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ゼロゼロ融資の返済にはコロナ借換保証も活用! 制度概要や注意点を解説

監修 内山 貴博 1級FP技能士・CFP

ゼロゼロ融資の返済にはコロナ借換保証も活用! 制度概要や注意点を解説

事業者への新たな支援策としてコロナ借換保証が2023年1月10日から始まりました。本記事ではゼロゼロ融資の内容やコロナ借換保証を解説します。

実質無利子・無担保で融資を受けられたゼロゼロ融資の返済開始が、ピークに入ると予想されているのは2023年7月以降です。

しかし、業績回復できていない事業者は、返済自体が難しい場合もあります。活用できる制度内容を知り、事業の継続・再編に役立てましょう。

目次

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ゼロゼロ融資とは?

「ゼロゼロ融資」とは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上が減少した個人事業主や小・中規模事業者に対して、実質無利子・無担保で融資する制度の総称です。

実際には利子を含めて返済する必要があるものの、要件を満たせば利子相当分の金額が最長3年間、都道府県から助成されます。

実質無利子で大きな金額を長い期間借りられ、元金返済の猶予期間もあるため、売上減から資金繰りが悪化していた事業者を救済する施策のひとつです。

感染が拡大した初期の頃は、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫など政府系金融機関がゼロゼロ融資を実施していました。しかし利用する事業者が増えたため、2020年5月からは民間金融機関でもゼロゼロ融資が実施され始めました。

なお、ゼロゼロ融資は、政府系金融機関の場合2022年9月末、民間金融機関の場合2021年3月末で新規の貸付を終了しています。

今後はゼロゼロ融資を受けた事業者の返済が課題であり、コロナ借換保証を創設するなどの対策が取られています。

ゼロゼロ融資の返済開始時期はいつ?

ゼロゼロ融資の返済開始時期は、すでに一次ピークが到来し、お金を借りた事業者の6割程度が返済中です。

借りたお金の返済が発生せず、利息のみ返済する据置期間も最大5年間あるため、借りた時期によって返済開始時期が異なります。

2023年以降、民間金融機関でのゼロゼロ融資も実質無利子の3年が経過する時期に突入します。利息の支払いや元金の返済を本格的に考えなければならない時期に入り、2023年7月~2024年7月にかけて次の返済開始ピークが訪れると予想されています。

返済が難しいならコロナ借換保証の利用も検討

コロナ借換保証は、債務返済への対応や事業を再構築して経営状態を回復させる支援策に創設された制度で、ゼロゼロ融資返済時の負担を軽減できます。

もし経営状態が回復できていなければ。今後の利息負担や元金返済が厳しくなります。新型コロナウイルスの影響が長期化し、業績回復の目処が立たない事業者には死活問題です。

こうした問題への対策や、前向きな資金投資をしたい事業者の需要に対応すべく、コロナ借換保証が創設されました。

ゼロゼロ融資で借りたお金の返済が難しい状況なら、コロナ借換保証を利用するのもひとつの手段です。

コロナ借換保証とは?

コロナ借換保証は、要件を満たすと借入時の信用保証料を引き下げられる借換保証制度です。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、個々の事業者の実態を踏まえた支援策で、2023年1月10日からスタートしています。

借換とは?

「借換」とは、金融機関から新規融資を受けて、既存の借入金を返済する行為を指します。

現状よりも低い金利にできたり、複数の金融機関からの借入金を一本化したりと、返済の負担軽減を目的に使われる場合が多い方法です。

ゼロゼロ融資での借入をコロナ借換保証を使って借り換えれば、通常の借換よりも信用保証料が少なく済み、返済時の負担を軽減できます。

コロナ借換保証の制度概要

コロナ借換保証制度は、民間金融機関のゼロゼロ融資の上限額6,000万円を上回る、1億円を保証限度額とする借換保証制度です。

その他の制度概要は以下の通りで、取扱期間は2024年3月31日までを予定しています。

保証限度額1億円
保証期間10年以内
据置期間5年以内
保証料率0.2%等(補助前は0.85%等)


また、利用には経営行動計画書を作成して金融機関からの伴走支援を受けるとともに、以下のいずれかに該当する必要があります。

利用要件内容
セーフティネット4号の認定最近1ヶ月間の実績と、その後2ヶ月の見込み、前年同期と比較して売上高20%以上減
セーフティネット5号の認定指定業種で、最近3ヶ月間の実績と前年同期を比較して売上高5%以上減
5%以上の売上高減少最近1ヶ月の実績と前年同月を比較
5%以上の売上高総利益率/営業利益率減少最近1ヶ月の実績と、前年同月または直近2年分の決算書を比較

