監修 岡崎 壮史 社会保険労務士・1級FP技能士・CFP
給付金・助成金・補助金は、国や地方自治体が事業者を支援する目的で給付する資金です。
個人事業主やフリーランスも対象になる給付金・助成金・補助金もあります。返済の義務はなく、制度によって目的や受け取れる金額、要件などが異なるため、自身の事業や目的に合致する給付金・助成金・補助金を申請してください。
今回は、個人事業主が対象となる代表的な給付金・助成金・補助金を紹介したうえで、申請時に気をつけるべきポイントも解説します。
目次
- 給付金・助成金・補助金は何が違う?
- 個人事業主が申請できる給付金3選
- 新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金
- 持続化給付金
- 月次支援金
- 個人事業主が申請できる給付金3選
- 人材開発支援助成金
- 業務改善助成金(特例コース)
- 雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
- 個人事業主が申請できる補助金3選
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業再構築補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- 個人事業主が給付金・助成金・補助金を申請する際のポイント
- 【ポイント1】申請に必要な要件を満たしているかしっかり確認
- 【ポイント2】個人事業主が申請を行うなら早めの準備が大切
- 【ポイント3】受け取りまでに時間がかかる点を念頭におく
- まとめ
- 確定申告を簡単に終わらせる方法
- よくある質問
- 個人事業主が申請できる給付金はある?
- 個人事業主が給付金・助成金・補助金などを申請する際のポイントは?
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給付金・助成金・補助金は何が違う?
まず、給付金・助成金・補助金は何が違うのか、基本的な定義を説明します。
「給付金」は、定められた要件を満たせば支給されます。返済の義務もなく、原則、自由に使用できるお金です。
「助成金」は、事業者が従業員の雇用の安定や職場環境の改善などを行うための取り組みにかかった費用の一部を助成する制度です。
「補助金」は、国が新規事業や新分野の製品開発などを行う企業に対して、その費用の一部を補助するお金で、企業の成長を促すための国策のひとつとされています。
個人事業主が申請できる給付金3選
2023年2月現在、給付金は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う給付金が中心となっており、受付を終了している給付金や終了を予定している給付金が多いため、注意が必要です。
個人事業主が対象となっている3つの給付金を紹介します。
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金
新型コロナウイルス感染症によって学校が臨時休業になったり、子どもが感染したりした場合に、仕事ができなかった日について1日あたり4,177円が支給されます。
会社員であれば翌年6月から翌々年5月にかけて給料から天引きされ、個人事業主であれば納付書等で翌年6月以降に納付します。
支援の対象は、子どもを現に監護している保護者であり、学校の臨時休業などが発生する前に業務委託契約などを個人で請け負っている方です。
令和5年3月31日をもって終了する予定であり、申請期限は令和5年5月31日です。
持続化給付金
持続化給付金は令和3年2月で申請受付は終了していますが、新型コロナウイルス感染症関連の給付金としてニュースなどで話題になりました。
農業・漁業・飲食業・小売業・俳優業など幅広い業種の法人および個人事業者(フリーランスを含む)が対象者でした。
売上が前年同月比50%以上減少しているという要件があり、要件を満たせば、事業規模によって定められた上限金額を超えない額が支給されました。
持続化給付金は事業の継続を支援する目的で給付され、新型コロナウイルスの感染拡大により、休業を余儀なくなされた事業者などにとって大きな支援となりました。
月次支援金
月次支援金は持続化給付金と同様に、新型コロナウイルス感染症関連の給付金で、令和4年1月で受付を終了しています。
緊急事態措置・まん延防止等重点措置により、飲食店の休業・時短営業または外出自粛などの影響を受けている、月間売上が50%以上減少している事業者が対象でした。
業種や地域を問わず、中小法人であれば月額上限20万円、個人事業者などは月額上限10万円を超えない範囲で支給されました。
個人事業主が申請できる助成金3選
助成金は助成金の種類にもよりますが、取り組みを開始してから早くても半年から1年ほど経過してから支給されるため、計画的な申請が大切です。また、助成金の多くは厚生労働省が管轄しています。
個人事業主が申請できる代表的な助成金を3つ紹介します。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、事業者が雇用する労働者に対して、専門的な知識やスキルを習得させるための職業訓練などを計画的に実施した場合、訓練の経費や期間中の賃金の一部を助成する制度です。
下記のとおり9つのコースがあり、支給される助成金額や要件はコースによってさまざまです。
人材開発支援助成金のコース
- 特定訓練コース
- 一般訓練コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 特別育成訓練コース
- 人への投資促進コース
- 事業展開等リスキリング支援コース
- 建設労働者認定訓練コース
- 建設労働者技能実習コース
- 障害者職業能力開発コース
業務改善助成金(特例コース)
業務改善助成金(特例コース)は、新型コロナウイルス感染症の影響によって比較対象期間の売上などが30%以上減少している中小企業事業者などを支援するための助成金です。
支給要件は主に2点あります。
支給要件
- 最低賃金を30円以上引き上げ、かつ引き上げ後の賃金を支払っている
- 生産性向上を目的とした施設投資を行い、その費用を支払っている
助成額は最大100万円で、助成金額は対象経費の合計額×助成率で算出します。
