監修 北 光太郎 きた社労士事務所
マイナポータルは、マイナンバー制度に連動した政府運営のオンラインサービスです。従来は各自治体の窓口などで申請していた行政手続きが、マイナポータル上で便利に行えるようになりました。煩雑な作業の多い確定申告においても、マイナポータルが役立ちます。
本記事は、マイナポータルの利用方法がよく分からないという人へ、マイナポータルのメリット・デメリットとともに有効な使い方を解説します。
目次
- マイナポータルとは?
- マイナポータルでできること7選
- 公金受取口座の登録や変更
- 健康保険証としての利用
- 年金に関する情報の確認や手続き
- 確定申告の電子申請
- 児童手当や介護保険などの電子申請
- 行政が保有する個人情報の確認
- 行政機関等からの通知受け取り
- 引越しの手続き
- マイナポータルの利用方法
- マイナポータルを利用するメリットとは?
- マイナポータル連携で確定申告の手続きがスピーディーに!
- スマートフォン向けのアプリケーションで手軽に利用できる
- マイナポータルでは個人情報の利用履歴が見える
- マイナポータルにデメリットはある?
- 利用開始までに手間がかかる
- 個人情報漏えいのリスク
- パソコンでのログインには手間がかかる
- まとめ
- スモールビジネスを、世界の主役に。
- よくある質問
マイナポータルとは?
マイナポータルとは、マイナンバー制度に伴って開設された行政手続きが可能なオンライン窓口です。パソコンやスマートフォンがあれば、いつでもどこでも行政手続きや自己情報の確認ができます。
マイナポータルを利用するには、マイナンバーカードが必要です。申請手続きを行うとマイナンバーカードが発行されます。
手元にマイナンバーカードがある場合、マイナポータルの利用者登録を行えばすぐに使えます。
マイナンバーカードについての詳細は別記事「マイナンバーカードは作るべき?メリットとデメリットについて解説」をご確認ください。
マイナポータルでできること7選
マイナポータルでは行政が保有する自分自身の個人情報管理をはじめ、「ねんきんネット」や「e-Tax」などの外部サイトとの連携により、さまざまな行政手続きが行えます。
具体的にできることは、以下のとおりです。
マイナポータルでできること
- 公金受取口座の登録や変更
- 健康保険証としての利用
- 年金に関する情報の確認や手続き
- 確定申告の電子申請
- 児童手当や介護保険などの電子申請
- 行政機関等からの通知受け取り
- 引越しの手続き
公金受取口座の登録や変更
公金受取口座とは、国や地方自治体から給付金を受け取るための口座です。臨時の給付金だけでなく、年金や税金の還付金、児童手当なども受け取れます。
公金受取口座を登録すれば、緊急時の給付金などを申請する際に口座情報の記載や書類添付が不要となります。
行政の確認作業が簡素化され、緊急の給付金などの手続きがスムーズになる点もメリットです。
金融機関や口座番号の情報を登録しますが、国に預貯金残高などの情報は知らされません。
健康保険証としての利用
令和3年の10月にマイナンバーカードの健康保険証の利用が開始されました。
マイナポータルで健康保険証利用を申し込むと、下記のようなメリットがあります。
健康保険証利用のメリット
- 最新の健康保険証情報の確認
- 診療、薬剤、医療費、健診情報などの確認
- 確定申告時の医療費控除の申請が便利になる
- 窓口で限度額以上の支払いが不要になる
- 就職・転職・引っ越し時の切り替えが簡単になる
マイナポータルに自分の医療費や薬剤、健診に関する情報が連携されるため、いつでも確認できます。また、確定申告の医療費控除に使用できる「医療費通知情報」を取得できるので、申告時に書類への自動入力が可能です。
【関連記事】
マイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証利用)とは?制度の概要やメリット・デメリット、登録方法をわかりやすく解説
年金に関する情報の確認や手続き
マイナポータルでは、「ねんきんネット」との連携ができるため、自分の年金に関する情報の確認や手続きが行えます。
確認できる情報や、オンラインで可能な手続きは下記のとおりです。
オンラインで可能な手続き
- 年金記録の確認
- 年金見込額の試算
- 保険料の猶予および免除の申請手続き
- 学生納付特例の申請手続き
- 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の電子データの受け取り
