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スケールアップ企業とは?スタートアップとの違いや事業を成長させるための要素を解説

監修 内山 貴博 1級FP技能士・CFP

スケールアップ企業とは? スタートアップとの違いや事業を成長させるための要素を解説

スケールアップ企業とは、立ち上げから数年で急激な規模拡大をしている会社です。本記事では、スケールアップ企業の概要などを解説します。

日本は、他国と比べるとスタートアップ企業およびスケールアップ企業の数が多くありません。そこで政府は企業の成長を支援するため、さまざまな施策を講じています。

スタートアップとの違いスケールアップ企業が抱える課題に関しても解説します。ぜひ参考にしてください。

目次

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スケールアップ企業とは

スケールアップ企業とは、立ち上げから数年ほどで急激な規模拡大をしている会社です。

革新的なビジネスを始めた会社や組織を「スタートアップ」と呼びますが、スケールアップ企業は、スタートアップの次の段階にいる状態を指します。

スタートアップ企業がスケールアップ企業に成長するメリットとして、次の2点が挙げられます。

スケールアップ企業に成長するメリット

  • 将来の大企業の創出につながる
  • 経済や社会の活性化につながる
スタートアップからスケールアップに進んだと判断する基準のひとつが、ユニコーン企業への仲間入りしたタイミングです。ユニコーンとは、評価額10億ドル以上、設立10年以内の非上場のベンチャー企業です。

2022年7月時点でユニコーン企業と認められているのは、米国で633社、中国で173社あります。しかし、日本企業でユニコーンまで成長した会社は、6社に留まっています。

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出典:内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局「令和4年10月 スタートアップに関する基礎資料集」

ユニコーンへの成長がゴールではありませんが、世界的にみると日本のユニコーン企業の数が少ないことは明白です。

スタートアップ企業との違い

スタートアップ企業とスケールアップ企業の主な違いは、その会社や組織が置かれている成長過程です。

スタートアップ企業は、「ゼロから1を生み出す」ことを目指します。対して、スケールアップ企業が置かれているのは、「1から10、100、1000」など目指す数値を引き上げていく段階です。

スタートアップ企業の明確な定義はありませんが、もともとは「新しく設立されたばかりの企業」という意味をもちます。スタートアップに分類される企業には、以下の特徴があります。

スタートアップ企業の特徴

  • 成長スピードがはやい
  • ビジネスに斬新性がある
  • 出口戦略を検討している
またスタートアップ企業は、「初期の事業の成果がそれほど出ていない状態」あるいは「メインとなる製品やサービスが固まっていない状態」の場合が多い傾向にあります。

一方、スケールアップに成長した企業の特徴は次の通りです。

スケールアップ企業の特徴

  • 売上が倍以上に増えている
  • 雇用を増やさないと顧客対応に間に合わない
上記のように、急成長を遂げている状態の企業を「スケールアップ企業」といいます。置かれている成長のステージが違うため、スタートアップ企業とスケールアップ企業では抱える課題も異なります。

スタートアップ企業の現状とスケールアップにおける課題

岸田内閣は、2022年を「スタートアップ創出元年」として支援の強化を行っています。政府による後押しもあり、日本のスタートアップの事業環境は改善されているといえるでしょう。

スタートアップ企業の資金調達額に関して、2013年は877億円でしたが、2022年では9,459億円まで伸びています(※)。また大学発ベンチャー企業数や国内ユニコーン数も増加傾向にあります。

※出典:経済産業省 大臣官房スタートアップ創出推進室「スタートアップ政策について」

しかし世界と比べると、スタートアップ企業の数は依然として多いとはいえません。企業の成長スピードや規模なども他国との差は目立っています。

世界との差が開いている要因のひとつとして、日本のスタートアップ企業がスケールしないことが挙げられます。スタートアップの成長を支える人材や、資金が不足していることも重要課題です。

