監修 安田 亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士
地方税統一QRコードとは、納税者の利便性向上を目的に活用される、統一規格のQRコードです。うまく利用すれば、スマホ決済アプリから納税できます。
これにより納税者だけではなく、金融機関や地方自治体にとっても納付時の膨大な作業の軽減が期待できるでしょう。
本記事では、地方税統一QRコードの対象となる税金や利用可能な納税方法、利用するメリットを解説します。利用時の注意点も説明するので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 地方税統一QRコードとは?
- 地方税統一QRコードの仕組み
- 地方税統一QRコードで利用できる税金の種類
- 地方税統一QRコードで利用できる納税方法
- 地方税統一QRコードのメリット
- 24時間365日いつでもどこでも簡単に納税できる
- 幅広い納税方法から選択できる
- 地方税お支払サイトは登録なしでも利用できる
- 支払い状況を確認できる
- 地方税統一QRコードのデメリット・注意点
- 税金によっては地方税統一QRコードを利用できない場合がある
- 地方税統一QRコードを使えない場合がある
- 金融機関や時間帯によっては利用できない納付方法がある
- 領収証書が発行されない場合がある
- 経理を自動化し、業務を効率的に行う方法
- まとめ
- よくある質問
- 地方税統一QRコードとは?
- 地方税統一QRコードを利用するメリットは?
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地方税統一QRコードとは?
地方税統一QRコードとは、納税者の利便性を向上させるなどの目的で、地方税の納付書に付される統一規格のQRコードです。2023年4月から、地方税統一QRコード(eL-QR)を使った納税が始まりました。
地方税統一QRコードが付された納付書では、クレジットカードやインターネットバンキング、スマホ決済アプリなどで納税が可能です。
納税者がより簡単に納税できるだけでなく、自治体や金融機関の事務負担の軽減も期待されます。
対象となる納付書は、地方税統一QRコード(eL-QR)またはeL番号(納付書番号)がある納付書です。
地方税統一QRコードの仕組み
地方税統一QRコードは、納付書に付されたQRコードを読み取ることで納税できます。eLTAX(地方税共通納税システム)を通じて、地方公共団体に電子納付する仕組みです。
eLTAXとは、地方税の手続きをインターネット上で行うシステムです。
これまで、eLTAXによる電子納付は主に法人を対象としていました。しかし、2023年4月から固定資産税や自動車税(種別割)など、対象が拡大されました。そのため個人も、地方税統一QRコードによるeLTAXを通じた納税を利用しやすくなるでしょう。
地方税統一QRコードで利用できる税金の種類
地方税統一QRコードを利用した納税が利用できる主な税目は、以下の通りです。
地方税統一QRコードを利用した納税が利用できる主な税目
● 固定資産税● 都市計画税
● 自動車税(種別割)
● 軽自動車税(種別割)
地方税統一QRコードで利用できる納税方法
地方税統一QRコードを利用する際の納税方法は、以下の通りです。
地方税統一QRコードを利用する際の納税方法
● 地方税統一QRコードに対応している金融機関の窓口● 地方税お支払サイト
● スマホ決済アプリ
「地方税お支払サイト」を利用した、パソコンやスマートフォンによる納付も利用可能です。インターネット上で地方税を支払える地方税お支払サイトでは、複数の納税方法から選択して支払えます。
地方税お支払サイトにて選べる納税方法
● クレジットカード● インターネットバンキング
● 口座振替
● Pay-easy(ペイジー)番号発行
また、地方税統一QRコードの読取りに対応したスマホ決済アプリでの支払いも可能です。対応するスマホ決済アプリは、地方税お支払サイトにて確認できます。
地方税統一QRコードのメリット
地方税統一QRコードを利用して納税する主なメリットは、以下の通りです。
地方税統一QRコードのメリット
● 24時間365日いつでもどこでも簡単に納税できる● 幅広い納税方法から選択できる
● 地方税お支払サイトは登録なしでも利用できる
● 支払い状況を確認できる
24時間365日いつでもどこでも簡単に納税できる
地方税統一QRコードを利用すれば、自宅にいながらパソコンやスマートフォンで支払えます。そのため、金融機関の窓口に出向くことができない方も、納税しやすくなるでしょう。地方税お支払サイトでの納税は、原則24時間365日利用可能です。
手順も簡単で、納付書に記載のeL番号を入力する、またはQRコードを読み取るだけで納付できます。手間がかからないだけでなく、納付情報の入力ミスも防げます。またeL番号またはQRコードを連続で読み込めば、一括での納付も可能です。
幅広い納税方法から選択できる
地方税統一QRコードが付された納付書では、複数の納税方法が利用できます。
クレジットカード・インターネットバンキング・口座振替・スマホ決済アプリなど都合に応じて選択できるため、より手軽に納付できます。
