監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所
ごみ処理券を記帳する場合、支払手数料や雑費などの勘定科目が用いられます。ごみ処理券の仕訳例や会計処理時のポイントとともに解説します。
事業で出るごみの処分は、ごみ処理施設への持ち込みや許可業者へ委託する方法のほか、自治体によってはごみ処理券を購入することで自治体に回収してもらえます。ごみ処理券を購入したときは、適切に会計処理を行いましょう。
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目次
ごみ処理券に用いる勘定科目
ごみ処理券を会計処理する場合には、「支払手数料」「雑費」「固定資産除却損」の勘定科目を用います。
ごみ処理券に用いる勘定科目
- 定期的にごみ処理券を購入する場合は【支払手数料】
- ごみ処理券の購入頻度が少なく、金額も重要でない場合は【雑費】
- 固定資産をごみ処理券で処分する場合【固定資産除却損】
各勘定科目の詳しい内容を解説します。
【支払手数料】
支払手数料は、自社が販売する商品やサービスそのものの費用ではなく、事業に付随して発生する手数料で用いる勘定科目です。
具体的には、金融機関でお金を振り込むときに支払う「振込手数料」が、支払手数料勘定を用いる例に挙げられます。
飲食店や小売店などで廃棄するごみが多く、定期的にごみ処理券を購入する場合は、支払手数料の勘定科目で記帳する処理が一般的です。
なお支払手数料は、税理士や弁護士などの士業専門家への報酬でも用いられる場合があります。
【関連記事】
支払手数料の勘定科目はどう使う?仕訳例や混同しやすい経費も解説
【雑費】
雑費は、販売費や一般管理費に属する費用で、ほかの勘定科目にあてはまらない少額の費用で用いる勘定科目です。
たとえば、証明書の発行手数料やクレジットカードの年会費などが挙げられます。
年1回の大掃除のときにごみ処理券を購入するなど、頻度が少なく、金額的にも重要性が低い場合は、雑費で記帳しても良いです。
【関連記事】
雑費とはどのような勘定科目?消耗品費との違いや仕訳方法などを解説
【固定資産除却損】
固定資産除却損は、機械や設備などの固定資産を処分した場合の損失費用で用いる勘定科目です。固定資産には機械や備品のほか、建物や構築物、車両などが含まれます。
固定資産を除却する場合、廃棄や撤去にかかった費用は固定資産除却損に含めて計上可能です。そのため、有料粗大ごみ処理券や事業系有料ごみ処理券を購入して固定資産を廃棄した場合、その費用は固定資産除却損で記帳します。
【関連記事】
解体工事や撤去にかかる費用の勘定科目は?仕訳例や計上のポイントも解説
【事例で解説】ごみ処理券の仕訳例
ごみ処理券を含め、事業で支払った費用は適切に処理しなければなりません。3つの場合に分けて例を紹介するので、仕訳の際の参考にしてください。
ごみ処理券の仕訳例
- 定期的にごみ処理券を購入する場合
- 頻度が少なく金額も少額の場合
- 固定資産をごみ処理券で処分する場合
定期的にごみ処理券を購入する場合
定期的にごみ処理券を購入し、金額的にも雑費と分けて管理したい場合は、支払手数料で記帳しましょう。
1セット4,000円のごみ処理券を10セット(40,000円)、現金で購入した場合の仕訳例は次の通りです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払手数料 | 40,000円 | 現金 | 40,000円 |
借方に支払手数料の勘定科目、貸方に現金の勘定科目で、それぞれ40,000円を計上します。
定期的にごみ処理券を購入する場合
ごみ処理券の購入頻度が少なく金額も少額のときは、雑費で一括処理するほうが集計の負担もかかりません。
1セット4,000円のごみ処理券を、現金で購入した場合の仕訳例は次の通りです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
雑費 | 4,000円 | 現金 | 4,000円 |
支払手数料と同様に借方に雑費を計上して、支払った金額を記帳しましょう。摘要欄に「ごみ処理券1セット分」と記入しておくと、あとで確認するときに便利です。
