「世界一楽しいショッピング体験をつくる」を掲げ、お買い物アプリ「カウシェ」を展開する株式会社カウシェ。野菜が無料でもらえる「カウシェファーム」や、シェア することでお得が積み重なる「コイン」機能を使って買い物をすることで、お得な価格で商品を購入することができ、友人や家族、またはSNS上の誰かとコミュニケーションを取りながらショッピングを楽しむことができます。食品や日用品・雑貨・化粧品・生活家電など幅広い商品を取り扱い、ユーザー間のSNS共有を促進することで、新しい購買体験を提案しています。
3年後のバックオフィス業務から逆算して、freeeの導入を決定されました。freee会計からスタートしfreee人事労務・freeeサインなどを導入し、バックオフィス全体の体制構築を実現しました。
今回は、株式会社カウシェの執行役員である鍵原様に、freee導入時の状況やfreee導入後の効果・freee製品を複数導入するメリットなどを伺いました。
導入前の課題
導入の決め手
・特に3年後のバックオフィスから逆算すると、freeeの「1つのパッケージに業務が内包されている」考え方が合致した。
導入後の効果
・1つのサービスに寄せることで、従業員もコーポレートメンバーのアプリ学習コストを下げることが出来た
・分析レポートを駆使することで、日々の経営アクションを効率よく行うことができるようになった。
3年先のバックオフィスから逆算して、システムを検討
――freee導入前の貴社のバックオフィスはどのような状況でしたか?
鍵原様(以下、鍵原): 弊社のバックオフィス体制は、フルタイムが1名、時短勤務の方が1名、各士業で構成されています。freee導入前は、会計と人事労務領域でそれぞれ別のシステムを利用していました。経理業務は税理士に外注を行いクラウドの会計ソフトに仕訳を入力していただいていました。
――freee会計導入のきっかけは何かありますでしょうか?
鍵原: 会社の数字が見づらくなってきており、自分の入社をきっかけに経理業務の内製化を考えていました。元々、私は別の会社にてfreeeや他社サービスを利用した経験がありました。2022年にカウシェに参画したのですが、 バックオフィス関係のシステムのほとんどは必要なものを積み上げて導入されている状況でした。
そこで、3年先のバックオフィスの業務プロセスと利用するメンバーの状態をどのようにしたいのかをまずは考え、そこから逆算してシステム導入のロードマップを作成しました。将来的な目標から逆算してシステムを検討すると、統合ERPとしてひとつのプロダクトに機能が集約されているfreeeが1番条件に合致していたため、freeeの導入を決定しました。
システムを切り替える際に論点になる既存の業務にかかるフローも、再構築する前提で進めていたので検討は早く進みました。実際のfreeeへの切り替えも、過去にシステム移行作業の経験があったため課題のイメージが持てていたこと、従業員数が10名程度でありコミュニケーションコストも低く、スムーズに導入が進みました。
――freee会計導入で何か変化はありましたか?
鍵原: freee会計を利用する中で経費精算・請求書発行・受取請求書の領域すべて利用しているのですが、特に従業員側への影響・効果が顕著だと認識しています。導入する際に将来的に求められる内部統制の構築・浸透を徐々に行う事も目的にしていましたので、規模が小さい時点でも事前申請と支払依頼をセットで利用するように業務フローを設計しました。
多くのスタートアップでは、事前申請をシステムで行わず支払依頼のみシステムで実施する場合が多いかと思います。そして、会社規模が大きくなったタイミングで事前申請もシステム化すると思う のですが、その方法だとなかなか事前申請が浸透しないと考えています。
そこで、システム切り替え時に、事前申請と支払依頼をセットにしてリリースすることにしました。稟議の必要性の意識づけと請求情報を自ら確認してどのようなコストを使ってるかを考える仕組みを織り込むようにしました。その結果、届いた請求書を単純にコーポレートに対して支払依頼申請をするのではなく、自分が作成した事前申請と照らし合わせて内容チェックを実施し、自分自身で支払依頼することになり、1人1人の従業員が内容チェックを行うことで「コスト意識」が他人事から自分ごとに変わったと思います。
「内部統制」と聞くと、世の中的には手間がかかり面倒なことである認識が強いかと思います。本来、内部統制は上場などのイベントや外部環境から求められて行うものではなく、業務上必要だからこそ実施するものであると考えています。
この内部統制に関する思想そのものを、freeeの導入とセットで浸透させました。freee自身が一つのソフトで事前申請から支払依頼、会計処理まで実現できるシステムだからこそ、この思想を定着させることができたと感じています。
会計業務との連動性から「あるべき人事労務システム」も検討
――freee会計導入後に、freee人事労務を導入した理由はどのようなものがありますか?
