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自営業やフリーランスが対象になる出産・育児の給付金を紹介!

監修 竹国 弘城 1級FP技能士・CFP

自営業やフリーランスが対象になる出産・育児の給付金を紹介!

自営業の人は会社員と受けられる支援が異なる場合があります。今回は自営業・フリーランス・ギグワーカーの人が出産・育児の際にもらえる給付金などを解説します。

出産・育児に際して受けられる支援制度は活用しつつ、受けられない部分は自分で備えなくてはなりません。また、働き方によって支援内容が変わる現状を改善するため、新しい支援制度も検討されています。

目次

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自営業やフリーランスの人が対象になる出産・育児の支援

自営業やフリーランス・ギグワーカーにあたる働き方をしている人は、以下のような出産や育児の支援が受けられます。

自営業の人が受けられる出産・育児支援

● 妊婦健康診断の費用助成
● 出産育児一時金
● 出産・子育て応援交付金
● こども医療費助成
● 児童手当
上記の支援は、働き方に関係なく受けられます。

妊婦健康診査の費用助成

妊婦健康診査(妊婦健診)はケガや病気での受診ではないため保険は適用されませんが、自治体から費用の助成を受けられます。

妊娠中は妊婦自身と赤ちゃんの状態を検査するため、妊婦健診の受診が推奨されていますが、保険適用外のため通常の受診と比べると自己負担が重くなりがちです。

自治体からの費用助成があれば金銭的な負担が軽減され、妊婦健診を受診しやすくなります。

妊婦健診の費用助成は、会社の健康保険(被用者保険)の支援制度ではないため、自営業やフリーランス・ギグワーカーも対象です。

費用助成は、各自治体の窓口へ届け出ると、母子手帳とともに受診券(補助券)を交付してくれる形式が一般的です。

自治体ごとに補助内容は多少異なりますが、多くの場合、厚生労働省が望ましいとする妊娠初期から出産までの期間に受ける14回分の検診費用を補助してくれます。

出産育児一時金

出産育児一時金は、出産時の経済的負担を軽減するため、一時金が支給される制度です。

妊娠4ヶ月(85日)以上経過して出産した公的医療保険の被保険者または被扶養者が対象であり、国民健康保険に加入する自営業・フリーランス・ギグワーカーの人も受け取れます。

本制度は子育て世帯の支援強化や少子化対策の観点から、2023年4月に支給額の増額が行われました。

2023年4月1日以降に出産した場合の支給額は、妊娠22週以上で産科医療補償制度に加入している医療機関での出産は子ども1人につき50万円、妊娠22週未満または産科医療補償制度に未加入の医療機関での出産は子ども1人につき48.8万円です。

なお、双子など多胎児を出産した場合は、上記の金額に人数をかけた金額を受け取れます。

出産育児一時金の受け取りは、3つの方法があります。

出産育児一時金の受け取り方法

● 直接支払制度:公的医療保険から医療機関へ直接支払われる
● 受取代理制度:医療機関が被保険者に代わって受け取る
● 事後申請:保険者に申請して被保険者が受け取る
直接支払制度と受取代理制度は医療機関が受け取る点は同じです。直接支払制度は請求手続きを医療機関が代行してくれるのに対し、受取代理制度は被保険者での請求手続きが必要です。

【関連記事】出産育児一時金とは?増額されるのはいつから?金額や申請方法をわかりやすく解説

出産・子育て応援交付金

出産・子育て応援交付金は、妊婦や子育て家庭を対象に、ニーズに即した伴走型の相談支援と経済的支援(出産・子育て応援ギフト)を一体で実施する制度です。

各自治体が主体となって実施する制度であり、自営業・フリーランス・ギグワーカーの人も利用できます。

伴走型の相談支援では、妊婦や主に0歳〜2歳の低年齢期の子育て家庭を対象に、出産・育児の見通しを立てるための面談や継続的な情報提供などを受けられます。

経済的支援は、妊娠届け出時および出生届け出時に、それぞれ5万円相当(計10万円)の「出産・子育てギフト」が支給されるものです。支給方法は自治体ごとの判断で決定され、以下のような方法で行われます。