なお、業務改善助成金(特別コース)は、令和4年度分の受付は終了しており、今後の詳細については2023年2月現在、まだ発表されていません。
雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
雇用調整助成金とは、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を目的として、従業員の休業手当に要した費用を助成する制度です。
令和2年4月1日から令和4年11月30日までの期間は「緊急対応期間」と位置付けられ、新型コロナウイルス感染症にかかる特例措置が実施されました。
なお、緊急対応期間の終了に伴い、令和5年3月31日までの休業をもって受付終了が決まっています。令和4年12月1日から令和5年3月31日までの期間は、令和4年11月30日までの期間で特例措置を利用した事業所を対象に、「経過措置」を実施しています。
個人事業主が申請できる補助金3選
補助金は、多数の企業の中から事業計画書などによって審査され、採択された場合に支給される仕組みです。
そのため、事業計画書などで具体性を示すだけでなく、計画通りに実行できるかどうかという「実現可能性」についても示す必要があります。
ここでは、個人事業主が申請できる3つの補助金を紹介します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者および一定の条件を満たす特定非営利活動法人が対象です。
対象となる事業者が、今後直面する制度変更(働き方改革や賃上げ、インボイス導入など)に対応するための販路開拓・商品開発・業務効率化などの取り組みにかかる経費を補助し、生産性向上と持続的発展に寄与することを目的としています。
通常枠と5つの特別枠があり、事業者が取り組む内容によって、ひとつの枠を選んで申請できます。補助金額や要件は、枠によって異なります。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、ポストコロナやウィズコロナ時代の経済構造の変化に対応するため、新たな事業分野(新分野展開・業種転換・事業再編など)に積極的な企業を支援するための補助金です。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により売上が減少している事業者で、事業再構築を行い、事業計画を策定することが必須の申請要件です。
事業者が取り組む内容や対象者に応じて6つの枠が用意されており、必須要件や補助金額は枠によって異なります。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業や小規模事業者などが今後の制度改革(働き方改革や賃上げ、インボイス導入など)に対応するために取り組む、開発や改善業務に伴う設備投資などを支援する補助金です。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は令和元年度に補正され、令和2年3月の公募開始以降、通年で公募を行っています。
個人事業主が給付金・助成金・補助金を申請する際のポイント
個人事業主が給付金を申請する際に、気をつけておきたいポイントを3点紹介します。
【ポイント1】申請に必要な要件を満たしているかしっかり確認
給付金や助成金、補助金は、それぞれ目的や支給額が異なります。また、受け取るためには、定められた細かい要件を満たさなければいけません。
たとえば、人材開発支援助成金は9つのコースに分かれており、コースによって対象者も支給要件もさまざまです。
厚生労働省や経済産業省など、公式のウェブサイトをしっかりチェックしてから応募しましょう。
【ポイント2】個人事業主が申請を行うなら早めの準備が大切
申請を行う際に、もっとも気をつけたいのは「応募期限」です。
たとえば、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の場合、令和4年度の応募期間は概ね2ヶ月、審査期間は1ヶ月ほどかかり、四半期ごとに採択発表が行われるスケジュールです。
応募申請の期間が短い制度も多いので、書類作成にかかる時間を考慮して、計画的に準備してください。
受け取りまでに時間がかかる点を念頭におく
助成金や補助金は、基本的に「後払い」なので、支給されるまで時間がかかります。制度によっては申請から受給まで数ヶ月から1年ほどかかるケースもあります。
そのため申請の際には、事業計画とあわせて資金計画も検討が必要です。助成金や補助金が支給されるまでどのように資金繰りしていくのか、事前にシミュレーションを行いましょう。
まとめ
給付金・助成金・補助金はともに返済義務のない、国や自治体からの事業を支援するお金です。制度によって、さまざまな支給額や要件が定められています。
個人事業主やフリーランスが対象となる給付金・助成金・補助金も多数あります。ただし、申請可能な期間が限られている給付金・助成金・補助金が多いため、期限をしっかり確認してください。
また、助成金や補助金は、申請してから給付されるまでに時間がかかる傾向にあるため、計画に申請しましょう。
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よくある質問
個人事業主が申請できる給付金はある?
個人事業主が申請できる給付金は、「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金」「持続化給付金」「月次支援金」などがあります。
個人事業主が申請できる給付金について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
個人事業主が給付金・助成金・補助金などを申請する際のポイントは?
個人事業主が給付金・助成金・補助金に申請する際のポイントは、申請に必要な要件を満たしているか確認する、早めに準備を行うなどです。
給付金・助成金・補助金に申請する際のポイントを詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
監修 岡崎 壮史 社会保険労務士・1級FP技能士・CFP
マネーライフワークス代表。現在は、助成金申請代行・活用コンサルとして、企業様の助成金の申請代行や活用に向けたサポート業務、金融系サイトへ多くの記事を執筆・記事監修を担当し、社労士試験の受験指導講師としての活躍の場を全国に展開している。