ガソリン代は、ビジネスにおいて必要不可欠な経費のひとつです。しかし、ガソリン代をどのように計上し、仕訳を行うべきかについて、曖昧な理解にとどまっているケースも多いかもしれません。

本記事では、ガソリン代を正確に経費として計上するための勘定科目の選び方や留意すべきポイント、さらに軽油代との相違点について詳しく解説します。

• ガソリン代の勘定科目
• 車両費
• 旅費交通費
• 燃料費
• 消耗品費
• 売上原価
• ガソリン代の仕訳例
• 現金で支払った場合
• クレジットカードで支払った場合
• 仮払金で支払った場合
• ガソリン代の仕訳に関する注意点
• 勘定科目は変更できない
• 未使用分のガソリンは「貯蔵品」となる
• 事業・プライベートとの棲み分けが必要
• 税におけるガソリン代・軽油代の違い
• まとめ
• 確定申告を簡単に終わらせる方法
• よくある質問

ガソリン代の主な勘定科目には、以下が挙げられます。

ガソリン代に関する勘定科目は、会計上・税務上で明確に定められてはいません。そのため、法人の場合は自社にもっとも適した勘定科目を選択することが可能です。

勘定科目を増やしたくない場合や、少額の費用を個別に管理する必要がないと判断する場合は、雑費として処理するのも一案です。個人事業主の場合も、経費としての妥当性が認められるならば、仕訳の対象となり、科目選択が可能です。

ガソリン代における経費計上についての詳細は別記事「確定申告でガソリン代は経費になる？経費の申告方法と計上のポイント」をあわせてご確認ください。

ただし、経費として計上できるガソリン代は事業上必要とされるものに限られる点に注意が必要です。

たとえば、業務の打ち合わせや現場への移動にかかったガソリン代は経費として認められますが、家族との外出やプライベートな食事に使用した分については私用とみなされ、事業経費として計上はできません。

車両費とは、業務用車両の維持管理にかかるあらゆる費用を処理するための勘定科目です。主に、以下が車両費に含まれます。

勘定科目に車両費を使うことで車両に関わるコストを一括で仕訳でき、管理が容易になります。車両の利用頻度が低く、保有する車両の数が少ない企業にとって車両費は非常に扱いやすい勘定科目といえるでしょう。

旅費交通費は、通勤以外の業務に関連する移動や宿泊費用を処理するための勘定科目です。業務で必要な移動の際に発生したガソリン代も旅費交通費として処理が可能です。

車両を頻繁に使用する場合、車両のメンテナンス費用とガソリン代を分けて仕訳できるため、より経費を管理しやすくなります。

燃料費はガソリンのほか、灯油や重油などの燃料全般に使用する勘定科目です。保有する車両の数が多くガソリン代を車両費と分ける場合や、出張費や飛行機代などの旅費交通費と区別して管理したい場合に適しています。

燃料費と車両費を分けて仕訳することでガソリンの使用量が明確になるため、車両を頻繁に使用する業務においておすすめの仕訳方法です。

消耗品費は、使用することで価値が減少する資産のうち、使用期間が1年未満であるか、1単位の取得費用が10万円未満のものに適用されます。

ただしガソリン代は、消耗性のあるものではなく、交通費や車両の維持管理費用に該当するため、消耗品費として仕訳するのは適切ではありません。

例外として、年間に数回しか利用せず、事業全体でガソリン代の支出が少なく重要性が低い場合に限り、消耗品費として処理することが考えられるでしょう。

商品販売やサービス提供のためにガソリンが不可欠な場合に限り、ガソリン代を売上原価として処理します。

主に、タクシー事業者や運転代行サービス事業者などが該当します。

ここでは、ガソリン代の仕訳例を以下の支払い方法別に紹介します。

ガソリン代3千円を現金で支払った場合の仕訳例は、以下のとおりです。

あくまでも上記は一般的な仕訳例であり、事業の業種や規模、ガソリン代の用途などによって、最適な勘定科目は異なります。 たとえば、ガソリン代が費用科目として大きいタクシー業や運送業では「燃料費」勘定を使用することもあります。

