会社設立の基礎知識

FXで法人化するメリットはある?会社設立の方法や注意点も解説

監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ

FXで法人化するメリットはある?会社設立の方法や注意点も解説

国内FX、海外FXなど、FX取引によってまとまった利益が出た場合、節税などのメリットを期待して法人化を検討するケースがあるかもしれません。FXで法人化することでメリットが得られるかは個人の状況によって異なるため、損をしないようによく検討する必要があります。

本記事では、法人化によって得られるメリットや注意点、法人化する場合の会社設立の方法などを解説します。FXで法人化を検討する際の参考にしてください。

目次

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FXで法人化する理由

一般的にFXで法人化が検討される理由は、利益の状況によっては個人よりも法人のほうが税金の面でメリットを得られる可能性があるからです。

個人であってもFX取引で一定以上の利益を得た場合、その利益に対して税金が課せられます。「一定以上の利益」とは、会社員であれば年間20万円以上、フリーランスであれば年間48万円以上を指します。この条件に該当する場合、確定申告をして税金を納めなければなりません。

そのため個人として国内・海外FXの取引を行うよりも、法人として行うほうが最終的に税金の負担が少なく済むと判断できる場合に、法人化という選択肢が生じるのです。

【関連記事】
確定申告をしなくていい金額はいくら?確定申告が必要な人や条件をケース別に解説

FXで法人化するメリット

FXで法人化することによって得られる可能性があるメリットには、以下のような点が挙げられます。

法人化のメリット

  • 経費にできる幅が広がる
  • 損益通算できる
  • 欠損金を10年間繰り越せる

それぞれの点について、以下に解説します。

経費にできる幅が広がる

FXで法人化することのメリットのひとつは、個人事業主のときより経費にできる幅が広がることです。

個人事業主が経費にできるのはFXに関するものだけであるのに対し、法人は原則として事業継続に必要と判断されるものは経費にできます。たとえば、住宅費(社宅制度を使った場合)が、法人化すると経費になりえます。

経費計上する額が多くなればその分だけ税額を抑えられるため、法人の方が個人事業主より節税効果が得られやすいといえるでしょう。法人化により個人的支出と事業の支出を完全に分離できることも効果のひとつです。

損益通算できる

ほかの所得との損益通算が可能となることも、FX取引を行っている個人事業主が法人化することのメリットといえます。損益通算とは、事業の損失を別の事業の利益と合算(相殺)することです。

個人事業主の場合、FXでの利益は雑所得扱いとなるため、ほかの所得と損益通算することはできません。しかし法人の場合は、FXでの損失をほかの事業の利益と相殺できます。

たとえば、FXで20万円の損失を出し、ほかの事業で100万円の利益を得たとします。この場合、個人事業主が確定申告するのは100万円の利益についてですが、法人が確定申告するのは損益通算した80万円の利益についてです。

申告する利益が少なくなれば税額も少なくなるため、節税につながる可能性があります。


出典:国税庁「No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」

欠損金を10年間繰り越せる

法人化して確定申告を青色申告で行えば、10年間の繰越控除が可能となります。繰越控除とは、その年の欠損金(損失)のうち損益通算をしても控除しきれなかった分を、翌年以降の利益と損益通算できる制度のことです。

たとえば、50万円の損失が発生した翌年に100万円の利益を得た場合、前年の50万円の損失を差し引いた50万円分の利益について確定申告を行う、というのが繰越控除です。

控除を繰り越せる期間は、個人事業主だと国内FXの場合最大3年間で、海外FXの場合繰り越し自体が不可能です。それが、法人化することで10年間まで延長されます。つまり、法人のほうが長期間の節税効果を期待できるのです。


出典:国税庁「No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」
出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」
出典:国税庁「No.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」

FXで法人化する場合の主な注意点

前述のとおり、FXで法人化することにメリットが生じる可能性がある一方で、以下のような注意点もあります。

FXで法人化する際の注意点

  • 法人の設立費用が発生する
  • 法人のお金は自由に使えるわけではない
  • 赤字でも支払う税金がある
  • 法人を解散する場合に手間が発生する

このほかにも青色申告特別控除が受けられなくなったり、社会保険料が自己負担分と会社負担分の2倍かかったりなどの注意点があるため、法人化すべきかはよく検討しましょう。

ここでは、主な注意点として上記した4点について解説します。

法人の設立費用が発生する

法人化するにあたっては、定款準備や行政手続き費用などの費用が発生します。費用の目安は、株式会社で約22万円、合同会社で約10万円です。会社設立を専門家に依頼する場合は、別途手数料がかかります。

さらに、社会保険への加入手続きや役員報酬の決定といった費用以外の手間も発生します。法人化は、まとまった費用が必要で手間もかかると理解しておきましょう。

法人のお金は自由に使えるわけではない

法人化すると、個人でFXの取引をする場合とは異なり、得られた利益はすべて会社の資産となります。法人の代表者であっても自由に使うことはできません。

プライベートなお金を会社から借り入れるとしても、金銭消費貸借契約を締結して利息を支払う必要があります。

赤字でも支払う税金がある

法人に対して課せられる税には、法人税のほかにも法人住民税と法人事業税があります。このうち、法人税と法人事業税は所得が赤字の場合は支払う必要はありません。しかし、法人住民税については、赤字であっても支払いが発生します。

法人住民税は「法人税割」と「均等割」に分けることができ、「法人税割」は赤字だと課税されません。一方、「均等割」は資本金等の額と従業員数に応じて課されるもののため、利益に関係なく支払うことになります。

