フードロス削減に貢献するソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営する株式会社クラダシ。
IPOを目指し、従業員数や取引先数の増加が見込まれていましたが、一方で、経理や人事労務の仕組みが「ほとんど何もなかった」と担当者は語ります。バックオフィスの環境整備が急務となっていたなかで、freee会計とfreee人事労務を導入。さらに、freee福利厚生とfreeeカードも活用することで、効率的なバックオフィスを構築してきました。
freee導入の経緯やその効果、複数のfreee製品を連携させるメリットなどについて、公認会計士で取締役 執行役員CFOの髙杉慧さんと、事業推進本部 業務推進部 部長の桜井唯香さんに話を聞きました。
freeeであらゆるバックオフィスの課題がスッキリ解決!
――御社の事業内容とお二人のプロフィールについて教えてください。
髙杉慧さん(以下、髙杉): 当社の事業は、フードロス削減を目指したソーシャルグッドマーケットの運営です。まだ食べられるにも関わらず、捨てられてしまう食品を販売し、売上の一部を環境保護・災害支援などに取り組むさまざまな社会貢献活動団体に寄付しています。2022年6月には、社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対する国際認証の「B Corp」認証を取得しました。
私は、監査法人などを経て2020年1月に当社へジョインしました。会社としてIPOを目指す中で、それに至るすべてのプロセスを構築することが、私のミッションです。現在まで、コーポレート本部全体の統括、CFOとしてファイナンス関係の業務を全てやっていて、freeeの導入も進めてきました。
桜井唯香さん(以下、桜井): 私は2020年9月に経理として入社し、2022年1月からは業務推進部の部長として、ECサイトや商品の物流を統括をしな がら、経理も一部担当しています。
私が入社した頃にはfreeeはすでに導入されていましたが、社員数や取引数がどんどん増えていったので、freeeを活用してより効率的に業務を回していく必要がありました。
「大切なお客様への信頼を失わないために、バックオフィスの改革が急務でした。」
――freeeの導入前、業務にはどのような課題がありましたか?
髙杉: そもそもバックオフィス部門がなかったんですよね……。請求書と銀行の通帳を税理士に渡し、全てやってもらっている状態でした。社長が銀行に行って、お金を振り込んだり、引き出したり、記帳したりもしていました。もう課題だらけです。
中でも、会計の状況をタイムリーに把握できないことは大きな課題でした。前月の売上や費用も、正確に把握するまでかなり時間がかかっていたんです。
振込は、一つひとつを入力して行っていたので、月末に時間がかかるだけでなく、ミスも発生しました。当社の事業において、仕入先は最も大事にしているパートナーです。そこでミスをして迷惑をかけてしまうことは大問題で、なんとか解決しなければなりませんでした。
桜井: 人事労務の面でも、従業員の勤怠管理ツールもなく、紙の資料を社労士に渡して、給与計算をしている状況でした。
髙杉: 実態を正確に把握すること、そして把握するまでのタイムラグを減らすことを急いでやらなければなりません。経営の観点では、IPOに向けて、いかに最小の工数で最適化された状態を作れるかを考えていました。
自社に合いそうなfreee製品があれば情報収集し最速で導入する
――バックオフィスツールとして、freee製品を選んだ決め手を教えてください。
髙杉: 何も整っていない状態から、IPOに向けてあるべき姿を考え、ゴールを設定して、そこに最速で向かおう、と。そのためにどのようなバックオフィス環境を作ろうかと考えたとき、迷わずにfreeeを導入することにしました。
以前、監査法人で働いていて、いろんな企業の業務や会計システムを見てきました。その経験も踏まえた上でfreeeに惹かれたのは、少人数でも効率的に業務を回せるところです。API連携機能が充実しているので、データ間がシームレスにつながっているところなどが画期的だと感じました。
入社前から具体的に調べて社長に提案していたこともあり、入社した2020年1月には、freee会計とfreee人事労務を導入することができました。
「課題があっても安心です。まずはfreeeでなにか解決できることはないか、とワクワクしながら探してしまいます」
桜井: あらかじめ「このfreee製品をこの時期に入れよう」とスケジュールを引いていたわけではありませんでした。製品をご提案いただいたり、リリース情報を目にしたりしたときに、自社に合いそう なものがあれば情報収集し、必要なら最速で導入するように考えていました。その結果、2021年6月にfreee福利厚生、2022年4月にfreeeカードを導入しています。
髙杉: freee福利厚生は、freeeさんから直接ご提案いただいたのがきっかけでした。最初は「まだ数十人の規模で必要かな」と思ったのですが、話をよく聞いてみると、当社の負担がほとんどなく、社員の手取り額が増えるメリットがあったので、導入を決めました。
桜井: freeeカードは、事業が伸びてきていた段階で、特に広告宣伝費の支払いにカードの必要が生じていたので導入を決めました。広告代理店を通した広告宣伝費は請求書払いで済みますが、FacebookやGoogleなどのプラットフォームでの広告運用は自社で行っていて、クレジットカード払いが必要になります。
法人としてカードがないと、個人のカードで立替払いをしなければならないですし、金額が大きくなっていけば上限額を上げなければなりません。そんな状況でfreeeカードを知り、導入しました。
freee会計とリアルタイムに連携できるのも魅力でしたね。もちろん他社のカードでもfreee会計に取り込むことはできるのですが、取り込めるタイミングが遅い印象でした。freeeカードなら発生日ベースで連携できるので、数字を正確に把握しやすいです。
「freeeがあれば、経理で活躍できる人の母数が増えるので採用にかけるコストから解放されました」
――freeeの導入でどのような変化がありましたか?
