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アンコンシャス・バイアスとは?具体例や改善方法をわかりやすく解説

監修 大柴良史 社会保険労務士・CFP

アンコンシャス・バイアスとは?具体例や改善方法をわかりやすく解説

アンコンシャス・バイアスとは、無意識にこうだと思い込んでしまうことです。日常や職場にあふれており、誰でも持っているものです。

さまざまな背景をもつ人達を尊重できる職場を作るには、自分がもっているアンコンシャス・バイアスを把握する必要があります。

本記事では、アンコンシャス・バイアスの定義具体例を解説します。あわせて、改善方法を理解し、誰かを無意識のうちに不快にしてしまわないよう意識しましょう。

目次

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アンコンシャス・バイアスの意味とは

アンコンシャス・バイアスは、誰もが潜在的にもっている思い込みのことです。男女共同参画や多様性を認める社会を実現する過程で、注目されるようになりました。

アンコンシャス・バイアスをもたない人はおらず、それ自体が悪いわけではありません。しかし、思い込みに気づかず、無意識に偏見をもってしまい相手にとって悪影響を与える可能性があります。

より公正かつ包括的な社会を実現するうえで、バイアスの自己認識やその影響を減らす方法が注目されています。

アンコンシャス・バイアスの具体例

アンコンシャス・バイアスは、日常のさまざまなシーンで起きています。以下では、よくあるバイアスを、具体例を示しながら説明します。

アンコンシャス・バイアスの具体例

● ステレオタイプ・ジェンダーバイアス
● 正常性バイアス
● 集団同調性バイアス
● 権威バイアス
● ハロー効果
● アインシュテルング効果
● 慈悲的差別

ステレオタイプ・ジェンダーバイアス

ステレオタイプとは、属性に対する先入観や固定概念をもつことです。代表的なものは、男性だから・女性だからと区別する、ジェンダーバイアスがあげられます。

ジェンダーバイアスの具体例は以下の通りです。

ジェンダーバイアスの具体例

● 事務の仕事は女性のほうが向いている
● 単身赴任中と言われると男性を想像する
● 育児休業は女性が取得する
● セクハラの被害者と言われると女性を想像する
このような、男性や女性に対する固定観念や役割分担、性別に基づく能力や行動の決めつけが含まれます。

また、ステレオタイプの具体例は以下の通りです。

ステレオタイプの具体例

● 日本人は几帳面である
● 最近の若者は根性がない
● 黒人に犯罪者が多い
年齢・職業・国籍・人種による先入観は、ステレオタイプにあたります。

正常性バイアス

正常性バイアスとは、異常な状況におかれても都合の悪い情報を無視して、日常のことのように処理してしまうことです。危機的な状況であったり、警告が出ていたりしていても、つい自分は問題ないはずだと考えてしまいます。

正常性バイアスの具体例は以下の通りです。

正常性バイアスの具体例

● 業界は不調だがうちの会社に限って倒産することはない
● 上司が怒鳴っているのは当たり前だから、これはハラスメントではない
● 部下の仕事が遅いのは部下のせいであり、自分は悪くない
● 火災報知器が鳴っているが、きっと点検に違いない

集団同調性バイアス

集団に所属すると、判断に迷ったときは周りにあわせたほうがよいと思ってしまうのが集団同調性バイアスです。

自身・周囲の人々・事柄を、自分自身の基準や一般的な期待値にあわせようとする傾向があります。

集団同調性バイアスの例は以下の通りです。

集団同調性バイアスの具体例

● 慢性的な残業が続いて疲れているが、みんな残っているから帰らず仕事をするほうがいい
● 災害が起きたらしいが、みんな逃げていないから大丈夫だ
● 上司の行動はパワハラに見えるが、みんな意見を言わないから自分も黙っておこう
正常性バイアスと集団同調性バイアスは、緊急時の判断(災害時の逃げ遅れの判断)を誤る原因になります。

権威バイアス

地位や肩書によって評価を変えてしまうのが、権威バイアスです。具体的な行動内容や発言ではなく、肩書を聞いて良さそうだと思い込みます。

権威バイアスの例は以下の通りです。

権威バイアスの具体例

● 社長が言うなら間違いない
● 部長の言うことに通りあえず従ったほうが、係長の案より売上が上がるに違いない
● 上A社は業界1位だから商品の質がいいはずだ

ハロー効果

ハロー効果は、ひとつの特徴に印象が引きずられ、ほかの評価が歪んでしまうことです。たとえば、好意を抱いた人や優れた面をもつ人には、その人に関するすべてのことが好意的に見えてしまうなどがこれにあたります。