固定資産をごみ処理券で処分する場合
固定資産をごみ処理券で処分する場合は、簿価を固定資産除却損に振り替える処理とともにごみ処理券の費用も計上しましょう。
たとえば、1,000,000円で取得し、減価償却累計額が700,000円の機械を、ごみ処理券(4,000円)で処分した場合の仕訳例は次の通りです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
減価償却累計額 | 700,000円 | 機械装置 | 1,000,000円 |
固定資産除却損 | 300,000円 | ||
固定資産除却損 | 4,000円 | 現金 | 4,000円 |
ごみ処理券に該当する金額を固定資産除却損として借方に計上し、購入方法に当たる勘定科目(今回は現金)を貸方に計上します。
ごみ処理券を会計処理する際のポイント・注意点
ごみ処理券を処理するポイントを3つ解説します。消費税の扱いやインボイスの処理に注意しましょう。
ごみ処理券を会計処理する際のポイント・注意点
- ごみ処理券は消費税が原則課税される
- ごみ処理券の課税仕入れ時期は券を使用するとき
- ごみ処理券のインボイス処理の方法
ごみ処理券は消費税が原則課税される
住民票の写しや印鑑登録証明書の発行手数料をはじめ、自治体が提供するサービスに通常消費税は課税されません。
ただし、ごみ処理券は原則消費税がかかるようになっており、課税仕入れとして仕入税額控除することが可能です。これは、ごみ処理のサービスは民間事業者も提供しているケースが多く、公平性の観点から同様の取り扱いにしています。
ごみ処理券は消費税が原則課税される
ごみ処理券は消費税が原則課税されますが、厳密にいうと、購入時は消費税が課税されません。
消費税が発生するのは、購入したごみ処理券を使用してごみを出したときです。購入時に消費税が非課税とされる物品切手と同様の取り扱いがなされています※。
上記にしたがってごみ処理券の消費税を処理すると、購入時は非課税で計上し、ごみ処理券の使用時に課税仕入れで仕訳をします。
しかし、ごみを出した日にそのつど処理を行うととても面倒です。そのため、継続して購入日の属する課税期間の課税仕入れで処理する場合は、購入時を課税仕入れ時期とする簡便な処理も認められています。
※自治体により、購入時に課税取引とする場合や不課税取引とする場合もあります。
ごみ処理券のインボイス処理の方法
ごみ処理券の費用をインボイス処理する場合、適格請求書が必要です。
ごみ処理券と領収書が一体となっている場合は、使用後に領収書を保管しましょう。登録番号や適用税率が記載されていない場合は、追加で記入することで簡易インボイスの記載事項を満たせます。
ごみ処理券がごみと一緒に収集されて、書類が手元に残らない場合は、一定の事項を記載した帳簿を保存すると、消費税の仕入税額控除が受けられます(回収特例)。
まとめ
ごみ処理券の勘定科目は、支払手数料や雑費などが一般的です。固定資産に計上しているものを処分する場合は、固定資産除却損に含めて記帳しましょう。
ごみ処理券はほかの行政サービスと異なり、消費税の課税取引となる点に注意が必要です。経費計上やインボイス処理で必要となるため、ごみ処理券を購入したときの領収書は大切に保管しましょう。
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よくある質問
ごみ処理券を会計処理する際の勘定科目は?
支払手数料や雑費の勘定科目で計上する方法が一般的です。固定資産に計上した資産を処分する場合は、固定資産除却損に含めて計上する場合もあります。
ごみ処理券の勘定科目を詳しく知りたい方は「ごみ処理券に用いる勘定科目」をご覧ください。
定期的にごみ処理券を購入する場合の仕訳は?
借方に支払手数料、貸方に購入方法に該当する勘定科目(現金や普通預金など)で計上します。
ごみ処理券の具体的な仕訳例を知りたい方は「【事例で解説】ごみ処理券の仕訳例」をご覧ください。
監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。