freee人事労務の導入をグループ全体の業務統一化の足がかりに

ファイブエージャパン株式会社 総務部 部長 盛島 裕喜 さん

課題
エクセル・紙管理からの脱却バックオフィスの体制構築・効率化

ファイブエージャパン株式会社は、福岡県北九州市に本社を置き、物流を中心とした業務請負や、人材派遣業を行っている企業です。


同社をはじめとする株式会社ヘッズ・ホールディングス傘下の各社では人事労務の業務を個別に行っており、紙ベースで運用している業務も多くあるため、効率化が図れていない悩みを抱えていました。


これらの課題を解決するために、2023年にfreee人事労務を導入。その狙いや導入後の運用状況などについて、総務部 部長の盛島裕喜さんに話を聞きました。


グループ各社のバラバラな管理体制に改善の余地を感じた

ファイブエージャパン

――ファイブエージャパン様の事業概要と、盛島さんの業務について教えてください。

盛島裕喜さん(以下、盛島): 当社は株式会社ヘッズ・ホールディングスを親会社にもつグループ企業の1社で、倉庫管理など物流の業務請負や人材派遣業を主な事業としています。その他、有料職業紹介や特定技能の登録支援機関の業務も行っています。


グループ内ではこのほか、AGV(無人搬送車)の製造や工場内の設備工事やフィットネスジムの運営、化粧品販売・サロン事業などさまざまな事業を展開しています。


私の業務は、労務関連の仕組み作りや改善です。就業規則や給与システムといった従業員管理を最適化したり、ホールディングス体制下での間接部門の統一化を進めたりしています。


――freee人事労務を導入することになった背景をお聞かせいただけますか。

盛島: 我々がホールティングスの体制になり、グループ内で人事労務業務の一本化をできないかと考えたのがきっかけです。


現在は、当社を含むヘッズ・ホールディングス傘下のグループ各社が、労務まわりの業務を個別に行っています。業務プロセスや利用しているシステムは各社各様で、バックオフィスのスタッフの業務領域もバラバラで偏りもあります。労働基準法という同じ法律のもとで人事労務を管理しているにもかかわらず、各社で個別に業務を行っているのは、効率化などの点から改善の余地があると感じていました。


また、当社は給与計算や社会保険などの手続きを社会保険労務士(以下、社労士)へ外部委託していました。派遣社員を含めた社員の入退社や勤務地の変更があるたびに、社労士へ変更手続きを依頼するため、やり取りが頻繁に生じていたのです。


社労士へ委託する業務範囲も、グループ各社で統一されていませんでした。出勤簿を送付して計算から依頼しているケースもあれば、計算は社内で行い、労働保険料の更新のみ対応してもらうケースもあったのです。その背景には、勤怠管理の方法が各社バラバラであることが影響していました。


こうした事情から、マスタデータとして扱うべき給与情報と紐づく人事データは、社労士が管理していました。当社でも従業員データを別途保有していたため、人事データを二重管理している状況でした。


そのため、社員の住所変更や産前産後休暇などの各種申請は紙ベースで行い、データ化して社労士へ連絡する運用を取らざるを得ませんでした。複数の社員の入退社や手続きが重なった時期は、データ化するための転記作業だけで1日の業務が終わってしまうこともありました。


こうした課題を解消するために、まずはグループ内でも特に社員数が多く、業務のデジタル化も比較的進んでいた当社が新システムを導入することにしたのです。その後、グループ他社にも展開していけば、グループ全体の人事労務業務をスムーズに統一できるのではないかと考えました。


ファイブエージャパン

使いやすさと柔軟性が決め手 グループ各社で行われている人事労務の業務を統一

――最終的にfreee人事労務を導入した決め手を教えてください。

盛島: freee人事労務を導入しようと決めた理由は、使いやすさ、および、他システムとAPI連携ができる柔軟性です。


システム導入の検討の際、freeeはもともと知っていたので、選択肢の1つに入っており、最終的に6社ほど比較検討しました。


実務担当者にヒアリングしたところ、freee人事労務がユーザーインターフェースの観点から最も使いやすそうだという声が集まったんです。当社では過去、操作しにくいシステムが段々と使われなくなる経験をしたことがあり、操作性は重視したポイントでした。


