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リーガルチェックとは?重要性や社内外で実施する際の流れを解説

リーガルチェックとは?重要性や社内外で実施する際の流れを解説

リーガルチェックとは、契約書や取引に関する書類を法的な観点から確認し、リスクを回避するためのプロセスです。

しかし、法律の知識に詳しくない場合、そのプロセスに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、リーガルチェックに関する悩みや不安を解消するために、基本的な概要やその必要性に加え、どのように実施すればよいか、その流れや注意点を具体的に解説します。

目次

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リーガルチェックとは?

リーガルチェックとは、契約書の内容を法的な観点から確認し、問題がないかを精査する業務のことです。主に会社内の法務担当者や、会社から依頼を受けた弁護士が担当します。

法務担当者は、企業の内情と法律を踏まえて契約書の一次チェックを行い、リスクや不備がないか確認します。さらに、必要に応じて顧問弁護士に二次チェックを依頼することで、より確実に法的リスクを回避できる体制を整えるのが一般的です。

リーガルチェックを実施するのが重要な理由

リーガルチェックは主に以下の理由から実施されています。

リーガルチェックを実施する理由

  • 法令違反を避けるため
  • 自社にとって不利益な契約条項を是正するため
  • 契約が無効になる恐れを避けるため
  • その他トラブルや損害を未然に防ぐため

なぜリーガルチェックを実施するのか、具体的に解説します。

法令違反を避けるため

契約書に法令違反の条項が含まれていないか確認し、もし問題があれば適切に修正することが、リーガルチェックの重要な役割のひとつです。契約を行う際、両者が必ずしも法律に詳しいとは限らず、知らずに法律に違反した契約を結んでしまうかもしれません。このような場合、契約自体が無効になるだけでなく、行政からの指導や罰則の対象となり、企業の社会的信用を損なうリスクも生じます。

たとえば、特定商取引法に違反した契約を結んだ場合、顧客からのクーリングオフに応じる必要があり、予想外の損害が発生する可能性もあります。

自社にとって不利益な契約条項を是正するため

相手方が作成した契約書にサインする際、内容を十分に確認しないと、自社に不利な条件が含まれている場合があり、後々損害を被るリスクがあります。逆に、自社が作成した契約書に不合理な内容が含まれていると、相手方とのトラブルにつながる可能性もあります。

リーガルチェックでは、不合理な条項を発見し、契約締結前に交渉を行うことで、公平な条件での合意を目指すことが可能です。

契約が無効になる恐れを避けるため

専門家でない人が契約書を作成すると、誤って法律で認められていない内容を含めてしまう可能性があります。

もし契約書に法的な問題が含まれている場合、契約自体が無効とされることがあり、自社だけでなく取引先にも迷惑をかける結果となるかもしれません。こうしたリスクを未然に防ぐために、リーガルチェックを行い、契約内容が法的に適正であるか確認することが重要です。

その他トラブルや損害を未然に防ぐため

契約内容やサービス提供の方法が法律に違反していないかを事前に確認することで、違法行為に巻き込まれるリスクを回避できます。これにより、取引先との間で法的なトラブルが発生するのを防ぎ、ビジネス関係を円滑に保つことが可能です。

特に、法的な問題が後々発生すると、訴訟や賠償など大きな損害に繋がることもあるため、事前のリーガルチェックが不可欠です。

社内でリーガルチェックをする場合の流れ

社内でリーガルチェックをする際の流れは以下の通りです。

リーガルチェックの流れ

  1. リーガルチェックの依頼を受け付ける
  2. 契約書の全体像を把握する
  3. 法律や商慣習に照らし合わせながら修正点を洗い出す
  4. 担当部署にリーガルチェックの結果を返答する
  5. 相手方と契約を締結する

