株式会社アクセルラボは、スマートホーム事業を展開するスタートアップ企業です。「SpaceCore」のブランドで、全国で約1万8000戸に導入され、今後もさらなる拡大を目指しています。
既存企業の子会社からスタートしたこともあり、もともとバックオフィスは旧親会社に業務委託していました。給与計算が正しくできているか社内で確認できないといった課題があり、freee製品の導入を通して業務を改善させることに。現在では、freee会計やfreee人事労務、freee勤怠管理Plus、freeeカード、freeeサインを導入し、連携させています。
複数のfreee製品の導入について、取締役CFOの大嘉田千尋さん、広報の濱口凪沙さんに話を伺いました。
親会社に委託していたバックオフィス業務の内製化に成功!勤怠管理から給与計算業務の「視える化」を実現
――御社の事業内容を教えてください。
大嘉田千尋さん(以下、大嘉田): 住宅とシステムをIoTでつなぐスマートホーム事業の会社です。スマートホームのソフトウェアの部分を当社で開発し「SpaceCore」というブランドで展開しています。
「SpaceCore」は、IoTデバイスを動かすためのエンジンのような役割です。国内外のメーカーが製造するさまざまなIoTデバイスを「SpaceCore」で操作することができます。
直接のお客様は、ハウスメーカーやマンションデベロッパーです。新しいスマートホームを作るときに当社のサービスを採用していただいています。入居する居住者の方は、アプリをダウンロードしていただくと、スマートフォンで家の中のIoTデバイスや住宅設備をコントロールできたり、デバイスからスマートフォンに通知を送ったりすることができます。
濱口凪沙さん(以下、濱口): スマートホーム自体がまだ日本では広がっていないのですが、新築だけでなく、既存の賃貸物件でも入居者が入れ替わるタイミングで導入いただくことも増えています。現在、当社のサービスは全国で約1万8000戸、200社以上の企業に導入いただいていていて、今後もどんどん広めていくべく、事業を展開しています。
――お二人のプロフィールとfreeeとの関わりについて教えてください。
大嘉田: 2021年に取締役CFOとしてジョインしました。管理部門全体の統括、資金調達をメインに担当しています。入社前は、投資銀行でエクイティファイナンスやIPOのアドバイザー、M&Aコンサルタント企業の上場企業担当としてM&Aのアドバイザーを経験してきました。
これまで職務上、さまざまな会計ソフトを使ってきました。当社のfreee導入は私が入社する前の2021年1月でしたが、当時から携わっていたんです。
濱口: 私も2021年に、当社で1人目の広報として入社し、社内外に情報発信をしています。社外に向けてはメディアへのアプローチや取材対応をしていて、社内に向けてはリモートワークで働く社員が多いことを踏まえ、社内報などでの情報共有に力を入れています。
freeeは社員のひとりとして、経費申請や年末調整などの場面で利用していて、使う頻度は高いほうだと思います。
――freeeの導入前、バックオフィス業務にはどのような課題がありましたか?
大嘉田: 当社は設立から6年目になりますが、もともとは株式会社インヴァランスの子会社から始まった会社です。私が入社したときは、正式に移籍が済んでいた社員もまだ少なく、経理担当者が2人で、人事労務や法務の担当者はいませんでした。
バックオフィスは、旧親会社のインヴァランスに業務委託をしていました。社内には勤怠システムさえなかったんです。委託先が親会社だったとは言え、社内では給与計算が合っているか間違っているかもわからず、リスクが大きい状態でした。
会計の面でも、毎回基幹システムを使ってデータを吐き出して、仕訳を切っていく作業が大きな手間だったんです。
また、親会社はオンプレミスの基幹システムを利用していて、バージョンアップさせるたびに新しい業者にメンテナンスを依頼していました。その大変さも課題のひとつでしたね。
さらに、契約書のやり取りや管理にも課題を抱えていました。今では1日に4件ほどの契約書をレビューしているのですが、当時は法務担当もいなければツールもありませんでした。当初はSlackだけでやり取りをしていたので、埋もれてしまって、どの契約書がどのステータスかを把握しきれずにいました。
freee製品内の連携だけではなく、freeeと他社製品も連携させることにより業務効率を向上
――そのような課題を持つなか、freee製品の導入するに至った決め手を教えてください。
大嘉田: メンテナンスの必要がなく、自動的に良いものへとアップデートされていくのがfreeeの長所だと思います。経理は現在でも2人体制にしているのですが、最新ツールや法令対応などのさまざまな情報をキャッチアップしていくのは大変です。freeeを使えば、少人数の経理チームでも、最新の情報に則って、効率的に業務を回していけます。
また、従来型のオンプレミスの会計ソフトよりも、費用を抑えられるのも魅力です。アカウントごとの月額利用料という支払い方法で、導入当時には補助金を利用できたので、金銭的なメリットが大きかったです
――その後も、複数のfreee製品を導入いただいています。どのような流れで各製品の導入が進んだのでしょうか?