コロナ借換保証の手続きの流れ

コロナ借換保証の手続きの流れは、以下の通りです。

コロナ借換保証の手続きの流れ

1. 経営行動計画書を作成して金融機関へ融資申込
2. 金融機関が認定申請や保証審査を依頼
3. 金融機関からの融資と継続的な伴走支援を実施
順番に詳細を解説します。

1,経営行動計画書を作成して金融機関へ融資申込

コロナ借換保証の融資申込には、要件に該当するだけでなく、金融機関との対話を通じて経営行動計画書の作成・提出が必須です。

経営行動計画書を作成する際は、自社事業の現状認識や財務分析を行い、必要としている資金用途、将来目標など具体的なアクションプランを立てます。赤字の場合は黒字化の目標も含めて、収支計画や返済計画も立てましょう。

中小企業庁が経営行動計画書のサンプルを公開しています。計画書をどのように書けばよいかわからない場合は、経営行動計画書サンプルを参考にしましょう。

2,金融機関が認定申請や保証審査を依頼

申し込みを受けた金融機関は、融資の与信審査や必要書類を準備します。

そして市区町村へセーフティネット保証の認定申請と、保証協会へ保証審査の依頼と経営行動計画書が提出されます。

審査の結果、融資可能と判断されれば必要な資金を調達可能です。

3,金融機関からの融資と継続的な伴走支援を実施

コロナ借換保証では融資の審査が下りて、資金調達できれば終わりではありません。融資を受けたなら、経営行動計画書にもとづく目標達成へ向けた取り組みが必要です。

業績回復や借入金の返済を進めるため、融資してくれた金融機関から5年間の伴走支援を受けつつ事業の黒字化や業績回復、事業の再構築に努めます。

コロナ借換保証の注意点

コロナ借換保証は通常の借換とは異なる注意点が存在します。注意点を理解したうえで制度を活用しましょう。

保証料は「0.2%等」

ゼロゼロ融資は実質無利子・無担保で融資が受けられていましたが、コロナ借換保証では信用保証料を負担して、信用保証協会を公的な保証人にしなければなりません。

中小企業庁の制度概要説明では、コロナ借換保証での保証料は0.2%等と記載され、一律0.2%ではありません。事業者が負担する信用保証料を国が補助し、0.2~1.15%に抑えられる仕組みです。

信用保証料は0.2%で済むとは限らないため、利用する際は確認が必要です。

実現可能な計画策定が重要

コロナ借換保証を利用する際は、経営行動計画書を金融機関と対話して作成します。

経営行動計画書では事業の現状を分析し、今後どのようにして借入金を返済するのか、業績を回復させるのか、赤字から黒字にしていくのかなどの計画を立てます。

しっかりと状況を分析し実現可能な計画を策定しなければ、事業の立て直しや返済が進みません。

制度利用のためにとりあえず作成するのではなく、事業の継続・発展への道筋となる計画を立てることが重要です。

まとめ

新型コロナウイルスの影響で売上減となった小規模事業者へ、実質無利子・無担保で融資するゼロゼロ融資の新規申込は終了しました。

今後、融資を受けた事業者の返済が本格化しますが、事業の立て直しが進んでいないと、返済が難しくなります。そのような現状を鑑みた新しい対策に、コロナ借換保証がスタートしています。

融資を受けて事業を存続させたものの業績回復が進んでおらず、今後の返済が厳しい事業者は、コロナ借換保証を活用する方法もひとつの選択肢です。

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よくある質問

ゼロゼロ融資とは?

新型コロナウイルスの影響で売上減になった個人事業主や小・中規模事業者に対して、実質無利子・無担保で融資する仕組みです。

ゼロゼロ融資を詳しく知りたい方は「ゼロゼロ融資とは?」をご覧下さい。

ゼロゼロ融資の返済開始時期はいつ?

ゼロゼロ融資の返済開始時期は借りた時期により変化し、次の返済開始ピークは2023年7月~2024年7月が予想されています。

ゼロゼロ融資の返済開始時期を詳しく知りたい方は「ゼロゼロ融資の返済開始時期はいつ?」をご覧下さい。

監修 内山貴博(うちやま たかひろ) 1級FP技能士・CFP

大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。

監修者 内山貴博