監修 好川 寛 プロゴ税理士事務所
決算書とは、企業の1事業年度の経営成績と決算日時点の財産状況をまとめた書類です。
いわば会社の1年間の「成績表」であり、法人の確定申告に欠かせないだけでなく、自社の経営実態を正しくつかむうえでも重要な役割を担います。ポイントを押さえれば初心者でも読みこなせます。
本記事では、決算書の役割・種類・読み方・書き方の基本に加え、どこから読めばよいかや経営状態を分析する視点まで、順を追って解説します。
目次
- 決算書(財務諸表)とは
- 決算書を作成する目的
- 個人事業主の決算書(青色申告決算書)との違い
- 収支決算書との違い
- 決算書の種類と読み方
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュ・フロー計算書
- 株主資本等変動計算書(社員資本等変動計算書)
- 個別注記表
- 計算書類に係る附属明細書
- 決算書はどこから見る?初心者向けの読み方3ステップ
- 決算書からわかる経営の健全性|3つの分析視点
- 決算書の書き方(作り方)
- 1. 仕訳帳のチェック
- 2. 総勘定元帳への転記および試算表の作成
- 3. 決算書の作成
- 決算書を作成する際のポイント
- 日々の取引をこまめに集計する
- 税理士への依頼や会計ソフトの活用を検討する
- 決算書の保存期間
- まとめ
- 大変な法人決算と税務申告を効率的に行う方法
- よくある質問
決算書(財務諸表)とは
財務諸表・計算書類・計算書類等の内容は金融商品取引法・会社法・法人税法で定義されており、以下のとおり書類の構成が一部異なります。
| 財務諸表 | 計算書類 | |
|---|---|---|
| 法律 | 金融商品取引法 | 会社法 |
| 書類内訳 | ・貸借対照表 ・損益計算書 ・株主資本等変動計算書 ・キャッシュ・フロー計算書 ・附属明細表 | ・貸借対照表 ・損益計算書 ・株主資本等変動計算書 ・個別注記表 |
出典:e-Gov法令検索「会社法(平成十七年法律第八十六号)|第四百三十五条」
出典:e-Gov法令検索「会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)|第五十九条」
出典:e-Gov法令検索「法人税法(昭和四十年法律第三十四号)|第七十四条」
決算書は、上表の法律(金融商品取引法・会社法・法人税法)によって作成が義務付けられています。
さらに、企業の種類によって作成が義務とされている書類が異なります。
| 企業の種類 | 作成する義務がある決算書 |
|---|---|
| 株式会社 | 貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表・附属明細書 (上場企業の場合は、これらに加えてキャッシュ・フロー計算書の作成義務もある) |
| 合同会社 | 貸借対照表・損益計算書・社員資本等変動計算書・個別注記表 |
| 合名会社 | 貸借対照表 |
| 合資会社 | 貸借対照表 |
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「会社法上の計算書類について教えてください。」
株式を発行しない合同会社には株主が存在しないため、「株主資本等変動計算書」の代わりに「社員資本等変動計算書」を作成します。
決算書を作成する目的
決算書は各種法令で作成が義務付けられているだけでなく、自社の経営成績を把握するため、そして株主・取引先・金融機関などの外部に経営状態を報告するために必要です。作成する目的は、大きく次の4つに整理できます。
決算書を作成する4つの目的
- 外部の利害関係者(株主・金融機関など)に対する報告
- 次年度の経営方針の策定
- 納税額の計算と確定申告
- 株主への配当金の支払
決算書を作成すれば、自社の経営状態を客観的に分析でき、課題の洗い出しや経営活動の改善に役立ちます。
個人事業主の決算書(青色申告決算書)との違い
「決算書」と聞くと法人をイメージしがちですが、個人事業主も確定申告のために決算書を作成します。ただし、法人と個人では作成する書類も根拠となる法律も異なります。
| 法人 | 個人事業主 | |
|---|---|---|
| 主な書類 | ・貸借対照表 ・損益計算書 ・株主資本等変動計算書 など | ・青色申告決算書(青色申告) ・収支内訳書(白色申告) |
| 根拠法 | ・会社法 ・法人税法 ・金融商品取引法 | ・所得税法 |
| 目的 | 法人税の申告 + 株主等への報告 | 所得税の申告 |
法人の決算書は外部報告も目的とするため書類が多く、形式も厳格です。一方で個人事業主の青色申告決算書は、損益計算書と貸借対照表を簡略化した形式で、所得税の申告が主な目的です。
本記事では以降、主に法人の決算書を前提に解説します。
収支決算書との違い
収支決算書とは、企業や団体の一定期間の収支をまとめた書類の通称であり、法的な作成義務はありません。企業や組織の内部関係者に対して現金の流れを報告するために活用されるのが一般的です。
これに対して決算書は、社内の経営判断の材料となるだけでなく、株主・金融機関・取引先など社外の利害関係者に財務状況を報告する公的な資料として活用されます。
