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配属ガチャとは?意味や具体例、問題への対応策を解説

監修 大柴良史 社会保険労務士・CFP

配属ガチャとは?意味や具体例、問題への対応策を解説

配属ガチャは、入社時に希望する部署や勤務地に配属されるかどうかわからない様子を示す言葉です。意味や具体例、問題への対応策を解説します。

配属ガチャは、入社時の配属先をソーシャルゲームやカプセルトイの「ガチャ」になぞらえた言葉であり、新入社員が「ハズレ」と捉える場合は入社後の定着率への影響が考えられます。配属ガチャの言葉が使われる背景や問題を知り、人事業務に活かしましょう。

目次

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配属ガチャとは

配属ガチャとは、入社時に配属される部署や勤務地がわからず、希望する配属先になるとは限らない状況を、ソーシャルゲームやカプセルトイの「ガチャ」にたとえた言葉です。

配属ガチャには、働く環境と密接に関わる配属先が「運」に左右される不安や不満の気持ちが含まれています。「配属ガチャがハズレた」といったように、ネガティブな意味合いで使用されるケースも多い言葉です。

日本財団が2024年6月に公表した18歳意識調査「第64回–皇室・就職–」報告書によると、就職予定の17~19歳のうち、約60%が「配属ガチャ」という言葉を知っており、約70%が「配属ガチャが心配」と回答しました。

配属ガチャはもともと就職活動者の会話やSNSで使われていた俗語でしたが、近年では多くの人に認知される言葉になっています。

出典:日本財団「18歳意識調査『第64回–皇室・就職–』報告書」

配属ガチャの背景にあるもの

配属ガチャの使用が広まった背景には、これまでの日本の採用方法と就職に対する価値観の変化などが挙げられます。

従来の日本の雇用システムはメンバーシップ型雇用で、採用方法は新卒一括採用が一般的です。

新卒一括採用は、計画的な採用がしやすい点がメリットです。一方、大量の新入社員を同時に採用するため、新入社員それぞれを希望する部署や勤務地に配属することが難しい側面を持っています。

また、学生の就職に対する意識は変化しており、業界研究や自己分析を通じて希望する職種や業務内容が入社前に固まっている場合が多い状況です。実際の配属先とのずれが生じやすく、「配属ガチャ」が使用されるケースも増えています。

配属ガチャの具体的な例

ソーシャルゲームやカプセルトイのガチャで「アタリ」や「ハズレ」があるように、配属ガチャでも同様の考え方があります。

以下では、配属ガチャの「アタリ」の例と「ハズレ」の例を紹介します。

配属ガチャの「アタリ」の例

配属先の捉え方は個人によって違いがありますが、「アタリ」と捉えられる例には、希望する部署への配属、良好な人間関係、教育担当や上司に恵まれているなどが挙げられます。

そのほか、勤務地も重要なポイントです。勤務地が希望する地域にある、実家や現在の居住地に近いなども、アタリと捉えられやすい要素となっています。

配属ガチャの「ハズレ」の例

配属ガチャの「ハズレ」の例には、希望と異なる部署や勤務地への配属、上司との相性が思わしくないことなどが挙げられます。

職場の雰囲気や人間関係は実際に働いてみないとわからない部分が多く、新入社員が不安や不満を感じやすい点です。労働時間や福利厚生、日々の業務内容や待遇なども、希望と異なる場合に「ハズレ」と感じやすい項目です。

配属ガチャが「ハズレ」た場合の問題点

企業の人事担当側で十分に考えられた配属案であっても、新入社員にとって最適であるとは限りません。新入社員が配属ガチャで「ハズレ」と感じた場合の問題点は次の通りです。

配属ガチャがハズレた場合の問題点

  • 早期退職の恐れ
  • 採用コストの増加
  • 社員のキャリア形成への影響

各問題点の詳細を解説します。

早期退職の恐れ

新入社員が配属ガチャに失敗したと感じた場合、社員の早期退職の恐れがあります。

厚生労働省が2023年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況(2020年3月卒業分)」によると、新規学卒就職者の3年以内の離職率は大学卒で32.3%、高校卒で37.0%あり、配属先のミスマッチは離職の可能性を上げるリスクが考えられます。

また、日本財団の調査によると、希望と異なる配属先となった場合、全体の20%が転職を考えると回答しました。この調査は、希望と異なる部署や勤務地などへの配属により、新入社員の一部がすぐに転職を考える様子を示しています。

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(2020年3月卒業分)」
出典:日本財団「18歳意識調査『第64回–皇室・就職–』報告書」

採用コストの増加

配属ガチャの失敗で新入社員が離職してしまうと、採用にかかったコストが無駄になる可能性があります。

人事採用では、募集や面接、選考や入社などの各プロセスで費用がかかります。具体的には、採用に関わる人件費や連絡のための通信費、求人広告会社への広告費や採用イベント・セミナーの開催費などです。