大嘉田: 2022年2月にfreee人事労務を導入しました。freee勤怠管理Plusも合わせて利用しています。その時期に、人事労務担当、法務担当がそれぞれ1人ずつ入社しました。
社内のシステムがなかったなかで、会計との連動性を考慮して、freee人事労務を選びました。また、当初は別の勤怠システムを入れていたのですが、そのような既存のシステムともうまく連携できる点は魅力でした。
当社の事業としても、自前で何でもやるというよりは、kintone等の他社プロダクトと連携して拡張させていくことを重視しているんです。freeeの製品間の連携性と、freee以外の製品への拡張性に共感していました。
同じ頃に、freee カードも導入しました。もともと別のクレジットカードを使っていましたが、明細が届くまで何に使ったかがはっきりとはわからないため、仕訳の入力が遅れることを課題に感じていました。freeeカードは、使用した時点で自動的にfreee会計に連携される点を良いと思い、申し込みました。
2022年4月にはfreeeサインも導入しています。契約書を管理しきれずに埋もれてしまう課題を抱えていたのが、ワークフローが整備されているfreeeサインを導入したことで解決しました。
現状、電子契約だけでなく、紙の契約書に押印する方式も多いです。その場合、やり取りは電子的に対応しながら、印刷するかどうかなどを管理する必要があり、ワークフローが非常に便利です。
ワークフローは私が承認しない限りは契約の締結に進めないようになっているので、正確に管理できます。経理は担当者2人が業務を回してくれていることもあって、個人的にはfreee会計よりもfreeeサインを触る機会が多いですね。
給与計算の仕事を10日から3日に削減。
月末月初もリモートワーク可能に!
――freeeの導入でどのようなメリットがありましたか?
大嘉田: 現場の声として1番大きかったのは「リモートワークに対応できるのが非常にありがたい」ということでした。
当社は基本的にフルリモートワークが可能な会社 です。ただ、経費精算や支払いに関する証憑として、これまでは全て現物の紙を保管する必要があり、月末に出社している社員もいました。それが、freeeを活用して電子帳簿保存法に対応することができ、今年の4月からは完全に電子帳簿保存へと切り替えられたため、月末にわざわざ出社しなくても対応できます。
また、業務の効率化にもつながりました。例えばカードの利用に関しては仕訳の件数が多かったので手間がかかっていましたが、freeeカードを導入してfreee会計と連携されたことで仕訳の手間が省けました。さらに、費用の支払いについては明細をアップロードするだけで、支払い先を読み取ってくれたりもするので、いちいち探さなくていいのは非常に便利ですね。
濱口: 私は、年末調整が簡単に済むことに感動しました。昨年は紙で書いていて大変でしたが、今年から初めてfreeeを使って年末調整をしました。質問項目に答えていくだけで入力が済んでしまうので、すごくやりやすかったです。
また、当社はリモートワークなので、年末調整などの書類を郵送するのは面倒ですし、費用もかかります。やはりシステム上で完結するのはメリットが大きいと感じます。
いち社員としては、経費申請などの承認フローが見える化されているのも良いですね。いま誰で承認が止まっているのかがわかるので、心理的に楽に感じます。
大嘉田: 給与計算の内製化を 実現できたのも大きなメリットでした。以前は社労士事務所に給与計算を依頼していたのですが、データの提出や確認などでやり取りが多く、給与計算が終わるまで10日ほどかかっていました。また、社労士事務所にデータを預けている間は、社内では何も作業を進められません。
freeeを使って内製化を進められたことによって、給与計算にかかる日数は3日ほどに削減できました。勤怠が締まると、すぐに給与計算を進めることができています
freee製品の連携により、一連の業務をスムーズに
――複数のfreee製品を連携させて利用するメリットを教えてください。
大嘉田: 各製品の連携がスムーズなのは大きな魅力です。例えば、freee勤怠管理Plusとfreee人事労務で勤怠管理、給与計算が済むと、自動的にfreee会計で仕訳が入力され、振り込みデータまで作成されます。一連の流れをスムーズにできるのは、大きな業務効率化につながっています。
ほかにも、freeeカードを使用したときのfreee会計への連携、ワークフローの集約化など、連携することによるメリットが出ています。
――バックオフィスと事業について、それぞれ今後の展望について教えてください。
大嘉田: バックオフィスは現在、経理が2人、法務が1人、人事労務が1人、社内SEが1人の少人数体制ですが、今後は人員を増やす予定です。取引先も増えてきているなかで、事業をさらに伸ばしていきたいと考えています。事業を拡大させていくために、freeeを活用し ながら、バックオフィスをより充実させていきたいと思っています。
――バックオフィスと事業について、それぞれ今後の展望について教えてください。
大嘉田: freeeは中小企業・スタートアップ向けだと思っていたのですが、事業が拡大しても使えると感じています。freee会計は、承認経路の設定の自由度が高く、職務権限規定に合わせた承認フローを簡単に作れます。また、内部統制機能も充実していて、これから上場を目指すときにも、より厳格な体制を構築することができますね。
また、freee以外の製品との連携性も魅力です。有名なスタートアップ企業のサービスと連動できるので「freeeを使っていれば、これからも良い機能が実装されていくのだろう」と期待感があります。
最後に、freeeは顧問の税理士や社労士を説得しやすいシステムである点でもおすすめです。会社で新しい会計システムや人事労務システムを導入しようとするとき、顧問税理士や社労士事務所から「対応していない」と難色を示されることは実は多いです。
しかし、freeeであればUIがわかりやすく、使い方を説明しやすいです。そして、freeeを導入する企業も増えているので、事務所で1人でもfreeeを扱えるようになれば、おそらく他のクライアントにも展開していくことができます。そういう意味で、freeeは税理士や社労士を説得しやすいプロダクトなのではないでしょうか。
(執筆:遠藤光太 撮影:小野奈那子 編集:ノオト)