公開日:2023/08/16
監修 内山 貴博 1級FP技能士・CFP
ドッグフーディングは、自社製品・サービスを社内で日常的に使用することで、使い勝手や問題点を把握する施策です。
もしくは、自社製品・サービスを正式リリース前に、社内テストで使用することを指します。
自社製品を自ら使用することで、ユーザー視点で品質や使い勝手をチェックできるため、問題点や不具合を早期に発見できます。
本記事では、ドッグフーディングの意味・由来や手法、メリット・デメリットを紹介します。ドッグフーディングの目的を正しく理解し、自社に取り入れましょう。
目次
ドッグフーディングとは
ドッグフーディングは、自社で開発した製品・サービスを社内で日常的に使用することです。また、正式リリース前の製品・サービスを社内でテストする意味も含まれます。
自分たちが実際に使い勝手や問題点を確認し、品質を向上させるための施策であり、主にIT業界の開発部署で使われます。
英語で「Eat your own dog food」と言い、直訳すると「自分の犬の餌を食べよ」という意味です。
ドッグフーディングとアイスクリーミングの違い・由来
ドッグフーディングの由来には諸説あります。「ドッグフードを販売している会社の営業の方が、商品の安全性を証明するために自らドッグフードを食べた」ことが由来のひとつです。
ドッグフーディングは1980年代後半にMicrosoftから広まり、現在では多くのIT企業で導入されています。
似た言葉に、「アイスクリーミング」があります。Microsoft元CIOのTony Scott(トニー・スコット)氏がドッグフーディングをアイスクリーミングと呼んだのが始まりです。
ドッグフーディングとアイスクリーミングは、どちらも自社製品の有用性を確かめる施策を指す言葉で、意味に違いはありません。
ドッグフーディングの具体的なやり方
ドッグフーディングにもいくつかの手法があります。以下より具体的なやり方を解説します。
ドッグフーディングの手法
● 開発段階・正式リリース前にテストする● 自社製品を社内で日常的に活用する
開発段階・正式リリース前にテストする
開発の早期段階でドッグフーディングを取り入れれば、不具合を素早く発見できます。
また機能を固める前に不具合を調整できるため、最小限の労力で済むのもメリットです。
一方、正式リリース前にドッグフーディングを行うのも有効です。
リリース直前に行うことで、テストでは見つけられなかった軽微な不具合だけでなく、より良い製品にするためのフィードバックも得られます。
自社製品を社内で日常的に活用する
ドッグフーディングのもうひとつの手法は、自社製品・サービスを社内で日常的に使う方法です。継続的に使用して改善を繰り返せば、より品質を高められるだけでなく、新機能の追加開発にもつながるでしょう。
企業によっては、福利厚生として従業員割引を行い、従業員がユーザーの視点で自社製品・サービスを使用することを促進しています。
ドッグフーディングのメリット
近年、多くの企業がドッグフーディングを取り入れています。ドッグフーディングを行う主なメリットは、以下の通りです。
ドッグフーディングのメリット
● 自社製品・サービスへの理解を深められる● ユーザー目線で使い勝手を確認できる
● より迅速に率直な意見が得られる
自社製品・サービスへの理解を深められる
ドッグフーディングを実施すると、開発に携わった従業員だけでなく、さまざまな部署の従業員が自社製品・サービスをより理解できます。
ユーザーにより詳細・的確な情報を伝えられるようになるため、売上や顧客満足度の向上が期待できます。
また、自社製品・サービスを知れば知るほど愛着が深まり、ユーザーへの共感も生まれやすくなるでしょう。
ユーザー目線で使い勝手を確認できる
開発を担当していない従業員が自社製品を使うことで、よりユーザーに近い目線で使い勝手を確認できます。
開発担当者では気付けない視点から商品をチェックできるため、問題点や不具合をより早期に発見できるでしょう。見つかった問題を修正・改善すれば、スピーディーに商品の品質を高められます。
より迅速に率直な意見が得られる
自社の従業員からフィードバックを得れば、より率直な意見が得られます。
ユーザーの意見は重要ですが、フィードバックしてくれるのは一部のユーザーであり不十分な場合があります。また、ユーザーが本音を話してくれるとは限りません。
一方、自社の従業員なら、使い勝手の悪さや問題点をありのままに話してくれる可能性が高いです。
また、ユーザーからフィードバックを得るには一般公開する必要があり、改善までに時間を要してしまいます。ドッグフーディングならより迅速に意見が得られるため、即座に修正・改善が行えます。
ドッグフーディングのデメリット・注意点
ドッグフーディングを取り入れて品質を高めるには、以下の点に注意が必要です。
ドッグフーディングのデメリット・注意点
● ユーザー視点が抜け落ちやすい● 得られるのはあくまでも社内の意見である
ユーザー視点が抜け落ちやすい
本当の意味での「ユーザー視点」になっているかを考えましょう。
開発担当者は自社製品・サービスの機能や使い勝手を把握しており、知識や製品への愛着もあります。そのため、自社製品を全く知らないユーザーや、知識のない初心者の視点が抜け落ちやすく、重要な問題点を見落としかねません。
製品を全く知らないユーザーにとって使い勝手がよいかなど、真の意味での「ユーザー視点」で考える必要があります。
自社製品を知らないユーザーの立場で使い勝手や問題点を確認するには、よりユーザーに近い部署のフィードバックが重要です。
得られるのはあくまでも社内の意見である
ドッグフーディングの実施で得られるフィードバックは、あくまでも社内の意見に過ぎません。従業員からの意見だけでは、ユーザー全体のニーズを把握するのは難しいでしょう。
また、自社製品・サービスを使って終わりでは、ドッグフーディングとは言えません。有用性を確かめ品質向上させるには、従業員一人ひとりの意見をすくい上げ、製品・サービスに反映させる仕組みの構築が重要です。
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まとめ
ドッグフーディングとは、自社で開発した製品・サービスを社内で日常的に使用することです。また、正式リリース前の製品・サービスを社内で使用することも指します。
自社製品・サービスを自ら使うことで有用性や問題点を確認できるため、品質の向上につながります。従業員の自社製品・サービスへの愛着が深まり、それによって売上や顧客満足度アップも期待できるでしょう。
ドッグフーディングの目的を理解し、ユーザー視点が抜け落ちやすいなどの注意点も踏まえて自社に取り入れましょう。
よくある質問
ドッグフーディングとは?
ドッグフーディングとは、自社で開発した製品・サービスを社内で日常的に使用することです。または、正式リリース前の製品・サービスを社内テストで使用することも指します。ドッグフーディングは製品・サービスの使い勝手や問題点を確認するために行います。
ドッグフーディングの意味や由来を詳しく知りたい方は「ドッグフーディングとは」をご覧ください。
ドッグフーディングのメリットは?
ドッグフーディングの主なメリットは以下の通りです。
ドッグフーディングのメリット
● 自社製品・サービスへの理解を深められる● ユーザー目線で使い勝手を確認できる
● より迅速に率直な意見が得られる
監修 内山貴博(うちやま たかひろ) 1級FP技能士・CFP
大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。