ハロー効果の例は以下の通りです。

ハロー効果の具体例

● 学歴がいいAさんは仕事ができるはずだ
● 英語がペラペラのBさんは営業でも活躍できるはずだ
ハロー効果はネガティブに働くこともあります。

ネガティブなハロー効果の具体例

● くたびれたスーツを着ているCさんは仕事の期限を守らなそうだ
● ゆっくり話すDさんは、仕事も遅いはずだ
このように、因果関係がないにも関わらず全体を否定的にとらえて評価を下げるのも、ハロー効果の一種です。

アインシュテルング効果

アインシュテルング効果は、慣れ親しんだ考え方やものの見方に固執して、ほかの視点を無視してしまうことです。

過去の成功体験に引きずられてしまうのは、アインシュテルング効果の典型といえます。

そのほか、職場で起こりがちな例は以下の通りです。

アインシュテルング効果の具体例

● 前例がないことは挑戦するべきではない
● 今やっている作業手順はずっと続いているから最適なものに違いない

慈悲的差別

少数派や立場が弱い人に関して、不要な配慮をしてしまうのが慈悲的差別です。具体例は以下の通りです。

慈悲的差別の具体例

● 子育て中の女性は、出世して仕事が増えると困るはずだ
● 力仕事は男性がすべてやるべきだ
親切心で配慮をしていても、相手にとって必要なものとは限りません。

たとえば、子育て中でも保育園や家族のフォローを活用してバリバリ仕事をしたいと考えている人の場合、業務量を減らすと返って不快になるでしょう。

アンコンシャス・バイアスが職場に与える影響

アンコンシャス・バイアスは、職場に悪影響を与える可能性があります。以下では、具体的な影響を紹介します。

離職率の増加

アンコンシャス・バイアスは、離職のきっかけになります。職場に諦めをもち、モチベーションの低下につながる従業員が出てくるからです。

ハラスメントの増加につながることも、離職率をあげてしまうポイントです。

組織のパフォーマンスの低下

アンコンシャス・バイアスが存在する状況では、新しいアイデアや革新が抑制され、イノベーションが阻害される可能性があります。

そのため、パフォーマンスの低下につながることも考えられるでしょう。

職場のコミュニケーションが不足することもパフォーマンス低下の原因のひとつです。

アンコンシャス・バイアスの多い職場では、多様な視点や異なる意見が抑圧されるため、チームの新しいアプローチが制限されてしまいます。

情報の共有が不十分になり、チームや組織全体での効果的なコミュニケーションや成果が低下する可能性があります。

アンコンシャス・バイアスの改善方法

アンコンシャス・バイアスは誰しもがもっているものですが、意識して改善することが可能です。以下では、アンコンシャス・バイアスの改善方法を3つ解説します。

アンコンシャス・バイアスの改善方法

● 日常での決めつけ、押しつけをしない
● 自己認知する
● 相手のサインに注目する

日常での決めつけ、押し付けをしない

使う言葉を意識し、相手を尊敬する姿勢をもつように意識することが重要です。

アンコンシャス・バイアスがあると、決めつけた言動をしてしまいます。「こういうものだ・どうせこうだ・そんなわけでない・こうあるべきだ」といった言動は、アンコンシャス・バイアスを表面化させます。

まずは決めつけの言葉を避けるようにするのが、改善への第一歩です。

自己認知する

アンコンシャス・バイアスは誰にでもあるもので、完全に排除することはできません。その中でできる対策は、自身がもつアンコンシャス・バイアスに気づき、意識することです。

この考え方はバイアスによるものではないかと意識的に考え、軽減しようとする姿勢が重要です。

相手のサインに注目する

アンコンシャス・バイアスに対して相手が不快に感じた場合、サインとなって現れます。相手を観察し、表情やトーンが変わった場合は、違和感をそのままにせずフォローを心がけましょう。

相手の反応に違和感を覚えたら、相手にどう感じたかどうかを確認し、状況を改善するための解決策を模索することが大切です。

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まとめ

アンコンシャス・バイアスは、誰もが潜在的にもっている思い込みのことです。

アンコンシャス・バイアスは誰しもがもつもので、それ自体が問題ではありません。思い込みを自覚したうえで、言動を意識し、相手を尊重することが大切です。

まずは自己認識をし、他者との関わりの中でお互いの考えを尊重していきましょう。

よくある質問

アンコンシャス・バイアスとは?

誰もが潜在的にもっている思い込みをアンコンシャス・バイアスといいます。より具体的な意味を知りたい方は、「アンコンシャス・バイアスの意味とは」をご覧ください。

アンコンシャス・バイアスに対応するための対策は?

決めつけを避けたり、自己認知をしたりするほか、相手のサインに着目することから始めましょう。具体的な改善方法は、「アンコンシャス・バイアスの改善方法」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史