「均等割」の税額は、資本金等の額と従業員数によって下表のように区分されています。

資本金等の額都道府県民税均等割市町村民税均等割
従業者数50人超
市町村民税均等割
従業者数50人以下
1千万円以下2万円12万円5万円
1千万円超1億円以下5万円15万円13万円
1億円超10億円以下13万円40万円16万円
10億円超50億円以下54万円175万円41万円
50億円超80万円300万円41万円

※標準税率の場合。自治体によっては異なる税率(超過税率)が適用される場合もあるため、あくまで上記金額は一例であることをご了承ください


出典:総務省「法人住民税・法人事業税」

上表の金額(税率)が適用された場合で考えると、最低でも毎年7万円(都道府県民税均等割2万円+市町村民税均等割5万円)の費用が発生することがわかります。

また、個人がFXによって得た未決済ポジションの評価損益(含み損益)は認識する必要がありませんが、法人の場合は認識する必要があります。個人と法人の扱いの違いを理解して、事業年度末近くの取引には注意しましょう。

法人を解散する場合に手間が発生する

法人化を検討する際には、設立した法人を解散する可能性についても考えておく必要があります。というのも、法人の解散には以下のように手続きが発生するからです。

法人を解散する際の手続き

  • 法務局での解散登記
  • 税務署への解散届出
  • 解散公告や債権者への通知
  • 法務局での清算結了登記
  • 税務署への清算届出

解散の公告期間は2ヶ月以上と定められており、法人の解散には最低でも2ヶ月かかることになります。また、解散には手続きだけでなく費用も発生します。法人を設立する際には、解散にかかる手間も理解しておきましょう。

FXで法人化するタイミング

一般的に、FXで法人化を検討するタイミングは、所得税の節税メリットが大きいと判断できるときといえるでしょう。

法人の場合、FXで得た利益から自らの所得を役員報酬として支払うと、その分が損金の扱いとなり、一方の個人では給与所得控除が適用されます。つまり個人では役員報酬から一定額を差し引いた金額が課税対象となるため、利益の全体に対して所得税がかかる個人事業主と比べて節税になります。これを踏まえて手元に残るお金が大きい場合は、法人化を検討してよいでしょう。

しかし、これはあくまでも所得だけを見た考え方であり、一概にそうとは限りません。また、FXは国際情勢の影響を受けやすいことから、法人化にあたっては長く安定的な利益を確保できる見通しがあるかどうかも重要なポイントです。場合によっては思ったようなメリットが得られないケースも想定されるため、法人化を検討する際には税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

FXで会社設立する方法

FXで法人化する場合、「株式会社」か「合同会社」のいずれかを設立するのが一般的です。ここでは、それぞれの会社の設立方法について解説します。

株式会社を設立する場合

株式会社とは、株式を発行して資本を集め、その資金をもとに経営を行う会社のことを指します。法人の経営者と出資者である株主の役割が切り離されているのが特徴です。

株式会社を設立する流れは以下のとおりです。

合同会社設立の流れ

  1. 会社設立に必要な基礎情報を集める
  2. 会社用の印鑑(実印)を作成する
  3. 定款を作成する
  4. 公証役場で定款の認証を受ける
  5. 資本金の払い込みを行う
  6. 登記申請書類を用意して登記申請する

より詳しい設立方法を知りたい場合は、別記事「会社設立の流れを解説! 株式会社の作り方や必要書類、手続きを紹介」をご覧ください。

合同会社を設立する場合

合同会社とは、2006年5月より新たに設けられた会社形態で、会社の経営者と出資者が同一です。出資者が会社経営を行うため、意思決定を迅速に行うことができます。

合同会社を設立する流れは以下のとおりです。

合同会社設立の流れ

  1. 会社設立に必要な基礎情報を集める
  2. 会社用の印鑑(実印)を作成する
  3. 定款を作成する
  4. 出資金の払い込みを行う
  5. 登記申請書類を用意して登記申請する

株式会社を設立する流れとの違いは、定款の認証を受ける必要がない点です。流れについて具体的に確認したい場合は、別記事「自分で合同会社を設立するには?用意する書類から必要手続きまで解説」も参考にしてください。

なお、株式会社と合同会社のどちらを設立する場合でも、freee会社設立を利用すれば煩雑な手続きを簡略化することができます。

まとめ

国内・海外FX取引を行っており法人化する場合は、税金面のメリットだけでなく、注意点もよく理解したうえで慎重に判断することをおすすめします。

また、会社設立においてはさまざまな手続きがあります。法人化する際はfreee会社設立を活用し、会社設立にかかる費用や手間を減らしながら効率的に行うとよいでしょう。

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よくある質問

FXで法人化するメリットはありますか?

FXで法人化する場合、「経費にできる幅が広がる」「損益通算できる」「欠損金を10年間繰り越せる」といったメリットが得られる可能性があります。ただし、法人化には注意点もあることから、十分なメリットが得られるかどうかは慎重に判断しましょう。

詳しくは記事内「FXで法人化するメリット」をご覧ください。

FXで会社設立する方法は?

FXでの会社設立では、「株式会社」か「合同会社」のいずれかを設立することになります。それぞれ、必要書類や資本金(出資金)などを準備する必要があります。

詳しくは記事内「FXで会社設立する方法」をご覧ください。

監修 宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上に及ぶ。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表としてコンサルティング、税務対応を担当。また、事業会社の財務経理を担当し、複数企業の取締役・監査役にも従事。

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