株式会社博展は、企業のコミュニケーションデザインの企画から制作までを提供する企業です。イベントや展示会などのプロデュースのみならず、顧客企業のマーケティングパートナーとして、広告戦略やオンラインイベントなども手がけています。
同社では、会社の成長とともに、経理業務のボリュームも増えたため、アウトソースを活用しながら業務効率化を図りたいとの考えから、freee債権、freeeカードを導入し ました。
導入の狙いや導入後の運用状況などについて、財務経理部長である鈴木裕太さんに話を聞きました。
経理業務でアウトソースを活用したいものの、既存の会計システムの仕様が壁になっていた
ーー御社の事業概要と、鈴木さんの業務について教えてください。
鈴木裕太さん(以下、鈴木) 当社は、イベントや展示会などのプロデュースを主な事業とし、企画からデザイン、最終的な制作までの全てを手がけられることを強みにしています。
広告戦略やオンラインイベントにもサービスの幅を広げ、さまざまな業界の企業のマーケティングパートナーとしてご一緒させていただいています。
私は財務経理部長として、8人のメンバーとともに、数字の面から経営実績の取りまとめや予測立案をしています。また、社内のBPR推進
※BPR…Business Process Reengineeringの略称。業務フローや組織構造、情報システムなどを見直し、業務改 革すること
ーーfreee債権を導入することになったのは、どのような理由があったのでしょうか。
鈴木 入金消し込みなど債権管理の一部業務をアウトソーシングしたいと考えていたものの、既存のシステムの仕様が壁になり、思うようにアウトソースが進まなかったためです。
具体的には、会計システムと銀行のシステム間でデータ連携ができず、アウトソース先にリアルタイムで情報共有ができないことが課題でした。また、既存の会計システムはクラウド型ではないため、社外からアクセスするためのIT面の環境整備もネックでした。
そのため、アウトソース先に業務を依頼するにあたっては、銀行のシステムからデータをダウンロードしたり、VPNを用意したりする負荷がかかっていました。本来であれば入金消し込みの業務は、アウトソースしやすい領域であるはずなのに、壁になっている課題がいくつもある状況でした。
一方で、現在使っている会計システムを、すぐに別のものに置き換える想定はありませんでした。
こうした制約も踏まえると、freeeであればfreee債権やfreeeカードなど、単体の機能に絞って導入できるため、悩みを抱えている業務に対して、ピンポイントで活用できると思ったのです。私たちにとって、このことは大きなメリットでした。
以前からfreee製品については知っていましたが、実際に導入したいと考えて問い合わせをしたのは、2023年春頃のことです。
freeeはスモールスタートができ、クラウドサー ビスなので他システムとの連携がしやすく、アウトソース先に対してもアカウント発行が容易にできる点が魅力に感じました。
他社の製品とも比較検討したのですが、初期コストが高かったり、最低契約期間が数年におよんだりするなど、当社の事情にはマッチしないため見送りました。
ーーfreeeカードについても、導入の経緯を教えていただけますか。
鈴木 社員の経費精算をもっと効率化したいと考えました。freeeカードであれば、リアルタイムで経費がデータ化されるのがいいですね。
現在は他の経費精算システムも使っているため、まずは経費を使うことが多い一部社員に限って導入することにしました。
freeeを用いて債権管理業務のアウトソースを開始 業務負荷を20〜30%削減見込み
ーーfreeeを導入するにあたり、どのような効果を期待していましたか。
まずは業務のアウトソースがスムーズに進むこと。そして、アウトソース先へ依頼する業務の幅を広げられることも期待していました。
経理業務のアウトソースを活用し始めたのは、コロナ禍になって業務のデジタル化が進んだ2年ほど前からになります。この環境変化を機に、属人的な業務を減らし、定型業務をアウトソースしていくことになったのです。
ただ、先ほどお伝えしたように、アウトソース先に依頼する までの準備の負荷が高いため、アウトソースしたくとも断念していた業務もありました。freeeであれば、アウトソースをもっと活用して業務効率化が実現できるのではないかと考えていました。
ーー既存の会計システムとの使い分けは、どのようにしているのですか。
鈴木 既存の会計システムにも債権管理の機能はあるのですが、業務フローを最適化させるために、この機能についてはfreeeに移行することにしました。その上で、会計システムとfreeeをデータ連携させています。
現在は、freeeで入金消し込みなどの業務を進めて仕訳を起こせる状態にし、そのデータを出力して既存の会計システムにインポートする業務フローにしています。
ーーfreeeを導入して半年ほどが経ちました。現在の活用状況について教えていただけますか。
鈴木 2023年春からテスト期間を半年ほど設け、freeeを使った業務フローを財務経理部内で検討しました。そして9月から、アウトソース先の担当者にもログインしてもらって運用が始まっています。
まだアウトソースを始めたばかりなので、習熟していただくのはこれからの段階になりますが、今のところ大きなトラブルなく業務を行っていただいています。freeeにはAIを使った 予測入力機能もあるので、業務をスムーズに進める上で助かっています。
freeeの導入によって業務負荷がどの程度減ったと感じているかを部内のメンバーに聞いたところ、20〜30%ほどは削減できるとのことでした。今回はシステムのリプレイスではなく新規導入であるためコストは増えましたが、投資に見合っただけの効果は得られていると考えています。
ーーfreeeのカスタマーサポートへの感想もお聞かせください。
鈴木 カスタマーサポートの方々のおかげで、私も他のメンバーも大きな苦労なく、スムーズに運用を開始できました。
テスト期間中は毎週、設定内容や準備すべきことを連絡いただき、わからない点を質問すれば、すぐに回答していただきました。常に伴走してくださり、最適な運用方法も一緒に考えていただいたことに感謝しています。
運用しながら業務フローの改善をするとともに、システム全般の見直しも進めたい
ーー今後の展望をお聞かせください。
鈴木 まずは期待通りのアウトソーシングが始められていますので、今後はアウトソース先の皆さんの意見も聞きながら 、運用面のブラッシュアップを進めていきたいと思います。
また、現在使っている会計システムや基幹システムのリプレイスも検討し始めているところです。いずれも長く使っていますが、目指したい業務フローとフィットしないと感じる場面が増えました。freeeのようにクラウド化できれば、業務の最適化がもっと進められるとも考えています。
システム間のデータ連携も、もっとつなぎ込みができる状態を目指したいですね。現在はCSV連携が多く、手作業も残っています。これを減らしていきたいと考えているところです。
ーー御社と同じように、経理業務の一部をアウトソースするなど、効率化を図りたいと考えている企業へのアドバイスがあればお聞かせください。
鈴木 freeeは機能ごとに契約できて、初期コストをおさえてスタートできるので、何らかの課題感がある企業にとっては導入しやすいサービスだと思います。
まずはトライアルの気持ちで導入して、必要に応じてアカウント数を増やしていくことも可能です。当社も同じプロセスを経て、実運用が始まったところです。
カスタマーサポートの皆さんも親身になってくれるので、予算や人手が限られる中小企業にとっては助かる面が多いと思います。
(執筆:御代貴子 撮影:小野奈那子 編集:ノオト)