公開日:2023/08/29
監修 安田 亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士
スマホアプリ納付とは、PayPayやd払い、au PAYなどのPay払いを利用し、時間や場所を問わずにスマホアプリで支払える納税手段です。
2022年12月1日から、国税のほぼすべての税目を対象に、Pay払いでの納付ができるようになりました。
本記事では、スマホアプリ納付の概要や対応税目、メリット・注意点を解説します。スマホアプリ納付を利用した納付手順も紹介するので、キャッシュレスで手軽に納付したい方はぜひご覧ください。
目次
- スマホアプリ納税とは
- スマホアプリ納付は国税のほぼすべての税目に対応
- スマホアプリ納付の4つのメリット
- ①いつでもどこでも納付できる
- ②事前の届け出が必要ない
- ③決済手数料がかからない
- ④e-Taxで確定申告していれば納付情報の入力を省略できる
- スマホアプリ納付のデメリット・注意点
- 納付金額が30万円を超える場合は利用できない
- ポイントが付与されない場合もある
- 領収証書が発行されない
- スマホアプリ納付の手順
- 1. 国税スマートフォン決済専用サイトにアクセスする
- 2. 支払い方法を選択して納付情報を入力する
- 3. 納付する
- まとめ
- 確定申告を簡単に終わらせる方法
- よくある質問
- スマホアプリ納税とは?
- スマホアプリで納税できる税目は?
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スマホアプリ納税とは
国税・地方税の支払い方法として、スマホアプリを使った納税が広まっています。
国税では、2022年12月1日から「スマホアプリ納付」が始まりました。地方税では、2023年4月1日から「地方税統一QRコード」による納付がスタートしています。
国税の「スマホアプリ納付」とは、国税スマートフォン決済専用サイトからPay払いで国税を納める方法で、国税庁長官が指定した納付受託者(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)が運営しています。
対応しているPay払いは、以下の6種類です(2023年8月時点)。
スマホアプリ納付は国税のほぼすべての税目に対応
国税のほぼすべての税目でスマホアプリ納付が利用可能です。
スマホアプリ納付の対象税目の例
● 所得税● 消費税
● 法人税
● 相続税
● 贈与税
● 酒税
● たばこ税
ただし、印紙を貼り付けて納付する場合など、納付書を添えて納付しない税目は利用できません。また、複数の税目をまとめての納付はできないため、税目ごとに手続きが必要です。
スマホアプリ納付の4つのメリット
スマホアプリ納付を使えば、より手軽に国税を納付できます。主なメリットは以下の4つです。
スマホアプリ納付の4つのメリット
1. いつでもどこでも納付できる2. 事前の届け出が必要ない
3. 決済手数料がかからない
4. e-Taxで確定申告していれば納付情報の入力を省略できる
①いつでもどこでも納付できる
スマホアプリ納付は、休日や夜間を問わず、原則24時間いつでも利用可能です。
キャッシュレスで納付でき、現金を用意する必要がないため手間がかかりません。また、納付の際に家族の情報を入力すれば、家族分も納付できます。
ただし、メンテナンスなどで利用できない時間が生じる場合があるためご注意ください。
②事前の届け出が必要ない
スマホアプリ納付は届出書を提出するなど事前手続きの必要がなく、専用サイトにアクセスし、Pay払いの選択や納付情報の入力を行うだけで納付できます。
納付する税目・金額のわかるものと、インターネットに接続できるスマホを用意したうえで手続きをしましょう。スマホの推奨環境は以下の通りです。
iOS | バージョン13.0以上 safari13.0以上 |
Android | バージョン10以上、Chrome バージョン107以上 |
なお、届け出は不要ですが、利用したいPay払いの事前準備は以下の通り必要です。
Pay払いの事前準備
● アプリのインストール● アカウント登録
● 残高へのチャージ
③決済手数料がかからない
決済手数料がかからないのもスマホアプリ納付のメリットのひとつでしょう。クレジットカード納付では、納付税額に応じて決済手数料がかかります。
納付税額 | 決済手数料 |
1円~10,000円 | 83円 |
10,001円~20,000円 | 167円 |
20,001円~30,000円 | 250円 |
30,001円~40,000円 | 334円 |
40,001円~50,000円 | 418円 |
50,001円を超える場合も同様に、10,000円を超えるごとに決済手数料が加算されます。手数料をかけずに支払いたいなら、スマホアプリ納付を利用しましょう。
④e-Taxで確定申告していれば納付情報の入力を省略できる
e-Taxでの確定申告後、受信通知からサイトにアクセスすれば情報が引き継がれるため、納付情報の入力は不要です。
入力を省略できる納付情報の例
● 住所● 氏名
● 納付する税目
● 税額
スマホでのe-Taxを使った確定申告方法は「【2023年版】スマホで確定申告をするやり方について解説!必要なものと申告方法とは」で解説しています。
スマホアプリ納付のデメリット・注意点
スマホアプリ納付は、24時間いつでもキャッシュレスで納付できる便利な納税手段ですが、以下の点には注意が必要です。
スマホアプリ納付のデメリット・注意点
● 納付金額が30万円を超える場合は利用できない● ポイントが付与されない場合もある
● 領収証書が発行されない
納付金額が30万円を超える場合は利用できない
