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eLTAXとは?e-Taxの違いと利用手順・注意点をわかりやすく解説

監修 安田 亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

eLTAXとは?e-Taxの違いと利用手順・注意点をわかりやすく解説

eLTAXとは、地方税の申告や申請、納税をインターネット上で行えるシステムです。地方税の申告から納税までの手続きをオンラインで完了できます。

そのため、各地方公共団体に出向いて手続きをする必要がありません。複数の地方公共団体への手続きを電子窓口に一本化でき、事務負担が大きく軽減されます。

本記事では、eLTAXの概要やe-Taxとの違い、利用手順を解説します。eLTAX利用時の注意点もあわせて説明するので、参考にしてください。

目次

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eLTAXとは

eLTAX(地方税ポータルシステム)は、地方税の申告や申請、納税をインターネット上で行えるシステムです。electronic(電子)・Local(地方)の頭文字にTAX(税金)を合わせた造語で、読み方は「エルタックス」です。

eLTAXは、地方公共団体が共同で運営する「地方税共同機構」が運用しており、全国すべての地方公共団体が導入しています。

自宅やお勤め先からひとつの電子窓口を通して複数の地方公共団体に対して手続きできます。そのため、納税の際に各地方公共団体に出向く必要はありません。

eLTAXの概要
出典:eLTAX地方税ポータルシステム「eLTAXの概要」

国や地方公共団体がeLTAXの利用促進を図っているのは、納税者の利便性向上や税金に関する事務の効率化を図るためです。新型コロナウイルス感染拡大防止、窓口混雑緩和などの観点からも、電子化の重要性が高まっています。

eLTAXの活用で申告~納税までをオンライン化できれば、大幅な税務事務負担の軽減が期待されます。

e-Taxとの違い

税金の電子申告には、「eLTAX」と「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」があります。eLTAXは地方税、e-Taxは国税の申告に利用できるシステムです。以下のように、対応している税目が異なります。

電子申告のシステム概要対応している税目
e-Tax国税の電子申告に利用できる ● 所得税
● 法人税
● 消費税
● 酒税
● 印紙税
eLTAX地方税の電子申告に利用できる ● 個人住民税
● 固定資産税(償却資産)
● 法人市町村民税
● 法人道府県民税
● 事業所税
● 法人事業税
● 地方法人特別税など
(地方公共団体により異なる)


e-Taxを利用し電子申告で納税するには、いくつかの手順が必要です。詳しくは「e-Tax(電子申告)で確定申告をするには?やり方や必要書類、提出方法について解説」をご覧ください。

eLTAXでできること

eLTAXでできるのは、大きく分けると以下3つの手続きです。

eLTAXでできる手続き

● 電子申告
● 電子申請・届出
● 共通納税
対象の税目と利用可能な手続きは、以下を参考にしてください。

税目電子申告電子申請・届出共通納税
法人都道府県民税
法人市町村民税
法人事業税
特別法人事業税
● 予定申告
● 中間申告
● 確定申告
● 修正申告
● 清算確定申告など
● 法人設立・設置届
● 異動届
● 法人税に関わる確定申告書または連結確定申告書の提出期限の延長の処分等の届出
● 申告書の提出期限の延長の承認申請
● 電子申告に係る納付
● 見込納付及びみなし納付
● 更生・決定に係る納付
● 延滞金・加算金の納付
固定資産税(償却資産) ● 全資産申告
● 増加資産/減少資産申告
● 修正申告など
個人住民税 ● 給与支払報告
● 給与支払報告・特別徴収に関わる給与所得者異動届出
● 普通徴収から特別徴収への切替申請
● 退職所得に関わる納入申告及び特別徴収票
● 公的年金等支払報告など
特別徴収義務者の所在地・名称変更届出書 ● 特別徴収に係る本税の納付
● 特別徴収に係る延滞金、加算金の納付
事業所税 ● 資産割、従業者割の納付申告
● 免税点以下の申告
● 事業所用家屋貸付等申告など
事業所等新設・廃止申告 ● 電子申告に係る納付
● 更正・決定に係る納付
● 延滞金、加算金の納付
都道府県民税(利子割・配当割・株式等譲渡所得割) ● 通常申告(当初申告)
● 追加申告
● 電子申告に係る納入
● 更正・決定に係る納付
● 延滞金、加算金の納付
出典:eLTAX 地方税ポータルシステム「eLTAXで利用可能な手続き」