年金記録の一覧を月別、制度別に確認でき、国民年金の加入月数や納付状況、追納できる月数と金額などを見直せます。
将来どのくらい年金をもらえるのか見込額も試算できるため、資産形成の計画を立てる際にも活用できます。
確定申告の電子申請
e-Taxとの連携により、マイナポータル上で所得税・個人消費税・贈与税等の申告書を作成し、確定申告を行うことができます。
また確定申告書の作成にあたり、必要な控除証明書等もデータで一括取得が可能になり、各控除欄に金額が自動入力されるため、添付書類や必要事項の入力にかかる作業負担が軽減されます。
マイナポータルで取得できる情報は以下のとおりです。
データの一括取得ができる情報・書類
- 給与所得の源泉徴収票
- 公的年金等の源泉徴収票
- 株式の特定口座
- 医療費・ふるさと納税
- 生命保険
- 地震保険
- 社会保険(国民年金保険料・国民年金基金掛金)
- iDeCo・小規模企業共済掛金
- 住宅ローン控除
児童手当や介護保険などの電子申請
マイナポータルの「ぴったりサービス」では、子育て・介護・被災者支援などの申請について、どんな手続きが必要か、どの書類を用意したらいいかなどを簡単に検索できます。
また、一部の申請は、窓口に行かなくてもオンラインで申請可能なワンストップサービスがあります。
子育ての手続きでは児童手当に関する申請や、保育施設などの利用申し込みがオンラインで行えます。
また、介護関連では、介護保険に関わる申請ができます。要介護認定の申請や、高額介護サービス費の支給申請などが対象です。
被災者支援では、罹災証明書の発行や国民健康保険料の減免申請が可能です。
行政が保有する個人情報の確認
マイナポータルにログインすると「わたしの情報」で、行政が管理している個人情報を確認できます。
確認可能な分野は下記のとおりです。
確認可能な分野
- 健康、医療
- 税、所得、口座情報
- 年金関係
- 子ども、子育て
- 世帯情報
- 福祉、介護
- 雇用保険、労災
所得税や個人住民税に関する情報や、児童手当の支給情報、国民年金の給付情報など、自分の個人情報が集約されており、手軽にチェックできます。
健康保険証の利用登録により、新たに医療費や検診情報なども確認可能になりました。
行政機関等からの通知受け取り
マイナポータルでは、行政機関から送信されるお知らせや各種証明書などを確認できます。
たとえば、市区町村からは「児童手当の現況届を提出してください」、e-Tax(国税庁)からは「確定申告が始まります」など、一人ひとりに合ったお知らせが届きます。
郵送による紙の通知は管理に手間がかかりますが、オンラインでお知らせが届く場合、いつでも確認したり見直したりできるので便利です。
引越しの手続き
マイナポータルを通じて、引越しによる転出届・来庁予定の連絡(転入予約)をオンラインで行うことができます。転入届(転居届)の提出はマイナポータルから行えないため、来庁が必要です。
なお、以下に該当する場合は、マイナポータルで申請できません。窓口で手続きする必要があります。
タイトル名
- マイナンバーカードの氏名・住所等を最新の情報に更新していない
- 引越す人のうち誰もマイナンバーカードを所有していない
- 自治体がマイナポータルからの申請に対応していない
- 海外に引越しする
- 住民票の住所は一緒だが世帯が異なる人を申請する
- マイナンバーカードを使用して申請する場合に、券面事項入力補助パスワードを覚えていない
マイナポータルの利用方法
マイナポータルは、パソコン(タブレット)もしくはスマートフォンで利用できます。ここではスマートフォンでの利用方法を説明します。
スマートフォンでの利用方法
- 「マイナポータルアプリ」をダウンロードする
- 画面に従い、暗証番号の入力およびマイナンバーカードの読み取りを行う
- ログインしたら「利用者登録へ進む」ボタンを押す
- ブラウザが立ち上がったら利用者情報を入力する
- 入力内容の確認などができたら登録完了
マイナポータルを利用するには、「利用者登録」の手続きを行います。利用者登録には、「マイナンバーカード」および「数字4桁の暗証番号(利用者証明用電子証明書パスワード)」が必要です。
マイナンバーカードを所有していない人は、先にマイナンバーカードの申請手続きをして取得しましょう。
詳しくはマイナポータルの「操作マニュアル」をご確認ください。
マイナポータルを利用するメリットとは?
マイナポータルを利用すると、日々の暮らしにどのようなメリットがあるのか、以下で3つ紹介します。
マイナポータル連携で確定申告の手続きがスピーディーに!
