勘定科目の基礎知識

セキュリティソフトの勘定科目は?仕訳例や関連するポイントも解説

セキュリティソフトの勘定科目は?仕訳例や関連するポイントも解説

セキュリティ対策の一環として利用されるセキュリティソフトの費用に関しては、購入した際の価格やソフトの種類に応じて異なる勘定科目が適用されます。

本記事では、セキュリティソフトの費用がどのように分類されるか、価格や形式別に詳しく解説します。

さらに、セキュリティソフトの更新時にかかる費用についても注意点を含めた仕訳例とともに紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目次

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【価格別】セキュリティソフトの勘定科目

セキュリティソフトの購入費用は経費として処理できますが、記帳時の勘定科目はソフトの購入価格によって異なります。ここでは、会社の資産として見なされる10万円を基準にし、セキュリティソフトにおける勘定科目について解説します。

10万円以下の場合

購入金額が10万円を下回るセキュリティソフトの場合は「消耗品費」や「通信費」として費用計上できます。少額のソフトウェアは消耗品と同様に扱われるため、一般的に一括で計上します。

10万円以上の場合

購入費用が10万円以上かつ、1年以上使用することを見込んでいるセキュリティソフトについては、「ソフトウェア」などの資産勘定を利用して処理しましょう。金額だけでなく長期間の使用が見込まれるため、資産として計上するのが妥当とされています。

【パターン別】セキュリティソフトの勘定科目

セキュリティソフトの勘定科目は、単に購入価格だけでなく、ソフトウェアの形式によっても異なります。ここでは、一般的なセキュリティソフトとサブスクリプション形式のセキュリティソフト、それぞれの勘定科目について解説します。

一般的なセキュリティソフトの場合

一般的なセキュリティソフトの勘定科目は、取得価額によって以下のように計上できます。


取得価額勘定科目
10万円未満消耗品費
10万円以上20万円未満一括償却資産
30万円未満ソフトウェア
減価償却費(減価償却時)

一般的なセキュリティソフトの勘定科目についての詳細は、別記事「[共通]PCのセキュリティーソフトを購入した」をあわせてご確認ください。

サブスクリプション版セキュリティソフトの場合

サブスクリプション版セキュリティソフトの勘定科目は、支払い方法によって変動します。


支払い方法勘定科目
毎月払い通信費
一括払い・契約期間1年以内通信費
一括払い・契約期間1年以上通信費(決算段階で今期中に利用した分)
前払費用(数年分のサービスを契約する場合)

サブスクリプション版セキュリティソフトの勘定科目についての詳細は、別記事「[共通]サブスクリプション版のウイルス対策ソフトを購入した」をあわせてご確認ください。

セキュリティソフトの更新料の勘定科目

セキュリティソフトの更新料は、通常「消耗品費」として処理します。更新料は特定の期間内にソフトウェアを使用するためのコストであり、期間が終了すれば再び支払いが発生することから、消耗品に類似すると考えられるためです。

ただし、複数年にわたる契約の場合、一部の金額が将来に対応する費用となることがあります。その場合は「前払費用」として計上し、適切な期間にわたって「消耗品費」に振り替えなければいけません。

たとえば、3年間の更新料を一括で支払った場合、その年に費用として計上できるのは1年分のみで、残りの2年分は「前払費用」として処理します。そして、翌年以降は1年分ずつ「消耗品費」として計上していきます。

