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副業人材とは? メリットやデメリット、活用する際のポイントを紹介

公開日:2023/06/17

監修 羽場 康高 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

副業人材とは? メリットやデメリット、活用する際のポイントを紹介

副業人材は本業とは別に仕事を請け負う人材であり、人材不足解消の手段として注目されています。

2018年1月に、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表しました。これにより、副業は会社側と働き手側の双方で、実現しやすい働き方となってきています。

本記事では副業人材の活用方法や、メリット・デメリットを解説します。副業人材の特徴を理解し、会社の人材戦略に活かしましょう。

現在会社員の人は、「会社員が副業したら確定申告は必要?副業する前に知っておくべき手続き・注意点について解説」の記事もぜひご一読ください。

目次

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副業人材とは?

副業人材とは、本業で会社に所属して働きながら、勤務時間以外に別の会社の仕事を請け負う人材のことです。広義では、個人事業主やフリーランス、個人で複数の企業から仕事を請け負う兼業人材、育児や介護の合間に働く在宅ワーカーなども含みます。

副業人材が注目される理由のひとつは、生産年齢人口の減少です。日本の労働を支える15~64歳の人口は減少傾向にあり、2060年の生産年齢人口は2000年の約半分になると試算されています。

兼業・副業人材活用のススメ~多様な人材活用で経営力を高める~
出典:経済産業省関東経済産業局「兼業・副業人材活用のススメ~多様な人材活用で経営力を高める~」

会社がフルタイムの人材を雇用する機会が年々少なくなる状況で、副業人材は人材不足解消の有効な手段です。

また、副業人材は本業で得たスキルや知識を活かし即戦力となる可能性が高いため、多くのメリットが期待できます。テレワークの普及により、地方で事業を行う会社が都市圏に在住する副業人材を活用することも可能です。

なお、副業人材の活用方法には主に下記3つのタイプがあります。

活用方法のタイプ

● タスク型
● プロジェクト型
● ミッション型
各活用方法の内容を以下で解説します。

タスク型

タスク型は納品物や作業内容、期間などが明確となった業務を委託する活用方法です。従来の「外注」や「アウトソーシング」と類似した方法で、たとえば下記のような業務で活用できます。

タスク型の業務例

● オウンドメディアのロゴデザイン作成
● 会計システムへの仕訳入力
● 商品のデータ管理
● 自社商品情報の外国語への翻訳業務
仕事を依頼する副業人材には、フルタイム勤務が難しいWebデザイナーや本業で会計業務をしている方など多様です。

さまざまな専門的知識やスキルをもつ人材が、得意分野の仕事を自身の都合で請け負うケースがあります。

また、アンケートや口コミ、簡単な文章作成など特定スキルを必要とせずに、短時間でできる業務をこなす人材も存在します。

タスク型はスポット型とも呼ばれ、通常は短期間で完了する仕事が多いです。主に本業の合間や家事育児の空いた時間を利用したい方に向けて、個別の単位で委託します。この場合、納品物・作業内容・期間・業務委託料の明確化が活用のポイントとなります。

プロジェクト型

プロジェクト型は、新規ECサイトの立ち上げなど、プロジェクト単位で業務を委託する活用方法です。具体的には、下記の業務委託が想定されます。

プロジェクト型の業務例

● 新商品キャンペーンのプロモーション
● 社内システムの開発
● ECサイトの立ち上げ・運用
単純に業務をアウトソーシングするケースとは異なり、副業人材に中長期的な期間で会社の事業に携わってもらう活用方法です。

たとえば、インターネット上のプラットフォームなどで委託者が委託したい内容や求める成果、報酬を示します。その委託内容に応えられる自信のある方が、仕事に必要な知識やスキル、経験、過去の実績などのPRとともに応募します。

応募者の中から委託者が条件を満たしているかを見極め選定するため、コミュニケーション力や実績が重要です。いくら知識やスキルがあっても、実績が少ないうちは中々受注できない傾向が高いです。

ミッション型

ミッション型は期間や成果物を限定せず、自社の経営課題などに関する業務を委託する活用方法です。

ミッション型の業務例

● 大手企業勤務の人材による経営に関する幅広い業務
● 人事部門経験のある人材による人材開発業務
● ブランディングのノウハウをもつ人材による認知度向上業務
ミッション型では、経営や人材開発、ブランディングなどそれぞれの業務に応じた人材を採用するケースが多いです。報酬形態については、人材側がその経験や実績に応じて決める場合がほとんどです。

