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LGWAN(総合行政ネットワーク)とは? 概要やメリット・デメリットを解説

監修 大柴 良史 社会保険労務士・CFP

LGWAN(総合行政ネットワーク)とは? 概要やメリット・デメリットを解説

LGWANは行政専用のネットワークです。高度なセキュリティレベルのシステムの下、通常のインターネットから切り離された回線で情報をやり取りします。

LGWANでは、全国の地方公共団体間でデータの共有・交換が可能です。行政サービスの品質・効率の向上を通じて、住民の生活の利便性も高まります。

本記事では、LGWANの概要メリットデメリットを解説します。

目次

LGWAN(総合行政ネットワーク)の概要

総合行政ネットワーク(Local Government Wide Area Network)を略してLGWANといいます。

LGWANは、全国の地方公共団体の組織内ネットワーク(庁内LAN)をセキュリティの高い回線で相互につなぎ、情報の共有・交換を可能にする行政専用のシステムです。

情報の横断的利用や、地方公共団体・国・利用者間の相互コミュニケーションの円滑化を目的に整備され、2001年度から各地で運用が始まりました。

現在、LGWANではすべての都道府県および市町村が接続されているほか、一部事務組合や広域連合などの利用も増えています。

LGWANの基本方針は以下の8項目です。

LGWANの基本方針

  • すべての地方公共団体を収容可能な行政内に閉じたネットワーク
  • 高度なセキュリティを確保
  • 情報通信分野における標準的な技術を採用
  • 政府共通ネットワークとの相互接続
  • すべての地方公共団体が現実に負担できる費用で運用
  • 各市町村や都道府県におけるネットワーク規模、多様な情報化の進度や方法の違いを吸収
  • 地方公共団体がもつ既存設備の有効利用
  • 電子メール、掲示板およびメーリングリスト等の横断的サービスを提供

出典:地方公共団体情報システム機構「LGWAN・総合行政ネットワーク」

LGWANのセキュリティ

LGWANは、セキュリティレベルの高さが特長です。

行政が専用で用いる閉域ネットワークであるため、一般的に使用されるインターネット回線には接続されていません。

また、LGWANには以下のセキュリティ対策が講じられています。

LGWANのセキュリティ対策

  • ファイアウォールによる防御
  • 通信経路の暗号化による盗聴防止
  • 侵入検知機能(IDS:Intrusion detection System)
  • SOC(Security Operation Center)の設置(専門家による24時間365日の監視)
  • 公開鍵暗号方式(PKI)による組織認証の実施

上記に挙げたさまざまな方法で、盗聴や改ざん・なりすましなどの脅威を排除する取り組みが行われています。


出典:地方公共団体情報システム機構「総合行政ネットワーク(LGWAN)の概要」

LGWAN-ASPサービスとは

LGWANで利用できる具体的なサービスとしては、電子メールやメーリングリスト・掲示板などが挙げられます。

また、府省や地方公共団体・公益法人・民間企業等がASP(Application Service Provider)としてLGWANを通じ、各種行政事務を行うためのアプリケーション・ サービスを提供しています。

LGWAN-ASPを構成するのは以下の5種類のサービスです。

LGWAN-ASPを構成するサービス

  • アプリケーションおよびコンテンツサービス
  • ホスティングサービス(アプリケーションが稼働するサーバー機器の提供と運用管理)
  • ネットワーク層および基盤アプリケーションサービス(IPアドレス・ドメイン名管理・基本プロトコル群(HTTP等)およびアプリケーション基盤(認証基盤、ディレクトリ基盤)の提供)
  • 通信サービス(LGWANに接続するための専用の回線)
  • ファシリティサービス(ホスティングサービスの機器設置スペースおよび電源などの設備提供・空調など環境管理)

ASPサービスの例としては、電子申請・届出・電子調達・電子入札・公共施設予約・電子決済・地方税処理・国民安全保護・住民票等証明書交付・地理情報の共有などが挙げられます。

上記は一部の例です。地方公共団体間で生じるIT格差の是正を目的に、ほかにもさまざまな場面でLGWAN-ASPのサービスが活用されています。

LGWAN利用のメリット

LGWANのメリットとして挙げられるのは以下の3点です。

LGWANのメリット

  • 地方公共団体(自治体)の行政事務サービスの効率化
  • 重複投資の抑制によるコスト削減
  • 住民に対するサービス品質の向上

それぞれのメリットを詳しく解説します。

地方公共団体(自治体)の行政事務サービスの効率化

LGWANは全国の地方公共団体同士を接続するほか、政府共通ネットワークとの相互接続を通じて国とのデータ共有も可能です。

広範囲の横断的な情報交換を実現し、行政が行う各種事務手続きの効率化や迅速化に寄与します。

重複投資の抑制によるコスト削減

LGWANは、すべての地方公共団体が共通して活用できる汎用的な通信ネットワークです。各地方公共団体が独自にシステムを構築する必要がありません。

回線などの環境を個別に準備せずに済むため、設備投資の重複がなくなり、維持・運用コストの削減にも繋がります。

住民に対するサービス品質の向上

LGWANは、住民が利用する行政サービスの利便性を向上させます。

LGWANによって、国や地方公共団体が連携すれば、その仕組みを活用し、生活に必要な行政情報の提供や各種申請・届出などの電子化が進みます。

その結果、住民に提供されるサービスの質の向上が期待できるでしょう。

LGWAN利用のデメリット

LGWANは、通常のインターネット回線からは切り離された行政専用の閉域ネットワークです。

回線が分かれているため、実務上、データを移動・共有する際の手順が増える可能性が考えられます。

ただし、リスクに備えるセキュリティ上の観点から見ると、別回線の環境はメリットです。データのやり取りの手間はかかるかもしれませんが、ネットワークの区別は情報漏えいなどを防止する対策にもなります。

まとめ

LGWANは、全国の地方公共団体同士を、通常のインターネットとは切り離された回線でつなぐ行政専用のネットワークです。

ファイアウォールや暗号化・侵入検知機能・監視システムなど、盗聴や改ざんを防ぐ複数の高度なセキュリティ対策が施されています。

LGWANを使用するメリットは、行政事務の効率化やコスト削減・住民サービスの向上です。

一方、データのやりとりに手間がかかる点はデメリットです。しかし、通常のインターネットから切り離された回線は、情報漏えいなどのリスクを回避するための手段としては有効な環境といえるでしょう。

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よくある質問

LGWANとは?

高度なセキュリティ対策が講じられた回線で、全国の地方公共団体をつなぐネットワークです。

LGWANを詳しく知りたい方は、「LGWAN(総合行政ネットワーク)の概要」をご覧ください。

LGWAN-ASPとはどんなサービス?

LGWANを通じて行政事務を行うためのサービスがLGWAN-ASPです。府省・公益法人・民間企業などが提供しています。

LGWAN-ASPを詳しく知りたい方は、「LGWAN-ASPサービスとは」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史