鍵原: 会計導入の時と同じく、従業員数が30人を超えてきたあたりで「あるべき人事労務システム」を考えた際、コーポレ ートの運用上、freeeが最適解だと考えたからです。人事労務システムでは、担当者が変わったとしても誰でも利用できる使いやすさを第一に考えました。
また、会計領域と人事労務領域の連動性も重要視していました。一般論ではありますが、経理担当者は給与計算がわからないことが多く、給与計算担当者は社会保険の計算はできても納付方法やその後の経理処理は知らないなど、お互いに関連する業務にも関わらず分断が起きてしまっています。
このような状態のまま、業務を行うと「互いに詳細はわからないまま出せるデータをただ共有して作業する」など情報の分断が生じると考えています。そのため、なるべく会計ソフトと連携し、どれだけ会計ソフトに近いものを導入するかとなったときに、自然とfreee人事労務の導入が決定しました。
――freeeを日々どのように活用しているのでしょうか?
鍵原 : freee会計の「カスタムレポート」を重点的に利用しており、勘定科目取引先だけでなくfreeeで利用できる品目や部門を活用し、多くの切り口で月次分析に活用しています。他の会計システムだと特定の科目や部門での分析をしたい場合、外部サービスの利用をしたり、スプレッドシート等に出力し分析する作業が発生します。一方で、カスタムレポートは、任意の期間でかつ会計年度に限られず、数値を確認することができるので、非常に助かっています。また、分析用や残高確認用に個別の検索条件を設定し、それをブックマークすることで、自分での利用はもとより他のメンバーに 対しても数値状況を簡単に共有出来るので便利です。
数値分析と言えば、「今月はこの部分のコストが多い」といった会話が多いかと思います。しかし、本当に大切なのは自社の「過去の数値」との差分の説明が出来ることが重要だと考えています。
今を語るにも、未来を語るにも、過去の情報を見る必要があり、そこからの解釈とアクションが必要です。しかし、過去の情報の取得・整理自体には付加価値が低いのですが、必要な作業です。その点で、freeeでは今年度だけではなく前年比較、年度跨ぎなど任意の切り口で分析・レポートが多種多様に活用でき、経営アクションの策定・実行の効率が上がり非常に助かっています。
freee会計のカスタムレポートの使用例:A事業部の関東エリアにおける、第一四半期の事業部内損益を確認したい
――さまざまなfreee製品を入れていただいておりますが、統合型ERPとしてのメリットを感じることはありますか?
鍵原: 弊社ではまだ統合型ERPとして整えている段階ではありますが、freeeはUIが揃っているためシームレスに使えることや、freee会計を中心としてデータを集め活用しようとしているところはメリットだなと感じています。
特に最近メリットを感じたのは、freee会計とfreeeサインを連携することで使うことができる各種申請機能はとても良いと感じました。従来であれば、購買申請で承認された契約書や申込書をPDFでダウンロードして、freeeサインにアップロードして、freeeサインから送信するという工数が発生します。業務が分断していると時間がかかるため、従業員それぞれが業務を後回しにしてしまう可能性が高くなります。そうなると、思ったより1.5倍ほど時間がかかってしまいます。
今回のようにシームレスに連携されていると、申請が承認された時点でそのままfreeeサインで送信できるので、「今送ってあげなきゃ」という気持ちが芽生えますし、それぞれの精神的負荷も減っていくことになるので、統合型ERPの良さを感じています。
freeeサインとfreee会計を連携することで、freee会計の各種申請画面から契約書を送付することが可能
人材育成に力を入れ、生産性アップや業務の自動化にチャレンジしていく
――御社のこれからのバックオフィスの展望などもあれば教えてください。
鍵原: 経営としては、いかに少ない従業員で生産性を上げるか、いかに周辺の業務を省略できるかを考えています。今取り組み始めているところとしては、バックオフィスの人材育成に力を入れています。以前は営業事務を担当していた人が経理領域にチャレンジし、PDF作成のコーディングやクエリに触れるようにし自分で業務効率化や分析業務をできるようにしたり、すでにスキルがある人たちには内製のAIシステムを生成してもらったりしてどれだけ自動化できるかにチャレンジしてもらっています。
他にも、freeeに入れているデータをどのように分析して効率化出来るかも今後検討していきたいと考えています。
――freeeをこれから導入する企業の方へアドバイスをお願いいたします。
鍵原: 経理の業務は目の前の仕訳処理や月次決算を締めるなどの作業で終わらず、レポーティングが非常に重要だと考えています。その中で、freeeは既存の業務効率化と分析環境の構築に重要な役割を果たしてくれると思います。
バックオフィスのシステムを考える際に、未来はどのような業務プロセスにしたいか?ということも非常に大事になります。システム導入ですので、長期的な視点に立って管理のレベルと作業工数の兼ね合いなど含め検討が必要です。
現在の最適化ではなく、数年後にどのような事業規模や組織・形態で、どのようなビジネスで何を実現するのか、その場合におけるプロセスや管理はどのような形だと効率的だろうか?と思案して最適なバックオフィス像を考えた上で、全体設計とフェーズ分解をして、システム導入をすることが重要だと考えています。
掲載日 2025年2月17日