そのため、会社は報酬に見合うだけの価値を提供してくれるかどうかを慎重に見極めます。信頼に足る人材かどうかを慎重に見極めたうえで、自社の中長期的な目標・課題・現状・内情を共有していくことが重要です。

副業人材は会社に深くコミットメントし、当事者意識と経営者の目線を持って、業務を遂行するかたちをとります。

副業人材を活用するメリット

副業人材を活用する際には、メリットの事前把握が有効です。副業人材を活用する主なメリットは次の4つです。

副業人材を活用するメリット

● 必要なときに必要な人材を活用できる
● 正社員と比べると人件費を抑えられる
● マンパワー不足を解消できる
● オープンイノベーションや組織の活性化が期待できる

必要なときに必要な人材を活用できる

副業人材を採用する大きなメリットは、「必要なときに必要な人材を活用できる」点です。

たとえば自社でメディアプロモーション部門を立ち上げるとき、正社員を活用すると下記の課題が想定されます。

正社員の場合の課題

● 従業員の配置転換コスト
● 新しい従業員の採用・教育コスト
● 年間を通じた人件費
一方、副業人材を活用すると下記のメリットがあります。

副業人材を採用するメリット

● メディアプロモーションの専門知識をもつ人材の即戦力活用
● 業務委託による効率的な特定の仕事の依頼
従業員の採用・育成などに時間をかけず、専門の知識やノウハウをもつ人材を必要なときに必要な人数採用できる点は、副業人材の利点です。

なお、すでに副業人材を活用している企業では、下記の課題やニーズで副業人材を活用しています。

副業人材の活用例

● 技術・研究開発の強化
● 市場調査
● メディアプロモーション
● SNS運用
● マーケティングでのデータ分析
● 販路開拓強化
● ECサイト構築
● システム開発

正社員と比べると人件費を抑えられる

副業人材を活用する場合、業務委託契約が一般的です。

雇用契約を結ぶ正社員と比較すると、副業人材は業務そのものの委託契約、つまりスキルの提供や付加価値の創造に対して報酬が支払われます。

労働保険を始めとする法定福利費や福利厚生費などと切り離せるため、一般的に人件費の総額を抑えられるのがメリットです。

仮に業務委託者の雇用金額が高くても、給与以外の金銭的・人的コストも考慮し、成果を最大化することで、正社員を雇うよりも経済的な効率化を実現できます。

また、人件費の確保を費用対効果で考えるのだけではなく、人材を資本として捉える「人的資本経営」が注目されています。副業人材の活用で幅広い人材を導入することにより、人材不足や企業価値向上など経営課題の解決も期待できるでしょう。

中小企業への『兼業・副業人材』活用推進におけるヒント集
出典:経済産業省関東経済産業局「中小企業への『兼業・副業人材』活用推進におけるヒント集」

マンパワー不足を解消できる

副業人材は、定型業務(ルーティンワーク)のマンパワー不足解消にも有効です。会社によっては、「システムへのデータ入力」「商品情報の管理」「請求書や注文書の作成」など、大量の定型業務が従業員の創造性発揮を妨げている場合があります。

タスク型で副業人材を活用すると、必要なときにマンパワーが不足している部門へ人材のマッチングが可能です。結果、フルタイムの従業員がルーティンワークから解放され、自社の根幹業務により集中できるメリットが生まれます。

オープンイノベーションや組織の活性化が期待できる

副業人材を活用すると、自社とは異なる企業風土や文化を経験した人材とのコミュニケーションが生まれます。

外部からの新しい出会いはオープンイノベーションのきっかけとなり、新たな視点の商品開発やビジネスモデル構築へつながります。

また、自社の従業員が異なる知見・ノウハウに触れられる点もメリットです。業務を通じて社外の知見にコミットすることにより、従業員の新たな気づきや組織の活性化が見込めます。

副業人材を活用するデメリット

副業人材を活用する際には、メリットとともにデメリットの把握が重要です。以下では、2つのデメリットをピックアップして解説します。

副業人材を活用するデメリット

● 稼働時間や依頼できる仕事に制限がある
● コミュニケーションに問題が生じる場合がある

稼働時間や依頼できる仕事に制限がある

副業人材は本業をもつ場合があり、フルタイムの従業員と比較すると稼働時間に制限がかかる点がデメリットです。稼働できる時間を考慮し、業務を依頼したい人材とどのような契約を結ぶべきか検討する必要があるでしょう。