地方税お支払サイトは登録なしでも利用できる
地方税お支払サイトには、利用者登録する方法と、利用者登録せず納付する方法があります。
利用者登録をすれば、すべての支払方法が利用でき、支払い時の入力も簡単になります。ただし、利用者登録をしていなくても、クレジットカード・インターネットバンキング・ペイジーでの納付が可能です。
なお、利用者登録をする場合は、電子証明書(※)の準備とeLTAXの利用届出手続きをする必要があります。
(※)電子証明書は従来の印鑑証明書などに相当する、なりすましやデータの改ざんを防ぐための電子署名です。
支払い状況を確認できる
地方税お支払サイトを利用して納付すれば、手元の納付書が納付済みかどうかをサイト上で確認できます。
納付履歴を確認できれば、税金の納付状況を管理しやすくなり納付漏れを防ぎやすくなります。なお、納付履歴は、利用者登録をせずに地方税お支払サイトを利用している場合も確認可能です。
地方税統一QRコードのデメリット・注意点
地方税統一QRコードのデメリット・利用する際の注意点は、以下のとおりです。
地方税統一QRコードのデメリット・注意点
● 税金によっては地方税統一QRコードを利用できない場合がある● 地方税統一QRコードを使えない場合がある
● 金融機関や時間帯によっては利用できない納付方法がある
● 領収証書が発行されない場合がある
税金によっては地方税統一QRコードを利用できない場合がある
2023年4月1日現在、固定資産税・都市計画税・自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)については、大多数の自治体が対応しています。さらに、地方税統一QRコードを利用できる対象税目は、今後拡大していく予定です。
ただし、住民税(特別徴収)(※)や申告税目では、現時点で地方税統一QRコードの活用が想定されていません(2023年4月時点)。
特別徴収の住民税は税額が変わりやすく、QRコードの印刷に適さないためです。また、法人県民税など納税者からの申告で税額が決まる税金(申告税目)も利用できません。
納付書にあらかじめQRコードの印刷ができないため、対象外とされています。
地方税統一QRコードが利用できる税目は自治体によっても異なるため、事前に確認しましょう。
(※)特別徴収は、給与からの天引きにより事業主が代わりに納税する制度です。
地方税統一QRコードを使えない場合がある
納付書に地方税統一QRコードが付されていても、納付期限から一定期間が経ち取扱期限が過ぎている場合は利用できません。
破損や汚損で読み取れない場合もQRコードでの納付はできないため、納付書の保管には注意しましょう。
金融機関や時間帯によっては利用できない納付方法がある
地方税統一QRコードは複数の納税方法に対応していますが、金融機関によって利用できる納税方法が異なります。金融機関ごとの納税方法は、地方税共同機構のホームページでご確認ください。
また、納税方法によって利用できる時間帯が異なります。クレジットカードは24時間利用できますが、インターネットバンキングや口座振替、ペイジー番号発行が利用できるのはeLTAXの利用可能時間(8:30~24:00(土日祝日・年末年始を除く))の間です。
ただし、eLTAXの利用が多く見込まれる休日は、「休日運用日」として納付できます。
特に混雑すると予想される最繁忙期は、メンテナンス時間を除き24時間利用可能です。休日運用日は、地方税共同機構のホームページで確認しましょう。
領収証書が発行されない場合がある
地方税統一QRコードを用いて地方税お支払サイトで納付した場合、領収証書が発行されません。
納税証明書が必要な場合は申請により交付されますが、自治体が納付を確認できるまでには一定の期間がかかります。
納税証明書がすぐに必要な場合は、地方税お支払サイトを利用せず、金融機関などの窓口で納付して領収証書を受け取るようにしてください。
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まとめ
地方税統一QRコードが付された納付書では、地方税お支払サイトを利用してクレジットカードやインターネットバンキング、スマホ決済アプリなどで納税できます。
地方税統一QRコードを利用すれば、時間や場所を問わずいつでも簡単に納税でき、納付履歴の確認も可能です。地方税統一QRコードを活用し、納税の負担を軽減しましょう。
よくある質問
地方税統一QRコードとは?
納税者の利便性向上などの目的で、地方税の納付書に付される統一規格のQRコードです。
地方税統一QRコードの概要や仕組みを詳しく知りたい方は「地方税統一QRコードとは?」をご覧ください。
地方税統一QRコードを利用するメリットは?
地方税統一QRコードを利用した納税には、以下のメリットがあります。
● 24時間365日いつでもどこでも簡単に納税できる
● 幅広い納税方法から選択できる
● 地方税お支払サイトは登録なしでも利用できる
● 支払い状況を確認できる
地方税統一QRコードのメリットを詳しく知りたい方は「地方税統一QRコードのメリット」をご覧ください。
監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。