共通納税は、自宅や会社から地方税の納税手続きを電子的に行う方法です。2019年から地方税共通納税システムがスタートし、複数の公共団体への地方税をまとめて電子納付できるようになりました。

従来は、法人事業税や法人住民税などの一部の税目のみが共通納税に対応していましたが、共通納税の対象税目は順次拡大されています。

2023年4月からは固定資産税・都市計画税・自動車税種別割・軽自動車税種別割などもeLTAXで納付可能になりました。そのため、今後は法人だけでなく個人の利用も増えると予想されています。

また2024年度の税制改正大綱にて、納税者からの求めに応じ、固定資産税や自動車税種別割等の納税通知書等をeLTAXおよびマイナポータルを活用し、電子的に送信する仕組みを導入する取り組みが進められると示されました。

現在、固定資産税や自動車税種別割等の納税通知書は書面で送付されています。e LTAXによってデジタル化されることで、地方自治体の事務負担が軽減され、納税者にとっては利便性が高まると期待されます。

なお、実際に利用できる税目は自治体ごとに異なるため、詳細は自治体ごとのホームページなどでご確認ください。

eLTAXを利用する手順

eLTAXを利用する手順は以下の通りです。

eLTAXを利用する手順

1. 電子証明書を準備する
2. 利用者IDを取得する
3. 手続き完了通知メールを確認する
4. eLTAX対応ソフトウェアを取得する
5. 電子申告や申請・届出を行う
なお、eLTAXのサービスは無料で利用できますが、これらの準備には費用がかかる場合があります。

1. 電子証明書を準備する

電子証明書とは、特定の発行機関や認証局が発行する電子的な身分証明です。

eLTAXでは、申告データを送信する際のなりすましやデータの改ざんを防止するため、電子証明書による電子署名が必要です。

eLTAXのホームページに記載されている利用可能な電子証明書のなかから、いずれかを入手しましょう。

たとえば、法務省が運営する「商業登記認証局」や、住民票のある市区町村で発行される「公的個人認証サービス」などがあります。

「商業登記認証局」が発行する電子証明書を利用する際のおおまかな流れは、以下の通りです。証明期間に応じた発行手数料がかかるため注意してください。

商業登記認証局が発行する電子証明書を利用する流れ

1. 商業登記電子証明書に対応したソフトウェアを購入
2. 公開鍵・秘密鍵を作成
3. 電子証明書の発行申請
4. 電子証明書の交付
また、電子証明書の準備とあわせて、電子署名するためのプラグインをパソコンにインストールする必要があります。手順はeLTAXのホームページでご確認ください。

なお、税理士に申告書の作成や送信を依頼している納税者は、電子証明書を準備する必要がありません。

2. 利用者IDを取得する

次に、eLTAXのサイトにある「PCdesk(Web版)」から利用届出(新規)を行います。画面の案内に従い、法人の名称・所在地や個人の氏名・住所などの利用者に関する情報を入力しましょう。

利用届出を提出すると、送信後の画面でeLTAXにログインする際に必要となる、利用者IDとパスワードが発行されます。忘れないように管理してください。

利用届出を提出するのは、主たる提出先となる地方公共団体ひとつのみです。以前に利用者IDを取得済みであれば、新たに取得する必要はありません。

なお、利用者登録をしなくても、以下のような電子申請・届出は行えます。

利用者登録の必要ない電子申請・届出

● 申請・届出書を作成し、電子署名を付与して送信
● 申請・届出書の受付状況の照会
一方、作成途中の申請・届出書の保存や申請・届出書の一括作成、納税手続きなどの機能は、利用者IDでログインしないと利用できません(※)。

