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書かない確定申告とは?e-Taxとマイナポータルを連携させる方法も解説

公開日:2024/06/04

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

書かない確定申告とは? e-Taxとマイナポータルを連携させる方法も解説

政府はオンライン確定申告を利用促進するため、「書かない確定申告」を推進中です。本記事では、「書かない確定申告」に関して解説します。

寄付金控除や医療費控除などを受ける場合、会社員も確定申告を行います。確定申告の時期になると、申告に必要な書類の管理や情報入力する手間を面倒だと感じる人は少なくないでしょう。

確定申告の手間を省略させるためのマイナポータル連携に関しても説明するため、ぜひ参考にしてください。

目次

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書かない確定申告とは?

「書かない確定申告」とは、e-Taxを利用したオンライン確定申告で、マイナポータルと連携することで情報入力の手間を省略する取り組みです。

e-Taxでは、所得税・相続税・法人税などに関する申告や納税を、インターネットを利用して電子的に手続きできます。さらに、e-Taxとマイナポータルをつなげば、医療費控除や寄付金控除に関する情報が連携されるため、申告者自身が入力する必要はありません。

所得税申告に関するe-Taxの利用状況は、2022年時点で65.7%まで伸びています(※)。政府は2026年を目処に利用率80%を目指し、書かない確定申告の取り組みを進めています。

※出典:国税庁「令和4年度におけるオンライン(e-Tax)手続の利用状況等について」

2023年度分の確定申告から、源泉徴収票の情報をマイナポータルから取得できるようになりました。会社員など給与所得者にとって、入力の負担が減るので申告手続きがラクになるでしょう。

e-Taxで確定申告する方法は、以下の記事でも詳しく解説しています。

【関連記事】
e-Tax(電子申告)で確定申告するには?利用方法やメリット・デメリットについて解説 >>

またマイナポータルに関しては、以下の記事でも詳しく解説しているのでぜひご覧ください。

【関連記事】
マイナポータルとは?利用方法やメリット・デメリットをわかりやすく解説 >>

マイナポータル連携の対象となるもの

2024年1月以降、マイナポータルと連携できる内容は以下の通りです。

自動入力の対象

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 公的年金等の源泉徴収票
  • 株式の特定口座
  • 医療費・ふるさと納税
  • 生命保険・地震保険
  • 社会保険(国民年金保険料・国民年金基金掛金)
  • iDeCo・小規模企業共済掛金
  • 住宅ローン控除関係
なお給与所得に関して自動入力の対象となるのは、「企業・事業者から国税庁に源泉徴収票がオンライン提出されている場合」に限られます。2021年時点で、オンライン提出している企業・事業者は約50%です(※)。

※出典:デジタル庁「河野大臣記者会見(令和5年4月21日)」

原則、給与などが年間500万円を超える場合に源泉徴収票の提出義務が生じますが、500万円以下の給与にかかる源泉徴収票も自動入力の対象です。そのため政府は企業や事業主に対して、支給額に関わらず源泉徴収票のオンライン提出を求めています。

マイナポータルと連携するための事前準備

医療費控除などの情報を自動入力するには、マイナポータルと連携するための事前準備が必要です。以下の手順で手続きを行います。

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出典:国税庁「マイナポータル連携を利用するまでに行う事前準備」

マイナポータルと連携するための事前準備

  1. マイナポータルで利用者登録する
  2. 「確定申告の事前準備」ページにアクセスして、取得したい証明書等を選択する
  3. マイナポータルとe-Taxを連携し、民間送達サービス・ねんきんネットを連携する
  4. 民間送達サービスと証明書等を発行する企業と連携する
  5. (源泉徴収票の情報を取得する場合)e-Taxマイページで情報取得希望の登録を行う
民間送達サービスとは、銀行・証券会社・保険会社など民間企業からお知らせを受け取れるオンライン上の自分専用ポストです。

また事前準備の際は、下記2点が必要です。

事前準備に必要なもの

  • マイナンバーカードとパスワード
  • マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンまたはICカードリーダライタ
マイナンバーカードを所有していない場合、まずカードの発行手続きを行わなければなりません。時間がかかるケースがあるため、事前準備の手続きは早めに行いましょう。

