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ESGとは? SDGsやCSRとの違いや投資の種類を詳しく解説!

公開日:2023/06/24

監修 竹国 弘城 1級FP技能士・CFP

ESGとは? SDGsやCSRとの違いや投資の種類を詳しく解説!

ESGとは、投資判断や企業経営で注目されている考え方のひとつです。本記事ではESGの意味やSDGs・CSRとの違い、ESG投資の種類を紹介します。

ESGが注目されるようになった背景や、留意点も解説します。投資判断や企業経営において、ほかの指標とうまく組み合わせながら活用してください。

目次

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ESGとは

ESGとは、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス(企業統治))の3つの英単語の頭文字を組み合わせた言葉です。

環境・社会・ガバナンス(企業統治)に考慮した投資活動や、企業経営をESGと呼びます。

近年、世界は環境問題や社会問題などに直面しています。そのような中、投資を行う際に企業の長期的成長の可能性を判断するには、ESGの3つの視点が必要だという考え方が広がりました。

そのため投資家が企業価値を判断する際には、企業の財務情報だけでなく、以下のような非財務情報も重要視される傾向があります。

非財務情報

● 環境への配慮・取り組み
● 社会への配慮・取り組み
● 企業統治の向上 など
また投資判断だけでなく、企業経営にもESGが意識されるようになりました。ESGを取り入れて経営を行うことで、投資家からの評価を高めたり、企業のイメージアップにつながったりするでしょう。

ESGと似た用語との違い

ESGと混同しがちな用語に、SDGsとCSRがあります。以下では、それぞれの用語の意味やESGとの違いを解説します。

ESGとSDGsの違い

ESGは投資や企業経営の判断で重視される要素であるのに対し、SDGsは持続可能な開発のための目標と、その達成に向けた行動指針です。

SDGsはSustainable Development Goalsの略であり、持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標を意味する用語です。

2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で提唱され、17のゴールと169のターゲットから構成されます。

SDGsポスター(17のアイコン 日本語版)
出典:国際連合広報センター「SDGsポスター(17のアイコン 日本語版)」

ESGとSDGsの定義は異なりますが、ESGに配慮した企業経営がSDGsの達成に貢献することもあり、両者は近い関係にあると言えます。

【関連記事】SDGsとは?国際的な取り組みの内容や意味をわかりやすく紹介

ESGとCSRの違い

ESGが投資や企業経営において考慮すべき概念であるのに対し、CSRは企業の社会的責任や倫理観を示す概念です。

CSRはCorporate Social Responsibilityの略で、企業が社会的存在として果たすべき責任を指します。

CSRで企業に求められる社会的責任は幅広く、以下のような責務を果たすことが求められます。

CSRで企業に求められる社会的責任

● 従業員や消費者、自然環境への配慮
● コンプライアンス(法令)遵守
● ステークホルダー(利害関係者)への説明責任
● 環境保護活動や社会貢献活動
なおESGとCSRは、根底にある考え方が異なります。

ESGは、環境や社会に配慮した経営が、企業の成長につながるという考え方です。一方でCSRは、環境保護活動や社会貢献活動によって得られた利益の一部を還元するという考え方です。

ESGが注目されるようになった背景

ESGが世界的に注目されるようになったのは、2006年に提唱された「国連責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)」がきっかけでした。

PRIでは、投資の意思決定にESG(環境・社会・企業統治)の視点を組み込むことで、さまざまな社会の目的達成を目指すと提唱されています。

またPRIは、以下の6つの原則から構成されています。

国連責任投資原則

● 投資分析と意思決定プロセスにESG課題を組み込みます
● 活動的な所有者となり、所有方針と所有習慣にESG問題を組み入れます
● 投資対象の企業に対してESG課題についての適切な開示を求めます
● 資産運用業界において本原則が受け入れられ実行に移されるように働きかけを行います
● 本原則を実行する際の効果を高めるために協働します
● 本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します
日本でPRIに署名している機関の数は2021年時点で3,800以上にのぼり、署名・賛同する機関数は増加傾向です。

出典:経済産業省「伊藤レポート3.0」

ESG投資とは

ESG投資とは、キャッシュフローや利益率などの財務情報だけでなく、ESG(環境・社会・企業統治)の3要素も考慮した投資手法です。

ESG投資
出典:年金積立金管理運用独立行政法人「ESG投資」

ESG投資に関連するファンドには、以下のようなファンドがあります。

ESG投資に関連するファンドの一例

● NEXT FUNDS SolactiveジャパンESGコア指数 連動型上場投信(愛称:NF・日本株ESGコアETF)
● モルガン・スタンレー グローバル・サステイン戦略ファンド
● eMAXISジャパンESGセレクト・リーダーズ インデックス
出典:野村アセットマネジメント「NEXT FUNDS SolactiveジャパンESGコア指数 連動型上場投信」 出典:野村アセットマネジメント「モルガン・スタンレー グローバル・サステイン戦略ファンド」 出典:maxis「eMAXISジャパンESGセレクト・リーダーズ インデックス」

