公開日:2023/10/26
監修 松浦絢子 弁護士
景品表示法が改正されて罰則が強化される予定です。本記事では2023年に成立した改正景品表示法の内容や改正に伴う注意点を紹介します。
改正法はいつから施行されるのか、今回の改正でポイントになる点は何か、経営者や企業の担当者は理解しておく必要があります。
目次
2023年に成立した改正景品表示法とは?
改正景品表示法は、消費者の保護を強化するため、罰則の内容が変更されます。2023年5月に成立し、2024年に施行される予定です。
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)とは、商品を実際より良く見せかける表示や、過大な景品類の提供から消費者を保護するための法律です。商品・サービスの品質や内容、価格等を偽って表示することが厳しく規制されています。
消費者に誤解を与えるインターネット広告などが問題になるなか、事業者の自主的な取り組みを促進し、違反行為への抑止力を強化するために改正されます。
商品の販売やサービスの提供を行う事業者は、景品表示法の改正内容を理解するとともに、社内で周知・徹底して法に則った事業運営を行わなければなりません。
改正景品表示法における3つの変更点
景品表示法の主な改正ポイントは、次の3点です。
景品表示法の主な改正ポイント
● 事業者の自主的な取り組みの促進● 違反行為に対する抑止力の強化
● 円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等
1.事業者の自主的な取り組みの促進
「事業者の自主的な取り組みの促進」とは、具体的には「確約手続の導入」と「課徴金制度における返金措置の弾力化」の2つです。
「確約手続」とは、景品表示法に違反した疑いのある事業者が一定の手続きを行うことで、措置命令や課徴金納付命令などの行政処分を受けずに済む制度です。一般消費者が安心して商品やサービスを選択するうえで、必要だと判断された場合に行います。
具体的には、是正措置計画を作成・申請し、内閣総理大臣から認定を受けることで措置命令および課徴金納付命令の適用を受けずに済みます。
「課徴金制度における返金措置の弾力化」とは、消費者へ返金を行った場合に、金銭による返金に加え第三者型前払式支払手段も許容するというものです。
第三者型前払式支払手段とは、いわゆる電子マネー等です。時代の変化にあわせて、改正法では電子マネー等による返金も認められます。
2.違反行為に対する抑止力の強化
「違反行為に対する抑止力の強化」とは、具体的には「課徴金制度の見直し」と「罰則規定の拡充」の2つです。
改正法では、違反行為から遡り10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対して、課徴金の額を加算(1.5倍)する規定の新設などが行われます。
また優良誤認表示・有利誤認表示に対する直罰(100万円以下の罰金)が新設され、罰則規定が拡充される予定です。
3.円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等
「円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等」とは、具体的には「国際化の進展への対応」と「適格消費者団体による開示要請規定の導入」の2つです。
改正法では国際化に対応するため、措置命令等における送達制度の整備・拡充や、外国執行当局に対する情報提供制度の創設が行われます。
また一定の場合に、適格消費者団体は事業者に対し、表示の裏付けとなる根拠を示す資料の開示が要請できるように改正される予定です。
なお事業者は、当該要請に応ずる努力義務を負う旨の規定が新設されます。
景品表示法違反になる事例
つづいて、景品表示法違反になる具体的な事例を紹介します。
景品表示法に違反して罰則を科されないよう、商品やサービスに関する表示で注意すべきケースを確認しておきましょう。
事例①優良誤認表示
実際には原材料として使っていないにも関わらず、あたかもその原材料を使った商品であるかのように誤認させると、優良誤認表示にあたり景品表示法違反です。
実際とは異なる産地・原材料であると消費者に誤認させないよう、産地・原材料は適切に表示しなければいけません。
事例②優良誤認表示
店頭価格に関して、競合店の平均価格から値引きすると表示し、その平均価格を実際よりも高い価格に設定してから値引きした場合、景品表示法違反です。
商品やサービスの取引条件に関して、事実に相違して競争事業者のものより著しく有利であると一般消費者に誤認される表示は、景品表示法で禁止されています。
事例③その他誤認されるおそれがある表示
不動産の取引で、売約済みの物件をまだ売り出し中かのように表示すると、その他誤認されるおそれのある表示にあたります。
実在しない不動産や取引するつもりがない不動産を、消費者を誘引するための手段として表示してはなりません。
景品表示法の改正に伴う事業者の注意点
2023年に成立した景品表示法の改正では、消費者保護の観点から罰則の強化が盛り込まれました。
事業者は商品やサービスに関する表示を行う際、景品表示法に違反していないか、今まで以上に注意しなければなりません。
一方で景品表示法に違反した場合でも、消費者庁の判断により、一定の場合には措置命令や課徴金納付命令を回避できることがあります。
景品表示法に違反してしまった場合は法に則った対応を行い、適切・迅速な対処が求められます。現在および改正後の景品表示法の内容を理解し、社内での周知が重要です。
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まとめ
2023年に成立し、2024年に施行される予定の改正景品表示法のポイントは以下の3つです。
景品表示法の主な改正ポイント
● 事業者の自主的な取り組みの促進● 違反行為に対する抑止力の強化
● 円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等
違反してしまった場合は確約手続など法に則った対応を行い、適切・迅速に対処することが大切です。
ただし改正法では、課徴金制度の見直しと罰則規定の拡充により罰則が強化されます。事業者は景品表示法に違反していないか、今まで以上に注意しなければなりません。
よくある質問
2024年施行予定の改正景品表示法とは?
消費者に誤解を与える過度な宣伝が問題となる中で、景品表示法の改正法が2023年5月に成立し、2024年に施行される予定です。
改正景品表示法を詳しく知りたい方は「2023年に成立した改正景品表示法とは?」をご覧ください。
改正景品表示法での変更点は?
改正景品表示法での変更点は「事業者の自主的な取り組みの促進」「違反行為に対する抑止力の強化」「円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等」の3つです。
改正景品表示法での変更点を詳しく知りたい方は「改正景品表示法における変更点」をご覧ください。
監修 松浦絢子(まつうら あやこ) 弁護士
松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。