香川県東かがわ市の地場産業である手袋製造の老舗メーカー。freee導入後はあらゆる機能を積極的に大活用。大幅なコスト削減も叶えました。

ヨークス株式会社 常務取締役 馬渕 佑一郎 氏(中央)
人事担当 橋本 真理 氏(左)、会計担当 山中 智子 氏(右)

課題
経営の課題をリアルタイムに把握口座やカードの明細を自動同期

香川県東かがわ市の地場産業である手袋製造を半世紀以上前から行う老舗メーカー、ヨークス株式会社。自社ブランドを展開するほか、国内外の有名ブランドと数多くのライセンス契約を結び、確かな品質の手袋や服飾雑貨を作り続けています。


freee導入後、さまざまな機能を使いこなして業務を効率化されているという常務取締役の馬渕氏と、今回の導入を支援した百十四銀行コンサルティング部の吉武氏、松浦氏に導入までの経緯やプロジェクト成功のポイントを伺いました。


導入のきっかけは、コスト削減と使い勝手の良さに惹かれたこと

ヨークス
ヨークス株式会社 常務取締役 馬渕 佑一郎氏


――freee会計、freee勤怠管理plus、freee人事労務を導入されたきっかけをお聞かせください。

ヨークス・馬渕氏(以下、馬渕): 百十四銀行様とは古くから取引していることもあり、そこでさまざまなアドバイスや情報を頂いているなかで、freeeのことを教えていただきました。ランニングコストが今まで使っていたものよりも抑えられるということと、使い勝手の良さを薦めていただきましたね。それで、じゃあやってみようっていう感じで。


百十四銀行・吉武氏(以下、吉武): 以前のソフトでは電子帳簿保存法やインボイスの対応がオプション扱いでしたが、freeeならコストを抑えたかたちで法対応もできるので、弊行の方から提案させていただきました。


今までのソフトは使い方が難しかったというのもお聞きしました。問い合わせをしても、なかなかスムーズにいかないこともあったとか。


それと販売管理ソフトも使われていて、ゆくゆくは連携性があるといいなというお話も伺っておりましたので、他の業務システムとの連携性が高いfreeeなら将来的にも良いと判断いたしました。


勤怠のシステム変更は、会社のルールを見直すきっかけにもなった

ヨークス
百十四銀行・吉武氏からのレクチャーで基本的な使い方やfreee独自の機能を習得。ヨークス側からもたくさんのアイディアを出して、より便利に使いこなせる方法を構築していった。


――システムの移行は、どのように進めたのでしょうか?

馬渕: 最初はミーティングを数回重ねて、やり方を教えてもらって、というところから。人事労務のところでは、弊社ならではの業務の進め方をご理解いただいて、その上で色々と柔軟に設定していただきました。


吉武: freeeは導入される会社の業務内容や進め方に合わせて設定する部分もありますし、逆に会社のルールをfreee側に寄せていただくといった部分もあるんです。私たちが導入支援を行う際は、お話を伺ったうえで、歩み寄って良い所を選択して行く形でご案内しております。


馬渕: 勤怠管理ではたとえばお休みの取り方に関して、自分で休みを申請しているのに、その日に出勤してしまうことがよくあったんです。そんなとき、これまでは人が柔軟に対応していたというか、「あ、じゃあちょっとまた別の日に」なんていうことをやっていたのですが、freeeは法に則って、休みはきちんと取らないといけない仕組みができているシステムなので、今まで通りにはいきません。それで休みをとることの大切さに改めて気付き、意識を変えたということがありました。


吉武: 営業の方などは、お休みの日も出て頑張られる場合がありますね。業種柄、季節性が強いので冬前から繁忙期が始まって、真冬はとにかくお忙しいんです。それで「いつ休みを取ったかな」とか、「休みの申請はしていたけど、いつだったかな」みたいな部分があったようです。


freeeでは申請すれば記録としてきちんと残るので、ご自身でもしっかり確認が取れます。


馬渕: 勤怠の画面を見た時に「あ、ちゃんと取らないと」と自分で分かるので、人事への問い合わせや人事との休日申請のやりとりが減りました。とくに本社以外の方にとって、大分効率的になったと思いますね。昔からのやり方を踏襲したままだった面があったので、それを改めて整理して、みんなにも周知してきたっていう感じです。


店舗も含め、弊社は全国に拠点があるので、freeeではリアルタイムで勤怠を確認できるというところにもメリットを感じています。今は全国の拠点に紙の給与明細を送付していますが、いずれは給与明細の方もペーパーレス化を進めていきたいですね。従業員数も多いので、その手間がなくなるのは大きいです。


会計の「自動で経理」をはじめ、さまざまな機能をフル活用

――freeeをお使いになってみて、良かったことや気に入っている点はありますか?

