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IT導入補助金2023とは? 申請の類型や2022年度との変更点、申請方法を解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

2024年のIT導入補助金とは? 補助事業対象者や申請・手続き方法を解説

IT導入補助金2024は、中小企業や小規模事業者などのITツール導入を支援する事業です。本補助金は会社のデジタル化や生産性向上に役立ちます。

近年、業務効率化につながるさまざまなITツールが提供されています。

しかし、中小企業や小規模事業者の場合、ツール導入にかかる費用や手間などが課題となることもあるでしょう。

そのような状況を踏まえて、中小企業や小規模事業者のITツール導入を促進するために実施されているのが「IT導入補助金2024」です。

本記事では、IT導入補助金2024の内容や申請枠スケジュールや申請方法を解説します。

目次

IT導入補助金とは?

IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)とは、中小企業や小規模事業者などを対象に、ITツールやクラウドシステムなどを導入する際の経費を一部補助する制度です。

自社の課題やニーズに合ったITツールの導入による、業務効率化や売上向上の支援を目的としています。

IT導入補助金の補助事業対象者

中小企業(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象)と小規模事業者が対象です。業種分類・組織形態によっては、資本金や従業員数の条件があります。

中小企業

業種分類・組織形態資本金従業員
(資本金の額又は出資の総額)常勤
資本金・従業員規模の一方が、右記以下の場合対象(個人事業を含む)製造業、建設業、運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用⑤タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業又は情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人
従業員規模が右記以下の場合対象医療法人、社会福祉法人、学校法人-300人
学校法人-300人
商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所-100人
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体-主たる業種に記載の従業員規模
特別の法律によって設立された組合またはその連合会-
財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益)-
特定非営利法人-

小規模事業者

業種・組織形態従業員
常勤
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他
出典:IT導入補助金2024事務局ホームページ

IT導入補助金の対象外となる事業者

次のいずれかに該当する「みなし大企業」は、申請の対象外です。


  1. 1.発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
  2. 2.発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
  3. 3.大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業・小規模事業者等
  4. 4.発行済株式の総数又は出資価格の総額を①~③に該当する中小企業・小規模事業者等が所有している中小企業・小規模事業者等
  5. 5.①~③に該当する中小企業・小規模事業者等の役員又は職員を兼ねている者が役員総数のすべてを占めている中小企業・小規模事業者等
  6. 6.確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業・小規模事業者等

そのほか、以下の事業者も対象外となります。


  1. 7.指名停止措置の事業者
    経済産業省又は中小機構から補助金等指定停止措置又は指名停止措置が講じられている事業者
  2. 8.風俗営業を営む事業者
    風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条各項に規定する営業を営む事業者ただし、旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条第1項に規定する許可を受け旅館業を営むもの(風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業を営むものを除く。)を除く。
  3. 9.反社会的勢力
    申請する中小企業・小規模事業者等又はその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力である事業者、反社会的勢力との関係を有する事業者
    反社会的勢力から出資等資金提供を受ける事業者
  4. 10.その他宗教法人等

出典:令和5年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金 交付規程

2024年のIT導入補助金の概要

2024年も3月15日からIT導入補助金2024の受付が開始されています。

IT導入補助金2024では、「通常枠」「インボイス枠(インボイス対応類型)」「インボイス枠(電子取引類型)」「セキュリティ対策推進枠」「複数社連携IT導入枠」の5つの申請枠が設定されています。

申請のフローなどは昨年と共通する部分がありますが、インボイス枠が新設されるなど昨年のIT導入補助金からいくつか変更点もあります。

2023年のIT導入補助金からの変更点

IT導入補助金の補助金の条件・内容は毎年少しずつ異なります。2023年度のIT導入補助金からの変更点としては、主に以下が挙げられます。


  • ・デジタル化基盤導入枠が廃止され、インボイス枠が新設された
  • ・ECサイト制作が対象外になった
  • ・小規模事業者の50万円以下の補助率が4/5に引き上げ
  • ・A類型・B類型という名称はなくなった

デジタル化基盤導入枠が廃止され、インボイス枠が新設されました。デジタル化基盤導入枠で対象となっていたECサイト制作は、枠の廃止に伴い対象外となっています。

そのほか、小規模事業者の補助額50万円までの分は、補助率が4/5にまで引き上げられ、補助が手厚くなりました。

そのほか、通常枠においてA類型・B類型という分類の名称が廃止され、補助額による区分のみとなっています。

2024年のIT導入補助金の5つの分類と補助金額

IT導入補助金2024の5つの枠の詳細と補助金額について以下で見ていきましょう。

通常枠

通常枠は、中小企業や小規模事業者が自社の課題に合うITツールを導入するのを支援する枠です。

以下の1種類以上の業務プロセスを保有するソフトウェアを申請することがITツールの条件となります。なお、プロセスとして汎用プロセスのみを選ぶことはできません。

【業務プロセス(共通プロセス)】


  • ・顧客対応・販売支援
  • ・決済・債権債務・資金回収
  • ・供給・在庫・物流
  • ・会計・財務・経営
  • ・総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情報システム

