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ジュニアNISAはいつまで利用できる?廃止後の代わりはどうなる?

公開日:2023/09/25

監修 宮川 真一 税理士、1級FP技能士・CFP

ジュニアNISAはいつまで利用できる?廃止後の代わりはどうなる?

2020年度の税制改正で、ジュニアNISA制度の廃止が決まりました。2024年以降は、ジュニアNISA口座での新規購入ができなくなります。

ジュニアNISAとは、2016年にスタートした未成年者向けの少額投資非課税制度です。毎年80万円を上限に、購入した株式や投資信託から得られる利益が最長5年間非課税になります。

本記事では、ジュニアNISAをいつまで利用できるのか、廃止されたあとはどうなるのかを解説します。

目次

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ジュニアNISAとは

出典:金融庁「ジュニアNISAの概要」

ジュニアNISAとは、毎年一定金額の範囲で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる「NISA」のひとつです。子どもや孫の将来のための資産形成を目的に、2016年1月にスタートしました。

通常、株式や投資信託で売却益が出た場合や配当金を受け取った場合、20.315%(復興特別所得税を含む)の税金がかかります。ジュニアNISA口座を利用すると、毎年80万円を上限に株式や投資信託を購入でき、その投資から得られる利益が最長5年間非課税になります。

なお、NISAはジュニアNISAを含む以下の3つです。

NISAの種類

● 一般NISA
● つみたてNISA
● ジュニアNISA
出典:金融庁「NISAとは?」

ジュニアNISAを利用できるのは、日本に居住する未成年者(口座を開設する年の1月1日時点)です。(※)

(※)成人年齢の引き下げに伴い、2023年は0歳~17歳の方が利用できます。

ジュニアNISA口座の名義人は未成年者本人ですが、実際には両親や祖父母などの二親等以内の親族が運用や管理を行います。

ジュニアNISAは2023年末に廃止! いつまで利用できる?

2020年度の税制改正で、ジュニアNISAの廃止が決定されました。ジュニアNISA口座で投資できるのは2023年末までで、2024年からは新規購入ができません。

ただし、ジュニアNISAが廃止されたあとも18歳になるまで非課税で保有することは可能です。

ジュニアNISAが廃止になる背景と理由

ジュニアNISAが廃止される背景にあるのは、利用者数の低迷です。2023年3月時点の口座数を見ると、一般NISA・つみたてNISAと比べて少ないことが分かります。

NISAの種類口座数
一般NISA1,090万4,260口座
つみたてNISA783万1,060口座
ジュニアNISA98万7,296口座
出典:金融庁「NISA口座の利用状況調査(2023年3月末時点)」

ジュニアNISAは、原則として18歳になるまで引き出しができません。一般NISA・つみたてNISAと比べて使い勝手が悪いのが、口座数の増加を妨げていた主な理由でしょう。

ジュニアNISAが廃止されても得られるメリット

ジュニアNISAは、廃止に伴い制度内容が一部変更され、従来と比べて利用しやすくなる部分があります。そこで、ジュニアNISA廃止後の変更点も含めたメリットを解説します。

ジュニアNISAが廃止されても得られるメリット

● 2023年12月までは新規購入ができる
● 18歳までの払い出し制限がなくなる
● 18歳まで非課税のまま保有できる

2023年12月までは新規購入ができる

2024年以降、ジュニアNISA口座での新規購入はできませんが、2023年12月までは買付けができます。ジュニアNISAでも、一般NISAと同じ以下の金融商品が購入できます。

ジュニアNISAで購入できる金融商品

● 株式投資信託
● 国内・海外上場株式
● 国内・海外ETF
● ETN(上場投資証券)
● 国内・海外REIT
● 新株予約権付社債(ワラント債)
出典:金融庁「ジュニアNISAの基礎知識」

たとえば、夫婦+子ども1人の家庭で、両親が一般NISAでそれぞれ120万円まで購入しているとします。ジュニアNISA口座で80万円の非課税枠を活用すれば、世帯全体の非課税枠を240万円から320万円に増やすことが可能です。

年末までの期限は迫っていますが、80万円の非課税枠を活用できる最後の機会です。もし入金余力があれば購入しておくことをおすすめします。

18歳までの払い出し制限がなくなる

ジュニアNISA制度の廃止に伴い、2024年以降は払い出し制限がなくなります。廃止前のジュニアNISAは、原則として18歳まで払い出しができず、利用者数の低迷につながっていました。(※)
(※)3月31日時点で18歳である年の前年12月31日まで

しかし2024年1月からは、年齢や事由にかかわらずいつでも非課税で払い出しができます。したがって、子どもの学費や習い事などに充てることも可能です。

ただし、一部のみを引き出すことはできない点、全額払い出し後に口座が廃止となる点には注意しましょう。

制度廃止後も18歳まで非課税のまま保有できる

ジュニアNISAが廃止されたあとも、18歳(1月1日時点で18歳である年の前年12月31日まで) になるまでは非課税のまま保有し続けられます。

5年間の非課税保有期間が終了すると、自動的に「継続管理勘定」に移管され、引き続き非課税措置が受けられる仕組みです。(※)
(※)継続管理勘定は、2023年末以降に非課税保有期間が終了する場合に、18歳になるまで株式や投資信託を保有するための非課税の勘定です。継続管理勘定でも売却はできますが、新規の投資は行えません。

