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ジョブクラフティングとは? メリットやデメリット、実践する時のポイントを解説

監修 大柴良史 社会保険労務士・CFP

ジョブクラフティングとは? メリットやデメリット、実践する時のポイントを解説

ジョブクラフティングは、働き方を工夫して仕事のやりがいを高めることです。本記事では、ジョブクラフティングのメリットデメリットを解説します。

ジョブクラフティングは、労働者自身が仕事の意義を見直し、満足感を向上させる手法として注目されています。

実践方法実践のポイントも紹介するので、企業の経営者や人事労務担当者はぜひ参考にしてください。

目次

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ジョブクラフティングとは?

ジョブクラフティングは、Wrzesniewsk&Duttonによって提唱された概念です。働き方に工夫を加えることで、仕事のやりがいや満足感を高めます。

ジョブクラフティングには、次の3つの観点があります。

1 作業(タスク)クラフティング仕事のやり方に対する工夫
2 人間関係クラフティング周囲の人への働きかけの工夫
3 認知クラフティング仕事の捉え方や考え方に関する工夫


それぞれの観点で工夫できることを挙げ、実践していきます。

なおジョブクラフティングと混同されやすい言葉に「ジョブデザイン」がありますが、ジョブデザインは従業員のやりがいのために企業が業務の見直しを行うものです。

対して「ジョブクラフティング」は、労働者が主体的に取り組む点が特徴です。

ジョブクラフティングのメリット

ジョブクラフティングには、次の4つのメリットがあります。

ジョブクラフティングのメリット

● 仕事のやりがいや満足度が高まる
● 作業効率が改善される
● ワーク・エンゲージメントが向上する
● 労働者のウェルビーイングにつながる
各メリットについて、詳しく見てみましょう。

仕事のやりがいや満足度が高まる

ジョブクラフティングに取り組む労働者は、日々の業務に対する満足感が高い傾向にあります。

仕事の範囲や量を調整したり、業務の目的や意義を考えたりすることで、仕事に対する「やらされ感」が軽減するためです。労働者個人のモチベーションが上がれば、結果的に会社の業績アップにも影響するでしょう。

作業効率が改善される

ジョブクラフティングの観点である「作業クラフティング」は、目標設定やスケジュール管理によって、仕事の内容を充実させる考え方です。そのため作業クラフティングを通して、日々の業務の効率化が期待できます。

ただし一部の労働者が業務量や範囲を変更すると、周囲の労働者に業務の皺寄せが生じる場合があります。職場において、業務負担の偏りが発生しないように注意しなければなりません。

ワーク・エンゲージメントが向上する

ワーク・エンゲージメントとは、以下の3つ心理状態が揃っていることをいいます。

ワーク・エンゲージメントの定義

● 仕事から活力を得ていきいきとしている
● 仕事に誇りとやりがいを感じている
● 仕事に熱心に取り組んでいる
ジョブクラフティング研修の前後を比較すると、多くの労働者のワーク・エンゲージメントが向上し、かつ心理的ストレスの低減がみられることが分かっています。

またワーク・エンゲージメントの向上によって、離職率の低下などにポジティブな影響を与えるでしょう。

労働者のウェルビーイングにつながる

ウェルビーイングとは、「身体的・精神的・社会的に良好な状態である」ことです。

ジョブクラフティングに関する研究によると、ジョブクラフティングの実施が、労働者の心身の健康にプラスの効果をもたらしたと報告されています。

人手不足が深刻な社会問題となっているなか、労働者が仕事を通して、豊かで健康的に生活できる環境を整えることは重要です。

ジョブクラフティングのデメリット

ジョブクラフティングの主なデメリットは、以下の通りです。

ジョブクラフティングのデメリット

● 過剰なジョブクラフティングはバーンアウトをもたらす
● 偏ったジョブクラフティングは職場の不和につながる
ここでは、ジョブクラフティングによるデメリットを解説します。

過剰なジョブクラフティングはバーンアウトをもたらす

ジョブクラフティングの「やり過ぎ」は、仕事の負荷の増大につながり、結果としてバーンアウト(燃え尽き)をもたらすことがわかっています。ジョブクラフティングにこだわり過ぎたり、偏り過ぎたりしないように気をつけましょう。

過剰なジョブクラフティングを防ぐには、周囲のサポートが欠かせません。ジョブクラフティングでの発見を、社内で共有・支援することで、組織内に適した形で実践できます。

偏ったジョブクラフティングは職場の不和につながる

一部の労働者がジョブクラフティングを行うと、周りの同僚の負担が増えたり、チーム内での業務に支障をきたしたりするケースがあります。

業務負担の偏りが生じると、ジョブクラフティング実施者へ向けられる周囲の視線は冷たくなり、実施者自身のウェルビーイングを損なってしまうでしょう。

ジョブクラフティングは、労働者本人が主体となって行うものですが、必ずしも労働者が自分本位に業務を捉え、作業を遂行することではありません。当然上司によるマネジメントの範囲内で行う必要があり、何よりも周囲との調和・理解が大切です。