各ステップについて詳しく解説します。

リーガルチェックの依頼を受け付ける

社内でリーガルチェックを実施する際、まず取引や契約を担当する部署から法務担当者が依頼を受け付けます。

効率的にリーガルチェックを進めるためには、受付窓口を一本化し、どの部署からの依頼も統一された手順で受け付けられる体制を整えることが重要です。これにより、チェックの遅延やミスを防ぎ、円滑な運用が可能となります。

契約書の全体像を把握する

法務担当者は、リーガルチェックを行う際、まず契約書全体に目を通して重要な条項を把握します。特に、契約の目的や主要な条件に関わる部分をしっかりと確認することが重要です。

さらに、過去に同様の契約書がある場合、その内容と比較し、異なる点や特殊な条項が含まれていないかをチェックしましょう。

法律や商慣習に照らし合わせながら修正点を洗い出す

契約書の全体像を把握した後、次に行うのは修正点の洗い出しです。まず、自社に不利益となる条項がないか、また過去のドラフトとの相違点がないかを確認します。特に、契約終了条件や違約金の規定といった重要な条項については、トラブルを未然に防ぐために、明確かつ適正に定めることが重要です。

また、法律に違反する可能性のある条項は、外部の専門家と連携して修正を進めます。相手方が反発しそうな修正がある場合、受け入れてもらうためにも、その理由を丁寧に説明することも大切です。形式的な不備や誤字脱字についても、細部まで徹底的にチェックし、修正を行います。

担当部署にリーガルチェックの結果を返答する

リーガルチェックを終えた後は、担当部署にその結果を返答します。この際、修正が必要な理由を、法的知識がなくても理解できるよう、わかりやすい言葉で補足説明を行いましょう。契約交渉自体は通常、法務部ではなく担当部署が行うため、相手方に対してどのように修正を依頼するべきか、法務担当者から具体的な提案を行うと親切です。

また、相手方に送るファイルの作成は、担当部署と密に連携しながら作成することが一般的です。修正コメントは相手方向けと社内向けに分けることでスムーズにやり取りできます。返送前に、担当部署との間で認識の食い違いがないか確認しておくことも、トラブル防止のために重要です。

相手方と契約を締結する

リーガルチェックを経て相手方と交渉し、契約内容が確定した後、最終版の契約書を作成します。双方が署名捺印や記名押印を行うと契約が正式に成立します。

契約締結後は、契約書を適切に保管することが重要です。法律で保存期間が定められている場合は、定められた期間、適切な手法で保管しなければなりません。書面契約や電子契約どちらの場合も、アクセス権限を必要最小限に制限し、情報セキュリティを十分に確保しましょう。

リーガルチェックを弁護士に依頼する場合の流れ

社内でリーガルチェックをする際の流れは以下の通りです。

弁護士への依頼の流れ

  • チェックしてもらいたい契約書と申し送り事項を準備する
  • 弁護士にリーガルチェックを依頼する
  • 弁護士によるフィードバックを受ける
  • 契約書を修正して相手方と交渉する
  • 双方で合意が得られたら契約を締結する

各ステップについて詳しく解説します。

チェックしてもらいたい契約書と申し送り事項を準備する

弁護士にリーガルチェックを依頼する際は、まず自社で作成した契約書や取引先から受け取った契約書を準備します。この段階で、自社内でも契約書をしっかりと確認することが重要です。外部の弁護士は社内の具体的な状況を把握していない場合が多いため、事前に法務担当者が社内事情を反映したチェックを行うことで、後のトラブルを防ぐことができます。

さらに、弁護士に依頼する際は、契約内容や取引の背景、自社の意向などの申し送り事項をまとめて伝えましょう。

弁護士にリーガルチェックを依頼する

弁護士へのリーガルチェックを依頼する際は、通常はメールなどで連絡し、契約書と補足情報を共有します。顧問弁護士がいれば、顧問契約の範囲内で対応してもらえることがありますが、個別のリーガルチェックに対して費用が発生する場合が多いです。

