国内外のITインフラをリードする株式会社IIJグローバルソリューションズは、国内に5箇所と、上海やシンガポールなど海外に6箇所の合計11の拠点で430名以上の従業員が働いています。
これまでの働き方が、コロナ禍で一変。人事労務業務をアウトソースしていた管理部門も「このままでは対応できない」と思うことが増えてきたといいます。そこで、2021年6月より、freee人事労務の導入をスタート。3カ月ほどのテスト期間を設けることで、スムーズな導入を実現しています。
人事部部長の林智明さんとfreee導入の窓口となった労務の中城優奈さんに、freee導入のきっかけや効果について伺いました。
変化に柔軟に対応するためアウトソーシングから内製へ クラウド人事労務システムに移行する後押しに
―― 御社の事業概要とバックオフィス部門の体制について教えてください。
林智明さん(以下、林): 私たちは、グローバルネットワークやセキュリティに関するソリューションを提供している会社です。お客様のITインフラ環境を整え、国内外でも安心・安全なネットワーク環境をご提供できるよう、ニーズに合わせてご提案しています。
約430名の社員が国内外で働いており、大きく分けて、営業部門と技術部門、海外で働くメンバーを管理するグローバル部門と、私たちが所属するコーポレートの4つの部門にわかれています。
中城優奈さん(以下、中城): 私たちが所属する人事部には、8名の社員がいます。部長の林さん、採用や人材開発に関わるメンバーが5名、労務全般を管理するのは私を含め2名です。
―― 事業所ごとに人事部があるのではなく、8人で会社全体を管理しているのでしょうか?
林: 海外にも営業所があるような企業ですと、事業所ごとにコーポレート部門があることも多いのですが、我々は8名で一括して担当しています。大変な面もありますが、社員とダイレクトに関わることができるので、メリットのほうが大きいですよ。
―― 2021年6月よりfreee人事労務を導入されていますが、きっかけは何でしょうか。
中城: 導入のきっかけは、2つあります。もともと人事労務業務はアウトソーシングしていたのですが、費用が高額だったことが課題でした。
例えば、新たな休暇制度を導入する際、対応に200万円かかると見積もりが届きまして。システムや人件費を考えれば仕方ないとも言えますが、変更のたびに高額な費用がかかっていては、運用に問題が出てきます。柔軟に対応できる体制を整える必要があると感じていました。
もう1つが、コロナ禍です。これまで、セキュリティの観点から有線LANをつないだ特定のPCでしか人事労務システムを開くことができませんでした。そのため「この日は絶対に出社しないと、皆さんの給料が支払えない」なんて事態も……。また、電子申請に対応できていなかったため、社員にも出社や郵送で申請してもらう必要があり、負荷がかかっていました。
もともと「このままではいけない!」と危機感があったので、コロナ禍が導入への後押しになりましたね。当時は労務担当が一人だったので、法律や制度に応じてアップデートしてくれる、パートナーのようなサービスを探していたんです。私がいくつか選定し、2020年の夏には林さんにfreee人事労務の導入を提案していました。
クラウドサービスの中でfreeeが最善の選択だった
―― freeeを選んだ決め手はどこにあったのでしょうか?
中城: 決定に至るまで7〜8社ほど検討させていただいたのですが、freee人事労務は、オンプレミスではなくクラウドであったこと、設定画面でカスタマイズできるなどの自由度の高さが決め手となりました。
林: 同時に、勤怠システムとして「KING OF TIME」の導入も進めていたので、API連携できることも、freee人事労務に決める理由の一つでした。労務周りは、CSVを書き出してシステムに反映してという作業が意外と多いんですよ。これが結構手間で……。
freeeはAPI連携できるサービスが多いので、今後新しいシステムを追加することになっても、柔軟に対応できるだろうと感じました。
ただ選定していく中で100%理想通りのシステムを見つけるのはなかなかハードルが高い。そもそもオーダーメイドで作らない限り実現は難しいですから。freeeは私たちが実現したいことに対して、一番バランスが取れているサービスと言えるでしょう。
―― 最終的な社内調整はどのように進められましたか?
林: 全社的にも、コスト削減が課題でした。今後、アウトソース費用が値上げされることも聞いていましたし、法改正にまつわる対応費用などを含めると、freeeにしたほうが大幅にコスト削減ができる。
そうした点は、経営層にもアプローチしやすかったです。最終的には「林がやりたいなら、それでいこう」と決定してもらえたので、スムーズに導入することができました。
テスト期間を設け社員の声をヒアリングしてから本格導入へ
―― 新たにシステムを導入することで、勤怠管理や各種申請などの業務のやり方が変わることになりますが、社内への浸透において心がけたことを教えてください。
中城: 勤怠管理については、2〜3カ月前から数名の社員に協力をいただき、テスト稼働していました。その時には辛辣な意見をいただくこともあったのですが、社員が使いやすいように調整を重ねていき、本格導入の1カ月前には、プレ導入期間を設けたことでスムーズな移行ができました。
当初、人事部以外の社員がfreee人事労務を使うのは、オンラインでの給与明細の閲覧のみでしたので、大きな影響はなく「来月からfreeeで給与明細を確認できます」くらいのアナウンスで対応できました。
―― 当初は給与明細の閲覧のみとのことですが、現在はそれ以外の機能も活用しているのでしょうか?
中城: あとは電子申請ですね。社会保険関連の資格取得などの申請については、freee上で申請できるよう設定しました。
今までは紙で申請書を作成し郵送していたため手間が多かったですが、freeeで電子申請できるようになってからは、ボタン1つで申請が完了し、控えもデータで受け取れるため、とても楽になりました。
freee導入後、他部署から「人事が変わった」とうれしい声が
―― freee人事労務を導入したことで感じた効果はありますか?
中城: 社員からの反響が大きかったのは、年末調整ですね。保険料の控除がない社員はウェブだけで完結しますし、控除がある社員も指示に従ってボタン押すだけで申請がスムーズにできるため「楽になった」という声を多く聞きました。
紙で出していた時は郵送や確認の手間が発生していたのですが、申請する私たちの工数も大きく削減でき、本当に助かっています。紙の時代と比べても丸1日分の作業は、削減できていると思います。
人事労務の仕事は何か目に見えるような成果を上げるわけではないので、周りの人から直接言葉をもらうことはあまり多くないのですが、KING OF TIMEとfreee人事労務を導入した後に「人事が変わってきている」との声をいただきました。すごくうれしかったですね。