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新型コロナウイルスが「5類感染症」へ!企業への影響や取り組むべき感染対策とは?

公開日:2023/10/19

監修 大柴 良史 社会保険労務士・CFP

新型コロナウイルスが「5類感染症」へ!企業への影響や取り組むべき感染対策とは?

2023年5月8日から、新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」へ移行しました。本記事では、企業への影響今後の感染対策を説明します。

新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移ったことで、マスクの着用や外出自粛といった感染対策が緩和されました。本格的なアフターコロナの時代へ突入した今、感染症との付き合い方を見直すタイミングです。

目次

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新型コロナウイルス「5類」移行でどう変わる?

感染症法では、感染力や感染した場合の重篤性などを勘案し、下表のように1~5類に分類されます。

分類対象となる感染症の例
1類エボラ出血熱・ペスト・ラッサ熱など
2類結核・鳥インフルエンザ・SARSなど
3類コレラ・細菌性赤痢など
4類狂犬病・マラリア・デング熱など
5類インフルエンザ・性器クラミジア感染症など

感染力や重篤性からみて、もっとも危険性が高いのは1類感染症です。代表的な1類感染症は、エボラ出血熱やペストなどです。1〜5類感染症以外にも、措置を講ずる必要があるものは指定感染症などに規定されます。

新型コロナウイルス感染症は、「2類」相当に位置づけられていましたが、2023年5月8日から「5類感染症」に移行しました。5類感染症には、インフルエンザや性器クラミジア感染症などが分類されます。

「5類感染症」になることで、移行前と大きく変わるのは以下の内容です。

5類移行後に変わるポイント

● 政府が一律に日常の基本的感染対策を求めることがない
● 新型コロナ陽性者および濃厚接触者の外出自粛が求められない
● 幅広い医療機関で受診できるようになる
● 医療費に関して健康保険が適用され、1~3割は自己負担となる
基本的感染対策とは、マスクの着用や換気「3つの密」の回避などをいいます。また医療費については、一定期間は公費支援が継続される予定です。

新型コロナウイルス感染症については現在、感染防止対策のために政府から一律で行動制限等を受けるような状況ではありません。しかしその一方で、マスクの着用が推奨されるケースが存在します。

マスク着用が推奨されるケース

● 受診時や医療機関・高齢者施設を訪問するとき
● 通勤ラッシュ時など混雑した電車・バスに乗車するとき
● 重症化リスクが高い人が混雑した場所に行くとき
重症化リスクが高い人とは、高齢者や基礎疾患(がん・慢性肝臓病・心血管疾患など)を有する人が該当します。

新型コロナウイルスの「5類」移行で生じる企業への影響

新型コロナウイルスが「5類感染症」へ移行することで、企業にはどのような影響が生じるのか、以下4つの変化に関して解説します。

5類移行で生じる企業への影響

● 対面営業がしやすくなる
● 感染症対策に必要なコストが抑えられる
● ルールの見直し対応が必要になる
● 新型コロナウイルスの感染が広がりやすくなる
それぞれ詳しく解説します。

対面営業がしやすくなる

感染対策の緩和が進むことで、対面営業やマスク無しでのコミュニケーションが可能になります。相手の表情が見えよりコミュニケーションが取りやすくなるため、好意的な営業職の意見も多く、経済の活性化も期待されます。

一方、新型コロナウイルスの5類移行後も、オンライン営業を継続したいと考える人は少なくありません。コロナ禍で浸透したオンライン営業には、移動時間を削減できることや、場所を選ばないなどのメリットがあるためです。

また「感染リスクが上がりそう」など、感染対策の緩和を心配する声もあります。感染した場合、現状では特効薬がないことや、会社側のサポート体制に関して不安を感じている人も一定数います。

感染症対策に必要なコストが抑えられる

新型コロナウイルスが5類に移る前は、以下のような対応が求められていました。

5類移行前の対応

● 入場時の検温
● 入口での消毒液の設置
● アクリル板などのパーティションの設置
5類に移行後、上記のような対応は費用対効果などを考慮したうえで、企業が実施の要否を判断できます。

必要な感染対策を絞れば、マスクや消毒液などにかかっていたコストや手間を減らせる可能性があります。たとえば飲食店などでは、感染防止用のパーティションを処分することで、保管スペースが不要になり、業務もスムーズになるでしょう。

ルールの見直し対応が必要になる

新型コロナウイルスの5類移行にあたって、マスク着用の要否や接客時のルール、対面またはリモートなどの勤務形態など、社内体制を見直さなければなりません。

勤務形態の変更などは、従業員から不満の声が出る可能性もあります。ルールや体制の見直しに関しては、まず従業員の理解を得ることが大切です。

また新型コロナウイルスの感染が完全に収まったわけではない点や、人によって重症化リスクが異なる点を考慮したうえで、ルールの変更は慎重に行いましょう。

新型コロナウイルスの感染が広がりやすくなる

厚生労働省によると、新型コロナウイルスが5類に移行して1週間で、定点医療機関1ヶ所あたりの平均感染者数は1.5倍に増えました。
出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況等について」