車両を事業とプライベートで共用している場合は、事業用とプライベート用の使用割合を計算し、事業用として使用した部分のみを経費として計上する必要があります。

【関連記事】
【勘定科目】家事按分とは？個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説

クレジットカードでガソリン代3千円を支払った際の仕訳例は、以下を参考にしてください。

なお、クレジットカードの利用代金が引き落とされた際の仕訳は、借方は「未払金」で、貸方は「普通預金」となります。

ガソリン代3千円を5千円の仮払金で支払った場合は、以下のように仕訳できます。

交通費における仮払金についての詳細は別記事「交通費の勘定科目は？ 旅費交通費との違いや具体的な仕訳例をわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

ここでは、ガソリン代の仕訳において覚えておきたい、以下の注意点について解説します。

一度選択した勘定科目は、会計期間（通常1年間）を通じて変更ができません。車両費として処理していたガソリン代を途中で旅費交通費に切り替えてしまうと、会計の一貫性を保てないためです。

勘定科目を途中で変更すると、利益操作の疑いを招く可能性があるため、年度の初めに正確な勘定科目の選定が重要になります。

仮に管理が難しくなっても、次の会計期間が始まるまでは変更を避けるべきです。ただし、新しい会計年度からは、事業の実態に合わせて適切に変更することが可能です。

決算時にタンク内に残っているガソリンは、在庫として貯蔵品という勘定科目で計上するケースがあり、貯蔵品の金額と同額を経費から差し引く必要があります。

しかし、国税庁のデータによると、ガソリン代が多額ではない場合は貯蔵品として計上する必要はありません。具体的な基準はありませんが、年間で数万円程度のガソリン代であれば、貯蔵品計上を省略しても問題ないとされています。

ガソリン代は、事業用途とプライベート用途を明確に区別する必要があります。特に、自家用車を業務で使用する場合、家事関連費となり経費として計上できるのは業務に直接関連する分だけです。

自家用車を事業とプライベート両方で使用する場合、ガソリン代の用途は曖昧になりがちです。そのため、給油時の目的や移動経路を詳細に記録しておくことが推奨されます。

もし、自家用車を事業とプライベートの両方で使用しており、明確に区別するのが難しい場合は、走行距離や使用日数に応じた按分計算を行い、事業用の利用分を算出するようにしましょう。

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事業で車を使用する際は、燃料としてガソリンを使用するか、軽油を使用するかによって税務上の扱いが異なることに注意が必要です。

いずれも燃料費として経費に計上可能ですが、税の種類や消費税の課税有無が異なるため、仕訳の際には慎重に確認することが求められます。

軽油引取税とは、軽油の使用に際して課される税金を指します。

特に注意が必要なのは、軽油引取税が原則として消費税の課税対象外である点です。仕訳の際には、非課税仕入ではなく不課税仕入として処理しなければなりません。また、租税公課の勘定科目を使用することも可能です。

しかし、軽油販売業者から受け取る領収書に軽油引取税の金額が明確に記載されていない場合、軽油代全額に対して消費税が課税されることになるため、注意が必要です。

ガソリン代の計上においては、車両費や旅費交通費など、状況に応じた適切な勘定科目の選択が不可欠です。仕訳を行う際には、現金払いやクレジットカード払い、仮払いなど、支払い方法ごとに仕訳方法が異なる点にも注意する必要があります。

さらに、事業とプライベートの費用を明確に按分し、未使用分のガソリンは貯蔵品として処理するなど、税務上のルールをしっかりと理解し遵守することも重要です。

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ガソリン代の主な勘定科目は、以下のとおりです。

詳しくは記事内「ガソリン代の勘定科目」をご覧ください。

勘定科目が変更できないことや、タンク内に残っているガソリンの取り扱いに注意しなければなりません。また、ガソリン代を事業・プライベートと棲み分けることも重要です。

詳しくは記事内「ガソリン代の仕訳に関する注意点」をご覧ください。