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えるぼし認定とは?4つの区分や認定基準、取得するメリットを解説

公開日:2024/06/04

監修 大柴良史 社会保険労務士・CFP

えるぼし認定とは? 4つの区分や認定基準、取得するメリットを解説

えるぼし認定は、女性活躍への取り組みが優良な企業を認定する制度です。えるぼし認定の概要や4つの区分、認定基準や取得するメリットを解説します。

2023年12月31日時点で、えるぼし認定企業は2,534社、プラチナえるぼし認定企業は47社に達しました。えるぼし認定の基本的な仕組みや認定基準を把握して、自社の取り組みに活かしましょう。

目次

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えるぼし認定とは女性活躍への取り組みに関する制度

えるぼし認定は、女性活躍推進法の制定で誕生した制度です。

一般事業主行動計画を策定して届け出を行い、女性活躍に関する基準をクリアして認定を受けると、認定マークを商品や広告につけることができます。

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出典:厚生労働省「「えるぼし」認定とは」

認定マークには「L」が描かれており、円の上には星が輝くデザインです。「L」には、社会で活躍する女性に対する「エール」の思いが込められているほか、女性(Lady)、働く(Labour)、手本(Lead)など、エレガントに活躍するイメージが取り入れられています。

えるぼし認定の3つの段階とプラチナえるぼし認定

えるぼし認定には、4つの区分が設けられています。各区分の認定マークとそれぞれの基準は次の通りです。

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出典:厚生労働省「雇用環境・均等行政をめぐる 最近の動き」

えるぼし認定は「えるぼし(1段階目)」「えるぼし(2段階目)」「えるぼし(3段階目)」の3つの段階に分けられていて、それぞれ色や円の上にあしらわれた星の数で判別可能です。

段階は、採用や管理職比率などの5つの基準をどれだけクリアしているかで判定されます。

えるぼし1段階目の場合は5つの基準のうち1項目または2項目、えるぼし(2段階目)は5つの基準のうち3項目または4項目をクリアし、そのほかの条件を満たすと認定されます。

2020年6月からは、従来の3段階のえるぼし認定に、新たにプラチナえるぼし認定が加わりました。プラチナえるぼし認定は、えるぼし認定よりも厳しい基準が設定されています。

えるぼし認定は女性活躍への企業の取り組みが広く認知されるように、取り組み具合などが視覚的にわかりやすく工夫されている点が特徴です。

えるぼし認定の認定基準

えるぼし認定を受けるためには、5つの評価項目でひとつ以上を満たしたうえで、「女性の活躍推進企業データベース」で認定を満たし、その実績を毎年公表する必要があります。

また、基準に達していない評価項目についても、事前に届出している行動計画に定めた取り組みの中から評価に関連のある事項を実施し、その取り組み状況を同データベースで公表等行う必要があります。

5つの評価項目は次の通りです。

えるぼし認定の認定基準

  1. 採用
  2. 継続就業
  3. 労働時間などの働き方
  4. 管理職比率
  5. 多様なキャリアコース
各評価項目の詳しい内容を解説します。

出典:厚生労働省「「えるぼし」認定とは 」

①採用

えるぼし認定では、男女の性別で差がない人事採用を求めています。採用の評価項目でクリアすべき基準は次の2つのうちどちらかです。

採用の認定基準

  • 採用での男女別の競争倍率が同程度
  • 直近の事業年度で次の2つの項目を満たす
    1:正社員に占める女性従業員の割合が産業ごとの平均値以上である
    2:正社員の基幹的な雇用管理区分における女性従業員の割合が産業ごとの平均値以上
なお、雇用管理区分とは、企業の職種や雇用形態などの区分です。

たとえばコース別に「総合職」「エリア総合職」「一般職」などに区分するケース、職種別に「正社員事務職」「正社員営業職」「パート製造職」などに区分するケースが挙げられます。

②継続就業

えるぼし認定では、男性と女性の継続就業度に差がないかも評価されます。継続就業の基準は次の通りです。

継続就業の認定基準

  • 「女性労働者の平均継続勤務年数」 ÷ 「男性労働者の平均継続年数」の数値が、雇用管理区分ごとに7割以上
  • 「女性労働者の継続雇用割合」 ÷ 「男性労働者の継続雇用割合」の数値が、雇用管理区分ごとに8割以上
継続就業の項目を満たすには、直近の事業年度で上記のどちらかのクリアが求められます。