【業務プロセス(業務特化型プロセス)】


  • ・汎用・自動化・分析ツール

補助率と補助金額は、次の通りです。プロセス数に応じて補助額が設定されていて、最大450万円の補助金が受けられます。


補助率1/2以内
補助額1プロセス以上:5万円以上150万円未満
4プロセス以上:150万円以上450万円以下
出典:IT導入補助金2024事務局ホームページ

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、PC・ハードウェアなどを導入するのを支援する枠です。インボイスに対応した取引のデジタル化を進めることを目的としています。

会計・受発注・決済ソフト

補助率3/4以内、4/5以内※12/3以内
補助額50万円以下※250万円超〜350万円以下※3※4

PC・ハードウェア等

補助対象PC・タブレット等レジ・券売機等
補助率1/2以内
補助額10万円以下20万円以下

※1 中小企業は3/4、小規模事業者は4/5
※2 会計・受発注・決済のうち1機能以上を有することが機能要件
※3 補助額50万円超の際の補助率は、補助額のうち50万円以下については3/4(小規模事業者は4/5)、50万円超については2/3
※4 会計・受発注・決済のうち2機能以上を有することが機能要件

出典:IT導入補助金2024事務局ホームページ

インボイス枠(電子取引類型)

インボイス枠(電子取引類型)は、商流単位でインボイス対応の受発注システムを導入するのを支援する枠です。

インボイス制度対応の受発注ソフトを導入し、受注者の中小企業・小規模事業者などに無償でアカウントを供与する場合に、導入費用の一部が補助金として支援されます。


補助率中小企業・小規模事業者等:2/3 以内
その他事業者等:1/2 以内
補助額(下限なし)~350万円以下
出典:IT導入補助金2024事務局ホームページ

セキュリティ対策促進枠

セキュリティ対策促進枠は、中小企業や小規模事業者がサイバー攻撃に備えた対策を実施するのを支援する枠です。

「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」のなかで、IT導入支援事業者が提供し、事務局に事前登録されているサービスを導入するときに最大2年分のサービス利用料が補助金として支援されます。


補助率1/2以内
補助額5万円以上100万円以下
出典:IT導入補助金2024事務局ホームページ

複数社連携IT導入枠

複数社連携IT導入枠は、サプライチェーンや商業集積地に属する複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツールを導入するのを支援するための枠です。

基盤導入経費(ソフトウェア)

補助率3/4以内、4/5以内※12/3以内※1
補助額50万円以下×グループ構成員数
(3,000万円以内※2
50万円超〜350万円以下×グループ構成員数
(3,000万円以内※2

基盤導入経費(ハードウェア)

PC・タブレット等レジ・券売機等
補助率1/2以内1/2以内
補助額10万円×グループ構成員数
(3,000万円以内※2
20万円×グループ構成員数
(3,000万円以内※2

消費動向等分析経費

補助率2/3以内
補助額50万円以下×グループ構成員数
(3,000万円以内※2

その他経費

補助率2/3以内
補助額200万円以下※3

※1 補助額のうち50万円以下については補助率は3/4以内(ただし、小規模事業者は4/5以内)、50万円超については補助率は2/3以内
※2 基盤導入経費と消費動向分析経費の合計額は3000万円が上限
※3 補助額上限は【基盤導入経費と消費動向等分析費の合計額】×10%×2/3(補助率)もしくは200万円のいずれか小さい額

出典:IT導入補助金2024事務局ホームページ

以下のような団体が補助金の対象となります。商工団体、地域のまちづくりや観光振興などに取り組む中小企業や団体、コンソーシアムなどが対象です。

補助金の対象となる団体

  • 商店街振興組合、商工会議所、商工会、事業協同組合など
  • まちづくり会社、観光地域づくり法人など
  • 複数の中小企業・小規模事業者により形成されるコンソーシアム

IT導入補助金の補助対象外となる経費

以下の経費はIT導入補助金2024の補助対象外です。対象外の経費を含めて申請することがないように事前に確認をしておきましょう。

  • 補助事業者の顧客が実質負担する費用がITツール代金に含まれるもの
  • ITツールの利用料が、交付申請時に金額が定められないもの
  • 対外的に無償で提供されているもの
  • リース・レンタル契約のITツール
  • 中古品
  • 交付決定前に購入したITツール
  • 交通費、宿泊費
  • 補助金申請、報告に係る申請代行費
  • 公租公課(消費税)
  • 本事業の目的・趣旨から適切でないと中小企業庁及び中小機構並びに事務局が判断するもの