馬渕: 勤怠は従来の専用打刻機を利用していた時とは変わって、新しいシステムに移行してからはパソコンの画面上で打刻できるというのが、最初はIDとかパスワードが必要になるということで、「ちょっとどうなのかな」と思っていたのですけど、実際に使ってみたらとても良いですね。使い始めは混乱もあったとは思いますが、慣れてしまえばみんな問題なく使えています。


本社は広いので、打刻機の場所から自分の持ち場までがとても遠い人もいたんです。それが今は、朝出勤したら、自分の持ち場に直接行けるようになりました。


百十四銀行様にしっかり教えていただいたこともあり、気持ち的なハードルも乗り越えて、もうすっかり慣れている感じです。


吉武: 会計の方は、最初に「フル活用していきたい」ということをおっしゃっていただいていました。検証期間中は以前のシステムとfreeeに二重に入力していただいたり、freee独特の使い方に慣れていただいたり、ご苦労された部分はあったかと思いますが、ヨークス様はご担当の皆様の意識がとても高くて、freeeならではの機能を積極的に試してくださっていました。


とくにfreeeの特徴的な機能でもある「自動で経理」は非常に活用されていますね。


馬渕: 「自動で経理」は通帳の明細が自動で取り込まれているようなイメージの画面になるので、とても便利です。今までは片方で入出金明細を見ながら、もう片方で打ち込んでいましたが、その作業自体が、このシステムの中で全部できてしまうんです。見直しの手間もなくなりましたし、仕訳のルールを作れるので、こういう入金があったらこうしましょうっていうのが、すべて自動になって、非常にやりやすいですね。はじめに仕訳ルールを登録しておくと、次回以降がとても楽です。


あと、画面上にサポートや指示が出てくれるので、そちらに従っていけばやりたいことができるのがいいですね。新しい情報が常にアップされているのもいいです。以前のソフトはインストール型だったので、更新しなければ新しい情報は入ってこなかったんです。それがfreeeだと、ログインすればもう常に新しくなっています。


それとリアルタイムで月ごとの試算表を見られるので、それも活用しています。目で見て、パッと分かりやすいですね。期間の切り替えができるので、4月頭から6月までとか、数ヵ月まとめて設定して確認しています。今までのソフトにはそんな機能はなかったんです。もしかしたらできたのかもしれませんが、方法を知りませんでした。freeeは直感的にできるので非常に分かりやすいです。以前のソフトは、もっと大きい企業向けだったのかなと思います。うちの規模とは合っていなかった感じで、使いきれていない機能が色々ありました。freeeはちょうどいい感じですね。


会計に関してはランニングコストがぐっと下がって、全体で言うと半分くらいになりました。


新しい情報はネットでも収集。気になる機能はすぐに試す

――たくさんの機能をご活用されているのですね。そのスキルは、どのように身につけていらっしゃいますか?

馬渕: freeeユーザーがネット上にブログなどを色々と書いてくれているので、情報が結構あるんです。そういうのを見て、こんなこともできるのか、それならやってみようかな、と色々試しています。インボイスの機能とかも、新しく出たら、じゃあ利用してみようかなという感じで。


吉武: freeeはどんどん新しい機能が追加されますが、そのたびに積極的にご利用いただいています。


今はちょうどインボイス制度や電子帳簿保存法が始まるというタイミングなので、それに向けて機能もどんどんリリースされている状況なのですが、ヨークス様は本当に積極的に取り組まれていて、「使ってみて大丈夫ですか」とよくお問い合わせいただいています。


導入のタイミングも良かったですね。法改正が始まる前にシステムの移行対応が完了できたので。今からやろうと思うと結構長い道のりで、対応がバタバタしてしまったかもしれません。


馬渕: もしもこのタイミングで変えていなかったら、例えばインボイスの対応をするとなった時に、じゃあどうしようかな、と一旦悩んでいたと思います。それでソフトにかかるオプション料金を聞いて、検討して……となっていましたね。そのほかに関しても同様で、オプション導入までの一連の流れを端折って、どんどん新しいものを取り入れられるようになりました。有料の機能もありますが、それほど高くないところもいいですね。


完全移行までの検証期間は長めに、担当者全員の不安がなくなるまで慎重に

ヨークス
分からないことや疑問に思ったことは、すぐに対処。担当者全員がコミュニケーションを密に取ったことが、導入をスムーズに進められたポイントとなった。


――freeeに完全に移行するまでは、検証期間を長めに取られたそうですが、どのような理由でそうされたのでしょうか?