収支決算書の詳細を知りたい場合は、別記事「収支決算書(収支決算報告書)とは? よく使われる事例や書き方をわかりやすく解説」をご覧ください。
決算書の種類と読み方
決算書に含まれる書類の種類は法律で規定されており、以下の6つの書類があります。
決算書の種類
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュ・フロー計算書
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
- 計算書類に係る附属明細書
なかでも貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の3つは「財務三表」と呼ばれる重要な書類です。財務三表のそれぞれからわかることを、下表にまとめました。
| 書類名 | わかること |
|---|---|
| 貸借対照表 | ある時点での企業の資産・負債・純資産などの財政状態 |
| 損益計算書 | 収益や利益などの企業の経営成績 |
| キャッシュ・フロー計算書 | 一会計期間の企業の営業活動・財務活動・投資活動の現預金の動き |
以下で、決算書の種類を詳しく解説します。
貸借対照表
貸借対照表とは、企業の一定時点の資産・負債・純資産を表す表です。「資産 = 負債 + 純資産」の関係性であり、左右の金額が均衡しているため「B/S(Balance Sheet)」とも呼ばれます。
貸借対照表を見れば、企業の財政状態を把握可能です。具体的には、左側の「資産の部」では企業が保有する資産を、右側の「負債の部・純資産の部」ではその資産をどう調達したかを把握できます。たとえば借入で車両を購入した場合、車両は左側の資産、借入金は右側の負債に計上されます。
貸借対照表から「自己資本比率」や「流動比率」を算出すれば、資金繰りの安全性も確認できます。
自己資本比率
自己資本比率とは、企業の総資産に占める自己資本の割合です。企業の資産のうち返済義務のないものが何%あるかがわかり、以下の計算式で算出されます。
自己資本比率 = 純資産 ÷ 資産 × 100
自己資本比率が高いほど負債の割合が少ないため、企業の経営状態は安定しているといえます。財務的に安定している企業とみなされる目安は自己資本比率30%以上、優良企業とみなされる目安は自己資本比率50%以上です。
流動比率
流動比率とは、企業の短期的な支払能力を判断するための指標です。以下の計算式で算出できます。
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
「流動」とは「短期的(1年以内)」の意味で、流動資産は1年以内に現金化可能な資産、流動負債は1年以内の支払が必要な負債です。流動比率は100%以上であることが望ましく、120%を超えていると安全、200%以上で優良企業とみなされます。
損益計算書
損益計算書とは、企業の一会計年度の収益と費用に関してまとめた書類であり、「P/L(Profit and Loss Statement)」とも呼ばれます。収益から費用を差し引くと利益を算出でき、それぞれのバランスを分析することで、企業の経営成績や経営上の問題が見えてきます。
利益は、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益の5段階に分けられます。
売上総利益
売上総利益とは、売上高から売上原価を引いた数値で、「粗利」とも呼ばれます。収益性を測る粗利率や、人件費の妥当性を測る労働分配率の算出にも使われます。
粗利率 = 売上総利益(粗利)÷ 売上高 × 100
労働分配率 = 人件費 ÷ 売上総利益(粗利)× 100
粗利率によって企業の収益性を、労働分配率によって人件費が適正かを判断できます。ただし適正水準は業界・業種で異なるため、平均値や同業他社と比較して判断します。
【関連記事】
売上総利益とは?売上高との違い、計算方法、改善のポイントについて解説
売上原価とは?をわかりやすく解説!勘定科目や計算方法も押さえておこう
営業利益
営業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費(販管費)を差し引いて求められる利益で、本業の儲けを示します。金融機関への融資申し込みでも重視される指標です。
なお販売費とは、企業が商品やサービスを販売する際に発生した費用を指し、広告宣伝費や販売促進費、商品の発送費などが該当します。一般管理費とは、企業が管理業務を行ううえで発生する費用です。営業部門や管理部門の従業員への給与・福利厚生費、事務所の家賃などが該当します。
【関連記事】
営業利益とは?経常利益との違い・計算方法・利益率の目安を解説
販管費とは?内訳や販売費比率の計算方法をわかりやすく解説
経常利益
経常利益とは、企業が通常業務によって得た利益で、本業以外の損益も含めた事業全体の利益を指します。算出することで本業と本業以外の利益バランスが見え、企業の経営状態を把握するのに役立てられます。算出方法は以下のとおりです。
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用
