監修 内山 貴博 1級FP技能士・CFP
本記事では配当金の受取時期や受取方法を詳しく解説しています。また株価の指標や受け取るためのポイントも併せて紹介しています。
株式投資は株価上昇で売却益を期待するだけでなく、配当金で利益を得ることも可能です。配当で利益が出た場合は、配当控除を受けるために確定申告も必要です。
本記事を参考に、配当金に関する理解を深め、株式投資に役立てましょう。
目次
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株式投資の配当金とは?
株式投資の配当金とは、保有株式の数に応じて分配される現金です。たとえば1株あたり10円の配当が出た場合、100株持っている人は1,000円、500株持っている人は5,000円受け取れます。
1株あたり10円の配当が出た場合の配当金
● 100株持っている場合の配当金:10円 × 100株 = 1,000円● 500株持っている場合の配当金:10円 × 500株 = 5,000円
ただし、配当金の金額は企業の業績次第で変動し、業績不振から大幅に減少したり無配当になったりもします。逆に業績が好転すれば、無配当だった企業が配当を出し始めたり、配当金を増額したりする場合もあります。
配当金を受け取るには権利付最終日までに、株主名簿に名前が記載されているのが条件です。権利付最終日は配当金を受け取れる権利が確定する日です。権利付最終日を過ぎてからの記載では、配当金を受け取れません。
株主名簿へ名前が記載されるためには、3営業日かかります。権利付最終日を含む3営業日前までに株式を取得しなければ、株主になっていても配当金を受け取る権利が得られません。
配当金の受取時期は決算の2~3ヶ月後
配当金の有無や増減は企業の業績次第であり、決算後に開かれる株主総会を経て決定されます。
決算期は企業ごとに異なりますが、一般的に期末決算の2~3ヶ月後に株主総会が開かれ、配当金は総会後に受け取れます。たとえば3月末決算の企業なら、配当金の受取時期は5月~6月頃です。
決算後に受け取れる配当金を期末配当といいます。多くの企業では年1回の期末配当、または中間決算での中間配当も入れて年2回支払うケースのどちらかが一般的です。
中間配当は、期末決算の配当とは別に、取締役会の決議で支払われる配当です。前期の利益余剰を財源として、当期末に欠損を生じるおそれがない場合に支払われます。
中間配当は本決算の半年後にあたる第2四半期決算のタイミングで決められるケースが多く、一般的に期末配当と同様に決算の2~3ヶ月後に受け取れます。
配当金の受取方法は4つ
株式投資の配当金を受け取る方法は以下の4つです。
配当金の受取方法
● 株式数比例配分方式● 登録配当金受領口座方式
● 配当金領収証方式
● 個別銘柄指定方式
株式数比例配分方式
株式数比例配分方式は、証券口座で配当金を受け取る方法です。
複数の証券会社に株式を預けている場合は、預けている株式の数に応じて各証券会社の口座で配当金を受け取ります。
配当金が証券口座に入るため、受け取ったお金はそのまま次の証券取引に利用できる受取方法です。
登録配当金受領口座方式
登録配当金受領口座方式は、保有する株式の配当金をひとつの銀行口座などで受け取る方法です。
株式を預けている証券口座に配当金が入らないため、運用資金と配当で得たお金を分けて管理できます。複数の証券口座を持っている場合、配当金を受け取る口座を1ヶ所に集約できる方法です。
配当金領収証方式
配当金領収証方式は、配当金受領証または郵便振替支払通知書が発行され、ゆうちょ銀行などの窓口で配当金を受け取る方法です。
受取手続きの手間はかかりますが、その場で現金を受け取れる点がメリットです。
個別銘柄指定方式
個別銘柄指定方式は、保有している株式の銘柄ごとに、指定した銀行口座などで配当金を受け取る方法です。
銘柄ごとに受取口座を指定する手間はかかりますが、配当金を任意の口座に振り分けて管理できます。
株式投資の配当金に関する重要な指標
配当に期待して株式を購入する際に重要な指標が、「配当利回り」と「配当性向」です。
ただし、配当金は企業の業績次第で変化し、購入時の配当利回りや配当性向が良好でも、実際に受け取るタイミングでは状況が変化している場合もあります。
株式を購入する企業を選ぶときは指標を参考にしつつ、ほかの要素も見て複合的に判断しましょう。
配当利回り
配当利回りは株価に対する年間配当金(中間配当と期末配当の合計)の割合を示す指標です。
1株あたりの年間配当 ÷ 現在の株価 × 100
配当利回りが高ければ、株式の購入金額に対して、高い割合の配当金を期待できます。株価が同じでも配当利回りの高い株式のほうが、より多くの配当金を受け取れます。
ただし投資する際は、年間配当金を予想して計算しなくてはいけません。今後も今までと同額の配当金が続くとは限らないからです。
