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増えすぎとも言われるフリーランスの実態は?個人で働くメリット・デメリットを解説

監修 安田 亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

増えすぎとも言われるフリーランスの実態は?個人で働くメリット・デメリットを解説

近年、「フリーランスは増えすぎ」という意見があります。事実としてフリーランス人口は増えていますが、働き方の多様化の結果ともいえます。

現在フリーランスとしての働き方を検討しており、メリットやデメリットを知っておきたい方もいるでしょう。

本記事では、フリーランス増加の背景や、フリーランスとして働くメリット・デメリットを解説します。

目次

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そもそもフリーランスとは?

フリーランスは法律上の用語ではないため、明確に定義が決まっているわけではありません。しかし、国で策定された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」によると以下のように定義されています(※)。

「実店舗がなく、雇人もいない自営業主やひとり社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指す」
出典:内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」

つまり、フリーランスとは個人が保有している何かしらのスキルや特技を、ほかの個人または企業に提供して生計を立てている人の総称で、「働き方」をあらわした言葉です。

フリーランスの仕事の範囲は広いですが、代表的な職種には以下が挙げられます。

代表的な職種

● ライター
● デザイナー
● イラストレーター
● プログラマー
● エンジニア
● 編集
組織に属さず仕事をしている方は「個人事業主」と呼ばれる場合が多いです。

しかし、個人事業主は法人を設立せず、税務署に開業届を提出して事業を行っている個人を指します。フリーランスの働き方のカテゴリーの中に個人事業主が含まれていると考えるのが良いでしょう。

フリーランスが増えた背景は?

近年、フリーランスは働き方のひとつとして注目を集めており、「フリーランスが増えすぎ」と感じている方も多いようです。実際、フリーランスとして働く方は増加傾向にあります。

ランサーズ株式会社が公表している「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」によれば、フリーランス人口は1,577万人、経済規模は23.8兆円で、同調査が開始された2015年と比較すると、人口は640万人、経済規模は9.2兆円増加しています(※)。

新・フリーランス実態調査 2021-2022年版(プレスリリース)
出典:ランサーズ株式会社「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版(プレスリリース)」

コロナ禍でDXの推進や働き方改革が進み、エージェントサービスなどが充実してきたこともフリーランスが増えた要因のひとつです。

特に、コロナ禍以降はフリーランスの数が大幅に増加しており、同社の調査によると、コロナ禍以降(2020年以降)にフリーランスとして活動を始めた方は全体の4割です。

また、2018年にも厚生労働省によって「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が策定されており、国も副業・兼業を後押ししているのがわかります。

このような背景の中、副業を解禁する企業は年々増加しており、今後もフリーランスの数は増加すると予想されます。

フリーランスは増えすぎているのか?

フリーランスが増加傾向にあるのは事実ですが、「増えすぎ」とはいい切れません。

ランサーズ株式会社の調査によれば、日本のフリーランス人口は労働人口の22.8%です。人によっては多すぎると感じるかもしれませんが、アメリカでは労働人口に対するフリーランスの割合が36%といわれています。

つまり、アメリカと比較すれば日本のフリーランス人口はまだ少ないのが現状です。これからフリーランスとして活動を始める方も、活躍できるチャンスは十分にあるといえるでしょう。

フリーランスとして働く5つのメリット

フリーランスが増えているのは、働き方に魅力があるからと考えられます。フリーランスとして働く主なメリットを5つ紹介します。

自分のスタイルで働ける

フリーランスは、自分のスタイルやルールで自由に働けるのが大きなメリットです。

組織に属している方は、就業規則や社内ルールなどにしたがって仕事をしなければいけませんが、フリーランスは会社の規則やルールに縛られません。労働時間や休暇を自分で自由に決められるため、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。

また、働く場所も決まっていないので、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど気分にあわせて自由に仕事場を選択できます。

自分次第で収入アップが見込める

フリーランスのメリットには、自分次第で収入アップが見込める点も挙げられます。

サラリーマンなどの給与所得者の多くは、仕事の成果がすべて給与に直結するわけではないため、基本的に給与の額面を大幅にアップさせるのは難しいです。

一方、フリーランスの場合は受注件数を増やしたり、高額な報酬の案件を受けたりすれば、その分売上が増えるため、頑張り次第で大幅な収入アップも期待できます。

また、自分の頑張りが収入という目に見える形で反映されるので、達成感を得られ、仕事に対するモチベーションアップにもつながるでしょう。

余計なストレスから解放される場合がある

フリーランスになれば、仕事に関係のない余計なストレスから解放される場合があります。

サラリーマンだと、取引先や上司、同僚など社内の人間関係にも気を配らなければいけないため、ストレスを感じる場面も少なくないでしょう。

一方、フリーランスは人との関わりが必要な場合もありますが、Webライターやエンジニアなどリモートワークが可能な職種であれば、比較的人間関係で気を配らずに済みます。

定年がなく好きな年齢まで働ける

厚生労働省「就労条件総合調査結果の概況(令和4年)」によると、定年制を定めている企業は94.4%と、ほとんどの企業で定年制度を取っています。そのため、多くのサラリーマンは定年を迎えると退職しなければならず、定年後に再就職できるとは限りません。