出産・子育てギフトの支給方法(例)

● 出産・育児関連商品の商品券(クーポン)
● 妊婦健診交通費やベビー用品などの費用助成
● 産後ケア・一時預かり・家事支援サービスなどの利用料助成・減免
● 現金給付
出産・子育てギフトを受けるには、所定の面談を受けることが条件です。具体的な支援内容・方法は、お住まいの自治体の担当窓口でご確認ください。

こども医療費助成

こども医療費助成は健康保険診療の範囲内で、自己負担となる子どもの医療費を助成する制度です。

公的医療保険に加入する子どもが対象であり、国民健康保険に加入する自営業・フリーランス・ギグワーカーの人も、子どもが国民健康保険に加入していれば助成を受けられます。ただし、所得制限が設けられている自治体では、世帯の所得次第で助成を受けられません。

助成対象となる子どもの年齢や医療費の範囲、所得制限や自己負担の有無などは自治体ごとに異なります。詳細は、お住まいの自治体のホームページや担当窓口などで確認してください。

児童手当

児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後に迎える3月31日まで)の子どもを養育している人を対象とした支援制度です。

子どもの年齢によって異なる金額が支給されます。

年齢ごとの支給金額(2024年9月分まで)

● 3歳未満:月額15,000円
● 3歳以上小学校修了前:月額10,000円(第3子以降は15,000円)
● 中学生:月額10,000円
支給時期は6月、10月、2月の年3回、各回に4ヶ月分まとめて受け取ります。

児童手当は自営業・フリーランス・ギグワーカーなど働き方にかかわらず受け取れますが、所得制限が設けられています。そのため、世帯の所得次第では受け取れません。

また、児童手当を受け取るには、子どもの誕生時やほかの市町村から転入時に、現住所の市区町村へ「認定請求書」の提出が必要です。

なお、児童手当は2024年10月より拡充が予定されています。

拡充される児童手当の変更点

● 支給対象年齢の引き上げ(高校卒業まで)
● 所得制限の撤廃
● 第3子以降の支給額を倍増(15,000円から30,000円)
● 支給回数を年3回から年6回に変更
現行の児童手当は中学校卒業まで(15歳の誕生日後に迎える3月31日まで)が対象ですが、高校卒業まで(18歳の誕生日後に迎える3月31日まで)に支給対象年齢が引き上げられます。

現行の児童手当拡充案
0〜2歳月額15,000円月額15,000円
3歳〜小学生月額10,000円月額10,000円
中学生月額10,000円月額10,000円
高校生なし月額10,000円


上記の拡充は2024年12月支給分から実施され、支給回数は年3回から年6回に変更される見込みです。

自営業やフリーランスの人は対象外になる出産・育児の支援

自営業やフリーランス・ギグワーカーの人は、会社の健康保険制度や雇用保険制度からの支援がないため、以下の出産・育児に関する支援は受けられません。

対象外の支援

● 出産手当金
● 出生時育児休業給付金
● 育児休業給付金

出産手当金

出産手当金は、出産のために仕事を休み、休んでいる間に給料が支払われなかった場合、加入している健康保険から支給される手当です。

会社の健康保険や公務員などの共済組合加入者本人が対象となるため、国民健康保険に加入している自営業・フリーランス・ギグワーカーの人には支給されません。

出産手当金が支給される日は、出産日または予定日以前の42日から出産翌日以後の56日目までの範囲です。仕事を休んで給料が支払われなかった(給与額が出産手当金額以下となった)期間が対象です。

出産手当金は産前産後の経済的な支えになります。出産手当金を受け取れない自営業・フリーランス・ギグワーカーの人の場合は、出産で働けなくなると収入が途切れてしまうおそれがあります。

働けない期間ができても生活に困らないよう、自分で備えておかなければなりません。

出生時育児休業給付金

出生時育児休業給付金は、生まれた子どもの養育を目的に出生時育児休業を取得した場合、雇用保険から支給される育児休業給付のひとつです。

受給するには賃金支払日数や休業開始日、休んでいる間に賃金が支払われていないなどの条件があります。対象期間は「出産日または予定日のいずれか早い日」から、「出産日または予定日のいずれか遅い日から起算して8週間経過する日の翌日」までの期間内で、4週間(28日)以内です。

