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電子帳簿保存法で2ヶ月と7営業日の入力期限を過ぎたらどうなる?期限後の対応方法も解説

監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ

電子帳簿保存法で2ヶ月と7営業日の入力期限を過ぎたらどうなる?期限後の対応方法も解説

電子帳簿保存法とは、決算関係書類や各種帳簿などの税務関係帳簿・書類を電子データで保存することについて定めた法律であり、保存区分は「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つがあります。

そのうち「スキャナ保存」では、紙の文書をスキャナで読み取る入力期間が定められており、期間は最長で受領した日から2ヶ月と7営業日です。本記事では、スキャナ保存の概要とともに入力期間を過ぎてしまったときの対応について解説します。

目次

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電子帳簿保存法には2ヶ月と7営業日の入力期間がある

電子帳簿保存法に準じた保存法は「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つに分けられます。

区分概要
電子帳簿等保存 ・パソコンなどで作成した帳簿や国税関係の書類を電子データのまま保存すること
・たとえば、DVDなどのメディアや会計用のソフトで作成した仕訳帳、請求書の控えなどが該当。クラウドサービスなどを利用してサーバーに保管したデータなども含まれる
スキャナ保存 ・取引した紙の書類をスマホで撮影、もしくはスキャナで読み取り、電子化して保存すること
・スキャナでの保存は、電子データに変換する際の改ざんを防止する観点から、システム要件や保存までの日数制限が定められている
電子取引データ保存 ・注文書や契約書などの取引情報を電子データで行った際に、そのまま書類を電子データで保存すること
・電子データで受領する書類は、利用者がデータを改ざんできないクラウドサービスを利用していれば、タイムスタンプ不要で保存可能
・電子取引データ保存に関しては猶予措置が設けられている

このうち、「スキャナ保存」については、スキャナで文書を読み取り保存するまでの入力期間が定められています。入力期間は、以下のうちどちらかの方式を採用します。

名称概要
早期入力方式書類を作成または受領したタイミングを基準として、作成または受領してから速やか(おおむね7営業日以内)にスキャナ保存する
業務処理サイクル方式それぞれの企業において採用している業務処理サイクルの期間(最長2ヶ月以内)を経過した後、速やか(おおむね7営業日以内)にスキャナ保存する
出典:国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存」

業務処理サイクル方式は、社内で書類の作成または受領からスキャナ保存するまでの処理規程を定めている場合のみ採用できます。つまり、入力期間の最長は、処理規程を定めていない企業は7営業日、処理規程を定めている企業は2ヶ月と7営業日と考えておくとよいでしょう。

なお、見積書や注文書、検収書のような一般書類は、事務の手続き(責任者、スキャナ保存の手順や方法など)を明示した書類を備え付けると期間の制限なくスキャナ保存できます。


出典:国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存」
出典:国税庁「Ⅱ 適用要件【基本的事項】 問59」

【関連記事】
電子帳簿保存法とは?対象書類や保存要件・改正内容についてわかりやすく解説

入力期間内にはタイムスタンプの付与も必要

タイムスタンプとは、ある時刻にその電子データが存在していたことや、その付与の時間以降は改ざんされていないことを証明する技術のことです。

スキャナ保存の対象書類は資金や物の流れに直結する「重要書類」と、資金や物の流れに直結しない「一般書類」に分類されており、それぞれタイムスタンプの付与が求められます。

重要書類一般書類
・契約書
・納品書
・請求書
・領収書 など
・見積書
・注文書
・検収書 など
出典:国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存」

重要書類については、タイムスタンプを入力期間内にスキャナデータごとに付与しなくてはなりません。

一般書類も7営業日以内または2ヶ月と7営業日以内の期間にタイムスタンプを付与しますが、責任者や入力の方法などを明確にした書類を備え付ければ、入力期間の制限なく保存できます。

ただし、システムの機能などによってデータが保存された時刻が記録され、時刻の変更が行われていないことが確認できる場合は、データ保存の正確性が担保されていると見なされるためタイムスタンプは不要です。


出典:国税庁「はじめませんか、書類のスキャナ保存」

【関連記事】
「タイムスタンプとは?電子帳簿保存法との関係や仕組みを紹介」

スキャナ保存の電子化期限を過ぎたときの対応方法

前述の早期入力方式で、やむを得ない事由によって7営業日以内に書類の入力ができなかった場合、その事由が解消してすぐに入力すれば、速やかに入力したものとして扱われます。