事前準備が完了すれば、国税庁の確定申告書等作成コーナーやマイナポータル連携対応の会計ソフトから申告書類を作成し、必要な情報の自動入力が可能です。

マイナポータルと連携するメリット・デメリット

マイナポータルと連携して確定申告をする場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリットデメリット
● 控除証明書や源泉徴収票などの管理・保管が不要
● 入力ミスなどを防げる
● 事前準備が完了していれば、書類作成はスムーズに進む
● 勤務先が源泉徴収票のオンライン提出に未対応の場合、源泉徴収票の自動入力ができない
● 事前準備に時間・手間がかかる
● 一部の寄付金などは手動入力する必要がある


書面の控除証明書などを管理したり入力・確認したりする作業は、申告者にとって負担となるでしょう。データでの保存・管理・自動入力が可能になれば、さまざまな手間を省くことができます。

ただしオンライン提出に対応していない会社の源泉徴収票や一部の寄付金など、自動入力の対象とならないケースもあります。給与のデータを連携したい人は、まず勤務先が源泉徴収票のオンライン提出に対応しているか確認してみてください。

またマイナポータルと連携するためには、事前の手続きが必要です。初めて利用する際に事前準備を行えば、翌年以降はスムーズに申告できるでしょう。

書かない確定申告の今後は?

政府はe-Taxによるオンライン確定申告の利用促進に注力しています。その取り組みのひとつとして、2024年から給与所得情報がマイナポータル連携の対象となりました。会社員など給与所得者にとって、確定申告にかかる負担が減り、手続きが簡単になりました。

源泉徴収票に記載された情報の自動入力に関しては、「企業の源泉徴収票のオンライン対応を促進する」など課題は残っています。しかし企業側も500万円という金額で区別する必要がなくなり手間が省けるため、オンライン化は進むでしょう。

e-Taxとマイナポータルの連携が浸透すれば、従来の「保管・入力・確認」が必要な手続きから「目を通してチェックするだけ」の手続きに変化し、確定申告が誰にとっても便利で簡単なものになります。

確定申告を簡単に終わらせる方法

確定申告に関する作業を効率化したいとお考えの方には、確定申告ソフト「freee会計」の活用がおすすめです。

freee会計には、以下のような機能があります。

  • 銀行口座やクレジットカードを同期して出入金を自動入力
  • 家計簿感覚でできる帳簿付け
  • 確定申告時、税額控除の金額を自動算出
  • e-tax(電子申告)対応でオンライン申告も可能

日々の経費管理から確定申告の対応まで、さまざまな作業を自動化して時間や手間を大幅に削減できます。

勘定科目も予測して入力できるため、慣れない人でも安心して使用いただけます。

また、確定申告の際には質問に回答すると税額控除の金額を自動算出できます。ご自身で面倒な計算をする必要がなく、スムーズな書類作成が可能です。

さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。

freee会計を使うとどれくらいお得?

税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。

忙しい年度末の負担を減らすためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

まとめ

政府は、e-Taxの利用を促進するため「書かない確定申告」の取り組みを進めています。書かない確定申告とは、e-Taxとマイナポータルの連携によって、医療費控除やふるさと納税など必要な情報の入力の手間を省く取り組みです。

2024年から、源泉徴収票のデータも自動入力の対象になりました。自動入力で申告するには、事前にマイナポータルとの連携手続きが必要です。

書かない確定申告の恩恵を受ければ、手動で入力したりチェックしたりする手間を省略できるため、申告手続きの負担が減るでしょう。

よくある質問

書かない確定申告とは?

e-Taxとマイナポータルを連携させることで、さまざまな情報を自動入力し、利便性を向上させるための取り組みです。

詳しく知りたい方は、「書かない確定申告とは?」をご覧ください。

マイナポータル連携によって自動入力されるものは?

2024年1月以降、自動入力の対象となるのは、給与所得の源泉徴収票・iDeCo・小規模企業共済掛金などです。

自動入力の対象となる内容について知りたい方は、「マイナポータル連携の対象となるもの」をご覧ください。

監修 北田悠策(きただ ゆうさく) 公認会計士・税理士

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

監修者 北田悠策