システム更新を機にオンプレミス型からクラウド型へ移行 コスト削減だけでなく、電子化や経理処理全体「見える化」も実現

伊藤忠人事総務サービス株式会社
経営企画管理部 部長 佐々木 さん
IT推進課 課長 横濱 さん、IT推進課 宮岸 さん
財経審査課 山田 さん 工藤 さん

課題
インボイス、電帳法対応請求・入金消込を自動化

伊藤忠商事・伊藤忠グループに対し、人事総務分野のバックオフィス業務を提供している伊藤忠人事総務サービス株式会社。


これまでオンプレミス型の会計システムを導入していましたが、更新の時期に差し掛かったことをきっかけに、システム切替検討を開始。コスト面や業務の効率性・電子化・法令対応などを考慮した結果、クラウド型への移行を決め、freee会計を導入しました。


社内で抱えていた課題や選定の決め手、導入後の効果について、導入に携わった皆さんにお話を伺いました。


システム更改や法改正対応に多額の費用が必要なオンプレミス型から、クラウド型へ移行

伊藤忠人事総務サービス
佐々木さん

ーーまずは、御社の概要と、皆さんの業務内容を教えていただけますか?


佐々木さん(以下、佐々木): 当社は社名の通り、伊藤忠グループの人事総務のシェアード会社としてサービスを提供しています。


人事系の業務としては、伊藤忠商事・伊藤忠グループの人事・給与業務、人材育成、労務に関するサポート業務など、総務系は本社ビルの運営管理、グループ会社移転時の支援、オフィスサービスの提供などを行っています。お客様の人事総務系業務の一部を当社が担うことで、お客様のコア業務への集中と業務効率化を支援しています。


私個人の業務に話を移しますと、経営企画管理部の部長として、自社の人事・総務、企画、経理、IT等の統括を担当しています。freee会計導入のプロジェクトでは、方針策定、全体のプロジェクト管理、現場組織長との連携を担当していました。


横濱さん(以下、横濱): IT部門の組織長を任されている横濱です。freee会計の導入時には、システム選定を行いました。


宮岸さん(以下、宮岸): 横濱と同じくIT部門からこのプロジェクトに参画した宮岸です。今回、私が一番貢献できたと思うポイントは、各営業課が使っている営業システムとfreee会計の連携を行った点です。


伊藤忠人事総務サービス
宮岸さん(写真左)と横濱さん(写真右)
伊藤忠人事総務サービス
工藤さん(写真左)と山田さん(写真右)

各営業課がそれぞれ保有している販売管理システムから、共通フォーマットに変換してfreee会計に連携するツールの設計開発を担当しました。


山田さん(以下、山田): 財経審査課の山田です。全社の経費の支払いや入金消し込みを主に担当し、プロジェクトでは、経理担当者との連携・経理処理変更に伴う課題の解決を担当していました。


工藤さん(以下、工藤): 同じく財経審査課の工藤です。仕入の支払い、個人立替の精算などを担当し、プロジェクトではインボイス制度の対応などを担当していました。


ーーfreee会計の導入前には、どんな課題がありましたか?

佐々木: 当社では、もともとオンプレミス型の会計システムを使っており、更新時期が迫っていました。更新に際しては、費用が一つの大きな課題としてありました。


オンプレミス型の会計システムをクラウド化に切り替えて継続する場合、数千万円がかかる想定でした。さらに、改正電子帳簿保存法・インボイス制度など、さまざまな法改正に対応しようとすると、追加費用も必要となりました。また、今回だけではなく、変更があるたびに、別の費用が必要となることも想定されました。


そこで、そうしたシステムを今後も使い続けるのか、または、柔軟に・タイムリーに機能をアップデートしてもらえるクラウド型に乗り換えるかを考え始めました。


特に、改正電帳法やインボイス制度への対応は大きな課題でした。電子化・電子書類の格納方法を模索するなかで、freee会計をはじめとするクラウド型の会計システムに魅力を感じました。


ーー他社システム含めて比較検討してからfreee会計を導入するまでの経緯を教えてください。

横濱:  freee会計は以前から知っていて、請求書をAI OCRで読み取って請求書の処理ができることなどがおもしろそうだなと思っていました。そこで、freee会計をベースに考えながら、比較するために「freee 競合」とインターネットで検索して、検討する会計システムを探した、という順番でした。