出生時育児休業給付金は、仕事を休んでいる期間に受け取れ産後の生活を安定させてくれます。しかし雇用保険に加入していない自営業・フリーランス・ギグワーカーの人は受け取れません。

育児休業給付金

育児休業給付金は、1歳または1歳2ヶ月未満の子を養育するために育児休業を取得した場合、雇用保険から支給される育児休業給付のひとつです。

受給するには賃金支払日数や休業開始日、休んでいる間に賃金が支払われていないなどの条件があります。また、一定の条件に該当すれば、子どもが1歳6ヶ月または2歳未満まで、対象期間が延長されます。

育児休業給付金も出生時育児休業給付金と同様、雇用保険から支給されるため、自営業・フリーランス・ギグワーカーの人は対象外です。

自営業やフリーランスへの育児期間の給付創設が検討される背景

働き方の違いで受けられる出産・育児の支援制度に差がある状態を解消するため、自営業やフリーランス・ギグワーカーの人を対象にした、育児期間中の給付創設が検討されています。

新たな給付の創設は、第9回全世代型社会保障構築会議で検討すべき課題として挙げられました。全世代型社会保障構築会議は、全世代対応型の持続的な社会保障制度を構築する観点から、社会保障全般の総合的な検討を行うために開かれる会議です。

支援制度の差の解消は中長期的な課題として計画的に取組を進めるとしており、実現が期待されています。

以下では、会社員や公務員に比べて手薄だった自営業やフリーランス・ギグワーカーへの支援拡大が検討されるに至った背景を解説します。

多様な働き方を選べる社会保障制度が必要

現代では価値観やライフスタイルが多様化しており、自営業・フリーランス・ギグワーカー含め、どのような働き方を選んでも安心して生活できる社会保障制度が必要です。

自営業やフリーランス・ギグワーカーだから社会保障を受けられず何かを諦めるなど、働き方でライフプランが制限される社会にしないため、制度の拡充が求められています。

少子化対策には自営業・フリーランスへの支援も重要

少子化を改善して出生率を上げるには、出産・育児の負担軽減や社会全体の賃上げなどの対策が重要です。

しかし現状は、自営業やフリーランス・ギグワーカーとして働くと対象から外れる支援制度もあり、子どもを望む人のネックになっています。

自営業・フリーランス・ギグワーカーの人が受けられる支援制度を広げ、働き方にかかわらず安心して出産や育児に臨める社会を作るため、新しい給付制度が検討されています。

まとめ

自営業・フリーランス・ギグワーカーの場合、妊婦健康診査の費用補助や出産育児一時金、出産・子育て応援交付金、こども医療費助成、児童手当は受け取れます。しかし、出産手当金や出生時育児休業給付金・育児休業給付金は受け取れません。

こうした対象外の支援制度があるため、自営業やフリーランス・ギグワーカーの人は、会社員や公務員に比べ、妊娠・出産・育児にかかる費用負担が重くなりやすいのが現状です。

そこで自営業・フリーランス・ギグワーカーの人も安心して出産・育児できる社会にするため、現在新たな制度が検討されています。

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よくある質問

自営業やフリーランスでも受けられる出産・育児の支援はある?

妊婦健康診査の費用補助、出産育児一時金、出産・子育て応援交付金、こども医療費助成、児童手当です。

自営業やフリーランス・ギグワーカーの人でも受けられる出産・育児の支援を詳しく知りたい人は「自営業やフリーランスの人が対象になる出産・育児の支援」をご覧ください。

自営業やフリーランスだと受けられない出産・育児の支援はある?

出産手当金、出生時育児休業給付金、育児休業給付金です。

自営業やフリーランス・ギグワーカーの人だと受けられない出産・育児の支援を詳しく知りたい人は「自営業やフリーランスの人は対象外になる出産・育児の支援」をご覧ください。

監修 竹国弘城(たけくに ひろき) 1級FP技能士・CFP

RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうための活動を行う。

監修者 竹国弘城