なお営業外収益とは、本業以外で得た利益で、受取配当金や利息、本業ではない家賃収入などが該当します。一方、営業外費用とは、本業以外にかかった費用で、本業ではない借入金の利息や有価証券の売却で出た損失などが具体例です。
税引前当期純利益
税引前当期純利益とは、法人税・住民税・事業税などの税金を支払う前の利益です。企業の最終的な利益に近い金額で、特別利益や特別損失の影響を強く受けます。以下の計算式で求められます。
税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 − 特別損失
なお、特別利益とは臨時の利益で、固定資産売却益などが該当し、特別損失とは臨時で発生した損失で、災害による損失や固定資産売却損などが該当します。
当期純利益
当期純利益は、本業・本業以外の全ての収益から費用や税金、損失などをすべて差し引いた上で手元に残る、企業の最終的な儲けを表します。以下の計算式で求められます。
当期純利益 = 税引前当期純利益 − 法人税等(法人税 + 住民税 + 事業税 + 法人税等調整額)
キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書とは、一会計期間の現金の流れ(キャッシュ・フロー)を示す書類で、「C/F(Cash Flow Statement)」とも呼ばれます。今期中にどのようにして現金を生み出したか、期末の時点でどれだけ現金があるかなどを把握するのに役立ちます。
財務三表のひとつである重要な書類で、上場企業等は決算時のキャッシュ・フロー計算書の作成が義務付けられています。
損益計算書では費用を発生主義で、収益を実現主義で認識するため、帳簿上の数値と実際の現金にズレが生じます。キャッシュ・フロー計算書は、そのズレの理由 = 実際のお金の動きを確認できる書類です。「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3区分で構成されます。
【関連記事】
キャッシュ・フロー計算書とは?仕組み・3つの区分・ひな形をわかりやすく解説
発生主義とは?現金主義・実現主義との違いや適用場面をわかりやすく解説
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローとは、キャッシュ・フロー計算書の最初に記載される金額で、本業の営業活動によって増減した現金の流れです。
本業でどれだけ稼げたかを示しており、この金額がマイナスになると、本業で稼いだお金だけでは営業活動を維持できないことを意味します。営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが続くと、倒産リスクが高まります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローとは、設備投資や余剰資金の投資運用などの活動の現金の流れです。
将来的な事業拡大のためにどれだけ資金を使っているか、投資に対してどれだけ回収できているかなどがわかります。投資活動を行っていれば、マイナスの状態が基本です。投資活動によるキャッシュ・フローがプラスの場合、投資に積極的ではないことを意味します。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローとは、営業や投資のために必要な資金を調達したり、返済したりする際の現金の流れです。具体的には、金融機関からの借り入れや株式・社債の発行などが挙げられます。
財務活動によるキャッシュ・フローがプラスの場合、「企業が資金調達を積極的に行っている」ことを意味します。マイナスの場合は、調達した資金よりも配当金の支払や借入金の返済に回す資金のほうが多い状態で、「返済が順調に行われている」もしくは「調達の必要がないほど資金面で余裕がある」ことを示します。
株主資本等変動計算書(社員資本等変動計算書)
株主資本等変動計算書とは、純資産(資産と負債の差額)の変動事由を示すために作成する計算書です。すべての株式会社に作成が義務付けられています。株主資本をもたない合同会社は、株主資本等変動計算書の代わりに「社員資本等変動計算書」を作成します。
株主資本等変動計算書では、純資産を以下の項目に区分して記載します。
株主資本等変動計算書における純資産に関する項目の区分
- 株主資本
- 評価・換算差額
- 新株予約権
- 非支配株主持分(連結株主資本等変動計算書でのみ表示)
株主資本の当期変動額は変動した事由ごとにまとめて記載し、株主資本以外の項目の当期変動額は原則として純額で表示します。
出典:中小企業庁「「株主資本等変動計算書」って、何ですか? 」
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「決算書とは? 」
個別注記表
個別注記表とは、さまざまな注記を一覧にして表示する書類です。企業の財産または損益の状態を正確に判断するために必要な情報を記載します。以下は、個別注記表に記載する主な内容です。
個別注記表に記載する主な内容
- 継続企業の前提に関する注記
- 重要な会計方針にかかる事項に関する注記
- 貸借対照表に関する注記