セキュリティソフトの仕訳例

ここでは、実際にセキュリティソフトの料金を仕訳する際の例を、いくつかのパターンに分けて解説します。

社内用にセキュリティソフトを一括で導入した場合

まずは、セキュリティソフトを一括購入した場合の仕訳例を、取得価額ごとにみていきましょう。

<5万円のセキュリティソフトを現金で一括購入した場合の仕訳例>

借方貸方
消耗品費:50,000円現金:50,000円

<25万円のセキュリティソフトを現金で一括購入した場合の仕訳例>

借方貸方
ソフトウェア:250,000円現金:250,000円

<25万円のセキュリティソフト代を少額減価償却資産により経費計上した場合の仕訳例>

借方貸方
減価償却費:250,000円ソフトウェア:250,000円

社内用にセキュリティソフトをサブスクで契約した場合

サブスクリプション版のセキュリティソフトを契約した場合の仕訳例も、いくつか紹介します。

<2万円のセキュリティソフトを毎月払いで契約した場合の仕訳例>

借方貸方
通信費:20,000円普通預金:20,000円

<24万円(2年分)のセキュリティソフト利用料金を支払った場合の仕訳例>

借方貸方
前払費用:240,000円普通預金:240,000円

<サブスクリプション版の利用料金を3ヶ月分通信費に振り替えた場合の仕訳例>

借方貸方
通信費:30,000円前払費用:30,000円

セキュリティソフトの勘定科目に関するポイント

ここでは、セキュリティソフトに関する費用を経費として計上する際に考慮すべき、主なポイントについて解説します。

セキュリティソフトの勘定科目で考慮すべきポイント

  • セキュリティーソフトの費用は2種類ある
  • セキュリティーソフトの費用と税務の関係性
  • 予算管理の重要性
  • 予算オーバー・コスト削減の取り組みについて

セキュリティーソフトの費用は2種類ある

セキュリティソフトに関連する費用は、主に「購入費用」と「ランニングコスト」に分けられます。

購入費用とは、ソフトウェア自体を手に入れるために支払う額で、通常は一括して多額の支払いが発生します。対して、ランニングコストはソフトウェアの運用に伴う継続的な支出を指し、定期的な出費が必要です。

会計上、購入費用は資産として扱われ、減価償却を通じて段階的に費用化されます。減価償却とは、長期間使用する資産の価値を使用期間に応じて経費として計上することです。

一方で、ランニングコストは発生した期間における費用として処理されます。たとえば、サーバーレンタル料やソフトウェアのアップデートにかかる費用などが該当します。

セキュリティーソフトの費用と税務の関係性

法人税法上、セキュリティソフトの費用は経費として認められるケースがありますが、いくつかの条件があります。たとえば、ソフトウェアが事業にとって不可欠であること、費用が相応な範囲であることが挙げられます。

したがって、セキュリティソフトを導入する際には、税務的な視点を踏まえた適切な判断が重要です。税務上の判断が自身のみで難しい場合は、税理士などの専門家に相談することで、適切な処理が行えるでしょう。

予算管理の重要性

セキュリティソフトを導入する際は、予算管理が極めて重要です。

導入時の費用だけでなく、継続的なランニングコストが予算計画に影響を与えます。そのため、事前にしっかりとした予算計画を策定することが求められます。

予算計画の策定においては、自社のセキュリティニーズに応じた適切な機能と、予算規模を見極める必要があります。さらに、将来的なシステムの拡張やセキュリティ強化を考慮して、持続可能な予算計画を作成することも重要です。

予算オーバー・コスト削減の取り組みについて

セキュリティソフトの導入や運用時には、不要な機能を含めてしまったり、メンテナンス費用などのランニングコストがかかってしまったりと、予算を超過してしまうリスクがあります。

予算超過を回避するためには、コスト削減の取り組みが必要です。

たとえば、以下の方法が効果的です。

予算オーバーしないための対策例

  • 複数のベンダーから見積もりを取得し比較する
  • 不要な機能を削除する
  • 契約条件を見直す

さらに、複数の機能をまとめたソフトを導入することも、コスト削減に寄与する要因です。結果、個別に機能を購入するよりも経済的にソフトウェアを活用できるでしょう。

まとめ

セキュリティソフトに関する費用は、価格帯や契約の形態によって勘定科目が変わるため、処理には細心の注意が求められます。

特に、10万円を超える場合は「資産」として計上し、減価償却を通じて費用として扱うのが一般的です。反対に、10万円未満のソフトやサブスクリプション形式のソフトウェアは「経費」として即時処理されることが多いです。

さらに、更新費用についても、通常は経費として処理されます。セキュリティソフトの購入時には税務上のルールや予算管理の側面にも気を配り、無駄な支出や予算超過を防ぐ対策をしっかりと講じた上で購入し、経理処理しましょう。

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よくある質問

セキュリティソフトの勘定科目は?

購入費用が10万円以下の場合は「消耗品費」や「通信費」で計上でき、10万円以上であれば「ソフトウェア」を勘定科目として使用します。

詳しくは記事内「【価格別】セキュリティソフトの勘定科目」「【パターン別】セキュリティソフトの勘定科目」をご覧ください。

セキュリティソフトの更新料はどの勘定科目に該当する?

セキュリティソフトの更新料は「消耗品費」として計上するのが一般的です。

詳しくは記事内「セキュリティソフトの更新料の勘定科目」をご覧ください。

セキュリティソフトの料金と税務の関係性は?

事業に直接関係する場合であれば、法人税上におけるセキュリティソフトの費用は経費として認められます。

詳しくは記事内「セキュリティーソフトの費用と税務の関係性」をご覧ください。