ジョブクラフティング促進を図るための研修やワークショップなどを実施し、職場全体でサポートする土台を築かなければなりません。

ジョブクラフティングの実践方法

ジョブクラフティングを取り入れる方法を紹介します。

仕事のやり方を見直し、自分ルールを作る

まず仕事の内容をより充実させるため、次のような工夫をしましょう。

作業クラフティングの工夫例

● 目標設定や優先順位をつける
● スケジュールを管理する
● To doリストを作成する
● 勉強時間を確保する
短期および中長期の2段階で目標を設定することで、進捗を感じやすくなり、仕事に対するモチベーションを保てます。

またスキルアップなどの勉強時間や、クリエイティブな仕事をする時間を作ると考える楽しさが生まれ、前向きに働けるようになります。

周囲との関わり方を工夫し、サポートを集める

職場での円滑な人間関係を構築すると、働きやすい環境を作れます。関わり方の例を見てみましょう。

人間関係クラフティングの工夫例

● 周囲の人へ相談し、サポートを依頼する
● 取引先や客と積極的に関わるように心がける
● 上司や同僚とのコミュニケーションを大切にする
周囲の人との関係が良くなると、助言をもらいやすくなり、やる気や自信につながります。

また他部署の同僚と話す機会を増やせば、自分の仕事を客観的に見つめ直すきっかけになり、さまざまな仕事の情報が集まるでしょう。

仕事の目的を考え、意義を捉え直す

仕事の意味や目的を考えることで「やらされ感」がなくなり、やりがいや意義を確認できます。

たとえば、「今の仕事は誰のためにやっているか」や「仕事の完成時」を考えるなど、仕事の全体像をイメージしてみましょう。自分のスキルがどう活用できるかを見つめ直すことで、新たな気づきを得られる場合があります。

ジョブクラフティングを実施する際のポイント

ジョブクラフティングを実施する際、主なポイントは以下の通りです。

ジョブクラフティング実施時のポイント

● 研修やワークショップを開催する
● 参加者の特性に合わせる
● 全体での共有・サポートをしっかり行う
各ポイントをそれぞれ詳しく説明します。

研修やワークショップを開催する

ジョブクラフティングを効果的に実施するには、研修やワークショップを通して労働者一人ひとりに実施の目的を理解してもらうことが大切です。

実際に、研修やワークショップの実施は、ジョブクラフティングの促進やワーク・エンゲージメントの向上に効果があるとされています。

労働者がジョブクラフティングを肯定的に捉えられるよう、企業側は環境や機会を適切に与えるようにしましょう。

参加者の特性に合わせる

ジョブクラフティングの効果は、次の特性によって効果が異なる可能性があります。

参加者の特性

● 参加者の年齢
● 参加者の立場
● 研修前のジョブクラフティング実施の程度
そのため働き方やニーズによって、事例を修正しなければなりません。研修時間やメールフォローのタイミングなどを調整し、参加者の負担も考慮しましょう。

グループワークを行う際、職位が同じくらいの人同士で組み合わせます。とくに、管理職と非管理職は分けるのが望ましいです。

全体での共有・サポートをしっかり行う

ジョブクラフティングは、基本的に労働者個人が主体となって取り組みます。しかしジョブクラフティングを通して得た気づきを、職場全体で共有することも大切です。周囲と話し合うことで、新しい発見もあるでしょう。

そしてジョブクラフティングを通じて、業務プロセスや人間関係の向上等に大きく寄与した労働者に対しては、社内で表彰を行うと効果的です。社内で認められたことで労働者本人のモチベーション向上が期待できるだけでなく、周囲の労働者へのインセンティブにもつながります。

また周囲からの理解を得られれば、ジョブクラフティングのメリットをより享受しやすくなるでしょう。ジョブクラフティング計画を実行するうえで、周りのサポートは欠かせません。

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まとめ

ジョブクラフティングを行うことで、仕事のやりがいや満足感が高まります。労働者個人の仕事の充実度が上がれば、結果的に企業の業績アップも期待できます。

ジョブクラフティングを実施する場合、周囲のサポートが不可欠です。職場でジョブクラフティングを取り入れる際は、参加者の年齢や立場など特性を考慮しなければなりません。

上手にジョブクラフティングを取り入れ、作業効率やワーク・エンゲージメントの向上に繋げましょう。

よくある質問

ジョブクラフティングとは?

ジョブクラフティングとは、仕事のやりがいや満足感を高めるために、働き方に工夫を加えることです。

詳しく知りたい方は、「ジョブクラフティングとは?」をご覧ください。

ジョブクラフティングのメリットは?

ジョブクラフティングのメリットとして、労働者のワーク・エンゲージメントやウェルビーイングの向上が挙げられます。

詳しく知りたい方は、「ジョブクラフティングのメリット」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史