離職した社員の穴を埋めようとすれば、上記のコストが再度必要です。人材採用にかかるコストがかさみ、組織運営に大きな影響を与えます。

社員のキャリア形成への影響

新入社員が得意な分野、興味・関心の高い分野以外に配属された場合、その後のキャリア形成への影響が課題です。

政府による改革の推進のもと、働き方が多様化した現在では、10年後、20年後を見据えたキャリア形成が重要です。配属ガチャで希望する職種に就けないと、理想的なキャリアを形成できない可能性があり、企業としても人材育成に問題が生じる場合があります。

配属ガチャがもたらす問題への対応策

配属ガチャがもたらす問題に対して、人事担当者ができる対応策には次の方法が挙げられます。

配属ガチャがもたらす問題への対応策

  • 新入社員の立場やニーズを意識する
  • 採用のミスマッチを防ぐ
  • 入社後に丁寧なフォローを行う
  • ジョブ型雇用の導入を検討する

それぞれの対応策の詳しい内容を紹介します。

新入社員の立場やニーズを意識する

新入社員の配属に対する不満や不安を軽減するためには、新入社員の立場を十分に意識しましょう。

新卒採用のスケジュールはほぼ固定化されており、内定から入社までは約1年の期間が存在します。新入社員が不安を感じやすい傾向があるため、配属先告知のタイミングを早めるなどの対応が必要です。

また、新入社員が配属先を知りたい背景には、共働き志向の増加や「就社から就職(企業の知名度よりも自分自身のやりたい仕事を重要視するさま)」への変化という現在の就職活動者のニーズの変化が挙げられます。

すぐに配属先を伝えられない場合は、「○○頃には決まる」というように、新入社員の「知りたい」ニーズに配慮した対応を行いましょう。

採用のミスマッチを防ぐ

配属ガチャによる希望とのズレを防ぐためには、採用のミスマッチをできるだけ防ぐことが大切です。

業務内容や職場環境の情報を十分に提供する、面接時に就業規則を丁寧に説明するなどの対応策を実施すると、採用のミスマッチを避けやすくなり、入社後の定着率に貢献します。

なお、企業が配属先で悩むようであれば、ジョブローテーション制度を活用するのも有効です。なぜなら、さまざまな職種を経験させることで、自分がやりたいと思っていた仕事とは別の仕事への興味や新たな気づきが生まれる可能性があるからです。

企業のなかには、内定時点で初期配属を確約するところも出てきました。労働人口減少による人手不足に対応するためには、他社と差別化を図る独自の人材採用方法の導入も重要です。

入社後に丁寧なフォローを行う

新入社員への入社後の丁寧なフォローは、配属ガチャによる離職を防ぐ有効な方法のひとつです。/

具体的には、配属理由の丁寧な説明、1on1ミーティングやメンター制度の導入、メンタルヘルスケアの実施やキャリアアップの支援などが挙げられます。新入社員が気軽に相談できる体制を整備し、定着率向上のための施策を行いましょう。

ジョブ型雇用の導入を検討する

ジョブ型雇用は、職務内容をジョブディスクリプション(職務記述書)で具体的に提示して、人材を採用する方法です。

ジョブ型雇用は、業務の範囲が総合的かつ流動的なメンバーシップ型雇用と異なり、職務内容を明確にしたうえで募集します。採用のミスマッチが起こりにくく、配属ガチャによる「ハズレ」の状況を回避しやすい雇用制度です。

ただし、ジョブディスクリプションに書かれた職務内容以外の業務をさせてはならないこと、同様の職務内容であれば報酬が高い企業へ人材が流れやすいこと、などの注意が必要です。

まとめ

配属ガチャは、ソーシャルゲームやカプセルトイの「ガチャ」に新卒採用時の配属をなぞらえた言葉です。新入社員が配属ガチャで「ハズレ」と感じた場合、離職率の増加や採用コストの増加などの問題が生じる場合があるため、注意しましょう。

配属ガチャによる離職を防ぐためには、新入社員の立場やニーズを把握し、丁寧な対応を取る必要があります。配属先の早期通知やジョブ型雇用の導入など、自社に合った採用方法を検討しましょう。

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よくある質問

配属ガチャの意味とは?

採用時の配属先がわからない状態を、「ガチャ」にたとえた言葉です。

配属ガチャを詳しく知りたい方は「配属ガチャとは」をご覧ください。

配属ガチャで生じる問題とは?

配属ガチャで「ハズレ」と新入社員が感じた場合、早期退職や採用コストの増加のリスクがあります。

配属ガチャで生じる問題を詳しく知りたい方は「配属ガチャが「ハズレた」場合の問題点」をご覧ください。

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

監修者 大柴良史