リモートによるfreee導入支援を受け、勤怠管理や会計業務を効率化

有限会社岡建 代表取締役 藤井 治雄 氏
取締役営業課長 石井 真直 氏

課題
経営の課題をリアルタイムに把握エクセル・紙管理からの脱却

有限会社岡建は、2004年に岡山県倉敷市で創業しました。護岸工事や河川の浚渫(しゅんせつ)工事など、主に岡山県内の港湾関係を対象にした土木工事を手がけています。働き方改革にともなう労働基準法の改正で、従業員の勤怠管理を強化する必要が生じた同社は、freee導入による課題解決に乗り出します。


岡建社長の藤井氏と経理ご担当の石井氏、freee導入を支援した百十四銀行コンサルティング部のコンサルタントに、導入のプロセスや効果について語っていただきました。


法改正により、従業員の勤怠管理の精度アップが喫緊の課題に

有限会社岡建


――従前の貴社は、どのような課題に直面していたのでしょう?


岡建・石井真直氏(以下、石井): 一番大きかったのは、2019年に労働基準法が改正され、2024年4月から時間外労働や休日労働の上限が設定されたことです。当社の従業員の大半は、現場に直行・直帰することが多いので、業務の開始時刻や終了時刻は、各従業員に紙で自己申告してもらっていました。誰もが記憶をもとに概ねの時間で申告するため、管理精度が低かったのです。上限規制を遵守できる体制を整えるには精度の高い勤怠管理が不可欠と考え、システムの導入を検討しはじめました。加えて、リアルタイムで経営状況を把握できないという経営課題も抱えていたため、会計ソフトの刷新も同時並行することに決めました。


――freeeを選んだ決め手はなんでしたか?

石井: 検討段階では、複数のベンダーに声をかけて提案していただきました。百十四銀行さんの営業店担当が来訪した際、その話題を出したら「当行でもICTコンサルティングを実施しているので提案させてください」と言っていただけたのです。後日、同行した松浦さんからfreeeをご提案いただきましたが、従業員の誰もがどこからでもスマートフォンで打刻できる、つまりクラウドになっている点と、請求書や領収書などの画像データと各仕訳を関連付けられる点が、他社にない魅力でしたね。そこで「freee人事労務」「freee会計」の同時導入を正式決定し、百十四銀行さんには2021年6月末から導入支援を始めていただきました。


事前・事後のフォローやチャットポッド機能で、リモートでも円滑に進行

――freeeの導入は、どのように進めたのでしょう?


百十四銀行・松浦秀昭氏(以下、松浦): 岡建様の所在地は岡山県倉敷市ですし、私どもの拠点は香川県高松市です。当時は、コロナ禍による行動規制が頻発していたので、県境をまたぐ移動は避けるべきだと考え、オンラインミーティングによるリモート対応をご対案しました。また、今回は「freee人事労務」「freee会計」2種の導入だったので、人事労務は私が、会計は吉武が主担当となって操作法のご説明にあたりました。


百十四銀行・吉武奈緒子氏(以下、吉武): コンサルティングのペースは2週間に1度くらいでしたが、当日の論点がブレることを防ぐため、次回に取り上げる予定の内容については事前にお伝えしていました。また、コンサルティング終了後は、単独操作を試す際の参照用に、ご説明した内容に関連するヘルプページURLをメール送信していました。


――リモートによる弊害はありませんでしたか?

吉武: 石井さんは次回の打合せ事項の案内に沿ってしっかり予習なさっていて、予習中に生じた疑問を事前に投げかけてくださいました。このため、コンサルティング当日の議論を充実させられましたし、コンサルティング後もしっかり復習なさっていたので、支援する立場としては、弊害はまったく感じませんでした。


有限会社岡建


石井: 私としては、折り目正しく予習・復習しようと心がけていたわけではなく、どのような操作がどのようなアウトプットにつながるのか、ゲーム感覚で楽しみながら試していただけです。リモートとはいえ、コンサルティングの都度、百十四銀行さんの営業店担当が来社・同席してくださったので、特に不便さや違和感を抱くことはありませんでした。普段からよく顔を出してくださるので、コンサルティング中に聞きそびれたことを追加質問させてもらったりできましたし。また、単独で操作する際には、freeeのチャットポッド機能がすごく重宝しました。不明点や疑問があればその場で質問できますし、自動応答で解消されなければ引き続きfreeeの担当者に対応してもらえますから。壁に当たった際、その場で解消できるのは、効率的に習得できるという意味でも、ストレスフリーになるという意味でもありがたかったです。