※共通納税の対象税目拡大にともない新設された「地方税お支払サイト」で固定資産税や自動車税(種別割)を支払う場合は、利用者IDを取得しなくても納税できます。

3. 手続き完了通知メールを確認する

利用届出を提出すると、提出先の地方公共団体で確認が行われ、手続きが完了すれば「手続き完了通知」のメールが届きます。受信制限をしている方は、メールを受信できるようあらかじめ設定しておきましょう。

利用者IDは、利用届出を行った時点で有効になります。そのため、地方公共団体からの手続き完了通知メールが届く前でもeLTAXの利用が可能です。

なお、手続き完了通知メールには利用者IDが記載されません。利用者IDは、利用届出提出後の画面で表示される「送信結果一覧」で確認しましょう。

4. eLTAX対応ソフトウェアを取得する

eLTAXでの電子申告・納税を行うには、eLTAXに対応したソフトウェアの取得が必要です。

eLTAX 地方税ポータルシステムのホームページ上で、eLTAX対応の無料ソフトウェア「PCdesk(ピーシーデスク)」が取得できます。

ホームページに記載されている手順にしたがってインストールしましょう。DL版、Web版、SP版(メッセージ照会のみ)の3種類が用意されていますが、申告に関する手続きができるのはDL版に限られます。

また、eLTAXに対応している市販の税務・会計ソフトウェアの使用も可能です。「クラウド申告freee」ならeLTAXにも対応しています。

5. 電子申告や申請・届出を行う

以上で手続きは完了です。eLTAXにログインし、電子申告や納税、申請・届出を利用しましょう。

仮パスワードでログインしたあとは、本パスワードへの変更が必要です。仮パスワードは、有効期限を過ぎると失効されるのでご注意ください。

eLTAXを利用する際の注意点

以下では、eLTAXを利用する前に知っておきたい注意点を解説します。

eLTAXを利用する際の注意点

● 地方公共団体によって利用可能な手続きが異なる
● 利用できる時間が決まっている

地方公共団体によって利用可能な手続きが異なる

eLTAXで提供しているサービスは、地方公共団体によって異なります。地方公共団体によっては対応していない税目もあるため、eLTAXホームページに記載されている「地方公共団体ごとのサービス状況」を確認しましょう。

利用できる時間が決まっている

eLTAXの利用可能時間は、8:30~24:00(土日祝日・年末年始を除く)の間です。土日祝日と年末年始は、原則利用できないため注意してください。

ただし、eLTAXの利用が多いと予想される時期は、「休日運用日」としてサービスを提供しており電子申告などが行えます。休日運用日のスケジュールはeLTAXのホームページにて確認が可能です。

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まとめ

eLTAXとは、地方税の手続きをインターネット上で行えるシステムです。すべての地方公共団体が導入しており、複数の地方公共団体への手続きをインターネット上でまとめて行えます。

国税の申告に利用できるe-Taxに対し、eLTAXは法人市町村民税や法人道府県民税、事業所税、個人住民税、固定資産税(償却資産)など地方税の税目が対象です。eLTAXを利用し、税務にかかる事務負担を軽減しましょう。

よくある質問

eLTAXとは

地方税の申告や申請、納税をインターネット上で行うシステムです。申告から納税までをオンラインで完結できれば、法人の税務事務負担の大幅な軽減が期待されます。

eLTAXの概要やe-Taxとの違いを詳しく知りたい方は「eLTAXとは」をご覧ください。

eLTAXを利用する際の注意点は?

eLTAXを利用する際の注意点は以下の2つです。

● 地方公共団体によって利用可能な手続きが異なる
● 利用できる時間が決まっている

eLTAX利用時の注意点を詳しく知りたい方は「eLTAXを利用する際の注意点」をご覧ください。

監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