髙杉: API連 携によって口座残高がリアルタイムで見られるようになりました。また、freeeの恩恵を一番受けたと感じたことは振込についてで、一括で自動的にできるようになったので、手間とミスを大きく減らせました。
監査法人出身なこともあって、私は当初から監査を想定した仕組みづくりを行っていたのですが、freeeにエビデンスを紐づけておける点が効率化につながっていますね。
freeeのログインIDを監査法人にも提供して、自由に見てもらっています。監査法人時代を振り返ると、エビデンスが紐づいていない場合、こちらからの依頼に対して、経理担当者がエビデンスを一つひとつ探して提出しなければならず、かなりの工数がかかってしまうんですよね。freee上にエビデンスを保存し、監査法人に自由に見てもらえば、そうした手間が省けるのは魅力です。
桜井: 導入後、バックオフィスの実務を担うのは最大で3人体制でしたが、人員を増やさなくてもきちんと業務を回すことができたのも大きな変化です。社員数や取引先数が急激に増えてきた時期でも、余裕を持って運営できる体制にできました。
また、私は実務として経理を担当してきましたが、会計や簿記を専門的に学んできたわけではありません。それでもすごくシンプルに、視覚的にわかりやすくfreeeを使えたのは非常に楽でした。
髙杉: 専門的な知識が十分でなくても、経理の能力が高い人もいます。桜井は 会計や簿記を専門的に学んでいませんが、経理担当としてめちゃくちゃ優秀でパフォーマンスを出せているんですよね。そう考えると、freeeの導入によって経理で活躍できる人の母数が増えると思います。
「freee製品の連携で問題が起きても、寄り添ったチャットサポートでスムーズに解決してくれる気持ちよさ」
――複数のfreee製品を導入したことによるメリットを教えてください。
髙杉: IPOに向けてJ-SOXに則った内部統制を機能させ、バックオフィスを整備するのが私のミッションです。その立場から大きなメリットを感じているのは、freeeでカバーしている業務範囲が広ければ広いほど、freeeに依拠することができるため、監査での論点を減らせる点です。
逆に、他のいろんなツールを継ぎはぎで使っていると、その接続点をチェックしなければならず、監査の論点が増えてしまうんです。当社としてはそこに時間や手間を費やすのではなく、freeeを使って効率的なバックオフィスを構築したかった。エンジニアやプロダクトマネージャーなどのメンバーも、ビジネスサイドにリソースを集中させることができて、非常に良いと思います。
桜井: freee福利厚生もfreeeカードも含め、freee製品同士で連携されていて、業務を効率化できていますね。UIも同じなので、操作に悩まず進められて、手を動かす側としてはすごく使いやすいなと思います。実際、業務をかなり効率化できていて、本当に残業がないんですよね。
髙杉: 操作を迷わないという点では、freeeの操作でわからないことがあったときに、チャットで問い合わせてすぐ解決できるのもメリットです。以前、給与計算が会計へうまく連携できなかったときに、freee会計のチャットで問い合わせをしたことがありました。すると、freee人事労務の状況や設定を確認してもらえて、すぐに解決してもらえたんですね。
会計と人事労務の二つの領域で異なる会社のシステムを使っていたら、それぞれに問い合わせなければならず手間がかかります。freeeに統一しているからこそ、二度手間がなくスムーズでした。
――今後の展望について教えてください。
桜井: 事業を加速させるための管理部でありたいと思っています。導入するときのスピード感や、前向きに捉える姿勢はfreeeとすごくマッチしていると感じています。
髙杉: おかげさまで会社が大きくなりつつあるなかで、freeeを活用しながら経営管理機能をアップデートしていきたいです。
今は単一の会社で単一の事業を展開していますが、さらに先を見据えれば子会社がどんどん増えて、連結決算をすることになります。freeeを使うことでバックオフィスに拡張性を持たせ、会社や事業が増えても耐えられる体制を構築しておきたいと考えています。
――freee導入を検討している企業の方々に向けてメッセージをお願いします。
髙杉: APIがちょっとうまく動かないときに、エンジニアリソースが確保できていれば自社で対応することもできますが、そうでない会社だと本当に怖いんですよね。何かを手当てしなければならないし、定期的にそこを見に行かなければいけない。そういう意味では、freee製品でそろえておくことによって、エンジニアがいなかったとしても怖がらずに気持ちよく使えるところが良いと思いますよ。
(取材・執筆:遠藤光太 撮影:小野奈那子 編集:ノオト)