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日本のCookie規制はいつから?内容や対策をわかりやすく解説!

監修 松浦絢子 弁護士

日本のCookie規制はいつから? 内容や対策をわかりやすく解説!

日本でCookie規制が強化されるとさまざまな影響が出る可能性があります。本記事では、Cookie規制がいつから強化されるのか、時期や規制の内容を解説します。

Cookie規制により、リターゲティング広告や分析ツールに影響が出ると、企業のマーケティング活動にも影響する可能性があるので注意が必要です。

Cookie規制への対策や対応方法を紹介するので、背景となる法改正の内容を確認し、Cookie規制にどのように対応するのか、方針を検討してください。

目次

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Cookieとは?

Cookieとは、ウェブサイトを閲覧したときにパソコンやスマホに保存される管理用のファイルです。

利用者の登録情報やショッピングカートの内容などが、自分のパソコンやスマホの中に保存されることで、同じサイトを訪れた際に保存データを利用できる仕組みです。

たとえば、SNSやショッピングサイトなどでIDやパスワードを入力してログインした後、画面を閉じてしばらくしてから再度接続すると、ID・パスワードを入力せずにサイトに接続できるケースがあります。

ID・パスワードを再度入力せずに済むのは、Cookieによって以前取得したID・パスワードなどの情報が保存されていて、データが利用できるようになっているためです。

Cookieは、ファーストパーティーCookieとサードパーティーCookieの2種類があります。

ファーストパーティーCookieユーザーが実際に訪問したウェブサイトのドメインから直接発行されるCookie
サードパーティーCookieユーザーが実際に訪問したウェブサイト以外のドメインから発行されるCookie

日本を含む各国でCookie規制が強化されていますが、規制の対象になるのは主にサードパーティーCookieです。

Cookie規制とは?

Cookie規制とは、Cookieによって保存されているユーザー情報の利用を制限するための規制です。

Cookieは、Web広告で利用されるなど幅広い用途・メリットがありますが、一方で、個人情報の漏えい等リスクも生じるため、個人情報を守る観点から各国でCookie規制が導入されています。

なお「Cookie規制」は、国が法律を整備して規制を行うことを指す以外に、ウェブサイトの運営会社などがCookieの利用を制限するルールを設けることを指す場合があります。

本記事で解説する内容は、国や自治体など行政によるCookie規制に関してです。

日本のCookie規制はいつから?

日本ではCookie規制がいつから行われているのか、理解するうえでポイントになる法改正は次の2つです。

Cookie規制のポイントとなる法改正

● 2022年4月 改正個人情報保護法施行
● 2023年6月 改正電気通信事業法施行
上記の法改正により、日本でもCookie規制が強化されました。以下では法改正の内容を解説します。

【2022年4月施行】改正個人情報保護法

個人情報保護法が改正されて個人関連情報という概念が新設されました。

個人関連情報は、個人情報保護法上「生存する個人に関する情報であって、個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないもの」と定義されます。Cookieによって保存されている情報も個人関連情報に該当します。

あるデータを第三者に提供する際、提供元では個人データに該当しないものの、提供先の第三者は、当該個人関連情報を個人データとして取得することが想定される場合には、本人の同意を得ることなどが義務付けられました。

改正個人情報保護法
出典:個人情報保護委員会「令和2年改正個人情報保護法 特集」

Cookieによって保存されたデータも対象となるため、一般的にCookie規制と呼ばれます。同意を得る義務を負うのはデータの提供元ではなく提供先です。

たとえば、特定の個人を識別できない状態のデータを保有しているA社が当該データをB社に提供し、B社は独自に保有しているほかのデータと当該データを組み合わせることで、特定の個人の情報として利用するケースがあります。

A社にとっては特定の個人を識別できないため、個人情報にあたらず本人の同意が不要なケースでも、提供先のB社にとっては個人関連情報にあたるため、本人の同意を得なければなりません。

Cookieに係るデータをA社がB社に提供する場合も上記のケースに該当し、個人関連情報にあたるのであれば本人の同意が必要です。

【2023年6月施行】改正電気通信事業法

電気通信事業法が改正により、ユーザー情報を第三者に提供する際、ユーザー情報の内容など、法定の事項を利用者に通知または公表が義務付けられました。

改正電気通信事業法
出典:総務省「自分に関する情報が第三者に送信される場合、自身で確認できるようになります。」

Cookieによって保存されたデータの外部送信も対象となるため、一般的にCookie規制と呼ばれます。

電気通信事業法と聞くと、電話会社など通信設備を提供する事業者を対象とした法律とイメージする人もいるかもしれません。しかし、電気通信設備の提供事業者だけでなく、電気通信設備を使った電気通信役務の提供を行う事業者も対象です。