マイナポータルの魅力は、連携によって年末調整や確定申告の手続きがスムーズになる点です。
年末調整や確定申告の際は、各種保険料や医療費、ふるさと納税などの控除に関するデータが必要です。
控除額の入力は手作業でも可能ですが、時間がかかるうえに入力ミスが発生するリスクがあります。マイナポータルと連携すれば、これらのデータは自動的に反映され、自分自身で入力する必要がありません。
初めての利用時のみ事前設定が必要ですが、書類の保管や管理をする手間を省略でき、入力もスピーディーに行えるため毎年の手続きの負担が軽くなります。
スマートフォン向けのアプリケーションで手軽に利用できる
対応機種のスマートフォンがあれば、アプリを通じてマイナポータルへログイン可能です。
「もっとつながる」機能によって、所得税や個人住民税、年金や児童手当などの情報が紐づけられ、いつでも確認できます。また、公的機関や日本郵便などから大切なお知らせも届きます。
身近な持ち物であるスマートフォンで行政の通知や個人情報をチェックできるため、書類管理の手間を省略でき、申請漏れを減らせる可能性もあります。
マイナポータルでは個人情報の利用履歴が見える
個人情報は行政上の審査や手続きのため、さまざまな行政機関の間でやり取りされています。マイナポータルの「やりとり履歴」に取得の申し込みをすると、自分の情報がいつ、どのように利用されているか確認できます。
個人情報がどのように利用されているのか自分で確認できるため、個人情報のセキュリティに安心感が生まれます。
マイナポータルにデメリットはある?
ここでは、マイナポータルの不便な点や考えられるリスクを2つ紹介します。
利用開始までに手間がかかる
マイナポータルを利用するには「マイナンバーカード」の取得が必要です。マイナンバーカードを持っていない場合、まずはマイナンバーカードの申請をしなくてはなりません。
マイナンバーカードの申請、カードの受け取り、マイナポータルの利用登録まで完了するとマイナポータルの利用ができますが、申請から交付通知書が届くまでには1ヶ月ほどかかります。
便利なサービスが多いマイナポータルですが、使い始めるまで時間や手間がかかります。
個人情報漏えいのリスク
マイナポータルでは、多くの情報を確認できる点がメリットのひとつですが、一方で個人情報の漏えいリスクもあります。
政府は、マイナポータルにおいてさまざまなセキュリティ対策をしています。マイナンバーカードを用いて高い保証レベルでの本人確認を行い、通信を暗号化し、傍受による情報漏えいの防止や改ざんの検知を可能にしています。
このように個人情報漏えいのリスクへの対策が行われていますが、マイナポータルを利用する際は覗き見されないように注意するなど、自身の対応も必要です。
パソコンでのログインには手間がかかる
パソコンでマイナポータルにログインするには、「QRコードを使用する方法」と「カードリーダーを使用」する方法の2つがあります。
QRコードを使用してログインする場合は、パソコンに表示されたQRコードをスマートフォンで読み取り、マイナンバーカードの認証をしなければなりません。パソコンでログインする場合もスマートフォンが必要です。
また、カードリーダーを使用する場合は、PCに接続したカードリーダーでマイナンバーカードを読み取り、ログインします。QRコードを使用する場合に比べると簡単ですが、そもそもカードリーダーを持っていなければ対応できません。
まとめ
マイナポータルとは、マイナンバー制度に伴って開設された政府運営のオンライン窓口です。子育てや介護、被災者関連の申請がワンストップで可能になり、確定申告の書類を作成する際に自動入力ができるなど、便利な機能が充実しています。
マイナポータルを利用するにはマイナンバーカードが必要なため、利用登録するまでは多少の手間がかかりますが、行政手続きに関する負担が減るメリットは大きいといえます。
スモールビジネスを、世界の主役に。
ビジネスには立ち上げから運営までさまざまなアクションが伴います。
freeeは「統合型経営プラットフォーム」を開発・提供し、ビジネスをより円滑にするためのサポートを行います。
自動化によるプロセスの最適化や管理体制の改善がもたらすのは、業務効率の向上だけではありません。ルーティンワークや非効率な作業に手を取られることがなくなれば、よりクリエイティブな活動に時間を充てられます。
多様なアイデアが生まれ、だれもが自分らしく自然体で働ける環境をつくるために。既存の枠組みにとらわれない働き方を実現し、あらゆる業務の煩雑さからの解放を目指します。
経営に関するお悩みは、ぜひ一度freeeにご相談ください。
よくある質問
マイナポータルとは?
マイナポータルとは、マイナンバー制度に伴って開設された行政手続きが可能なオンライン窓口です。
マイナポータルを詳しく知りたい方は「マイナポータルとは?」をご覧ください。
マイナポータルはマイナンバーカードがなくても使える?
マイナポータルを利用するには、マイナンバーカードが必要です。持っていない場合は、先にマイナンバーカードの申請をしなくてはなりません。
手元にマイナンバーカードがある場合は、マイナポータルの利用者登録を行えばすぐに使えるようになります。
監修 北 光太郎
きた社労士事務所 代表
中小企業から上場企業まで様々な企業で労務に従事。計10年の労務経験を経て独立。独立後は労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人・個人問わず多くの記事執筆・監修をしながら、自身でも労務専門サイトを運営している。