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若害とは?増加する「困った」若き人材に会社が取るべき対策について解説

監修 大柴良史 社会保険労務士・CFP

若害とは?増加する「困った」若き人材に会社が取るべき対策について解説

近年、周囲を困惑させたり反感を買ったりする若者の言動を「若害」と表現することが増えています。「若害」の概念や増えている要因を解説します。

また、会社が採用活動を行う際、コストや時間をかけたにも関わらず、「若害」を雇うのは避けたいでしょう。今回は、人事担当者が「若害」を採用しないためのポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

目次

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若害とは?

若害とは、「老害」の対義語としてSNSなどを中心に使われ始めた言葉です。

老害は、自分の価値観を若者に押し付け、周囲に迷惑をかけるシニア世代の人をいいます。一方、若害は、公共の場や職場などで、周囲の人を困惑させたり反感を買ったりする発言や振る舞いをする若い人を意味します。

職場での若害によるトラブル事例

実際に「若害」に該当する人が職場にいると、どのようなトラブルが起こるのでしょう。具体的なトラブル事例を挙げて紹介します。

ビジネスマナーを知らない・守らない

ビジネスの場では、言葉遣い・聞く態度・挨拶・電話応対・身だしなみなど、さまざまなマナーが求められます。

一般的に、高齢になるほどビジネスマナーを重視する人が多く、20代などの若い世代の人はビジネスマナーに対する意識が低い傾向にあります。とくに、電話応対を苦手とする若い人は少なくありません。

ビジネスマナーに厳しい世代の人には理解しがたい、若い世代の人の行動として次のような例があります。

若害のトラブル事例

  • 電話で折り返さずメールで対応する
  • 取引先へ挨拶に行くのに相応しくない服装で出社する
  • 自分から挨拶をしない

上記のようにビジネスマナーを守らない若い人の行動が、「若害」として扱われるケースが増えています。

注意されると無断欠勤する

仕事をするうえで、上司から、「やってはいけないこと」や「改善すべき点」といった正当な注意やアドバイスを受けることは、誰にでも経験があるでしょう。

しかし、若い人のなかには、他人に注意や指導されることに耐性がない人もいます。そのため、注意された翌日に無断で欠勤したり、欠勤の連絡を親に任せたりするケースがあります。

会社としては貴重な人材をはやく育てたいところですが、軽い注意で無断欠勤をされてしまうと、新人のマネジメントのハードルは高くなってしまいます。

退職代行を利用して辞める

近年では、新人が「入社して1日で退職する」また「退職の意思を伝えるのが気まずいので退職代行サービスを使う」など、前触れもなく会社を辞めていくケースが増えています。

会社は、コストや時間をかけて採用活動や社員研修などを行っています。コストも時間もかけて採用した人が、相談もなく突然退職するのは企業側にとって印象はよくありません。

「ハラスメント」と言われるので注意できない

正当な指導や注意に対して、「ハラスメントだ!」と過剰に反応することを「ハラスメント・ハラスメント(ハラハラ)」といいます。

ハラハラの例として、次のようなケースが挙げられます。

  • 上司から新入社員に対して、遅刻や無断欠勤を注意すると、新入社員から「注意が厳しいからパワハラだ」と訴えられた
  • 教育係の社員から新入社員に仕事の進捗を確認すると、「仕事が遅いと非難されてストレスだ」と訴えられた

近年では、若い世代によるハラスメント・ハラスメントが増えており、管理職などが新人に対して正当な指導や注意ができないケースがあります。

「若害」が増えている要因

「若害」といわれる若い人が増えている背景には、次の要因が挙げられます。

若害が増えている要因

  • 広がる世代間ギャップ
  • 深刻化する人材不足
  • 不確実性の高い時代

それぞれ詳しく見てみましょう。

広がる世代間ギャップ

現代のビジネスパーソンを4世代に大きく分類すると、以下の通りです。

ビジネスパーソンの分類

  • バブル世代(1987〜1991年度の時期に就職した人)
  • 就職氷河期世代(1970〜1980年代半ばごろに生まれた人)
  • ミレニアル世代(1981〜1996年ごろに生まれた人)
  • Z世代(1996〜2000年ごろに生まれた人)

ビジネスパーソンのうち、もっとも若い層は「Z世代」と呼ばれます。

Z世代の人は、子どもの頃からスマートフォンが普及しているため、SNSでの交流に馴染みがある点が特徴です。そのため、「電話応対」を苦手とする人が多い傾向にあります。

バブル世代や就職氷河期世代などの「電話やメールでの連絡が当たり前」である人にとって、SNSが主なコミュニケーションツールであるZ世代の人の価値観は、ギャップを感じる場面が多いでしょう。