電気通信役務の提供を行う事業者とは、たとえばSNSやオンラインでの検索サービス・情報提供サービスなどを扱っている事業者です。

Cookieによって保存されたデータを外部送信する場合、Cookieの使用に関して同意する旨のポップアップを表示させてユーザーから同意を得るようにするなど、電気通信事業法のCookie規制に即した対応を行わなければなりません。

電気通信事業法改正に関して詳しく知りたい方は、「【2022年】電気通信事業法改正とは?変更のポイントや対策をわかりやすく解説」をご覧ください。

Cookie規制の影響

Cookie規制が行われると、企業にはさまざまな影響が生じます。日本でいつからどのような内容のCookie規制が実施されるのか、企業の担当者は法改正等の最新情報の確認が必要です。

以下では、Cookie規制による主な影響を紹介します。

リターゲティング広告への影響

リターゲティング広告とは、一度自社のサイトに訪れたことがあるユーザーに引き続き自社の広告を表示できるWeb広告です。自社のサイトに訪れたことがある人が誰なのか、ユーザー情報の収集にはCookieが使われています。

Cookie規制が実施されるとユーザーの情報を収集しにくくなるので、従来のようにリターゲティング広告を配信できなくなる可能性があります。

実質的に広告宣伝活動が制約を受け、売上などに影響する可能性があるので、リターゲティング広告に依存している企業は注意が必要です。

分析ツールへの影響

企業によっては、サードパーティーCookieを使ってユーザーの識別や分析を行い、マーケティング活動に活用している場合があります。

しかし、Cookie規制によってユーザー情報の取得が難しくなれば、規制前にできていた分析や分析結果に基づく販売戦略の策定などができません。

Cookie規制に伴ってデジタルマーケティング活動の手法自体が使えなくなると、分析手法を再考しなければならないなど、企業活動に影響が出るでしょう。

Cookie規制への対策と対応

日本を含めた各国でCookie規制が強化される傾向にあるため、企業の事業活動への影響は避けられませんが、対策を取ることで影響を緩和できます。

以下では、Cookie規制に対して取り得る対策や必要な対応を紹介します。

サードパーティーCookieではなくファーストパーティーCookieを活用する

2種類あるCookieのうち、Cookie規制の対象になるのは主にサードパーティーCookieです。

規制によってサードパーティーCookieが使えないのであれば、サードパーティーCookieを使わない方法を考えなければなりません。

サードパーティーCookieを使わない方法のひとつは、ファーストパーティーCookieの活用です。

サードパーティーCookieに比べ、ファーストパーティーCookieは収集できる情報が限られます。しかしファーストパーティーCookieであれば、規制の対象にならない場合が多く、Cookie規制が強化されても使い続けられる可能性が高いでしょう。

広告以外の集客方法の活用を検討する

Cookie規制によってリターゲティング広告へ影響が出るのであれば、今後はほかの集客方法を検討する必要があります。

Cookieを利用する方法は便利ですが、Cookieを利用しない集客方法も多くあるので、自社にあった手法がないか、検討してみましょう。

たとえば、リターゲティング広告以外にネット上での集客としては、SEOやSNSに注力する方法があります。またネット以外で集客を試みる方法も考えられます。

個人情報や個人関連情報は法律に則って適切に取り扱う

個人情報の第三者提供には、提供元の事業者による本人の同意の取得が必要です。

また個人関連情報を第三者が提供を受ける際、提供を受ける事業者が当該個人関連情報を個人データとして取得する場合は、ユーザーの同意を得なければなりません。

保有している利用者情報が個人情報や個人関連情報に該当するのかを確認し、情報の取得や提供に際してユーザーの同意を得るなど、法律に則った対応が求められます。

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まとめ

日本では、2022年4月施行の改正個人情報保護法と2023年6月施行の改正電気通信事業法によって、Cookie規制が強化されました。

個人情報や個人関連情報を取り扱う際、場合によってはユーザーの同意を得るなど、法律に則った対応を行わなければなりません。

個人情報保護の観点から、Cookie規制は今後も強化されることが考えられます。いつからルールが変わるのか、最新の法改正情報を適宜確認し、Cookie規制が強化される場合には必要な対応を取りましょう。

対策をうまく講じれば規制による影響を緩和でき、企業活動への影響を抑えられる可能性があります。ファーストパーティーCookieの活用や広告以外の集客方法の活用など、対策を検討してみましょう。

よくある質問

Cookie規制とは?

Cookie規制とは、Cookieが保存するユーザーの情報利用を制限するための規制です。個人情報保護を目的に行われます。

Cookie規制を詳しく知りたい方は「Cookie規制とは?」をご覧ください。

日本のCookie規制はいつから?

日本では2022年4月施行の改正個人情報保護法と2023年6月施行の改正電気通信事業法によって、Cookie規制が強化されました。

日本ではいつからCookie規制が強化されたのか、詳しく知りたい方は「日本のCookie規制はいつから?」をご覧ください。

監修 松浦絢子(まつうら あやこ) 弁護士

松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。

監修者 松浦絢子