スマホアプリ納付が利用できるのは、納付金額が30万円以下の場合です。納付金額が30万円を超える場合は、別の納付方法を利用しましょう。なお、国税の納付手段は以下の6種類です。
納付手段 | 概要 |
スマホアプリ納付 | スマホアプリを利用してPay払いで納付する方法 |
振替納税 | 口座振替で納付する方法 |
ダイレクト納付 | e-Taxから簡単な操作で口座振替によって納付する方法 |
インターネットバンキング納付 | インターネットバンキングを利用して納付する方法 |
クレジットカード納付 | 「国税クレジットカードお支払サイト」からクレジットカードで納付する方法 |
現金納付 | 金融機関の窓口やコンビニエンスストアで納付する方法 |
また、スマホアプリ納付の上限とは別に、各Pay払いで設定された利用上限金額によって納付金額が制限される場合もあります。
たとえば、PayPayでは以下の利用上限金額が設けられています。
区分 | 利用上限金額 |
過去24時間 | 50万円 |
過去30日間 | 200万円 |
納付金額が30万円以下でも、1日(24時間)の支払いが50万円を超える場合は支払えないため注意してください。
ポイントが付与されない場合もある
スマホアプリ納付でポイントが付与されるかどうかは、Pay払いによって異なります。
たとえば、au PAYでは、スマホアプリ納付をした場合にも0.5%のポイントが還元されます。
スマホアプリ納付を利用した場合にポイントが付与されないPay払いもあるため、事前に確認しましょう。
領収証書が発行されない
スマホアプリ納付で納税した場合、領収証書は発行されません。領収証書が必要な場合はスマホアプリ納付を利用せず、納付書を使って金融機関や税務署の窓口で納付しましょう。
また、国税スマートフォン決済専用サイトで納付した内容は、後日確認できません。後日確認が必要な場合は、以下のいずれかの方法を活用してください。
納付内容のダウンロード | 納付手続き完了画面に表示される「納付内容をダウンロード」ボタンをアップしてダウンロードする |
納付手続完了メールの確認 | 「納付情報の入力」または「納付情報確認」画面でメールアドレスを登録することで送信される納付手続完了メールを確認する |
なお、納付手続完了メールには、税額などの「納付情報」と支払手続完了日などの「支払情報」が記載されています。各Pay払いの取引履歴にもスマホアプリ納付を行った履歴が残るため、併せて活用しましょう。
スマホアプリ納付の手順
スマホアプリ納付を利用し、国税を納付する手順を解説します。事前に利用したいPay払いのスマホアプリをインストールし、アカウント登録と残高へのチャージを済ませておきましょう。
スマホアプリ納付の手順
1. 国税スマートフォン決済専用サイトにアクセスする2. 支払い方法を選択して納付情報を入力する
3. 納付する
1. 国税スマートフォン決済専用サイトにアクセスする
「国税スマートフォン決済専用サイト」にアクセスする方法は次の3種類です。
国税スマートフォン決済専用サイトのアクセス方法
● 国税庁ホームページから直接アクセスする● e-Taxの受信通知からアクセスする
● 確定申告書等作成コーナーで出力される二次元コードからアクセスする
確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成したあとに納付する場合は、出力される納付用二次元コードを読み取りましょう。
国税スマートフォン決済専用サイトへのアクセス後、注意事項を確認して「次へ」をタップすると支払い画面に移ります。
2. 支払い方法を選択して納付情報を入力する
利用するPay払いを選択して「次へ」をタップし、納付情報(利用者情報・納付内容)を入力します。
利用者情報 | ・氏名 ・住所 ・電話番号 ・納付先税務署(郵便番号) ・メールアドレス |
納付内容 | ・納付税目 ・課税期間 ・申告区分 ・税額 |
メールアドレスの入力は任意ですが、納付手続完了メールを受け取りたい場合は入力しましょう。納付情報入力後、「次へ」をタップして次に進みます。
3. 納付する
納付情報の確認画面に切り替わったら、内容を確認して「納付」をタップします。選択したPay払いが起動するため、画面の案内にしたがって支払いましょう。
Pay払いでの支払いが完了し、「納付手続きの完了」画面が表示されると手続きは完了です。スマホアプリ納付では領収証書が発行されないため、「納付内容のダウンロード」をタップしてダウンロードしておきましょう。
まとめ
国税・地方税ともにスマホアプリでの納税が進んでいます。国税のほぼすべての税目に対応しているスマホアプリ納付は、スマホアプリを利用してPay払いで納付する方法です。原則24時間利用でき、決済手数料もかかりません。
今後、利用できるPay払いの種類が増えるなどサービスの拡充も期待できます。注意点も踏まえ、スマホアプリ納付を活用しましょう。
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よくある質問
スマホアプリ納税とは?
スマホアプリ納付は、「国税スマートフォン決済専用サイト」を利用し、スマホアプリを使ったPay払いで国税を納める方法です。
スマホアプリ納付の概要を詳しく知りたい方は「スマホアプリ納税とは」をご覧ください。
スマホアプリで納税できる税目は?
スマホアプリ納付は、原則として国税のほぼすべての税目に対応しています。
スマホアプリ納付の対象税目を詳しく知りたい方は「スマホアプリ納付は国税のほぼすべての税目に対応」をご覧ください。
監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。