夏休みシーズンにおけるイベント再開も感染拡大の一因となり、感染者数は増加傾向が続くと予想されます。

外出自粛などの規制は緩和されていますが、企業でも感染による欠勤者が増える可能性があります。従業員が感染した場合の休暇制度や、日常の換気ルールなど、各企業ごとに必要な対策を検討しましょう。

新型コロナウイルスの「5類」移行後に企業ができる感染対策

企業ができる感染対策は、主に以下の5つです。

企業ができる主な感染対策

● マスク着用など有効な感染対策を継続する
● 感染時の休暇制度を見直す
● テレワークを継続・導入する
● 時差通勤を継続・導入する
● 時差休憩を継続・導入する
それぞれ詳しく解説します。

マスク着用など有効な感染対策を継続する

新たなコストや手間をかけずに感染を防ぎたい場合は、5類移行前から実施していた感染対策を継続しましょう。

有効な感染対策

● 換気
● 手洗い・手指消毒
● マスク着用
共有スペースなどでは、定期的な換気を行うことが大切です。窓を開けて空気を入れ替える自然換気のほか、換気扇や24時間換気システムなどによる機械換気も、感染防止の効果が期待できます。

また重症化リスクが高い人もいるため、営業先によってはマスク着用をルールとするなど、社内ルールを設けましょう。

ただし2023年3月13日以降、マスクの着用は「個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本」となりました。本人の意思に反して着用の強要や、外すことを強要するなどがないよう配慮が必要です。

感染時の休暇制度を見直す

個人差はありますが、新型コロナウイルスの感染リスクは次の通りです。

コロナの感染リスク

● 発症2日前から発症後7〜10日間は感染性のウイルスを排出している
● 発症後3日間は感染性のウイルスの排出量が多く、5日経過後は大きく減少する
新型コロナウイルスに感染した患者や濃厚接触者に対して、感染症法に基づく外出自粛は求められなくなりました。しかし従業員やその家族が罹患した場合、社内感染を防ぐためにも、十分な休養期間が必要になるでしょう。

たとえば感染症によって小学校などが臨時休業となった場合、子どもの世話をするために欠勤した従業員に支払った賃金を助成する制度があります。公的な支援制度をしっかり活用し、従業員が安心して休める制度や休業手当を用意することが大切です。

テレワークを継続・導入する

テレワークは感染症対策だけでなく、通勤時間の短縮や業務効率化、残業の削減といったメリットがあります。

厚生労働省は「テレワーク総合ポータルサイト」を設置し、テレワークに関する情報を一元化しています。導入に関連する相談窓口や、中小企業を対象としたテレワーク導入費用の助成制度などがあるため、活用しましょう。

またテレワークの場合、労働者が通常とは異なる環境で就業するため、労働時間管理などに注意しなければなりません。その際は厚生労働省が公表している「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を参考にしましょう。

テレワークが困難な職種の場合、感染していても無症状であれば、自宅でできる新たな業務を検討し、提供してみるのもよいでしょう。

業務に必要な自己研鑽の指示をしたり、テーマに対しレポートを書かせたりすることで、欠勤にさせずに済みます。

時差通勤を継続・導入する

通勤ラッシュなど人混みを避けるため、時差通勤を推奨するのも対策のひとつです。また始業・終業の時刻を労働者に委ねるフレックスタイムという制度もあります。

フレックスタイム制では、必ず出勤すべき時間帯(コアタイム)と自由に出社または退社できる時間帯(フレキシブルタイム)を分けます。すべての時間をフレキシブルタイムとすることも可能です。

なお時差通勤やフレックスタイムを導入する際は、労使間で十分に協議しましょう。

時差休憩を継続・導入する

オフィスでの感染リスクとして、休憩室・更衣室・喫煙室などの「居場所の切り替わり」があります。

昼食の休憩などの時間を分散することで、社内の感染リスクを下げる効果が期待できます。

ただし労働基準法では、休憩時間は労働者に一斉に与えなければなりません。時差休憩を取り入れる場合、労使協定を締結し、対象者の範囲や新たな昼休み時間を決定する必要があります。

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まとめ

新型コロナウイルス感染症が、「5類感染症」に分類されました。移行前と比べると感染対策が緩和され、企業では対面営業やマスクを着用せずコミュニケーションが取れるようになりました。

しかし感染対策緩和によって、新型コロナウイルスの感染者は増加傾向にあります。そのため企業ごとに感染対策を講じ、社内のルールを見直さなければなりません。

勤務形態などのルールを変更する際には、従業員からの理解を得られるように努めましょう。

よくある質問

新型コロナウイルス「5類」移行でどう変わった?

外出自粛やマスク着用の要否を、個人や事業者ごとに判断を委ねられるようになりました。

5類に移行することで生じる影響に関して詳しく知りたい方は、「新型コロナウイルスの「5類」移行で生じる企業への影響」をご覧ください。

新型コロナウイルス「5類」移行後に企業ができる感染対策とは?

換気、手洗いや消毒といったルールを継続したり、テレワーク勤務を導入したりすることで、感染防止を期待できます。

5類移行後、企業で取り組める感染対策について詳しく知りたい方は、「新型コロナウイルスの「5類」移行後に企業ができる感染対策」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史