なお、平均勤続年数や継続雇用割合を把握できない場合は、例外基準での判定が可能です。直近の事業年度で、正社員の女性従業員の平均継続勤務年数が、産業ごとの平均継続勤務年数の平均値以上であれば、継続就業の項目をクリアできます。

③労働時間などの働き方

女性を含め、労働時間などの働き方は働く環境に大きな影響を与える項目です。

労働時間に関しては、雇用管理区分ごとの以下の合計時間数の平均が、直近事業年度のすべての月で45時間未満である状態が求められます。

労働時間などの認定基準

  • 法定時間外労働
  • 法定休日労働時間

④管理職比率

日本の管理職比率は国際的に比較して低い水準にあることもあり、えるぼし認定では管理職比率を評価項目に加えています。管理職比率の基準は次の通りです。

管理職比率の認定基準

  • 直近の事業年度で管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値以上
  • 直近3事業年度にひとつ下の職階から課長級に昇進した労働者に関して、「女性労働者の割合」 ÷ 「男性労働者の割合」が8割以上
上記のうち、どちらかの達成が管理職比率の認定基準です。

⑤多様なキャリアコース

多様なキャリアコースの評価項目では、次の項目のうち、直近の3事業年度で大企業は2項目以上、中小企業は1項目以上の実績が求められます。

多様なキャリアコースの認定基準

  • 女性の非正社員からの正社員への転換
  • 女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
  • 過去に在籍した女性社員の正社員での再雇用
  • おおむね30歳以上の女性の正社員での採用
たとえば、直近の3事業年度でアルバイトや契約社員などの女性非正社員が、正社員へ登用した実績があれば、「女性の非正社員からの正社員への転換」の項目を満たせます。

なお、非正社員が在籍する大企業の場合、「女性の非正社員からの正社員への転換」は必須項目です。

プラチナえるぼし認定の認定基準

プラチナえるぼし認定では、えるぼし認定よりも高い水準の取り組みが求められます。

まず、プラチナえるぼし認定を受けるためには、えるぼし認定の5つの評価項目をすべて満たさなければなりません。

加えて、5つの評価項目のうち、「継続就業」と「管理職比率」では、えるぼし認定よりも厳しい基準が定められています。

プラチナえるぼし認定の認定基準

  • 継続就業:平均継続勤務年数に関する数値で8割以上、継続雇用割合に関する数値で9割以上
  • 管理職比率:管理職に占める女性従業員の割合が産業ごとの平均値の1.5倍以上
管理職比率の「平均値の1.5倍以上」に関しては、いくつかの条件が加えられています。1.5倍したあとの数値が15%以下の場合、管理職での女性従業員の割合は15%以上が必要です(一部例外を除く)。

また、1.5倍したあとの数値が40%以上の場合、管理職での女性従業員の割合が、正社員に占める女性比率の8割以上が条件です(一部例外を除く)。

そのほか、「一般事業主行動計画に基づく取り組みの実施、目標の達成」「男女雇用機会均等推進者、職業課程両立推進者の選任」「女性活躍法に基づく情報公表項目の8項目以上の公表」が必要です。

えるぼし認定を取得するメリット

えるぼし認定を取得すると、企業のイメージアップや公的機関での優遇措置などいくつかのメリットを受けられます。主なメリットは次の通りです。

えるぼし認定を取得するメリット

  • 女性が活躍しやすい企業とアピールできる
  • 社員満足度の向上に役立つ
  • 公共調達で優遇措置が受けられる
  • 日本政策金融公庫で通常よりも低い金利で融資が受けられる
それぞれのメリットを詳しく紹介します。

女性が活躍しやすい企業とアピールできる

えるぼし認定の取得は、認定マークの表示を通じて女性が活躍しやすい企業とアピールできる点がメリットです。具体的には、次のものに認定マークを表示できます。

認定マークを表示できるもの

  • 自社製品やサービス、その広告
  • ハローワークの求人票
  • 自社のホームページ
  • 事務所や営業所、名刺や封筒
自社製品や広告、ハローワークの求人票などに認定マークを表示できれば、企業イメージの向上につながるほか、働きやすい環境を求める女性人材へアピールできます。

