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週休3日制とは?メリット・デメリットや導入する企業がおさえるべきポイントを解説

公開日:2023/08/29

監修 岡崎 壮史 社会保険労務士・1級FP技能士・CFP

週休3日制とは?メリット・デメリットや導入する企業がおさえるべきポイントを解説

週休3日制とは、休日を週3日設ける制度です。本記事では、新たな勤務形態として注目される週休3日制の概要やメリット・デメリットを解説します。

週休3日制は生産性向上や離職防止につながる可能性がある反面、機会損失や残業が増えるなどのデメリットもあります。週休1日や週休2日の企業が週休3日制を導入する場合、メリット・デメリットの両方を理解したうえで導入することが大切です。

導入企業の割合や導入時のポイントも紹介するので、導入を検討している企業の経営者や人事労務担当者はぜひ参考にしてください。

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目次

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週休3日制とは

週休3日制とは、1週間に休日を3日設ける制度です。週休3日制には、会社全体で週に3日の休みを設ける制度と、希望者のみ週休3日にする選択的週休3日制度があります。

日本では週休2日制が一般的ですが、多様な働き方を実現する勤務形態のひとつとして、週休3日制が注目されるようになりました。

週休3日制は、次のようなケースで活用できます。

週休3日制を活用できるケース

● 育児や介護、病気治療などのため勤務日を減らしたい従業員のニーズへの対応
● 学び直しやボランティアへの参加などを希望する従業員のモチベーション向上
● 地方兼業や副業の促進を通じた人材多様化
週休3日制の導入で、従業員にとって働きやすい労働環境の実現ができる可能性があります。

週休3日制の導入企業割合

2022年の就労条件総合調査によれば、「何らかの週休2日制」の企業割合は83.5%です。一方で、「完全週休2日制より休日日数が実質的に多い制度」の企業割合は8.6%にすぎません。週休3日制を導入している企業の割合は決して多くないのが現状です。

出典:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査 結果の概況」

しかし2016年の調査時点では、同項目の割合は5.8%でした。週休3日制を導入する企業の割合は少しずつですが増加傾向にあります。

出典:厚生労働省「平成28年就労条件総合調査 結果の概況」

週休3日制の3つのパターン

週休3日制には、以下の3種類の制度があります。

週休3日制の3つのパターン

● 給与維持型
● 給与減額型
● 総労働時間維持型
週休2日制の企業が週休3日制を導入する場合、3種類の制度の違いをおさえて、自社に適した制度を導入することが重要です。以下では、各制度の特徴を紹介します。

1.給与維持型

給与維持型では、休日を週3日に増やして月の総労働時間を減らす一方、給与は従来の金額から変更せず維持します。各勤務日の所定労働時間は従来と同じで、休みの日が増えて週の勤務日数が減る分、総労働時間が減るパターンです。

週休2日から週休3日になれば、週の勤務日数は5日から4日に減るので、時間あたり生産量が同じなら仕事量は5分の4に低下します。

給与維持型の週休3日制は、従業員にとっては給料が変わらず休みの日が増える理想的なパターンです。しかし企業にとっては、人件費は変わらないのに従業員がこなす仕事量が5分の4に低下し、生産量あたりの人件費は実質的に増加します。

2.給与減額型

給与減額型では、休日を増やした分だけ給与も減らします。休みが週2日から週3日に、勤務日数が週5日から週4日になり、働く日数が減る分だけ給料を減らすパターンです。

各勤務日の所定労働時間は従来と同じで、休みの日が増えて週の勤務日数が減る分、総労働時間が減ります。

給与減額型の週休3日制は、従業員にとっては休みが増える点ではメリットですが、給料が減る点がデメリットです。企業にとっては、休みが増えて各従業員の仕事量が減る分、給与も減額するので、給与維持型と違って実質的な人件費の増加は避けられます。

3.総労働時間維持型

総労働時間維持型では、週の休日は3日に増やすものの総労働時間は変更しません。総労働時間を維持するため、各勤務日の所定労働時間を増やすパターンです。

たとえば「週5日×6時間=30時間」から「週4日×7.5時間=30時間」に変更するケースが、総労働時間維持型にあたります。

総労働時間維持型は、今まで週5日かけて働いていた時間を週4日でこなすタイプの週休3日制です。週の休みの日は増えるものの、各勤務日の勤務時間は長くなります。

従業員にとっては、週の勤務時間や給料は変わらず、企業にとっては、従業員の労働時間(生産量)や人件費は従来と変わりません。

週休3日制を導入するメリット

週休3日制の主なメリットは、以下の3つです。

週休3日制のメリット

● 業務効率化・生産性向上につながる
● 育児・介護との両立で離職を防止できる
● 社外へのアピール効果で求職者が増える
以下では、それぞれのメリットの概要を解説します。

業務効率化・生産性向上につながる

週休3日制の導入後、勤務日数や勤務時間が減った後も業務をまわすには、無駄をなくして効率的に仕事をこなさなければなりません。

週休3日制の導入が業務効率化を検討する機会となり、生産性向上につながる場合がある点がメリットです。また週の休みが増えれば従業員のモチベーションがアップし、生産性が向上する可能性があります。

育児・介護との両立で離職を防止できる

週休3日制の導入によって勤務日数や勤務時間が減れば、従業員が育児・介護との両立がしやすくなります。育児・介護を理由とした離職を予防できる点は、週休3日制を導入するメリットのひとつです。