また、当初は電帳法のみに特化した個別システムの導入も検討しました。ただ、結果的には、総合的な課題を解決するために、freee会計のような統合型のシステムの導入が必要という話に行き着きました。


それからは、現行の業務要件を洗い出しながら、比較検討しました。freee会計はコスト面や制度対応、書類の電子化など、他社のシステムと比べて実現できることが多かったこと、また、定量分析の課題に対し、freeeと連携して活用できるクラウド経営分析ツール「kansapo」の存在も決め手となりました。


請求書をfreee会計に集約し、経理処理プロセスの「見える化」を実現

ーー導入時に苦労した点はありましたか?

横濱:  最も難しかったのは、営業システムとの連携など、既存のシステムではカスタマイズで対応していた部分を、freee会計でどのように実現するかでした。最終的には、専用のツールを作って連携させることで解決しました。


佐々木: あとは、既存システムの会計データの移行です。既存のシステムからfreee会計に移行する際は、導入アドバイザーの方に全面的にご支援いただくことで、スムーズに実行できました。不明点にもすぐ答えてもらったので、安心して進めていくことができました。


また、新たなシステムを導入する際は当然ながら、社内から「既存のシステムではこうだったけど、freee会計での処理はどうなるのでしょうか」など、問合せや不安の声が少なからずありました。


それに対しては、業務フローを書き出し、画面を見ながらデモをするなどで対応しました。実際に触ってもらううちに、「意外に簡単なんだ」という声に変わっていきました。


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ーーfreee会計の導入後の効果について教えてください。

佐々木:  これまでは紙の帳票が主であったため、経理担当者は、出社しなければなりませんでした。freee会計を導入したことでワークフロー化の電子化が進み、その点も変わりました。また、請求書の電子発行・送付ができるようになり、利便性が上がったという声が現場から上がってきています。


また、freee会計に替わり、月次推移表をよく活用しています。「この数字の詳細が知りたい」「仕訳が知りたい」と気になったときに、ドリルダウンしてすぐ詳細が見えるところが便利です。


工藤:  もともとはIDの付与数が限られていて、仕訳帳や取引先の元帳を回付していた部署もありましたが、導入後はIDの付与を増やすことができ、それぞれが直接freee会計上で月次推移表などのレポートを見られるようになったのが良かったです。


山田: 以前は部署によっては、Excelで作った請求書を使うなど部署ごとに処理の方法やフォーマットがバラバラになっていたのですが、freee会計に集約できたのは大きいです。


請求書の発行だけでなく、入金消し込みまでのステータスもリアルタイムで経理担当者が確認できるようになり、経理処理全体のプロセスが「見える化」されるなど、利便性が上がりました。


スマホアプリを触っているような感覚で使える

ーーfreee会計を活用しながら、どのようなバックオフィスにしていきたいですか?

佐々木:  現在、請求書以外の電子データは、別のシステム(フォルダ)に格納しています。そのシステムはfreee会計と異なり、OCRで帳票を自動的に読み取ってくれるわけではないので、ファイル名を手入力するといった手間をかけています。そうしたデータは、今後は全てfreee会計に移行していき、もっと活用できるようにしたいです。


freee会計は今後も機能がどんどんアップデートされていくと思うので、今はまだ実装していない機能でも、今後の業務に合わせて取り入れていきたいです。


ーー最後に、freee会計の導入を検討している企業の方へメッセージをお願いします。

工藤:  使ってみると、良さがわかります。システムにあまり強くなくても、スマホアプリを触っているような感覚で使うことができると思います。


山田: 「自分たちの業務に合いそうか」「できそうかどうか」をまず試すことから始めるのが大事ですね。


横濱: 「会計システムは、パッケージで大規模なシステムでなければいけない」といった考えもまだまだあると思います。そうした思考の枠を外して、「クラウドでも実現できないか」と検討してみることが大切ではないでしょうか。私たちも不安があったのですが、実際に使ってみてクラウド会計システムの便利さを実感しています。


(執筆:遠藤光太 撮影:栃久保誠 編集:ノオト)


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