監修 安田亮 公認会計士・税理士・1級FP技能士
加算税の見直しが行われ、2024年から無申告に対する罰則が強化されます。本記事では、加算税の改正ポイントや改正が行われる背景を解説します。
無申告の場合にどのような加算税が課されるのか、加算税の種類や税率を紹介するので、無申告時の罰則内容を理解し、申告・納税を適切に行いましょう。
目次
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加算税とは?
加算税とは、正しく申告・納税をしなかったものに課される罰金のようなものです。
加算税には、「無申告加算税」「過少申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」の4種類があります。
名称 | 課税要件 |
無申告加算税 | 法定納期限までに納税しなかった場合に課される |
過少申告加算税 | 法定納期限までに納税した額が本来の納税額より少なかった場合に課される |
不納付加算税 | 源泉徴収等による国税を法定納期限までに納付しなかった場合に課される |
重加算税 | 申告・納税で仮装や隠ぺいがあり悪質な場合に課される |
また加算税だけでなく、法定納期限までに納付しなかった場合には延滞税も課されます。延滞税は、納税が遅れたことに対する利息として課される罰金です。
申告納税制度の定着を図るため、申告が適正に行われなかった場合に罰則を課す仕組みです。
【関連記事】無申告課税とは?確定申告の期日が遅れたらペナルティも発生?
【2024年1月】加算税改正のポイント
2024年1月から加算税制度が改正され、従来よりも支払う罰金が重くなります。
改正後の加算税が適用されるのは、2024年1月1日以降に法定申告期限が到来する国税です。以下では、改正のポイントを解説します。
高額な無申告に対する無申告加算税の加重措置の見直し
現行の無申告加算税の割合は、納付すべき税額に対して50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%です。
改正後、2024年1月1日以降に法定申告期限が到来する国税では、納付すべき税額が300万円を超える部分に対する無申告加算税の割合が30%に引き上げられます。
50万円以下 | 50万円超300万円以下 | 300万円超 | |
【現行】2023年12月31日以前 | 15% | 20% | |
【改正後】2024年1月1日以降 | 15% | 20% | 30% |
ただし、納税者が責められるべき事由がないと認められる事実に基づく税額に関しては、300万円超の判定から対象外です。
また税務調査を受ける前に、自主的に期限後申告した場合の無申告加算税の割合も改正されます。
現行では、税務調査の事前通知の後に期限後申告をした場合、無申告加算税の割合は納付すべき税額に対して50万円までの部分は10%、50万円を超える部分は15%です。
改正後、2024年1月1日以降に法定申告期限が到来する国税では、納付すべき税額が300万円を超える部分に対する無申告加算税の割合が25%に引き上げられます。
50万円以下 | 50万円超300万円以下 | 300万円超 | |
【改正前】2023年12月31日以前 | 10% | 15% | |
【改正後】2024年1月1日以降 | 10% | 15% | 25% |
一定期間繰り返し行われる無申告に対する無申告加算税等の加重措置の見直し
前年度及び前々年度の国税で、無申告加算税または無申告重加算税を課される納税者が再び無申告行為を行った場合に、無申告加算税または重加算税(無申告)が10%加算されるようになります。
10%加算された無申告加算税の割合は、以下の通りです。
50万円以下 | 50万円超300万円以下 | 300万円超 | |
【現行】2023年12月31日以前 | 15% | 20% | |
【改正後】2024年1月1日以降 | 15% | 20% | 30% |
10%加算後 | 25% | 30% | 40% |
また、10%加算された重加算税(無申告)の割合は、以下の通りです。
【現行】2023年12月31日以前 | 40% |
【改正後】2024年1月1日以降 | 50% |
ただし、過少申告加算税と源泉徴収等による国税に係る不納付加算税及び重加算税(無申告加算税に代えて課されるものを除く)は、今回の加算税の見直しの対象とされていません。
加算税制度の見直しが行われる背景
加算税の見直しが行われる背景には、重大な違反を未然に防止する抑止力を高めることで、適切な申告・納税を促す狙いがあります。
300万円を超える部分に対する割合が30%に引き上げられた理由は、無申告行為のうち、納税者の公平感を特に損なう恐れのある大きな金額だからです。
また、一定期間繰り返し行われる無申告に対する加重措置の見直しは、悪質な無申告行為を未然に抑止し、自主的な申告を促して納税コンプライアンスを高めるためです。
申告や納税を適切に行うことは納税者の義務であり、納税義務がある場合には期限までに手続きを終えなければなりません。
万が一にも期限を過ぎて罰則を課されることがないように、申告や納税に向けた準備は早めに始めましょう。
まとめ
加算税制度の見直しが行われ、2024年1月以降は従来に比べて罰則が強化されます。
見直しの内容は「高額な無申告に対する無申告加算税の加重措置の見直し」と「一定期間繰り返し行われる無申告に対する無申告加算税等の加重措置の見直し」の2つです。
悪質なケースに対する罰則が強化され、従来よりも無申告加算税の割合が引き上げられます。
申告・納税が必要な場合には、加算税が課されることがないよう、期限までに手続きを終えることが大切です。
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よくある質問
加算税とは?
加算税とは、正しく申告・納税をしなかった際に課される罰金です。
加算税を詳しく知りたい方は「加算税とは?」をご覧ください。
加算税制度の見直しで何が変わる?
2024年1月から加算税が改正され、金額が高額な場合や短期間で繰返し無申告をする場合の罰金が従来より重くなります。
加算税を詳しく知りたい方は「【2024年1月】加算税改正のポイント」をご覧ください。
監修 安田亮(やすだ りょう) 公認会計士・税理士・1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。