松浦: 支援開始から本格導入まで4カ月という期間は、私どもの支援事例のなかではかなり短い部類に入ります。しかも岡建様の場合、人事労務と会計2種の同時導入でしたし、私どもにとって初となるリモート対応でした。ご謙遜なさっていますが、やはり石井様がモチベーション高く臨んでくださった部分が大きいと思いますね。


当初課題の解決に加え、書類の管理や照会でもメリットを実感

――2021年10月から本格導入なさったそうですが、効果のほどはいかがですか?


石井: まず、一番の課題だった勤怠管理では、各従業員の就労時間を正確に把握できるようになりましたし、給与計算が連動しているので、手計算・手入力といった労力を大幅に軽減できました。現場に到着した際と現場から引き上げる際にスマートフォンで時刻を入力するだけで済むので、改めて勤怠表を作成する必要がなくなりましたし、勤怠表提出や給与明細受け取りのために事務所に行くという手間を省けたので、従業員からも好評です。また、年末調整時も、生命保険控除などを登録するだけで自動計算されるので、手計算で処理していたころより格段に楽で正確になりました。しかも、途中解約などの変更がない限り、一度入力すれば翌年以降はデータをコピーして使えます。効率化で生じた余力は、工事にともなう申請書類の作成などに充てることができています。


有限会社岡建


岡建・藤井治雄氏(以下、藤井): 当社が手がける港湾関係の工事には、干潮や満潮になるまで待機する「潮待ち」がつきものです。ただでさえ拘束時間が長くなりやすいなかで勤怠管理の精度を高められたことは、上限規制を遵守していくうえでとても大きな意味があると思います。また、経営状況をリアルタイムで捕捉できるようになった点もさることながら、画像データ化した書類を仕訳と関連付けて保管できる点も、メリットが大きかったですね。事業を営むうえでは、資材調達や社外作業員登用にともなう請求書や領収書など、さまざまな書類を扱いますが、後から確認の必要が生じた際、大量に保管してあるなかから特定の一枚を探し出すのはとても大変でしたから。


石井: 私が事務所にいないタイミングで経理書類を確認する必要が発生した際も、外からノートPCを使ってアクセスし、簡単に対象書類を抽出できました。事務所にいなくても処理できる業務が増えた点も、クラウドのメリットと言えますね。


DXの効果のほどを実感し、次なる課題解決を目指す

有限会社岡建


――今後の改善課題についてはいかがでしょう?


石井: 私どもは、売上に対して材料費や外注費などの工事原価がどれくらいかかったかを工事台帳として案件ごとにまとめています。今のところ、関連データをfreeeのタグ機能で抽出してからCSV形式で出力し、エクセルに貼り付けるという手順を踏んでいますが、この作業も自動化できれば、業務の効率化だけでなく、経営戦略面でも有効活用できるのではと思っています。


有限会社岡建


藤井: 私どもの職務には、現場写真を添付して進捗状況の報告書を作成することがあります。今は、現場作業を終えてから事務所に戻り、デジカメで撮影した画像をPCに取り込んで作成しています。クラウドやスマートフォンを活用して、出先で処理できる体制を整えられれば、さらなる効率化を図れますよね。


松浦: 報告書の作成に限らず、現場の進捗状況について社内で情報共有したい際や、過去の報告内容を確認したくなった際などにも活用できそうですね。今後も、有効なソリューションを考えて提案させていただきたいと思います。


――岡建様への導入支援を通じて、百十四銀行として得られた知見はなんでしょう?


松浦: 岡建様への導入支援は、私どもにとって香川県外初の事案で、リモート対応も初の試みでした。先述のとおり、石井様の積極的な取り組み姿勢によるところが大きいものの、リモートであることに配慮した点や実施した点も、プロジェクトを円滑に進めるためのノウハウとして確立できたと思います。岡建様の場合は新型コロナウイルスの感染防止に向けた取り組みとしてのリモート対応でしたが、移動の負荷や時間を低減できたことも大きかったですね。他の香川県外のお客さまにも、自信をもってICTコンサルティングを展開していきたいと思っています。


有限会社岡建