より多くのスタートアップ企業が課題を乗り越え大きく成長すれば、経済や社会の活性化につながり、他国と比べて遜色のないレベルになるでしょう。

スケールアップ企業に成長するための4つの要素

スケールアップ企業と判断される基準のひとつであるユニコーンの共通点をもとに、企業がスケールアップ企業に成長するための4つの要素を説明します。

スケールアップ企業に成長するための4つの要素

  • 海外へ事業展開する
  • 海外から資金調達する
  • 日本の特性を活用する
  • グローバルな交流・連携を促進する
上記の4つの要素は必須ではありませんが、海外を視野に入れたり自国の特性を活かしたりすることは、スケールアップ企業に成長するために有効な策といえます。

海外へ事業展開する

手掛ける事業が国内で十分な市場規模を有していない場合、海外で市場を探すことになります。海外への事業展開が必要かどうか判断する際、次の2点がポイントです。

海外展開の要否を判断するポイント

  • 国内に潜在的な市場規模があるかどうか
  • 市場で高いシェアを握る可能性があるかどうか
人口が多くなくても、市場において高いシェアを見込める場合は、必ずしも海外展開する必要はありません。しかし国内での潜在的な市場規模や高いシェアを見込めない場合は、海外展開も視野に入れる必要があるでしょう。

海外から資金調達する

事業を大きく成長させるには、まとまった資金が必要になるでしょう。しかし世界的にみて、日本のベンチャーキャピタルの規模は小さいという課題があります。

国内で十分な資金を調達するのが難しい場合、「海外から投資してもらう」のは有効な手段のひとつです。実際にユニコーンまで成長した日本企業の多くが、海外から資金を調達しています。

また海外から資金を集める場合、1社からまとまった資金を調達できるケースが多い点はメリットです。

日本の特性を活用する

スケールアップへ後押しする要素のひとつに、「自国の特性・強みを活かす」ことが挙げられます。

日本の場合、研究開発力は世界でトップクラスを誇ります。さまざまな研究分野がありますが、とくに化学・物理科学・生命科学が有力なジャンルです。

国際競争力の高い分野でビジネスを展開すれば、大きく成長する可能性が高まるでしょう。

グローバルな交流・連携を促進する

事業環境や資金調達は大切ですが、グローバルな交流や連携もビジネスの成長に関わります。

ユニコーンまで成長した企業の特徴として、グローバル経験が豊富な人材を積極的に採用するなど、「異なる背景をもつ人との交流・連携を促進している」点が挙げられます。

採用する人材を日本人・日本国内に居住する人などに限定せず、外国人や海外に居住する人にも幅を広げることが大切です。

まとめ

スケールアップ企業とは、スタートアップの次段階の状態にいる会社や組織をいいます。スタートアップとは異なり、一定の事業成果を出しており、短期間で急成長している状態です。

日本のスタートアップ企業の事業環境は向上していますが、世界と比べると成長スピードなどは依然として遅れています。世界との差を縮めるには、スケールアップ企業に成長できるスタートアップ企業の創出が必要です。

スケールアップ企業へ成長するために有効な手段として、海外からの資金調達や自国の特性を活かす事業展開が挙げられます。

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よくある質問

スケールアップ企業とは?

スケールアップ企業とは、設立して数年ほどで急激な規模拡大をしている会社や組織を指します。

スケールアップ企業の概要やスタートアップ企業との違いを知りたい方は、「スケールアップ企業とは」をご覧ください。

スケールアップ企業に必要な要素とは?

スケールアップ企業に成長するための要素として、「海外展開する・海外から資金調達する・自国の特性を活かす・グローバルな連携や交流を促進する」ことが挙げられます。

4つの要素について詳しく知りたい方は、「スケールアップ企業に成長するための4つの要素」をご覧ください。

監修 内山貴博(うちやま たかひろ) 1級FP技能士・CFP

大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。

監修者 内山貴博