監修 菅田 芳恵 社会保険労務士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー
インポスター症候群は、成果や成功を自分の実力ではなく運や偶然の産物だと感じ、自分の評価に疑念を抱く心理状態です。
インポスター症候群に悩む方は、自分を正当に評価できず、新しい挑戦を避けたり、自分を卑下したりする傾向が見られます。
症状が現れる原因としては、職場環境や個々の心理状態などが影響していることも多く、症状の改善や職場での対策を行う際には、その原因や対処法を理解しておくことが重要です。
本記事では、インポスター症候群の特徴や原因、改善に向けた対処法を解説します。
目次
インポスター症候群とは?
インポスター症候群とは、成果や成功が実力によるものではなく、運や偶然の産物であると感じ、周囲からの評価に不安や疑念を抱く心理状態をさします。
インポスター症候群は、英語の「Impostor syndrome」を翻訳した言葉であり、「Imposter」は「詐欺師」「ペテン師」という意味を表す言葉です。
インポスター症候群では、詐欺師のように自分を実力以上に見せているかのような心理状態に陥る特徴があります。
インポスター症候群の方に見られる特徴
インポスター症候群の方の特徴は、物事への挑戦に消極的で、自分の成功を認められず、卑下する傾向にあるでしょう。インポスター症候群の方にみられる特徴を、以下で解説します。
物事への挑戦を避ける
インポスター症候群の方は、「自分にはその能力がない」「失敗してしまったらどうしよう」という不安が強く、新しい挑戦を避けることが多い傾向です。こうした傾向により、経験を積む機会を逃したり、個人の成長が妨げられたりする可能性があるでしょう。
また、チャレンジに失敗した際には、準備不足を理由にして課題と向き合うことを避けてしまうことがあります。
自分を卑下する傾向がある
インポスター症候群の方は、自分の成功や成果を正当に評価できず、自分を卑下する傾向が強いとされています。
周囲から評価を受けていても、運が良かったと捉え、自分の努力や実力によるものだとは感じられない傾向です。また、「いつか自分が本当は無能だと周りにばれてしまうのではないか」という不安を抱くこともあります。
インポスター症候群になる主な原因
インポスター症候群になる原因としては、現在の職場環境の影響、育ってきた家庭環境の影響、個々の心理による影響などが考えられます。
それぞれの原因について、以下で紹介します。
職場環境による影響
職場での期待やプレッシャーが、成功しなければならないという意識を強め、失敗への恐怖を増大させる原因となっているケースです。
たとえば、上司や同僚から過度に褒められることで、その裏側にある期待を意識してプレッシャーを感じてしまい、インポスター症候群の原因になることがあります。
家庭環境による影響
家庭環境や教育方針が根本的な原因となり、インポスター症候群の症状が現れている場合もあります。
たとえば、兄弟間で優劣を常に比較され、個性ではなく同調を大切にするように育つと、親の評価を強く意識するようになります。その結果として、自己肯定感が低くなり、インポスター症候群に陥るのです。
個々の心理による影響
自己評価が低い場合や、過去の失敗経験がある方は、無意識に自分は今のままでいるほうが安全だと思い込んでしまうことがあります。こうした個々の心理状態が、インポスター症候群の原因になるのです。
インポスター症候群の対処法
インポスター症候群の症状があるときの対処法としては、以下が挙げられます。
インポスター症候群の対処法
- 完璧主義をやめることで失敗を許容する
- 自分を褒める習慣を身につける
- 他者からフィードバックを受ける
- 周囲へ頼れる環境に身を置く
- SNSと距離を取る
自己肯定感を高めるとともに、正当に自己評価ができるように改善していくことが必要です。インポスター症候群の対処法について、以下で解説します。
完璧主義をやめて失敗を許容する
完璧主義に陥ると、小さな失敗に敏感になり、自己評価が次第に低くなります。
失敗も成長のために必要なものと考えて、失敗を許容する方向に考え方を改めることで、失敗へのプレッシャーを軽減して自己肯定感を育てるきっかけとなるでしょう。
自分を褒める習慣を身につける
日々の小さな成果や努力であっても意識して自分自身を褒めることで、達成感を得やすくなります。些細な成功であっても、「自分はよく頑張った」と認めることが大切です。
また、他人から褒められたときは素直にその評価を受け入れることで、自分の努力や成果を他者が認めてくれていることを実感でき、自分を過小評価する習慣を改善できます。
他者からフィードバックを受ける
特に職場などでは、上司などから具体的なフィードバックを受けることも、インポスター症候群の対策として効果的です。
定期的なフィードバックを受けることで、他者からの評価に対して不安が膨らむことを防ぎ、正当な評価を認識しやすくなります。良いところと悪いところを含めたフィードバックを受けることで、自身の成長も確認でき、自己肯定感を高める機会にもなるでしょう。
周囲に頼れる環境に身を置く
環境を変えることが可能であれば、周囲に頼れる環境に身を置くことも有効です。周囲に頼れる環境にいると、周りから適度なサポートが得られるため、自分の立場や役割に対するプレッシャーが軽減されます。
たとえば、職場で自分よりも優秀なメンバーに気軽に相談できる環境にいると、自分一人では解決が難しい場面でも協力が得られるため、安心感が生まれるでしょう。
SNSと距離を取る
SNSで他人の成功や充実した日常を目にすると、無意識に自分と比較してしまいます。SNSは他人の良い面が強調されるため、自分との差を感じて自己評価を下げる原因になります。
こうした影響を避けるためには、SNSを控えることが有効です。SNSと距離を取ることで自身の生活に集中でき、インポスター症候群の症状緩和につながります。
まとめ
インポスター症候群は、成果が実力によるものではないと感じ、周囲からの評価に不安や疑念を抱く心理状態のことです。挑戦に消極的になり、自分を卑下する特徴があります。
インポスター症候群になる原因は、職場環境や家庭環境、個々の心理による影響などが考えられます。改善に向けては、自己肯定感を高めるとともに、正当に自己評価ができる環境づくりや習慣づくりをすることが重要です。
企業として対策に取り組む際には、個々に対して上手くフィードバックできる環境づくりなどが症状を予防するための一助となります。ぜひ、インポスター症候群について理解を深めて、自身のマネジメントや職場作りに役立ててください。
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よくある質問
インポスター症候群の特徴は?
インポスター症候群は、成果が自分の実力ではないと感じ、周囲からの評価に不安や疑念を抱く心理状態のことです。チャレンジを避ける、自分を卑下するなどの心理状態が特徴として挙げられます。
インポスター症候群の特徴について詳しくは、「インポスター症候群とは?」をご覧ください。
インポスター症候群の対処法は?
インポスター症候群を改善するための対処法としては、完璧主義をやめることで失敗を許容する、自分を褒める習慣を身につける、他者からフィードバックを受ける、周囲に頼れる環境に身を置く、SNSと距離を取るなどの方法が挙げられます。
対処法について詳しくは、「インポスター症候群の対処法」をご覧ください。
監修 菅田 芳恵(すがた よしえ)
49歳から2年間で社労士、CFP、キャリアコンサルタント等7つの資格を取得し独立開業する。現在は、13の資格を持ち幅広い知識を活かして、コンサル、研修講師、執筆、カウンセリング等を行っている。