配当の金額が同じだった場合は株価が安いほど配当利回りは向上しますが、なぜ株価が安いのかも判断材料のひとつに加えましょう。もし業績不振が伝えられて株価が下がっているならば、今後配当金の減額や無配になる可能性も考えられます。
今までの配当金額だけでなく、今期の配当がいくらになるか、なぜ株価が安いのかも考慮して配当利回りを判断しましょう。
配当性向
配当性向は税引き後の利益(当期純利益)から、いくら配当に使ったか示す指標です。
配当金支払総額 ÷ 当期純利益 × 100
または
1株あたりの配当金額 ÷ 1株あたりの当期純利益 × 100
配当性向が高いほど自社の利益を株主に還元しているため、配当に積極的な企業と考えられます。
逆に配当性向が低い場合、企業は利益を配当金にして放出せず、設備投資や内部留保に回しているのが一般的です。
株主への利益還元が少ないと悪い印象を受けるかも知れませんが、将来を見越しての設備投資や健全な財務状況を保つために、配当金を出さないケースも考えられます。
利益を自社のために使っている場合、長期的に見ると業績が伸び、株価や配当金が向上する可能性もあります。
配当性向の高い株式は利回りが高いことが多く、魅力的に見えます。しかし会社が成長するための設備投資に資金を回していない可能性があるのが懸念点です。出されている配当金の金額が妥当かを考えて判断するのが大切です。
株式投資の配当金で知っておきたいポイント
配当金を得るために株式投資を行う際に、知っておきたいポイントは以下の3点です。
知っておきたいポイント
● 配当金は課税対象● NISA口座で非課税
● 配当控除を受けるには確定申告が必要
配当金は所得税・住民税の課税対象
配当金には所得税と住民税が課せられるため、そのまま全額は受け取れません。
個人が受け取る配当金に課税される税率
● 所得税・復興特別所得税:15.315%● 住民税:5%
たとえば配当金が20,000円だった場合、20.315%にあたる4,063円が徴収されるため、実際に得られる金額は15,937円です。
配当金に課せられる税金は受取時に徴収されているため、納付手続きは不要です。ただし、確定申告すれば配当控除が適用され、徴収された税金が還付される場合があります。
なお、NISA口座で購入・保管している株式の配当金は非課税で受け取れ、所得税・住民税ともに課税されません。
非課税で受け取るにはNISA口座で株式数比例配分方式を選択
株式の売却益や配当金は所得税・住民税の課税対象ですが、NISA口座で保管している株式なら課税されません。
ただし、NISA口座で保管するには、株式を取得する際にNISA口座の選択が必要です。
また、配当金の受取方法も株式数比例配分方式を選んでいないと、配当金へ課税されます。そのほかの受取方法を選択していると、NISA口座でも配当金に課税されるため注意しましょう。
配当控除を受けるには総合課税を選択して確定申告が必要
国内株式の配当金は、企業が法人税を支払ったあとの利益から分配されています。株主が受け取る配当金にも課税されると二重課税にあたるため、配当控除で税額控除が可能です。配当控除は総合課税を選択し、確定申告する場合に適用されます。
確定申告が不要になる源泉徴収ありの特定口座に預けている場合も、確定申告を行うことで配当控除を適用できます。また、確定申告が必要な場合でも、申告分離課税を選択していれば、配当控除の対象外です。
さらに所得が多い場合、配当控除の申告をすると税率が上がる場合もあります。控除で抑えられる税金以上に、支払う税金が増えるケースもあるので注意しましょう。
まとめ
株式投資の配当金とは、保有している株式数に応じて分配される現金です。配当金は会社決算から2~3ヶ月後に支払われ、受取方法は4種類あります。
配当金は課税対象ですが、NISA口座で配当金の受取方法を株式数比例配分方式にしていると非課税です。
また、総合課税を選択して確定申告すると配当控除が受けられ、徴収されていた税金の還付を受けられる場合があります。
配当控除を受けるには確定申告が必須なため、会計ツールを活用して確定申告を確実に行いましょう。
NISA制度に関しては「NISAは確定申告が必要ない? NISAの始め方やメリット、デメリットを解説」で詳しく解説しています。
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よくある質問
株式投資の配当金とは?
保有している株式の数に応じて分配される現金です。
配当金を詳しく知りたい方は、「株式投資の配当金とは?」をご覧下さい。
株式投資の配当金には税金がかかる?
配当金は、決算の2~3ヶ月後に受け取れます。
配当金の受取時期を詳しく知りたい方は、「配当金の受取時期は決算の2~3ヶ月後」をご覧下さい。
監修 内山貴博(うちやま たかひろ) 1級FP技能士・CFP
大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。