吉武: 人事のところは、給与計算で以前のシステムとfreeeとで、四捨五入や切り捨ての関係で一円程度の誤差が出ることがあり、ご担当の方としては、ちゃんと合っていないと不安だというお気持ちも強くて、ものすごく一生懸命取り組んでいただきました。双方のシステムで少し答えが違ってしまうと、原因を突き止められるまで、皆様で力を合わせて理由を探っていました。それを3カ月トライしましたね。


馬渕: 1円でも差が出ると、担当者としては「合わせておかないと」という意識がありました。まっさらな状態からfreeeでの会計を始めていたらまた違ったのかもしれないですが、以前のやり方があったうえでの新システムへの移行だったので、ちょっとそこは一番苦労しましたが、今となっては懐かしい思い出ですね。


会社の歴史が長い分、昔からのやり方で進めてきたことがたくさんありましたが、freeeでは今の法律に則った設計がされているので、これまでのやり方をすべて踏襲しようとすると、どうしてもうまくいかないことがありました。今回のシステム移行は、それらを見直す良い機会にもなりました。


今後も新しい活用方法を見出して、さまざまな業務を改善していきたい

――プロジェクトの感想や今後の展望についてお聞かせください。

吉武: 今回、会計ご担当の皆様は、導入から4カ月ぐらいで新システムに慣れて、使いこなしてくださっていましたが、これはかなりのスピードです。人事労務の方は従業員の皆様を巻き込んでいくのでだいたい半年ぐらいかかりますが、基本的な部分については非常に早くて。皆様のモチベーションが高かったので、私としても非常にありがたかったです。


導入支援の際、通常は「このやり方があります、このやり方があります」といった形でこちらからレクチャーするのですが、ヨークス様に関しては、はじめにスタンダードな使い方をお伝えすると、「それならこんな活用もできませんか?」と、アイディアがどんどん出てくるんです。とにかく大活用されています。大変素晴らしいなと思いながらご支援させていただきました。


馬渕: システム移行によって業務が効率化した分、ほかの業務にも時間を回せるようになったのが良かったです。これまで手が回っていなかったことや、新しいことにチャレンジする時間がつくれるようになっています。


今後freeeでは他の業務システムと色々と連携できる点を、もっと活用したいですね。たとえば棚卸しには結構な労力が掛かっているのですが、スマホをうまく活用してできるクラウドツールもありfreeeとも連携できるということなので、それができたらとてもいいですね。あとは経費精算も。レシートを撮って送信してっていうのができるようになると、業務が大分楽になると思います。ただ、一気に導入して、一気に広げてしまうと混乱もあると思うので、徐々に徐々に進めていくつもりです。


freeeは使い方のバリエーションが多彩なので、使いながら「こういうこともできるんだ」と発見があるのが楽しいです。


吉武: 導入支援をしていると「慣れるまでは怖くてあまりさわれない」という方が多いですが、ヨークス様は、とにかく色々なボタンをさわっていただいていたと思います。積極的にふれてみて、色々な機能を確認していただいたおかげで、今回のプロジェクトは非常に速く進みました。「ここをさわったらまずいことが起きるかな」みたいな、躊躇してしまうようなことが全然ありませんでしたね。移行期間はちょっと間違えてもやり直せるので、間違えても大丈夫なんですよ。「とにかくやってみましょう」という期間に積極的にさわっていただけたことが、今回の成功ポイントかもしれないですね。


――最後に、百十四銀行さまからのプロジェクトの総括をお願いします。

吉武: 今回のプロジェクトでは、ヨークス様にマッチした機能がある状態でランニングコストを大幅に下げられたのがとても良かったなと感じています。皆様にははじめのご提案時から熱心にお話を聞いていただき、こちらがご案内したことに対しても積極的にたくさんのご質問いただきました。コミュニケーションが密にとれたことが、大変スムーズな支援につながりました。


百十四銀行・松浦氏: 香川県の産業構造の特徴は、圧倒的な基幹産業がない反面、優れた技術力やユニークな商品などで、特定の分野において高い競争力を有する魅力的な地元企業が多い点です。ヨークス様の位置する香川県東かがわ市は、明治21年から続く手袋の一大産地です。今回、地場産業の一社でいらっしゃるヨークス様の業務効率化のご支援をさせていただけたのは、私ども地方銀行としても非常に大きい取り組みとなりました。


先ほど今後のお話もいただきましたが、製造業にとって在庫管理は一番重要なところであるので、引き続きバックオフィスの業務をともに構築していき、香川県の手袋産業を一緒に盛り上げていけたらと思います。


ヨークス株式会社