また、こうしたシステムは機能が年々進化しますし、直近ではインボイスや電子帳簿保存法といった制度の変化もあります。あらゆる機能を備えた大きなシステムを一度導入すると、より良いサービスが出たときや新たな対応事項が増えた際、リプレイスの負担が大きくなる懸念がありました。


freeeであれば、必要な機能に絞ってシステム導入しつつ、その時に使っている他システムとの連携もしやすい点がメリットだと感じました。


そして、freee人事労務は、グループ内の企業によっては、他システムと連携させなくとも必要な機能がすべてカバーできることも検討段階でわかったのです。


起こりうる将来の変化とグループ各社の事情を踏まえ、freee人事労務が最適だと判断しました。


まずは給与計算でfreeeを活用 業務の内製化を進め、社内にノウハウを貯めていきたい

――freee人事労務を導入した現在の状況についてお聞かせください。

盛島: 2023年8月に導入し、人事労務を担当するメンバー4人で利用し始めています。システム操作に比較的慣れている私がデータ移管などの大きな作業を担当し、その他のメンバーが実務を担うといった役割分担をすることで、いち早く使いこなすことを目指しています。


今は、課題感が大きかった給与計算の機能から使い始めたところです。給与計算に必要となる勤怠や有給休暇の管理もfreee人事労務で行うよう、切り替えを進めています。既存システムとfreee人事労務で給与計算に大きくズレが生じないことを確認し、改善もできたので、10月からはfreee人事労務に移行する予定です。


この運用が安定したら、次は電子申請と、派遣社員の入退社管理の機能も使っていきたいと考えています。


ファイブエージャパン

――現時点で見えている、freee人事労務の導入による効果を教えてください。

盛島: さまざまな業務がペーパーレスになっていくことで、インデックスの早さや業務そのものの効率が上がるだけでなく、今まで書類を保管していたスペースも有効活用できるようになります。焼却・溶解処分などの手間も要らなくなりますね。


また、社会保険の申請等は社労士に都度依頼していますが、社労士も当然他のクライアントさんもおり、弊社のみを毎日最優先で対応できるわけではないため、時間がかかることも発生していました。今後はこうした業務のスピードも向上できると思います。


そして、freee人事労務を活用して社内で担える業務が増えると、人事労務スタッフの知識量や理解が進むという効果も見込めます。


運用を軌道に乗せ、グループ全体へfreeeを広げていきたい

――今後、freee人事労務の活用において目指すことをお聞かせください。

盛島: 直近の目標は、給与計算を安定的に運用させ、電子申請や入退社管理もfreee人事労務で行えるようにすることです。


社員の中にはシステムが苦手なメンバーもいますし、慣れ親しんだ業務プロセスを変えることへの心理的な抵抗感もあるので、社内周知と浸透に力を入れていきたいと考えています。運用のプロセスを固め、マニュアルを作っていくなどの準備を進める予定です。


こうしてファイブエージャパンでスムーズに運用できるようにしたうえで、グループ各社でも導入し、業務プロセスを統一することが当面の目標です。


――御社のように多くのグループ会社があり、さまざまな雇用形態や勤務時間で社員が働いている背景があるため、人事労務業務を最適化できずに悩む企業は多いと思います。こうした企業へメッセージをお願いします。

盛島: 当社のように、勤務時間や雇用形態、業態が何パターンもあると、それぞれのパターンに応じて、最適なシステムを個別に使うことも多いと思います。


そのような場合でも、たとえばfreee人事労務を基幹システムにすると、その他のシステムを連携させやすいメリットがあると考えています。当社も継続利用する既存システムがありながら、freeeと連携させる方法を取りました。freeeであれば、各社の実情に即した運用がしやすく、大きなシステム変更の負担もかからないため、スムーズに導入できるのではないでしょうか。


(執筆:御代貴子 撮影:西澤真紀子 編集:ノオト)

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