- 損益計算書に関する注記
- 株主資本等変動計算書に関する注記
- 税効果会計に関する注記
- リースにより使用する固定資産に関する注記
- 関連当事者との取引に関する注記
- 1株あたり情報に関する注記
- 重要な後発事象に関する注記
- 連結配当規制適用会社に関する注記
たとえば、棚卸資産の評価方法には複数の種類があり、売上や仕入の事実に変動がなくても評価方法が変更されると利益の金額が変動することがあります。このとき、当期の実績を正しく把握可能な状態にするために「重要な会計方針にかかる事項に関する注記」が必要です。
個別注記表は、一般社団法人日本経済団体連合会がひな型を公開しています。ひな型を参考にしながら作成し、不明な点がある場合は公認会計士などに相談しましょう。
出典:中小企業庁「「個別注記表」って、何ですか? 」
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「決算書とは? 」
出典:一般社団法人日本経済団体連合会「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型(改訂版)」
【関連記事】
個別注記表とは?記載事項や記載例についてわかりやすく解説
計算書類に係る附属明細書
計算書類に係る附属明細書とは、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表の内容を補足する重要な事項を記載する書類です。
会社法第435条第2項および会社計算規則第117条で、株式会社に対して作成義務が定められています。有形固定資産・無形固定資産・引当金・販売費・一般管理費の明細などを記載しなければいけません。
日本公認会計士協会が「計算書類に係る附属明細書のひな型」を公開していますので、参考にしながら記載すべき事項を判断しましょう。記載内容を社内で判断できない場合は、公認会計士や税理士などの専門家にご相談ください。
出典:e-Gov法令検索「会社法(平成十七年法律第八十六号) 第四百三十五条」
出典:e-Gov法令検索「会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号) 第百十七条」
出典:日本公認会計士協会「計算書類に係る附属明細書のひな型」
決算書はどこから見る?初心者向けの読み方3ステップ
決算書は書類が多く、いきなり全体を読もうとすると挫折しがちです。初心者はまず、「儲かっているか」→「つぶれないか」→「お金が回っているか」の順で財務三表を読むと全体像をつかみやすくなります。
決算書の読み方
- 損益計算書で「儲かっているか」を見る:
損益計算書で、当期純利益が黒字か赤字かを確認する。あわせて営業利益を見れば、本業できちんと稼げているかがわかる - 貸借対照表で「つぶれないか」を見る:
貸借対照表で財産の状態を確認する。自己資本比率で資本の安定性を、流動比率で短期的な支払能力をチェックすれば、倒産しにくい体質かどうかが見える - キャッシュ・フロー計算書で「お金が回っているか」を見る:
利益が実際の現金として残っているかを確認する。利益が出ていても営業キャッシュ・フローがマイナスなら、資金繰りに注意が必要
この3ステップで全体を俯瞰してから気になる数値を深掘りすると、効率的に決算書を読めます。
決算書の見方・読み方についてさらに詳しくは、別記事「決算書の見方・読み方とは?種類や分析方法を初心者に向けてわかりやすく解説!」をご参照ください。
決算書からわかる経営の健全性|3つの分析視点
決算書は、読むだけでなく分析することで経営判断に活かせます。ここでは「収益性・安全性・成長性」の3つの視点と、それぞれを測る代表的な指標を整理します。
| 分析視点 | わかること | 代表的な指標 |
|---|---|---|
| 収益性 | どれだけ効率よく利益を生んでいるか | 粗利率・営業利益率 |
| 安全性 | 倒産しにくい財務体質か | 自己資本比率・流動比率 |
| 成長性 | 事業が伸びているか | 売上高・利益の推移 |
収益性は損益計算書から、安全性は主に貸借対照表から読み取れます。成長性は、単年ではなく複数期を並べて推移を見るのがポイントです。
1つの指標だけで判断せず、3つの視点を組み合わせることで、経営の実態を立体的に把握できます。
決算書の書き方(作り方)
決算書は、おおまかに次の流れで作成します。
決算書の作成手順
- 仕訳帳のチェック
- 総勘定元帳への転記および試算表の作成
- 決算書の作成
決算書の作成は、1年に一度、決算日終了後に行います。法人の場合は、事業年度の終了後から定時株主総会の開催日までに作成してください。法人税の申告期限が決算期(事業年度)の終了後2ヶ月以内であるため、決算書もその2ヶ月の間に作成するのが一般的です。
決算期は、企業が自由に設定・変更可能です。日本国内の法人で最も多いのは3月ですが、6月・9月・12月などに設定しているケースもあります。
出典:国税庁「C1-1 法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)」
1. 仕訳帳のチェック