正式に依頼する前に、リーガルチェックにかかる費用や条件を確認し、納得した上で進めましょう。

弁護士によるフィードバックを受ける

弁護士によるリーガルチェックの結果は、契約書に付けられたコメントなどの形で法務担当者に伝えられます。法務担当者は、まずその内容を確認し、疑問点があれば弁護士に再度問い合わせましょう。

法務担当者が弁護士のフィードバック内容を確認した後は、契約書を所管部署に共有します。その際、必要に応じて所管部署が理解しやすいように、弁護士のコメントに加えて法務担当者の説明を加えると効果的です。これにより、部署内での理解が深まり、スムーズな対応が期待できます。

契約書を修正して相手方と交渉する

弁護士からのフィードバックを基に修正内容がまとまったら、実際に契約書を修正しましょう。自社で契約書を作成した場合は、修正を加えた後、営業担当者を通じて取引先との交渉に進みます。

一方、取引先が契約書を作成した場合は、営業担当者に修正内容を伝え、取引先に変更を依頼しましょう。いずれの場合も、修正の理由や意図をしっかり説明することで、スムーズに交渉を進められます。

双方で合意が得られたら契約を締結する

双方で契約内容に合意が得られたら契約を締結しますが、契約締結前に弁護士に契約書の最終確認を依頼しておくと安心です。最終確認で問題がないと判断されれば、双方が署名捺印や記名押印、サインなどを行い、正式に契約を締結します。契約が成立した後は、契約書を適切に保管しておきましょう。

リーガルチェックを弁護士に依頼する場合の費用

リーガルチェックは、トラブルを防ぎ、取引をスムーズに進めるために欠かせない作業であり、高度な専門性が求められます。法律の専門家である弁護士に依頼するケースも多く見られますが、弁護士に依頼する際の費用はどのくらいかかるのでしょうか。

ここでは「依頼費用の相場」や「依頼費用を左右する要素」について解説します。

依頼費用の相場

リーガルチェックを弁護士に依頼する際の費用は、契約書の種類や内容に応じて異なります。一般的な売買契約書や賃貸契約書などであれば、相場は3〜5万円程度です。一方、取引基本契約書や業務委託契約書のように、事業内容の理解が求められるものや、具体的なアドバイスが必要な契約書の場合、10〜15万円程度かかることがあります。

顧問契約を結んでいる場合は、契約書レビューが顧問料に含まれるケースが多く、月額3〜10万円程度が一般的です。弁護士事務所によって費用やサービス内容が異なるため、複数の事務所を比較し、信頼できる事務所を選びましょう。

費用を左右する要素

リーガルチェックの依頼費用は、主に対応範囲や契約書の内容の複雑さによって左右されます。たとえば、社内の法務部門で一次チェックを実施し、弁護士には最終確認のみを依頼する場合や、特定の専門的な条項だけを部分的にチェックしてもらう場合は、コストを抑えることが可能です。

反対に、契約書作成からサポートを依頼したり、外国語の契約書対応が必要な場合など、業務が複雑になるほど費用は高くなる傾向があります。また、専門的な知識を要する契約書ほど、費用は高額になるケースが多いです。

リーガルチェックで押さえたいポイント

リーガルチェックでは、契約におけるリスクを最小限に抑え、スムーズに取引きを進めるためにも、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

押さえておきたいポイント

  • 契約書内の用語に関する不明点を明らかにする
  • 自社に不当に不利な契約条項がないか確認する
  • 契約書の内容が取引の目的に合っているを確認する
  • 関連する契約書との整合性を確認する
  • トラブルを想定したい内容を盛り込む

具体的な内容を確認しておきましょう。

契約書内の用語に関する不明点を明らかにする

契約書には、業界特有の専門用語や、日常ではあまり使われない言葉が含まれていることがあります。こうした用語が正確に理解されていないと、当事者間で合意した内容にズレが生じる可能性があります。契約後に訴訟などのトラブルに発展する可能性もあるため、用語を正確に理解し、相互に確認・理解することで、後々のトラブル防止に繋がります。