取引先や顧客、地域社会からのイメージアップが期待できる点もメリットです。

社員満足度の向上に役立つ

えるぼし認定の評価項目には、男女ともに働きやすい環境づくりに貢献する項目が含まれます。えるぼし認定の取得に向けて社内の労働環境の整備を行うと、社員満足度の向上にも有効です。

社員満足度が向上すると、社員のモチベーションや意欲の高まりが見込めます。結果、社員の定着率や生産性の向上が期待できます。

公共調達で優遇措置が受けられる

えるぼし認定を受けた事業者は、公共調達で加点評価を受けられる場合がある点がメリットです。女性活躍推進法第24条に基づき、国の機関や独立行政法人は、総合評価落札方式や企画競争による調達で加点評価を行う取り組みを実施しているためです。

具体的な加点方法は調達により違いはありますが、加点評価が受けられれば、それだけ公共調達で有利になります。特に、公共調達での事業が多い企業にとって、メリットの多い部分です。

日本政策金融公庫で通常よりも低い金利で融資が受けられる

日本政策金融公庫では、働き方改革に取り組む事業者に向け「働き方改革推進支援資金」を提供しています。

働き方改革推進支援資金の対象には、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定、届け出をした事業者が含まれます。2億7,000万円を限度に、特別利率での融資が可能です。

えるぼし認定の申請の流れ

えるぼし認定の申請に必要な手続きの流れは、次の通りです。

えるぼし認定の申請の流れ

  1. 一般事業主行動計画を策定して、都道府県労働局に届け出る
  2. 女性の活躍に関する情報を「女性の活躍推進企業データベース」などで公表する
  3. えるぼし認定を申請する
  4. 認定を受けたことを公表する
えるぼし認定では、女性活躍推進法での一般事業主行動計画の策定が必要です。自社の取り組み状況を洗い出し、課題分析を行ったうえで改善のための一般事業主行動計画を策定しましょう。

自社の取り組みに関する情報は「女性の活躍推進企業データベース」または自社のホームページで公表します。公表した情報は、少なくとも毎年1回の更新が必要です。

その後、必要な書類を準備して、都道府県労働局雇用環境・均等部へえるぼし認定を申請します。認定後、えるぼし認定を取得した事実を公表するまでが主な流れです。

えるぼし認定の申請に必要な書類

えるぼし認定で必要な書類は次の通りです。

えるぼし認定の申請に必要な書類

  • 基準適合一般事業主認定申請書
  • 計画期間に申請年月日を含む一般事業主行動計画の写し
  • 行動計画を公表、周知、公表した日付がわかる書類
  • 基準適合一般事業主認定申請書3の実績を明らかにする書類
  • 基準適合一般事業主認定申請書4、5の公表、その日付がわかる書類
  • 関係法令遵守状況報告書
申請は郵送や窓口への持参のほか、電子申請が可能です。厚生労働省は「女性活躍推進法特集ページ」を開設しているので、不明な点があるときはチェックしてみましょう。

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まとめ

えるぼし認定は企業の女性活躍への取り組みを広く認知してもらい、女性が働きやすい環境づくりを後押しする制度です。

認定を受けるためには、5つの評価項目のうちひとつ以上を満たし、継続して適合する対応が求められます。

労働力不足が問題となっている昨今、えるぼし認定は女性人材の採用や定着につながる施策です。企業のイメージアップにも貢献するため、自社の状況にあわせて取得を検討しましょう。

よくある質問

えるぼし認定とは?

えるぼし認定は、女性活躍へ積極的に取り組む企業が受けられる認定制度です。

えるぼし認定を詳しく知りたい方は「えるぼし認定とは女性活躍への取り組みに関する制度」をご覧ください。

えるぼし認定を受けるとどのようなメリットがある?

女性が活躍しやすい企業とアピールできるほか、社員満足度の向上や公的調達での優遇措置を受けられるメリットが挙げられます。

メリットを詳しく知りたい方は「えるぼし認定を取得するメリット」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史