仕訳帳に記載された取引履歴を元に、決算日時点の各勘定科目の残高が、実際の残高と一致しているかをチェックします。現金・預金・売掛金・買掛金・借入金など、原則すべての勘定科目に関して、実際の残高やあるべき残高、合計残高試算表の科目残高を照合してください。
残高との照合までを終えたら、決算整理仕訳を行います。決算整理仕訳では、貸倒引当金や固定資産の減価償却費の計上などに関する仕訳を実施しましょう。
【関連記事】
仕訳帳とは?総勘定元帳との違いや書き方の具体例を解説
決算整理仕訳とは?手順や仕訳の具体例などをわかりやすく解説
2. 総勘定元帳への転記および試算表の作成
続いて、仕訳帳に記載した各勘定項目の内容を総勘定元帳に転記します。
総勘定元帳への転記を終えたら、記帳内容および各勘定科目の残高の正確性をチェックするために試算表を作成しましょう。会計システムを活用すれば、仕訳の入力のみで自動的に総勘定元帳への転記まで完了させることもできます。
3. 決算書の作成
確定した情報をもとに、損益計算書・貸借対照表・株主資本等変動計算書などの決算書を作成しましょう。
経理担当者が決算書を作成したあとは、一般的に以下の手順で公開まで進行します。小規模の企業では、税理士などの専門家に決算書の作成を依頼する場合もあります。
決算書作成後の公開までの流れ
- 経理部による作成・チェック
- 取締役会による承認
- 株主総会への提出
- 株主総会による承認
決算書を作成する際のポイント
年次決算では多くの業務が短期間に集中するため、経理業務に大きな負担がかかります。決算書を適切かつ迅速に作成するために、主なポイントを押さえておきましょう。
日々の取引をこまめに集計する
決算書は1年分の取引を集計して作成するため、決算期が近づいてからまとめて作業すると時間も手間もかかり、ミスも起きやすくなります。「月末に1回」などタイミングを決めて、こまめに集計しましょう。
さらに、毎月集計して月次決算を行えばその月の利益や資金の状況がわかり、年間目標との照合からスピーディーな意思決定にもつながります。
【関連記事】
月次決算とは?業務の流れや効率的なやり方を解説
税理士への依頼や会計ソフトの活用を検討する
法人の決算書作成は個人の確定申告より煩雑なため、税の専門家である税理士に依頼するのが一般的です。正確な書類を作成でき、時間や手間を削減できる一方、費用がかかります。
会計ソフトを使って社内で作成できれば、税理士費用を抑えつつ、入力ミスや計算ミスを防げます。簿記の知識がない人でも日々の集計ができるため、自社に合った会計ソフトの活用も検討するとよいでしょう。
決算書の保存期間
法人税法の規定では、決算書の保存期間は原則7年間とされています。ただし、以下のケースでは10年間の保存が必要です。
決算書を10年間保存しなければいけないケース
- 青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度
- 青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度
出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
また、会社法では10年間の保存が求められます。法律によって保存期間が異なることをふまえ、いずれの書類も10年間保存しておけば義務違反に問われる心配はありません。税務調査で提示を求められる可能性もあるため、紛失・汚損のないよう保管しましょう。
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「帳簿書類等の保存期間及び保存方法」
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「会社法上の計算書類について教えてください。」
まとめ
決算書は、企業の「一会計期間の経営成績」と「一定時点の財務状況」を明らかにするために作成する、いわば会社の成績表です。作成が必要な書類は金融商品取引法・会社法・法人税法などで定められています。
決算書は、経営成績を把握できるだけでなく、収益性・安全性・成長性といった視点で分析することで経営改善にも活かせます。月次で作成すれば、年1回の決算対応を効率化しつつ、月単位での経営判断にも役立ちます。作成した決算書は、法律で定められた期間(7年間または10年間)、適切に保存しましょう。
大変な法人決算と税務申告を効率的に行う方法
決算に向けて、日々の記帳時間を少しでも短縮して、経理業務を楽にしたいですよね。
シェアNo.1のクラウド会計ソフト*1「freee会計」では、面倒な入力作業や仕訳を自動化し、経理業務にかかる時間を半分以下*2に削減。ボタンクリックひとつで貸借対照表・損益計算書などの決算書が作成可能です。
※1リードプラス「キーワードからひも解く業界分析シリーズ:クラウド会計ソフト編」(2022年8月)
※2 自社調べ。回答数1097法人。業務時間が1/2以上削減された法人数
また、「freee申告」を併用すれば、法人で必要な申告書の作成から電子申請までを一気通貫で完結できます。
数ある会計ソフトの中でも、freee会計が選ばれる理由は大きく3つ。
- 一度の入力で複数の業務が完了。重複作業や転記作業はほぼ発生なし!