2024年IT導入補助金の申請期限とスケジュール

IT導入補助金2024の交付申請の受付は2024年3月15日から開始しています。2024年4月18日時点で公表されているスケジュールは下記です。


通常枠1次締切分締切日:2024年3月15日17:00
交付決定日:2024年4月24日(予定)
2次締切分締切日:2024年4月15日17:00
交付決定日:2024年5月27日(予定)
3次締切分締切日:2024年5月20日17:00
交付決定日:2024年6月26日(予定)
4次締切分締切日:2024年6月19日17:00
交付決定日:2024年7月29日(予定)
インボイス枠
(インボイス対応類型)
1次締切分締切日:2024年3月15日17:00
交付決定日:2024年4月24日(予定)
2次締切分締切日:2024年3月29日17:00
交付決定日:2024年5月8日(予定)
3次締切分締切日:2024年4月15日17:00
交付決定日:2024年5月27日(予定)
4次締切分締切日:2024年4月30日17:00
交付決定日:2024年6月6日(予定)
5次締切分締切日:2024年5月20日17:00
交付決定日:2024年6月26日(予定)
6次締切分締切日:2024年6月3日17:00
交付決定日:2024年7月8日(予定)
7次締切分締切日:2024年6月19日17:00
交付決定日:2024年7月29日(予定)
インボイス枠
(電子取引類型)
1次締切分締切日:2024年3月15日17:00
交付決定日:2024年4月24日(予定)
2次締切分締切日:2024年4月15日17:00
交付決定日:2024年5月27日(予定)
3次締切分締切日:2024年5月20日17:00
交付決定日:2024年6月26日(予定)
4次締切分締切日:2024年6月19日17:00
交付決定日:2024年7月29日(予定)
セキュリティ対策推進枠1次締切分締切日:2024年3月15日17:00
交付決定日:2024年4月24日(予定)
2次締切分締切日:2024年4月15日17:00
交付決定日:2024年5月27日(予定)
3次締切分締切日:2024年5月20日17:00
交付決定日: 2024年6月26日(予定)
4次締切分締切日:2024年6月19日17:00
交付決定日:2024年7月29日(予定)
複数社連携IT導入枠1次締切分締切日:2024年4月15日17:00
交付決定日:2024年5月27日(予定)
2次締切分締切日:2024年6月19日17:00
交付決定日:2024年7月29日(予定)
出典:IT導入補助金2024事務局ホームページ

2024年IT導入補助金の申請方法

IT導入補助金2024を申請する主な流れを紹介します。

IT導入補助金2024を申請する流れ

  1. 事前準備
  2. 「gBizIDプライム」アカウントを取得する
  3. 交付申請に必要な事業計画を策定し申請する

1.事前準備

IT導入補助金には先述のように申請枠にいくつかの種類があり、枠ごとに目的や要件などが異なります。

IT導入補助金2024の公式サイトには交付規定や公募要領などが公表されているので、事前に目を通しておきましょう。特に、「交付申請の手引き」のパンフレットには、申請に必要な情報がわかりやすく盛り込まれています。

「交付申請の手引き」のパンフレットは「IT導入補助金2024」からダウンロードできるので、確認してみてください。

なお、IT導入補助金でITツールを導入する際には、登録された「IT導入支援事業者」の中から希望する事業者を選び、相談しながらITツールの導入や申請の手続きを行います。

そのため、自社の経営課題やデジタル化したい部分にあわせてIT導入支援事業者を選択し、導入するITツールを検討していきましょう。

2.「gBizIDプライム」アカウントを取得する

補助金の申請はオンラインで行います。申請システムへのログインには「gBizIDプライム」と呼ばれるアカウントが必要なので、事前に取得しておきましょう。

「gBizIDプライム」アカウントの取得には携帯電話、印鑑証明書もしくは印鑑登録証明書、登録印が必要です。必要なものを揃えたら、gBizIDの公式サイトの申請書作成画面でアカウント取得の申請ができます。

「gBizIDプライム」アカウントの取得にかかる期間は約2週間です。補助金申請の直前にアカウント取得を申し込むと、申請締め切り日に間に合わない恐れもあるため、早めの取得がおすすめです。

また、「SECURITY ACTION」の宣言や「みらデジ」ポータルサイトでの「経営チェック」も必要となるので、あわせて実施しておきましょう。

3.交付申請に必要な事業計画を策定し申請する

交付申請の際は、事業計画の入力が必要です。そのため、選定したIT導入支援事業者と相談し、交付申請に必要な事業計画を作成してください。

その後、IT導入支援事業者から送られる「申請マイページ」より、申請を行います。自分で入力する部分のほか、IT導入支援事業者が入力する部分もあるため、協力して申請手続きを行いましょう。

事務局での審査と外部審査委員会においての審査を経て、採否が決定されます。

まとめ

IT導入補助金2024は、2024年3月15日より受付が開始されました。

デジタル化基盤導入枠が廃止され、インボイス枠が新設されるなど、前年のIT導入補助金2023と比較するといくつかの変更点があります。

業務のデジタル化やITツール導入に悩む中小企業・小規模事業者の方にとって、IT導入補助金2024は有用な制度です。この機会に利用を検討してみましょう。

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よくある質問

IT導入補助金とは?

中小企業や小規模事業者の方などがITツールやセキュリティ対策サービスなどを導入する費用の一部を補助する制度です。

IT導入補助金を詳しく知りたい方は「IT導入補助金とは?」をご覧ください。

IT導入補助金を申請する方法は?

IT導入補助金の申請にはIT導入支援事業者の選定や「gBizIDプライム」アカウントの取得が必要です。

IT導入補助金の申請方法を詳しく知りたい方は「2024年IT導入補助金の申請方法」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