇用契約書類等の回収などを行っています。このオプションは、担当営業の方にご紹介いただいたことがきっかけで検討を始め、すでに導入済みのfreee人事労務や会計との連携のスムーズさから導入を決定しました。
導入により雇用契約書・給与改定通知に関する業務を60%ほど削減することができました。人事担当者の手間だけでなく、これから入社してくる方にとっても、極力手間をかけずスムーズに手続きしてもらえるようになったと思います。
大久保: 管理者側からみても、こんな機能があったら業務が効率化するのにな、と困っているタイミングで新機能がどんどんとリリースされていくので、期待を持って業務に向き合うことができています。新しい機能が追加されると、使い方に困ったり従 業員への浸透・説明に苦労することはよくあると思うのですが、操作方法も直感的かつ分かりやすいので、管理者側での機能導入ハードルも低いと感じています。
freeeは様々な観点で拡張性の高いシステム
――freee人事労務を利用し始めて、5年が経過したタイミングかと思いますが良い点と苦労した点について教えてください。
柳澤: freee人事労務を導入した当初は、弊社の従業員も50名ほどでした。それが今では、200名近くの規模の会社になりましたが、freee人事労務で日常業務を行えている点から、非常に拡張性の高いシステムであると感じています。
もちろん、従業員数が増えていく過程で細かい機能など「もう少し良くなれば良いな」と感じていた部分もありました。ですが、課題に感じていた部分のほとんどが、機能アップデートで改修されています。この開発スピードやペインをダイレクトに解消する設計は非常にありがたいです。
当初苦労した点は、全体最適の考え方をスタッフ層へ浸透させる必要があった点です。例えば、申請関係のワークフローについて、そのあたりを担当しているスタッフからはもっと使い勝手をよくして欲しいなどの声もありました。
確かにその点のみに着目するとそうなのですが、他方で、例えば経費清算と給与計算がシームレスに連動している点などは、給与計算関係を担当するスタッフから見ると非常に効率的であり、不満は出ません。
このように、全体としてみると効率化できて いるのですが、一部で不満が出るなどもあり、不満の声に基づき部分最適で判断すると選択を誤ると思います。ここは、自社の規模や今のフェイズ、今後の見通しなどを総合的に勘案して決めるといいと思います。成長を志向する当社にはfreee人事労務の拡張性はマッチしていると思っています。
グローバル展開を支えるバックオフィスの構築を目指す
――バックオフィスの今後の展望を教えてください。
柳澤: 過去5年で売上は数倍に増え、今後さらにグローバルに向け会社を大きく成長させていく計画なので、その成長を支えられるように、freeeのようなシステムを活用して、効果的かつ効率的なバックオフィスを構築していきたいですね。
人事労務領域では、会社を成長させるような優秀な人材を採用する必要があるので、働きやすい環境、仕組み、評価制度、教育研修制度などを整備していきたいです。今年の5月の社名変更に伴い、会社のミッションを新たに定めるとともに、「SENSIBILITY」、「HUMANITY」、「TENACITY」という、社員に大切にして欲しい3つの価値観も明確にしました。人事評価制度もこの価値観をベースに組織の成長に合わせてアップデートを続けています。これからは従業員の成長をバックアップできるような制度構築を強化し、グローバルな成長を支えていきたいです。
――今後、freeeを検討する企業様に対してアドバイスがあれば教えてください。
柳澤: 先ほども述べましたが、freeeは非常に「拡張性」の高いシステムであると感じています。拡張性は、機能的なアップデートとAPIを活用した他システムとの連携の2軸ありますがfreeeはどちらも高いレベルにあると感じています。これから、高いレベルで成長を目指す企業様には非常におすすめです。
導入の目的や、業務設計なども非常に重要になると感じています。純粋に目の前の機能を利用するだけでも効果は出ると思いますが、freeeに合わせて業務を設計したり、全体最適を思考することで得られる効果はさらに高まると考えています。そのため、導入をする際は自社にあった水準で導入を検討するなどの取り組み方が求められると思います。
掲載日 2025年1月9日
Company Profile
HUMAN MADE株式会社様
従業員数:155名(社員127名 アルバイト28名) 2024年1月末時点
URL:https://humanmade.co.jp/
事業内容
衣服・装飾品製造業/衣服・装飾品販売