なお、現行では非課税期間(5年間)の終了後、手続きをして翌年の非課税枠に移管(ロールオーバー)すれば、非課税期間を5年間延長できます。

ジュニアNISAのデメリット

今年末の廃止に伴い、より利用しやすくなるジュニアNISAですが、以下のデメリットもあります。

ジュニアNISAのデメリット

● 18歳までに引き出すと過去にさかのぼって課税される
● 金融機関の変更ができない

18歳までに引き出すと過去にさかのぼって課税される

2024年以降、払い出し制限はなくなりますが、2023年中は原則として18歳になるまで(3月31日時点で18歳である年の前年の12月末まで)払い出しができません。

ジュニアNISAは、子どものための資産形成を目的とした制度なので、中長期的な資産形成を促すためこのような払い出し制限を設けています。

払い出し制限期間中に払い出す場合、ジュニアNISA口座内で生じた過去の利益に対してさかのぼって課税されてしまいます。つまりNISA口座の恩恵が受けられません。また、払い出しをした場合、ジュニアNISA口座は廃止されてしまいます。

なお、払い出し制限期間中でも、災害などやむを得ない事情の場合は非課税での払い出しが可能です。

金融機関の変更ができない

一般NISAは1年単位で金融機関を変更できますが、ジュニアNISAでは変更ができません。

金融機関を変えたい場合は、既存のジュニアNISA口座を廃止したうえで、再開設の手続きをする必要があります。廃止する口座でその年に株式や投資信託の買付けをしていなければ、再開設が可能です。

なお再開設をする場合は、2023年9月30日までに、再開設したい金融機関での手続きを完了させなければなりません。

また、2023年12月までは払い出し制限があるため、口座を廃止する際はやむを得ない場合を除きすべての配当金や売買益に課税されます。

ジュニアNISA廃止後の対応

ジュニアNISAは2023年で廃止が決定されました。その後の対応は子どもの年齢によって変わります。子どもが18歳未満の場合、18歳になる場合に分けて解説します。

子どもが18歳未満の場合

ジュニアNISA口座開設者が18歳未満の場合、2024年以降、非課税期間が終了すると自動的に継続管理勘定に移管されます。

ジュニアNISA口座内で購入した金融商品を引き続き非課税で保有できるため、特に手続きをする必要はありません。

非課税で保有しながら、価格が上昇したタイミングで売却するのが選択肢のひとつです。

子どもが18歳になる場合

2024年以降、その年の1月1日時点で18歳である場合、自動的に新しいNISA口座が開設されます。

「新しいNISA」とは、2024年1月からスタートする新制度の成人NISAです。新しいNISAは2階建て(併用可)になり、年間投資枠が合計最大360万円に拡大します。

項目つみたて投資枠成長投資枠
年間投資枠120万円240万円
投資対象商品長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託上場株式・投資信託等
出典:金融庁「新しいNISA」

ただし、ジュニアNISA口座内で保有している株式や投資信託は新しいNISAには移管できず、課税口座(特定口座または一般口座)に払い出されます。非課税口座とは違い、利益に対して20.315%の税金がかかるため注意が必要です。

したがって、具体的な払い出しのタイミングは個人の状況によって異なります。課税口座への払い出しを待たずに、その年の年末までに売却するのもひとつの選択肢でしょう。個人のライフプランにあわせて最適なタイミングを検討するのが賢明です。

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まとめ

ジュニアNISAは、未成年者を対象とした少額投資非課税制度です。2024年以降、ジュニアNISA口座での新規購入はできなくなりますが、18歳になるまでは引き続き非課税で保有できます。

また、廃止に伴い18歳までの払い出し制限がなくなり、2024年からはいつでも非課税での払い出しが可能です。

今からジュニアNISAを始めたい方は、なるべく早めに口座を開設しましょう。すでにジュニアNISAを開設している方は、廃止後の制度内容を正しく理解して、今後の対応を検討しましょう。

よくある質問

ジュニアNISAはなぜ廃止になる?

ジュニアNISAが廃止される主な理由は、利用者が増えなかったためです。ジュニアNISAは、原則として18歳になるまで払い出しができないなど、ほかのNISAと比べて不便な点がある制度でした。

ジュニアNISAが廃止になる理由を詳しく知りたい方は「ジュニアNISAが廃止になる背景と理由」をご覧ください。

ジュニアNISA廃止後の対応は?

ジュニアNISA口座開設者が18歳未満の場合は、18歳になるまで非課税で保有し続けられます。

18歳になると自動的に新しいNISA口座が開設されますが、ジュニアNISA口座内で保有している金融商品は移行できません。課税口座に払い出しとなるため注意しましょう。

ジュニアNISAが廃止されたあとの対応を詳しく知りたい方は「ジュニアNISA廃止後の対応」をご覧ください。

監修 宮川真一 (みやがわ しんいち) 税理士、1級FP技能士・CFP

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業後、税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上となる。現在は「100年先の“みらい”を創る。」税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティングを行う。

監修者 宮川真一