【関連記事】
Z世代とは?特徴や語源、意味などを分かりやすく解説

深刻化する人材不足

少子高齢化に伴い、若い労働人材は減少傾向にあります。

人材不足に苦しむ会社も多く、就職に関しては「売り手市場」が続いています。一方、若い人にとっては、「勤めている会社を辞めても、次の就職先は見つけやすい」状態です。

そのため、会社側は、新人がすぐに辞めてしまわないように気を配らなければなりません。その結果、新入社員の言動に対して、強く注意できないケースが増えています。

不確実性の高い時代

現代は「VUCA(ブーカ)時代*」と言われ、終身雇用などの従来の制度が通用しない時代です。

新型コロナウイルス感染症や大規模な震災などを経験した若い世代の人は、ほかの世代と比べて将来に不安を感じている人が多い傾向にあります。若い世代の人の価値観や行動の特徴として以下の例が挙げられます。

  • 自分がキャリアアップする姿が想像しにくいと不安を感じ、早々に転職する
  • 社会情勢が大きく変わる際、会社が自分を守ってくれるとは限らないと考え、仕事に邁進するよりもプライベートを充実させることを重視する

時代背景の違いによって、就職や仕事に対する価値観も異なる場合があります。

【関連記事】
VUCA(ブーカ)とは?現代を生き抜く企業に必要な考え方やスキルをわかりやすく解説

人事担当者が「若害」を採用しないために気をつけるべきポイント

人事担当者が「若害」の採用を避けるための3つのポイントを解説します。

若害を避けるポイント

  • 若い世代の考え方・特徴を知る
  • 仕事内容や希望についてしっかり話をする
  • オンライン面接やSNSを活用する

どのような点に気をつければよいか、ぜひ参考にしてください。

若い世代の考え方・特徴を知る

ビジネスパーソンのなかでもっとも若いZ世代の主な特徴は次の通りです。

Z世代の特徴

  • 失敗を避ける保守的な面がある
  • 個人のスキルアップを重視する
  • ワークライフバランスを大切にする
  • コミュニケーションツールはSNSが主流である
  • 効率性を求める

若い世代が育った時代の背景を知ると、就職や仕事に対する考え方・姿勢にも一定の特徴があることがわかります。

理解できない言動を「若害」と決めつけず、まずは若い人の価値観を知りましょう。

それと同時に、組織人として明らかに不適切な若い世代の言すべてを容認する必要はありません。

入社時の基礎コンピテンシー研修や、人事部が陣頭式をとり、シニア世代とヤング世代の思考のギャップを解消していくような話し合い(覆面座談会等のイベント企画)も有効です。

仕事内容や希望についてしっかり話をする

若い世代の特有の価値観があると知ったうえで、採用する相手の考え方や希望をしっかり聞き出すことが大切です。

雇用のミスマッチを避けるためにも、実際の職場環境を事前に見てもらったり、先輩職員のリアルな話を聞いてもらったりしましょう。

また、「どんな人材になりたいのか」「どのようにスキルアップしたいのか」など、本人の具体的な希望を丁寧にヒアリングしてください。必ずしも希望に沿えるとは限りませんが、丁寧なコミュニケーションによって、漠然とした不安は軽減するでしょう。

オンライン面接やSNSを活用する

採用活動を行う際、オンライン面接やSNSを活用しましょう。

若い世代の特徴として、「SNSに馴染みがある人が多い」点が挙げられます。また、効率性を重視する世代でもあるので、移動やコストの負担が少ないオンライン面接の方が好まれます。

オンラインでの選考は、本選考のようなかしこまった雰囲気ではなく、人事担当者と求職者がフラットな立場で話し合える「カジュアル面談」がおすすめです。気軽に話せる場を設けることで、入社後のミスマッチを防ぐ効果が期待できます。

まとめ

「無断欠勤する」や「敬語が使えない」など、周囲を困惑させる「若害」といわれる若者が増えています。若害の増加の背景には、若い世代の考え方とのギャップなどが考えられます。

人材不足が深刻な現代において若い労働力は貴重ですが、コストや時間をかけて採用した人が「若害」だったというケースは避けたいでしょう。

「若害」を採用するのを防ぐには、まず若い世代の就職観を知り、面接時に本人の考え方や価値観をしっかり聞くことが大切です。

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よくある質問

若害とは?

公共の場や職場などにおいて、周囲の人を困惑させたり反感を買ったりする若者の言動をいいます。

若害について詳しく知りたい人は「若害とは?」をご覧ください。

若害を採用しないためのポイントは?

若い世代の特徴や考え方を知り、面接時にキャリア観などをしっかり聞くことが大切です。

採用時に注意すべきポイントを知りたい方は、「人事担当者が「若害」を採用しないために気をつけるべきポイント」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史