なおESG投資は、GSIA(世界持続可能投資連合、Global Sustainable Investment Alliance)によって7つに分類されています。

以下では、7種類あるESG投資についてそれぞれ紹介します。

1.ネガティブ・スクリーニング

ネガティブ・スクリーニングとは、ESGの観点から望ましくない、ネガティブな事業で収益をあげる企業を投資先から除く投資手法です。

ネガティブ・スクリーニングで除外される業種は、以下のような反社会的・非倫理的なものに関連する業種です。

ネガティブ・スクリーニングで除外される業種

● 武器
● ギャンブル
● たばこ
● アルコール
● ポルノ など
環境問題への意識の高まりから、温室効果ガスを多く排出する業種を除外対象とするケースも見られます。

2.ポジティブ・スクリーニング

ポジティブ・スクリーニングとは、ESGの観点から望ましい、ポジティブな事業で収益をあげる企業を投資先とする投資手法です。

ESGを考慮した経営をしている企業は、ほかの企業に比べて評価が高く、企業として持続可能性があると考えて銘柄を選定します。

ポジティブ・スクリーニングは、ネガティブ・スクリーニングの逆の考え方に基づく投資手法です。環境保護や人権保護などに積極的に取り組んでいる企業に投資します。

3.国際的規範に基づくスクリーニング

国際的規範に基づくスクリーニングとは、国際的に認められている規範に沿って銘柄を選定する投資手法です。

国際的な規範として有用な枠組みは、以下のようなものがあります。

国際的な規範

● 国連条約
● 安保理制裁
● 国連グローバルコンパクト
● 国連人権宣言
● OECDガイドライン など
国際的規範に基づくスクリーニングでは、ESG分野に関連する項目で最低基準をクリアしていない企業を投資先から除外します。

たとえば人権問題や環境問題、汚職などの問題に関与した不祥事企業を、投資対象から除外します。

4.ESGインテグレーション

ESGインテグレーションとは、財務情報とESGに関する非財務情報の両方を使って、銘柄を選定する投資手法です。

インテグレーションとは、統一・統合を意味し、財務情報と非財務情報を組み入れ、総合的に企業価値や投資適格性を判断します。

5.サステナブル・テーマ投資

サステナブル・テーマ投資とは、サステナビリティ、つまり持続可能性に着目して投資先を選ぶ投資手法です。

サステナブル・テーマ投資では、持続可能な社会の構築に資するテーマや企業に投資します。たとえば、再生可能エネルギーや持続可能な農業・男女同権・多様性など、サステナビリティに貢献し得るテーマや企業です。

6.インパクト・コミュニティ投資

インパクト・コミュニティ投資では、社会に貢献する技術やサービスを提供する企業を投資対象にします。そのうえで、投資収益に加えて社会や環境に、測定可能なポジティブ・インパクトを与えることを目的とする投資手法です。

リスク・リターン・インパクトの3要素をもとに投資判断を行います。

7.企業エンゲージメント

企業エンゲージメントとは、ESGに関して株主が企業に対して積極的に働きかける投資手法です。

エンゲージメントは、契約や約束、関係構築といった意味の用語で、ESG分野では株主と企業経営者の対話を意味します。

この手法では、株主が議決権を行使して意見することで、企業にESGへの取り組みを働きかけます。

ESGに関する留意点

ESGは比較的新しい考え方であり、現状では明確な定義や基準があるとは言い難い概念です。

そのためESGを投資や企業経営に取り入れる際、目標設定や取り組みの評価がしにくいといった問題が生じる場合があります。

またESGの取り組みが社会や環境に影響を与えるには時間がかかり、すぐに効果が表れるとは限りません。

投資判断や経営判断等にESGを取り入れる際は、短期的な成果だけで判断せず、中長期的な視点で取り組みを継続することが大切です。

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まとめ

ESGとは、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス(企業統治))の3つの英単語の頭文字を組み合わせた言葉です。

企業の長期的・持続的な成長には、環境や社会への配慮・取り組み、自己管理体制の整備などが重要だという考え方を示すものです。

2006年に提唱された国連責任投資原則をきっかけに知られるようになり、近年は投資判断や経営判断で重視される傾向があります。

ESG投資とは、財務情報だけでなく非財務情報であるESG(環境・社会・企業統治)の3要素を考慮した投資手法です。投資対象に適した企業であるかを判断する基準としてESGが用いられます。

ESGについて正しく理解し、投資や企業経営に活かしていきましょう。

よくある質問

ESGとは?

ESGとはEnvironment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス(企業統治))の3つの英単語の頭文字を組み合わせた言葉です。

企業の長期的・持続的な成長のためには、環境や社会への配慮・取り組み、企業統治の向上が重要だという考え方を示す用語です。

ESGについて詳しく知りたい方は「ESGとは」をご覧ください。

ESGとSDGsの違いは?

ESGは投資判断や経営判断において環境や社会、企業統治を考慮すべきという考え方です。

一方でSDGs(持続可能な開発目標)は、持続可能な開発のため目標や、その達成に向けた行動指針をいいます。

両者の違いについて詳しく知りたい方は「ESGと似た用語との違い」をご覧ください。

監修 竹国弘城(たけくに ひろき) 1級FP技能士・CFP

RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうための活動を行う。

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