公開日:2024/06/04
監修 北田 悠策 公認会計士・税理士
リバウンド需要とは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で落ち込んでいた経済活動がコロナ禍前の水準に戻る(または上回る)動きのことです。
本記事では、リバウンド需要が発生した背景や、リバウンド需要が特に高い分野を解説します。
停滞していた経済が動き始め、消費活動の回復傾向にあわせてさまざまな需要が高まっています。企業には、リバウンド需要に対する取り組みが必要です。
企業の取り組みも説明するので、ぜひ参考にしてください。
目次
リバウンド需要が発生する背景とは
リバウンド需要とは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で落ち込んでいた経済活動がコロナ禍前の水準に戻る(または上回る)動きのことです。
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、世界の経済は一時期、大きく落ち込みました。コロナショックによる倒産や閉店が相次ぎ、一般家庭でも収入が不安定になるなど悪影響を及ぼしたのは記憶に新しいでしょう。
健康や経済状況に不安を抱えながら、感染拡大防止のため消費活動を控える時期が長く続きましたが、現在では国内外で感染症拡大防止のための各種規制が解除されました。
日本でも新型コロナウイルス感染症が5類に移行され日常が戻りつつあるなか、消費が回復し経済も動き始めています。
また、消費ニーズの高まりにあわせ人材の需要も高くなりつつあり、求人市場は活発化しています。
リバウンド需要が特に高い分野
リバウンド需要が特に高い分野
- 観光業
- 飲食業
観光業
日本政府観光局が発表したデータによると、2023年12月の訪日外客数は2,734,000人でした(※)。多くの外国人旅行客が観光を目的に来日しており、コロナ禍以降の最多を更新しました。
※出典:JNTO「訪日外客数(2023年12月および年間推計値)」
円安の状況は外国人旅行客にとってメリットが大きく、インバウンド消費は今やわが国の経済の重要な要素のひとつです。
観光業は人材の需要も高い分野ですが、同時に人手不足が課題です。ホテルや旅館ではコロナ禍で整理した人員が戻らず、需要の回復に対応しきれないケースがあります。
また、労働者の残業時間が制限される2024年問題を背景に、タクシーやバスの運転手も不足しています。政府は、外国人労働者の受け入れ拡大やライドシェアなどの施策を講じていますが、人材難はすぐには解消されない可能性も考えられます。
飲食業
コロナ禍では、外出自粛・テレワークにともない、デリバリーやテイクアウト、オンライン飲み会が主流となった時期がありました。日常が戻った消費者の意識は外食に移行傾向にあり、宴会の実施を再開する企業も出てきました。
飲食業はコロナ禍で売上が大きく落ち込んだため、反動がリバウンド需要につながっています。
リバウンド需要で転職市場の求人数が増加
活動自粛の影響を受け人材の採用を見送っていた企業が、コロナ禍を経て採用活動を再開し始めました。
物価上昇のニュースが続くなか、全国的に賃上げ・ベースアップの動きも見られます。企業は今後、人材の確保に苦戦する可能性が考えられます。
リバウンド需要で企業に求められる取り組み
リバウンド需要に対する企業の注意点
- 賃金水準・待遇の見直し
- インバウンド対応
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の採用
賃金水準・待遇の見直し
リバウンド需要に直接関係しない業態の場合でも、転職市場の活況で新規採用が難しくなる場合があるほか、より高い給与・待遇を求める既存の従業員にも転職される可能性が考えられます。
流出のリスクが想定される場合、企業は離職を防止し、人材を定着させるため職場環境の整備に取り組むべきです。
また、人材の確保が困難な場合は、待遇・給与水準のアップデートが必要かもしれません。周囲の相場も調べながら雇用条件の見直しを行い、採用につなげましょう。
インバウンド対応
ウェブサイト・店頭案内などを多言語化して外国人客が利用しやすい環境を整備しましょう。翻訳ツールなども活用し、簡単なコミュニケーションが取れると喜ばれます。
また、日本文化の体験や、外国の食文化に配慮したメニューの提供も効果的です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の採用
人材が不足している環境にリバウンド需要が重なると、業務がスムーズに遂行できなくなる可能性が考えられます。
事業を継続していくためには、適切な業務改善の対応が必要です。
現状の業務を見直し、改善可能なことがないか確認してください。可能であればキャッシュレス化やIT化などDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入を検討しましょう。
たとえば観光業であれば、宿泊施設のチェックイン・アウトがセルフでできるシステムや、チケットやガイドのデジタル化が考えられます。
接客や作業の現場だけでなく、総務や人事・経理などバックオフィス部門でも、ペーパーレス化・自動計算システムなどDXを検討できる部分はあります。
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まとめ
リバウンド需要が特に高い分野は観光業と飲食業です。
企業は人材の確保と流出防止に努め、インバウンド事業への対応やDX導入に取り組むべきです。
よくある質問
リバウンド需要とは?
リバウンド需要を詳しく知りたい方は、「リバウンド需要が発生する背景とは」をご覧ください。
リバウンド需要が高い分野は?
リバウンド需要が高い分野を詳しく知りたい方は、「リバウンド需要が特に高い分野」をご覧ください。
監修 北田悠策(きただ ゆうさく) 公認会計士・税理士
神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。