フリーランスなら引退する時期は自分で決定できるので、好きな年齢まで働けます。クライアントから仕事の依頼があれば、年齢に関係なく収入を得られるでしょう。

定年がなく好きな年齢まで働ける

Webライターやエンジニアなど、リモートでの仕事がメインであれば住む場所が限定されないのも、フリーランスのメリットです。

たとえば都心部から郊外に移住して、のんびりとした日常を送りながらフリーランスとして働くことも可能です。

また、郊外は都心部に比べて不動産価格や賃料が安いので、生活費が節約でき、金銭的にも余裕が生まれる可能性があります。

フリーランスとして働くデメリット

フリーランスは時間や場所、ルールなどに縛られず自由に働けるのが魅力ですが、デメリットもあります。

特に、これからフリーランスとして活動を考えている方は、以下で紹介するデメリットもしっかりと把握しておきましょう。

仕事や収入が安定しづらい

フリーランスのデメリットのひとつは、仕事や収入が安定しづらい点です。サラリーマンは固定給のため、毎月一定の収入が保証されていますが、フリーランスは仕事をしなければ収入を得られません。

常に良い案件が見つかるとは限らず、仕事の状況によっては収入が大きく変動してしまいます。クライアントから突然契約が打ち切られ、急に収入がなくなるなどの可能性も考えられます。

そのため、フリーランスになるのであれば、収入と支出のバランスを整えて日頃からお金の管理をしっかりと行わなくてはいけません。

またサラリーマンの場合、病気やケガで休んだときは傷病手当金が支給されます。女性であれば妊娠時は産休手当の支給が受けられるので、働けない状態になってもある程度の生活が守られています。

一方フリーランス向けの手当は少なく、サラリーマンに比べて体調やケガに気をつける必要もあるでしょう。

不規則な生活になる傾向がある

フリーランスは労働に関するルールがなく、自分の裁量で仕事を進められるため、タスク管理が苦手だと不規則な生活になってしまう傾向があります。

サラリーマンの場合は労働時間が制限されているほか、勤務先の就業規則もあるので、ある程度規則正しい生活を送れるでしょう。

タスク管理ができず生活リズムが崩れると、納期に遅れてしまい契約破棄されてしまう可能性もあります。

またリモートワークが中心の方だと、座りっぱなしで肩や腰を痛めたり、運動不足になったりする可能性もあるでしょう。

フリーランスとして活動するのであれば、規則正しい生活リズムを作るための工夫を行い、日頃から適度な運動するなどの心がけが大切です。

人とのコミュニケーションが少なくなる

フリーランスは人間関係の悩みから解放される可能性がある反面、コミュニケーション不足になってしまう傾向があります。特に、ひとり暮らしでリモートワークがメインの方は、1日中誰とも話さない日もあるかもしれません。

また、組織に属している場合とは違い上司や同僚もいないので、仕事の悩みを相談する相手が見つからず、仕事面での悩みが増えてしまう可能性もあるでしょう。

SNSや同業者のコミュニティなどで仲間を見つけ、何か困りごとがあったら相談できる関係を意識的に構築していくと良いでしょう。

社会的信用が低くなる場合がある

フリーランスは収入が不安定なため、サラリーマンなどの給与所得者に比べて社会的信用が低い傾向があります。

社会的信用は住宅ローンの契約やクレジットカード発行など、金融に関する審査で重要です。そのため個人事業主は、ローン審査やクレジットカードの発行で落ちるリスクがあるのは覚えておきましょう。

実際に、内閣官房日本経済再生総合事務局が発表した「フリーランス実態調査結果」では、フリーランスの1割程度が「社会的信用を得るのが難しく、フリーランスに対する偏見や誤解がある」と回答しています。

出典:内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果」

事務作業や確定申告が必要

フリーランスは経費の支払いや売上の管理、確定申告の記帳などを自分で行わなければいけません。

サラリーマンであれば、毎月の給与から税金が天引きされ、年末調整も会社が行ってくれるため面倒な事務作業はほとんどありません。

特に税金関係は手間がかかりますが、フリーランスとして稼ぎ続けていくのであれば、適切に手続きや処理を行う必要が出てきます。

フリーランスは単に依頼を受け、仕事をこなせばいいわけではありません。事務作業や確定申告に向けた準備など、仕事とは直接関係のない業務を日頃から行う必要があります。

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まとめ

フリーランスは組織に属さず、個人で仕事を請け負う働き方をする人のことです。

DX推進や働き方改革が進み、政府も副業・兼業を後押ししている状況もあって、フリーランスの人口は年々増加傾向にあります。ただし、海外と比較すると日本のフリーランス人口はまだ少ないのが現状です。

フリーランスは自分のスタイルで自由に働けたり、努力次第で収入アップが見込めたりと、メリットが豊富にあります。興味のある方はデメリットもしっかりと把握したうえで、働き方を検討してみてください。

よくある質問

フリーランスと個人事業主の違いは?

個人事業主は法人を設立せず、税務署に開業届を出して「税務上の区分」として個人で事業を営む人です。

フリーランスと個人事業主の違いを詳しく知りたい方は「そもそもフリーランスとは?」をご覧ください。

フリーランスになると開業届を提出しなくてはいけない?

フリーランスとして働く方を含めて、事業を開始した場合は、税務署に開業届を提出する義務があります。ただし、提出しなかったからといって、罰則があるわけではないので、開業届を提出していない方もいます。

フリーランスとして働くデメリットを詳しく知りたい方は「フリーランスとして働くデメリット」をご覧ください。

監修 安田 亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田 亮