自社に不当に不利な契約条項がないか確認する

自社にとって不当に不利な条件が含まれている場合は、取引先に対して修正や削除を行う必要があります。民法や商法の規定と比較して、自社が過度な不利益を被っていないかを確認しましょう。また、業界の慣習や標準的な約款と照らし合わせて、不利益が大きすぎないかも検討します。

これらの観点を基に、契約が公平であるかどうかを判断し、不利な条項を修正することで、リスクを回避できます。

契約書の内容が取引の目的に合っているを確認する

リーガルチェックでは、自社の事業目的や事業計画、契約を結ぶ目的に沿っているかを見極めることが必要です。特に、テンプレートを流用した契約書では、取引内容が正しく記載されていない場合があります。

また、取引の実態が反映されていないと、後にトラブルが発生した際に適切な対応が難しくなるかもしれません。リスクを避けるためにも、曖昧な点があれば、依頼主に確認し、正確な取引内容を契約書に反映させることが重要です。

関連する契約書との整合性を確認する

法令違反のリスクを避けるためにも、リーガルチェックでは、関連する契約書との整合性を確認することが重要です。もし新たに作成した契約書が、過去や他の関連する契約書と矛盾している場合、法令違反のリスクが高まる可能性があります。そのため、新しい契約書を作成する際には、関連する全ての契約書を見直し、整合性を確認することが必要です。

たとえば、他社のサービスを代理販売する場合、他社が定めた禁止事項や免責条項が、自社と顧客との契約書にも反映され、矛盾がないかを慎重に確認することが求められます。

トラブルを想定したい内容を盛り込む

リーガルチェックでは、契約で起こりうるトラブルを予測し、その対策を契約条項に盛り込むことが重要です。たとえば、売主側として自社が製品の売買基本契約を締結する際、原材料の輸入先で感染症の流行などにより納期が遅れる可能性がある場合、そのようなトラブルに対して責任を負わない条項を契約に追加する必要があります。

このように、トラブルを事前に想定し、それに対処するための条項を盛り込むことで、予期しないリスクを回避し、適切に対応できる契約内容を構築することが可能です。

よくある質問

リーガルチェックとは?

リーガルチェックとは、契約書の内容を法的な観点から確認し、問題がないかを精査する業務のことです。主に会社内の法務担当者や、会社から依頼を受けた弁護士が担当します。

詳細は、記事内「リーガルチェックとは」をご覧ください。

リーガルチェックの費用は?

費用は、契約書の種類や内容に応じて異なりますが、一般的な売買契約書や賃貸契約書などであれば、相場は3〜5万円程度、事業内容の理解や具体的なアドバイスが必要な契約書の場合、10〜15万円程度かかることがあります。

詳細は、記事内「依頼費用の相場」をご覧ください。

社内でのリーガルチェックのやり方は?

社内でリーガルチェックをする際の流れは以下の通りです。


  1. リーガルチェックの依頼を受け付ける
  2. 契約書の全体像を把握する
  3. 法律や商慣習に照らし合わせながら修正点を洗い出す
  4. 担当部署にリーガルチェックの結果を返答する
  5. 相手方と契約を締結する

詳細は、記事内「社内でリーガルチェックをする場合の流れ」をご覧ください。

まとめ

リーガルチェックは、契約内容を法的観点から精査し、企業のリスクを未然に防ぐための重要なプロセスです。特に、契約書に不備があれば、法令違反や自社に不利な条件が含まれる可能性があり、トラブルの原因となり得ます。

社内では法務担当者が一次チェックを行い、必要に応じて弁護士に依頼することで、より精度の高い確認が可能です。リーガルチェックを適切に実施することで、法的リスクを回避し、スムーズな取引を目指しましょう。