- 決算業務は正しく、確実に対応できる!
- 国内で唯一、法人税申告書の作成まで一気通貫で行える!
それぞれの特徴についてご紹介していきます。
一度の入力で複数の業務が完了。重複作業や転記作業はほぼ発生なし!
見積書・請求書をfreee会計で発行すると、書類へ入力した金額をもとに、自動で入金管理・売上仕訳まで完了。銀行口座やクレジットカード、POSレジなどと同期すれば、自動で利用明細を取り込み、勘定科目の登録はもちろん、売掛金や買掛金の消し込み、入金仕訳などの記帳も簡単に行えます。
さらに、領収書・受取請求書などをスマホのカメラで撮影しfreee会計に取り込むだけで、取引先名や金額などをAI解析し、自動で入力。支払管理・仕訳も自動で作成できます。
freee会計は一度の入力で複数の業務が完了するうえ、自動入力・自動仕訳によって手作業の少ない経理を実現します。
決算業務は正しく、確実に対応できる!
freee会計には、正しい決算書を作るためのチェック機能も充実。預金残高との一致や会計ルールとの整合性をfreeeが自動判定し、修正が必要そうなリストを自動作成します。修正後は、ボタンクリックひとつで貸借対照表・損益計算書などの決算書が作成可能です。
<作成可能な書類例>
- 貸借対照表・損益計算書
- 仕訳帳・総勘定元帳
- 固定資産台帳
- 試算表
- 現金出納帳 など
PDFやCSVファイルへの出力も可能なため、士業の方への共有や、社内での資料作成にも活用できます。また、領収書1枚・仕訳1件単位でコメント機能を使ってやりとりできるため、士業の方ともスムーズにコミュニケーションがとれます。
国内で唯一、法人税申告書の作成まで一気通貫で行える!
freee申告を併用すれば、freee会計のデータと自動連携して、法人税の申告書の書類選択や税額計算、入力作業のほとんどを自動化。申告書類作成の時間削減や転記ミスを防ぐことができます。さらに、e-Taxなどで事前準備を済ませておけば、freee申告上から電子申告まで一気に完結させることが可能です。
よくある質問
決算書とは?
決算書とは、各企業の事業年度ごとの経営状態や一定時点の財産状況をまとめた書類です。決算書は、企業が確定申告を行う際に欠かせません。また、売上や利益などの経営実態を正しく把握するうえでも重要です。
詳しくは、記事内「決算書(財務諸表)とは」をご覧ください。
決算書から何がわかる?
決算書を分析すると、企業の経営状態や財産状況を把握できます。また、数値を活用することで、企業の収益性などもわかります。確定申告だけではなく、経営の改善にも決算書を役立てましょう。
詳しくは、記事内「決算書の種類と読み方」をご覧ください。
個人事業主も決算書は必要?
個人事業主も確定申告のために決算書を作成します。青色申告では損益計算書と貸借対照表からなる「青色申告決算書」を、白色申告では「収支内訳書」を作成します。法人の決算書とは書類の種類や根拠法が異なる点に注意しましょう。
監修 好川 寛(よしかわひろし)
プロゴ税理士事務所。元国税調査官。国税(調査・相談2万件・審判実務)×民間(事業会社実務・PdM)の複眼的な視点が強み。クリエイター/IT・SaaS等の現代的ビジネス、海外取引・非居住者税務に明るい。
