預り金は、給与計算や税金・保険料などの納付と大きく関連し、日常的に使用する勘定科目です。本記事では、預り金の概要や具体的な仕訳例も紹介します。

事業者が預かるお金にはさまざまな種類が存在します。従業員や取引先などから預り金を受け取った場合、適切な勘定科目を用いた会計処理が必要です。

預り金を会計処理する際の注意点も解説するので、預り金を取り扱う際の参考にしてください。

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• 預り金は一時的に預かるお金
• 預り金の種類
• 預り金と仮受金・立替金・前受金との違い
• 預り金に用いる勘定科目
• 【事例で解説】預り金の仕訳例
• 税金・社会保険料などを控除して給与を支払う場合
• 源泉徴収額を控除して報酬を支払う場合
• 顧客や取引先から保証金を預かる場合
• 預り金を納付する場合
• 預り金の残高がマイナスになった場合の対処法
• 預り金を会計処理する際の注意点
• 預り金の納付期限を確認する
• 必要に応じて預り金の勘定科目を追加する
• 流動負債と固定負債の分類に気をつける
• まとめ
• 確定申告を簡単に終わらせる方法
• よくある質問

預り金とは、従業員や取引先などから一時的に預かったお金です。

事業者が預かるお金は、税金・保険料・保証金などです。預かったお金はそれぞれしかるべき機関へ納付されるか、必要があれば本人に返還します。

従業員から預り金を預かる場合は、給与から天引きする方法が一般的です。ただし休職中などの事情により給与が発生しない、または預かるべきお金より少額である場合には、従業員本人から現金や振込で預かるケースも考えられます。

なお消費活動は伴わないため、預り金は消費税の対象外です。

給与から天引きされる主な預り金には、次の種類が挙げられます。

上記で挙げた以外に、事業に関連する保証金を顧客や取引先から預かることも考えられます。

保証金は納付する性質のお金ではなく、原則として返還します。契約内容によっては、償却や必要経費の精算を行うケースもあるでしょう。

「預り金」は、従業員や取引先などから一時的に預かったお金であるのに対して、「仮受金」「立替金」「前受金」の概要は以下の通りです。

それぞれ役割が異なるため、仕訳の際は適切な勘定科目を選択しましょう。

預り金を仕訳する際の勘定科目は、「預り金」です。

「預り金」は、従業員や取引先などから一時的に預かったお金に用いる勘定科目です。預り金の種類によっては、複数の勘定科目を設定するケースも存在します。

預り金の具体的な仕訳例を紹介します。

例では簡単な金額を用いて解説しますが、実際の徴収金額は各料率に基づいて計算を行いましょう。

また、支払時に費用を計上する想定で解説します。未払金などを使用して処理する場合は、現金や預金の勘定科目を適宜変更してください。

給与から税金・社会保険料などを差し引いて支給する際の仕訳例を紹介します。

例：給与（額面40万円）から税金・保険料などの預り金合計8万円を差し引いて預金から振込で支給した

年末調整で還付金が発生した場合の仕訳は次の通りです。

例：年末調整を行った結果、還付金1万円が判明したため給与と合算して支給する（給与額面40万円・預り金合計8万円とする）

個人の税理士や弁護士などに対する報酬から、預り金を差し引く際の仕訳例を紹介します。なお、源泉所得税は個人に課税される税金であるため、法人格に対して報酬を支払う場合は源泉徴収の処理は不要です。

例：個人の弁護士に対する月額報酬5万円から預り金5,105円を差し引き、現金で支払った（費用の勘定科目は「支払手数料」の勘定科目を使用する）

顧客や取引先から預り金を預かった際の仕訳例を紹介します。

例：賃貸不動産の賃借人から保証金10万円を現金で預かった

例：賃借人の退去に伴い、保証金10万円を預金からの振込で返還した

税金や保険料などの預り金を納付する際の仕訳例を紹介します。

例：従業員から預かった住民税20万円を銀行の窓口で現金で納付した

預り金の残高がマイナスになる場合も考えられます。

年末調整の計算の結果、預り金より多い還付金が発生した場合や、預かるタイミングと納付のタイミングのずれがあった場合などです。

預り金の仕訳が増えればいずれは解消されるため、そのままでも問題ありません。

マイナスとなる金額分は「立替金」を使用し、預り金の残高がゼロ以下にならないよう処理する方法も選択できます。

預り金を会計処理する際の注意点を解説します。

通常、税金や保険料など会社が各所に納付すべき預り金には、納付期限が設定されています。

期限を過ぎてしまった場合、延滞金など余分な費用がかかる可能性があります。管理を怠ると損失につながるため、それぞれ納付の期限を確認し、遅れずに納付しましょう。

事業活動に関連する営業保証金や、不動産を賃貸する際の保証金（敷金）など、預り金の種類によっては高額である場合や、長期にわたって預かるケースも考えられます。

たとえば、保証金であれば「預かり保証金」など、必要があれば預り金として複数の勘定科目を設定する、または補助科目を活用する運用方法も検討しましょう。

税金や保険料などの預り金は原則1年以内に納付するため、分類上は流動負債として扱われます。

事業活動に関する保証金などは通常、長期に渡って預かる性質のお金であるため、分類上は固定負債が適切です。

貸借対照表上では、違う場所への記載となる旨を把握しておきましょう。

預り金は、従業員や取引先などから一時的に預かったお金です。税金・保険料・保証金などがあり、預かったお金は納付されるか、本人に返還されます。

基本的な預り金は流動負債に分類されますが、保証金など長期に渡って預かる性質の預り金は固定負債として扱います。

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預り金は、従業員や取引先などから一時的に預かるお金です。具体的には、税金・保険料・保証金などです。預かったお金は、納付または本人に返還されます。

預り金に関して詳しく知りたい方は、「預り金は一時的に預かるお金」をご覧ください。

預り金は「預り金」の勘定科目を用いて仕訳します。

預り金の勘定科目に関して詳しく知りたい方は、「預り金に用いる勘定科目」をご覧ください。