そのほか、テレワークを主とする副業人材にはオフィス出勤が不可欠な業務を依頼できません。どのような仕事を依頼し、どういった副業人材を採用するのか、事前の検討が大切です。

コミュニケーションに問題が生じる場合がある

副業人材を活用する際には、コミュニケーションの問題が生じる場合があります。副業人材とは時間や業務を契約で取り決めて関わるためです。フルタイムの従業員と比較するとコミュニケーションが十分にとれない恐れがあります。

特に、テレワークで業務を依頼する場合のときは、どのようにコミュニケーションをとるか考えておく必要があります。チャットツールやビデオ会議ツール、共同編集ツールや資料共有ツールなどの導入も検討しておきましょう。

また、一方で会社の支配下に置かれているにも関わらず、業務委託形式をとるケースが問題化しています。

契約面でも業務委託の際には、偽装請負と見なされないようにするため注意が必要です。十分にコミュニケーションを取り、依頼内容と契約形態が適切に一致しているか両者間で話し合いましょう。

副業人材を活用する3つのポイント

副業人材を上手く活用するには、自社の経営課題に合った人材を適切に見極められるかが重要です。以下で、3つのポイントに分けてご紹介します。

①自社の課題を明確にする

副業人材を採用する前に、自社にどのような課題があるのか洗い出しておきましょう。必要な人材は、マンパワー不足・スキルやノウハウ不足・組織体制改善など経営課題によって異なります。

たとえば、定型業務のマンパワーが不足している場合には、タスク型での副業人材の活用が適切です。また、ECサイト構築のスキルやマーケティングのノウハウが不足しているなら、各分野の専門知識やスキルをもつ人材が必要となってきます。

自社の課題を明確にしておくと必要な副業人材を把握でき、ミスマッチを防止できます。

②副業人材の活用方法を検討する

必要な人材が把握できたら、活用方法を検討します。人材仲介会社や、クラウドソーシングの利用など、さまざまな方法が提供されています。

そのほか、非営利法人が提供する求人ステーション、経営支援機関や地域の金融機関の仲介など、活用手段は多彩です。それぞれの特徴を把握し、自社に合った方法を選択しましょう。

③副業人材を受け入れる環境を整える

副業人材がベストパフォーマンスを発揮するためには、環境やマネジメントの整備が必要です。具体的には、下記の整備ポイントがあります。

整備のポイント

● リモート環境、テレワーク環境の整備
● タスク管理方法の整備
● 進捗状況の共有
● NDA(秘密保持契約)を結んだうえでの情報共有
● ファイル共有やコミュニケーションに必要なITツールの導入
● 業務内容の明確化

まとめ

生産年齢人口が年々減少していく状況のなか、会社の事業に必要な人材獲得には困難が伴います。副業人材は、人材不足を解消する有力な選択肢です。

「経営課題を解決したいが、フルタイム従業員の雇用は費用が高い」という状況の場合、副業人材は有用な選択肢といえるでしょう。必要なときに必要なスキルやノウハウをもった人材を活用できる点もメリットです。

副業人材を活用する際は、自社の課題を明確にして適切な副業人材と連携しましょう。副業人材の活用に限りませんが、新たな手法を導入する際には事前の検討と準備が大切です。副業人材を受け入れる環境づくりにも配慮し、会社の成長に役立ててください。

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よくある質問

副業人材とは?

副業人材とは、本業以外の時間を利用して副業を行う人材です。

副業人材を詳しく知りたい方は「副業人材とは? 」をご覧ください。

副業人材を活用するメリットは?

副業人材を活用するメリットは以下の通りです。

● 必要なときに必要な人材を活用できる
● 正社員と比べると人件費を抑えられる
● マンパワー不足を解消できる
● オープンイノベーションや組織の活性化が期待できる

メリットを詳しく知りたい方は「副業人材を採用するメリット」をご覧ください。

監修 羽場康高(はば やすたか) 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

現在、FPとしてFP継続教育セミナー講師や執筆業務をはじめ、社会保険労務士として企業の顧問や労務管理代行業務、給与計算業務、就業規則作成・見直し業務、企業型確定拠出年金の申請サポートなどを行っています。

監修者 羽場康高