働きやすい職場環境を整えれば、離職率が低下して人材の流出を防ぐことができ、離職による人手不足の問題が起きにくくなります。

社外へのアピール効果で求職者が増える

週3日休むことができ、ワークライフバランスが整った会社であるとアピールできれば、求職者の増加が期待できます。

求職者が増えれば、人手不足の解消や優秀な人材の確保につながる点がメリットです。週休3日制の導入により、未導入の企業との差別化を図ることができ、求職者に対するアピールポイントを増やせます。

週休3日制を導入するデメリット

週休3日制の主なデメリットは、以下の4つです。

週休3日制のデメリット

● 業務効率低下やビジネス上の機会損失につながる可能性がある
● 残業が増えて長時間労働が常態化するおそれがある
● 従業員の追加採用が必要になる場合がある
● 勤務管理が複雑化して管理部門の負担が増す
以下では、それぞれのデメリットを詳しく解説します。

業務効率低下やビジネス上の機会損失につながる可能性がある

週休3日制の導入によって勤務日数が減ると、部署間での連携が取りづらくなり、業務効率が落ちる可能性があります。

週休2日から週休3日に変わった後は、週4日の勤務日の中で社内の調整や業務をこなさなければなりません。

また取引先と連絡を取れる日が減れば、十分なコミュニケーションが取れず、機会損失につながるかもしれません。

取引先からのメールへの返信が遅くなれば、相手の心象が悪くなったり取引の機会を逸したりするかもしれません。

ビジネス上の機会損失につながらないよう、週休3日制であることを取引先に伝えておくなどの対応が必要です。

残業が増えて長時間労働が常態化するおそれがある

週休2日から週休3日に変わると、週5日でこなしていた仕事を週4日でこなす必要があり、勤務日に残業が増える可能性があります。

各勤務日に長時間労働が常態化すれば、疲労の蓄積や作業効率の低下につながる点がデメリットです。

残業が増えて従業員の労働意欲が低下し、企業は生産性の低下や残業代(人件費)の増加の影響を受けることになります。

従業員の追加採用が必要になる場合がある

週休3日制の導入によって1人あたりの労働時間が短くなる分、業務をまわすには従業員の追加採用が必要になることも考えられます。

従業員を新たに採用する場合、採用活動のために人員を割かなければなりません。

また適任者が見つかって採用が決まった場合でも、採用後には研修や業務引き継ぎを行うなど、費用と時間がかかります。

勤務管理が複雑化して管理部門の負担が増す

選択的週休3日制を導入する場合は、週休2日と週休3日の社員が混在して勤務管理が複雑になり、人事労務担当者の負担が増えます。

勤怠管理や給与計算では、雇用管理が複雑になるとミスが起きる可能性が高まる点に注意が必要です。

週休3日制を導入するときのポイント

前述の通り週休3日制には3種類あり、それぞれの制度で特徴が異なります。自社に適しているのはどの制度なのか、一律に週休3日にするか選択的週休3日制にするか、よく検討して決めることが重要です。

実際に週休3日制を導入する場合は、企業も従業員も週休3日制のメリット・デメリットをしっかりと理解する必要があります。導入前後で雇用管理業務や従業員の働き方がどのように変わるのか、事前に確認しておきましょう。

また副業や兼業を認めるケースでは、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を参考にしながら従業員の勤務管理を行いましょう。

週休3日制の導入は、単に休みを3日に増やせばよいわけではありません。検討すべき論点や必要な対応を洗い出し、就業規則の改定や雇用契約書の内容の変更などを行いましょう。

週休3日制が注目される背景

国が作成・公表している「経済財政運営と改革の基本方針2022」の中で、週休3日制の導入を推進する記述があります。時代の変化にあわせ、多様な働き方を実現する観点から推進されている制度が週休3日制です。

出典:内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2022」

また週休3日制に対して労働者から一定のニーズがあることも、制度として注目されている理由のひとつです。

労働者からニーズの高い制度を導入することで、良い人材の獲得につながる可能性があり、人材不足問題の解消が期待できるでしょう。

週休3日制を導入している企業の割合は現時点では高くありませんが、週休3日制が注目されるなかで、今後導入企業が増える可能性があります。

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まとめ

週休3日制とは、1週間に休日を3日設ける制度です。導入企業の割合は多くはありませんが、注目されている制度のひとつであり、今後導入する企業が増える可能性があります。

週休3日制には給与維持型・給与減額型・総労働時間維持型の3種類あり、それぞれ特徴が異なります。週休3日制を導入する場合は、メリットとデメリットの両方を踏まえて検討することが重要です。

週休3日制を導入すれば、業務の効率化による生産性の向上やワークライフバランスの実現ができ、社外へのアピール効果で求職者の増加が期待できます。

一方で残業が常態化したり、機会損失につながったりするおそれがある点には注意が必要です。週休3日制の導入にあたっては、従業員が働きやすい環境を整え、業務効率を高められるよう、自社にあった制度を設計しましょう。

よくある質問

週休3日制とは?

週休3日制とは1週間に休日を3日設ける制度です。週休3日制について詳しく知りたい方は「週休3日制とは」をご覧ください。

企業が週休3日制を導入するメリットは?

企業が週休3日制を導入する主なメリットは、生産性向上や離職防止、求職者の増加です。

週休3日制を導入するメリットについて詳しく知りたい方は「週休3日制を導入するメリット」をご覧ください。

監修 岡崎壮史(おかざき まさふみ) 社会保険労務士・1級FP技能士・CFP

マネーライフワークス代表。現在は、助成金申請代行・活用コンサルとして、企業様の助成金の申請代行や活用に向けたサポート業務、金融系サイトへ多くの記事を執筆・記事監修を担当し、社労士試験の受験指導講師としての活躍の場を全国に展開している。

監修者 岡崎壮史