たとえば、事務所への出勤日が限られている社員が、受領した書類をスキャンし電子化するケースもあるでしょう。それらを一律に排除することは合理的でないことから、「おおむね」7営業日以内に入力すれば、速やかに入力しているものとして取り扱われるのです。

もし故意に違反したり改ざんをしたりした場合には、罰則の対象となる可能性があります。電子帳簿保存法の罰則については別記事「電子帳簿保存法を導入しない場合はどうなる?デメリットや罰則について解説」で詳しく解説しています。


出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】 問22、24」

スキャンミスが発生したときの対応方法

スキャナ保存を行ったものの、入力期間の経過後に折れ曲がりなどのスキャンミスが発生した場合、以下の条件でスキャンをやり直せば問題ありません。

スキャンのやり直しの条件

  • 折れ曲がりなどのあった書類が再度読み取る書類と同一であることを確認できる
  • 最初の読み取りが入力期間内に行われている(最長2ヶ月と7営業日)
  • 当該スキャンミスを把握してからその業務の処理に係る通常の期間(最長2か月7営業日)以内に再度タイムスタンプを付与している
  • スキャンミスした電磁的記録についても、読み取りし直した電磁的記録の訂正や削除などの履歴(ヴァージョン管理)に基づき保存している

出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】 問29」

企業のシステムや管理方法に合わせて経費の精算システムなどを活用するとともに、スキャンミスの防止に努めましょう。

電子帳簿保存法の導入以前の書類もスキャナ保存が可能

電子帳簿保存法の導入前に発行・受領した書類に関しても、スキャナ保存が可能です。

2019年度の税制改正により、スキャナ保存の承認を受けている保存義務者は所轄税務署長等に適用届出書を提出した場合、承認を受けて保存を開始する日より前に作成または受領した重要書類(過去分重要書類)を一定の要件の下でスキャナ保存できることになりました。

適用届出書を提出した後は入力期間に制限がないため、作業が数ヶ月に渡っても問題ありません。

ただし、同じ種類の過去分重要書類について何度も適用届出書を提出することはできません。本来、重要書類は作成・受領後の速やかなスキャナ保存を原則としているため、適用届出書の提出を繰り返すことで継続的にスキャナ保存がなされることを防ぐためです。


出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】 問55」

まとめ

電子帳簿保存法の保存区分は「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つに分かれます。

そのうちスキャナ保存とは、紙の書類をスキャナやスマホを使って電子化して保存するもので、定められた入力期間内にスキャナ保存やタイムスタンプ付与などをする必要があります。定められた入力期間とは、7営業日または2ヶ月と7営業日のどちらかです。どちらが適用されるかは、社内の処理規程の有無によって異なります。

電子帳簿保存法についてしっかりと理解し、タイムスタンプや入力期間などを確認してデータを保存しましょう。

電子帳簿保存法の要件を満たしながら帳簿書類を簡単に電子保存する方法

電子帳簿保存法に従って帳簿や書類を電子保存するためには、さまざまな保存要件を満たさなければなりません。タイムスタンプの付与や検索機能の確保など、環境構築からはじめなければならないような要件も多く、担当者に大きな負担がかかってしまいます。

そこでおすすめしたいのが、電子帳簿保存法に対応したシステムの導入です。システムの導入によって、帳簿書類を電子帳簿保存法の各要件を満たしながら簡単に電子保存できます。

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よくある質問

電子帳簿保存法のスキャナ保存で2ヶ月と7営業日を過ぎたらどうなりますか?

早期入力方式など、やむを得ない事由によって7営業日以内に入力できなかった場合は、その事由が解消した後に直ちに入力すれば速やかに入力したものとして扱われます。

詳しくは記事内「スキャナ保存の電子化期限を過ぎたときの対応方法」をご覧ください。

電子帳簿保存法のスキャナ保存における入力期限とは?

スキャナ保存を行うまでの期間として、おおむね7営業日以内または2ヶ月と7営業日以内の期限が定められています。どちらを採用するのかは、社内で書類の処理規程を定めているかどうかで決まります。

詳しくは記事内「電子帳簿保存法には2ヶ月と7営業日の入力期間がある」で解説しています。

監修 宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上に及ぶ。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表としてコンサルティング、税務対応を担当。また、事業会社の財務経理を担当し、複数企業の取締役・監査役にも従事。

税理士・CFP® 宮川真一

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